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第195話 第18ダンジョン 邪神教幹部

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「隊列を組め!!迎撃態勢だ!!」



先頭に立つのはサリーちゃん以上に全身の筋肉が隆起した黒肌でスキンヘッドの人間の大男。

身長は2mほどあり、装備はブーメランパンツ一丁に150cmほどある巨大な漆黒の両手剣。

全身にタトゥーを入れており、身長とガタイと相まって凄まじい威圧感だ。

Lvはスーと同じ76だが、ユニークスキル”魔石吸収”と”貸与”を所持しているためステータス値は大きく強化されている。

邪神教徒達が持っていた”魔石吸収(貸与)”はこの大男が貸し与えたものだろう。



大男の右隣に立つのはスレンダーな身体に立派な胸を持つ黒肌黒髪でロングヘアの人間の女性。

身長は170cmほどあり、装備は漆黒のビキニアーマーに5mほどある漆黒の鞭。

すれ違う男性全員が二度見するほど魅惑的であり、魔性の女という言葉が相応しい。

Lvはイザベルと同じ70だが、ユニークスキル”精気吸収”でステータス値が大幅に強化されている。



大男の左隣に立つのは漆黒のローブに包まれて顔しか見えないヒョロヒョロとした男。

身長は180cmほどで、ローブの下の装備は分からないが獲物は片手曲剣。

右唇から頬までの肉が抉れており、子供が見たら泣き出すほどの形相をしている。

Lvはアイリスと同じ72だが、ユニークスキル”恐怖吸収”で大幅に強化されている。



『ユニークスキルによる強化は”闘気操術”と大体同じくらいか…これなら力負けすることは無いか。』



邪神から直接力を授かった者は身体のどこかしらが象徴色である黒色に変化すると邪神教徒に関する書物に書いてあり、眉唾物だと思っていたがどうやらそうでもなかったらしい。

現状はいないからいいが、今後転移してきた日本人が邪神教徒を疑われてしまうのは気の毒だ。



「ちっ…貸したツケを貰う前に殺しやがって。これで俺様はもっと強くなれたってのによぉ。」



「ひひひっ!こいつらを倒したらツケ分くらいの経験値は入るんじゃねーの?」



「そうだな。じゃあ全員俺に殺させろ。」



「嫌ですわ。あの男は私にくださいませ?」



「ちっ…仕方ねぇーな。」



俺達は今”闘気操術”を行使しているため、並大抵の相手ならば降参するか逃げ出すほどの威圧感が溢れ出ているはずなのだが、彼らは一切気にしていないように思われる。

それはつまり俺達を殺せる自信があるということだ。



「…俺が女の相手をする。クレアとスーはあの大男を、アイリスとイザベルはあの男の相手を頼む。」



「殺してしまっても構わないですね?」



「まあそうだが…死亡フラグ立ったな。」



「しぼう…なんですか?」



「いや、何でもない。…なかなかの強敵だから気を付けろよ。」



「おう。」



「作戦会議は終わったのか?」



「おう。お前の相手はオレ達だ。」



「そうか。折角の狩りだ。向こうの広間で存分に戦おうじゃねーか。」



「いいね~!じゃあ行こっか~!!」



この通路で乱戦になると思っていたのだが、そうではなかったらしい。

女の鞭もあるし、分散させて1人ずつ仕留める算段のようだ。



「ひひっ、俺の相手はお前たちか?」



「そうなのです。」



「ひひひっ!!美少女2人を殺せるなんてついてるな!あぁ、お前たちの内臓はどんな綺麗な色をしてるんだろうなぁ!!」



「気持ち悪…向こうの通路で早く殺し合いましょう。」



「ひひっ、賛成だ。」



このヒョロヒョロした男は暗器を使いそうだが、俊敏性の高いアイリスと防御能力の高いイザベルなら心配ないだろう。

目を合わせて頷き、俺を残して移動した。



「待たせて悪いな。お前の相手は俺だが…戦闘場所はここでいいのか?」



「よろしいですわ。その前に自己紹介を。私は邪神教幹部の1人、鞭使いのアマンダですわ!」



「俺はBランク冒険者のアルフレッドだ。」



元から予想はついていたが、今の問答で邪神教は組織的な体系をしていることが分かった。

おそらく邪神の力を授かった者が幹部を務めているのだろう。



「アルフレッド…そういえば最近帝国で新遺跡を探索した同じ名前のパーティーが居ましたわね。…まさか!!」



「何だ、今更気付いたのか。まあアルフレッドって名前は多いらしいし区別できないよな。」



「ということは…あの忌々しいエレノア=ブラッドボーンの弟子ですの!?」



「そうだが…俺達の情報は仲間の門番から聞いていないのか?」



「聞いていませんわ…って、それも気付いていましたの!?」



「当然だ。俺は元々お前たちを殺すために第18ダンジョンに来たんだからな。」



「…っ!2人に知らせないといけませんわ!!」



「俺が許すとでも?」



大声を上げようと鞭使いが息を深く吸ったところへ、両手剣Lv.9”ノヴァディザスター”を行使して斬撃を放った。

鞭使いは即座に命の危機を感じ取り、大声を出すのを辞めて防御に徹した。



「他のことに意識を取られてると命を落とすぞ?」



「くっ…!!」



「さあ、俺達も殺し合いを始めようじゃないか。」
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