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第115話 古代文明都市 地下6階

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博物館の西端に移動し、地下6階へ続く螺旋状の通路に出た。

“機械探知“と“魔物探知“を行使し、周囲を警戒しつつ下っていった。



「地図によると…地下10階が最下層のようですね。」



「もう半分まで来ておったのじゃな。」



「そうですね。…っ!!」



「どうしたのじゃ?」



「地下6階…機械生命体が大量に待機してます。」



「ふむ…どうしたものかの。」



地下6階はこの施設に入った際、“機械探知“で無数の反応があった直下50mあたりの場所だったのだ。

犬型やオーク型、鳥型、さらに複数の種類の機械生命体が存在している。



『ん…?1体も動いてないな…』



電力供給が途絶えて置物と化しているのか…

はたまた地下3階で戦った進化個体と同様カウンター型なのか…



『前者だったら嬉しいけどなぁ…』



地下3階からは電力が供給されているので、おそらく後者だろう。



「弟子よ、作戦を練るのじゃ。」



「そうですね。どうしましょうか?」



「ふむ…高ランク装備を身に纏ってる訳じゃし、正面突破でもいける気がするのじゃ。」



「えっ!?それは危険なんじゃ…?せめて通路に誘導して1対1の状況を作るとか…」



「むっ、その作戦で行くのじゃ。」



「えぇ…」



適当に思いついたものを言っただけだったんだが…

改めて考えてみても悪くはないと思うので、これで行こう。



そんなことを考えながら進んでいると、地下6階の扉の前に着いた。

扉の10m先の左右に計390体が待機している。



「…師範、罠です。扉を開けると奴らが動き出す仕組みのようです。」



「む…なら妾が扉を蹴破るから、お主が斬撃を放って出来るだけ減らすのじゃ。」



「分かりました。」



深呼吸をして落ち着かせ、TP7,000消費で“闘気操術“を行使した。

そして、新たな装備と武器で両手剣Lv.9“ノヴァディザスター“の構えを取った。



「3…2…1…今じゃ!!」



「はぁぁぁぁ!!!」



師範が扉を吹き飛ばすと同時に、左右に待機している機械生命体の集団に斬撃を放ちまくった。

奴らは扉が開くと同時に動き出したが、もう遅い。



「おぉ…おぉぉぉ!!!」



新装備の才能が想像以上で、1つの斬撃で10体余りを両断したのだ。

“機械特攻“の効果が大きいだろう。



並んでいる奴らをスパッと斬り落とせて、とてもストレス発散になる。



『…っと、集中しないと!!』



オーク型などの他の中・大型機械生命体達は両断できたが、犬型や鳥型にはあまり斬撃が当たっていなかった。

狙って放ち始めたが…蠍型や鼠型など、体長数cm程度しかない小型には当たらない。



「くっ…斬撃が突破されます!!」



「後退するのじゃ!!」



「はい!!」



扉から離れ、師範とスイッチして後ろへ下がった。

とはいえ休むわけではなく、師範のカバーに“ノヴァディザスター“を行使し続けた。



「ちっ…師範、小型は任せます!!」



「うむ!!」



師範が右にずれたら俺は左に、師範が左にずれたら俺は右に動いて斬撃を放った。

幸いなことに、通路の壁や天井は非常に頑丈な性質でできていたため斬撃で傷つくことはなかった。



「おぉ…!!弟子よ、新しい装備なかなか良いのじゃ!!」



「はい!!あまり力入れなくても斬れますよね!!」



「この調子ならいくらでも戦い続けられるのじゃ!!」



数十分後



「…やっぱりいくらでもは戦えないのじゃ。」



「はぁ…はぁ…流石に数が多いですね…」



既に200体近くを仕留め、残りはあと半分だ。

俺は120体ほど倒したので、大量の経験値が流れ込んできてLv.105→109に上がった。



「くっ…弟子よ、少しの間頼むのじゃ!!」



「はい!!」



ずっと斬撃を放ち続けるのもなかなかつらいが、1対1で戦い続けるのも相当だろう。

師範が汗をかいているところを初めて見た。



「はぁぁぁぁ!!!!」



“ノヴァディザスター“を高速でスキルチェインして斬撃の嵐を作った。

敵がそれに足止めを食らっている間に、スイッチした。



『…よし、来い!!』



少しでも師範を休ませないと、勝算がどんどん下がっていく。

俺は全力で時間稼ぎに努めた。



「ちっ…!!」



交代して始めて気付いたのだが、蠍型は小さくて硬く、鼠型は小さくて素早いので非常に仕留めにくい。

確かにこれを相手に数十分も戦ったら、疲労が蓄積するだろう。



「痛っ…!!」



交代して早々蠍型を1匹逃し、脚を刺されてしまった。

だが、“状態異常無効“のお陰で蠍毒を無効化してただ痛いだけで済んだようだ。



「弟子よ、後ろに跳ぶのじゃ!!」



「は、はい!!」



「食らうのじゃ!!」



そう叫ぶと、師範は何か液体が入った大きな瓶を投げつけた。

瓶が犬型に当たると、中の液体が機械生命体達をドロドロに溶かした。

そして溶けて地面に広がった液体が蜘蛛型と鼠型をも溶かし、一網打尽にした。



「おぉ…!!今のは…!?」



「手懐けたアシッドスライム亜種じゃ!!ミスリルも溶かすのじゃよ!!」



「おぉ…!!」



この溶解液でも全く反応がない通路の壁は本当に何でできているのだろうか?

それはさておき、機械生命体達は溶解液を無視して進むので勝手に死んでゆく。



待つこと数十分



「…中・小型全部溶かしましたね。」



「うむ。一時凌ぎにと思って使ったのじゃが…予想外の効き目じゃったな。」



瓶の中にいた時は体長10cm程しかなかったが、大量の機械生命体を消化したことで今は1m程まで肥大化している。



「“アイテムボックス“に入れておくのじゃ。」



「生き物は収納できませんよ?」



「なっ、何じゃと!?」
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