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第204話 第18ダンジョン 80層ボス戦
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俺はボス部屋左側、5人は右側に移動してそれぞれ投擲でバーニングコングとブリザードコングのヘイトを買ってお互い邪魔にならないよう立ち回った。
これでバーニングコングが5人を、そしてブリザードコングが俺を攻撃することはほとんどなくなったと言っても過言ではない。
2体のボス同士をぶつけ合えば簡単に倒せそうなものだが、水蒸気爆発が起これば俺はともかく6人の命が危ないので辞めることにした。
アイリスが投擲したクナイはブリザードコングの脳天に直撃したものの、鎧のように纏っている氷が少し欠けただけで終わった。
その上トロールのような再生能力を持っているのか、欠けた氷の鎧はほんの数秒で元に戻ってしまった。
クナイはSSランクなので、あの氷の鎧はなかなかの強度だと思われる。
俺が投擲したクナイはバーニングコングの脳天に直撃した…と思いきや、当たった箇所の炎が揺らめくだけで無傷だった。
もう一度投擲してみても、全て同じ結果に終わってHPは満タンのままだった。
『まさかゴースト系魔物みたいに実態を持たないのか?厄介だな…』
「キィィィィ!!!!!!!!」
攻撃が煩わしかったようで、怒ったバーニングコングは両手の指を組んで叩きつけてきた。
俺はいつも通り”闘気操術”で強化された動体視力を生かして最低限の動きで回避したのだが…
『熱っつ!!やっぱりすれすれで避けるのはダメか!!』
バーニングコングの周囲が修行の旅で訪れた砂漠以上に暑いだけでなく、拳が地面に激突すると周囲に火の粉が舞い散ったのだ。
ローブが防いでくれたので火傷することはなかったが、サウナ室に入ってきたかのようにドバッと汗が噴き出してきた。
「キィィィィ!!!!」
「ちっ…実態がないのにどうしろってんだよ…」
バーニングコングの猛攻を回避しつつ両手剣Lv.9”ノヴァディザスター”による風圧の斬撃や弓Lv.5”バーストアロー”による爆発攻撃など色々と試してみたが、どれもHPを削ることはできなかった。
どうやら物理攻撃すべてが炎のように揺らめいて当たらないようだ。
『RPGなら魔法攻撃だろうが…魔法なんてないぞ!?』
「キィィィィ!!!!」
脱水症を避けるため水分を補給しつつ対抗策を考えるが、なかなか思いつかない。
クレア達5人は寒そうに身体を震わせているが、それでも順調にHPを削っているようだ。
『…そうだっ!!そういえば新遺跡で見つけた武器の中に…』
”アイテムボックス”を開け、SSSランク武器“死神鎌“を取り出して構えた。
”死神鎌”の非実体の刃は相手の魂のみ、つまりHPだけを削るという特殊効果を持つ。
これなら実態を持たないバーニングコングにも攻撃を当てられるはずだ。
鎌などという超マイナーな武器は今まで使ったことがないが、とりあえず攻撃を回避しつつ感覚で素振りをしてみた。
すると、鎌の攻撃は持ち方を含めて槍の薙ぎ払いに似ているところがあったためすぐに要領を掴むことができた。
『よし…試してみるか!!』
先程から攻撃が当たらず痺れを切らしたバーニングコングが両手の指を組んで大きく振りかぶった。
その隙に地面を蹴って大きく跳躍し、すれ違いざまに左脇腹を斬り裂いた。
「ウホォォォォ!!!!!」
体勢を立て直しつつ振り返ると、先程斬り裂いた左脇腹を両手で抑えていた。
出血は一切ないが、”鑑定”でステータスを見てみると50万近くあったHPが45万まで減少していた。
『よしっ!!この調子で…』
勢いに乗ろうとしたところで、俺の背中に冷たいものが走った。
バーニングコングが両手を地面に着き、天井を見上げるという今までにない攻撃モーションをしていたのだ。
よく観察してみると、首元が他の箇所よりもギラギラと赤白く輝いているのが分かった。
『ブレスか…!!まずいっ!!』
咄嗟に”迷彩偽装”で姿を隠し、吸血鬼の羽を出してバーニングコングの真横へ飛翔した次の瞬間。
勢いよく口から炎を吐き出し、先程まで俺がいた辺りの直径10mほどの床が火の海に変わった。
現場から15mほど離れているが、まるでサウナ室で石に大量の水をかけた時のようにぶわっと熱気が広がった。
一応”状態異常無効”のユニークスキルで火傷や脱水症状にはならないはずだが、それでも直撃は避けたいほどの威力だった。
『…だが攻撃パターンはもう把握した。後は時間をかけて仕留めるだけだ…!!』
それから攻撃を回避してバーニングコングを煽り、隙ができたところへヒット&アウェイを繰り返して数十分が経った。
「ウホォォォ…」
隣からバーニングコングとは違う声の鳴き声と共にドスンッ!という大きな音と寒気が広がった。
どうやらクレア達が膝に手をつくほど息を乱すも何とかブリザードコングを仕留めたようだ。
『さて…こっちもそろそろ終わりにするか!!』
大振りの拳を回避し、バーニングコングの首目掛けて大きく跳躍した。
そしてこの戦闘を通じて習得した鎌Lv.1”リーパー”を行使し、横一閃で太い首を両断した。
「ウホォォォ…」
4万近くあった残りHPが消し飛び、バーニングコングの身体は火の粉になって舞い散った。
その様子は幻想的で、まるで花火のような一輪の花を咲かせて消えた。
これでバーニングコングが5人を、そしてブリザードコングが俺を攻撃することはほとんどなくなったと言っても過言ではない。
2体のボス同士をぶつけ合えば簡単に倒せそうなものだが、水蒸気爆発が起これば俺はともかく6人の命が危ないので辞めることにした。
アイリスが投擲したクナイはブリザードコングの脳天に直撃したものの、鎧のように纏っている氷が少し欠けただけで終わった。
その上トロールのような再生能力を持っているのか、欠けた氷の鎧はほんの数秒で元に戻ってしまった。
クナイはSSランクなので、あの氷の鎧はなかなかの強度だと思われる。
俺が投擲したクナイはバーニングコングの脳天に直撃した…と思いきや、当たった箇所の炎が揺らめくだけで無傷だった。
もう一度投擲してみても、全て同じ結果に終わってHPは満タンのままだった。
『まさかゴースト系魔物みたいに実態を持たないのか?厄介だな…』
「キィィィィ!!!!!!!!」
攻撃が煩わしかったようで、怒ったバーニングコングは両手の指を組んで叩きつけてきた。
俺はいつも通り”闘気操術”で強化された動体視力を生かして最低限の動きで回避したのだが…
『熱っつ!!やっぱりすれすれで避けるのはダメか!!』
バーニングコングの周囲が修行の旅で訪れた砂漠以上に暑いだけでなく、拳が地面に激突すると周囲に火の粉が舞い散ったのだ。
ローブが防いでくれたので火傷することはなかったが、サウナ室に入ってきたかのようにドバッと汗が噴き出してきた。
「キィィィィ!!!!」
「ちっ…実態がないのにどうしろってんだよ…」
バーニングコングの猛攻を回避しつつ両手剣Lv.9”ノヴァディザスター”による風圧の斬撃や弓Lv.5”バーストアロー”による爆発攻撃など色々と試してみたが、どれもHPを削ることはできなかった。
どうやら物理攻撃すべてが炎のように揺らめいて当たらないようだ。
『RPGなら魔法攻撃だろうが…魔法なんてないぞ!?』
「キィィィィ!!!!」
脱水症を避けるため水分を補給しつつ対抗策を考えるが、なかなか思いつかない。
クレア達5人は寒そうに身体を震わせているが、それでも順調にHPを削っているようだ。
『…そうだっ!!そういえば新遺跡で見つけた武器の中に…』
”アイテムボックス”を開け、SSSランク武器“死神鎌“を取り出して構えた。
”死神鎌”の非実体の刃は相手の魂のみ、つまりHPだけを削るという特殊効果を持つ。
これなら実態を持たないバーニングコングにも攻撃を当てられるはずだ。
鎌などという超マイナーな武器は今まで使ったことがないが、とりあえず攻撃を回避しつつ感覚で素振りをしてみた。
すると、鎌の攻撃は持ち方を含めて槍の薙ぎ払いに似ているところがあったためすぐに要領を掴むことができた。
『よし…試してみるか!!』
先程から攻撃が当たらず痺れを切らしたバーニングコングが両手の指を組んで大きく振りかぶった。
その隙に地面を蹴って大きく跳躍し、すれ違いざまに左脇腹を斬り裂いた。
「ウホォォォォ!!!!!」
体勢を立て直しつつ振り返ると、先程斬り裂いた左脇腹を両手で抑えていた。
出血は一切ないが、”鑑定”でステータスを見てみると50万近くあったHPが45万まで減少していた。
『よしっ!!この調子で…』
勢いに乗ろうとしたところで、俺の背中に冷たいものが走った。
バーニングコングが両手を地面に着き、天井を見上げるという今までにない攻撃モーションをしていたのだ。
よく観察してみると、首元が他の箇所よりもギラギラと赤白く輝いているのが分かった。
『ブレスか…!!まずいっ!!』
咄嗟に”迷彩偽装”で姿を隠し、吸血鬼の羽を出してバーニングコングの真横へ飛翔した次の瞬間。
勢いよく口から炎を吐き出し、先程まで俺がいた辺りの直径10mほどの床が火の海に変わった。
現場から15mほど離れているが、まるでサウナ室で石に大量の水をかけた時のようにぶわっと熱気が広がった。
一応”状態異常無効”のユニークスキルで火傷や脱水症状にはならないはずだが、それでも直撃は避けたいほどの威力だった。
『…だが攻撃パターンはもう把握した。後は時間をかけて仕留めるだけだ…!!』
それから攻撃を回避してバーニングコングを煽り、隙ができたところへヒット&アウェイを繰り返して数十分が経った。
「ウホォォォ…」
隣からバーニングコングとは違う声の鳴き声と共にドスンッ!という大きな音と寒気が広がった。
どうやらクレア達が膝に手をつくほど息を乱すも何とかブリザードコングを仕留めたようだ。
『さて…こっちもそろそろ終わりにするか!!』
大振りの拳を回避し、バーニングコングの首目掛けて大きく跳躍した。
そしてこの戦闘を通じて習得した鎌Lv.1”リーパー”を行使し、横一閃で太い首を両断した。
「ウホォォォ…」
4万近くあった残りHPが消し飛び、バーニングコングの身体は火の粉になって舞い散った。
その様子は幻想的で、まるで花火のような一輪の花を咲かせて消えた。
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