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第112話 古代文明都市 地下5階

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「それにしても…あやつは何だったのじゃ?地下3階で戦った奴らとは違いようじゃし…」



「人工の非戦闘用畑管理者といったところですかね。」



「ふむ…よく分からんがいい奴じゃったな。」



「はい…!!」



地下4階で1ヶ月ほど過ごしたが、十分な成果を得られた。

全く持って後悔はしていない。



『…切り替えて探索始めるか!!』



早速”機械探知”と”魔物探知”、”構造探知”を同時に行使して警戒しつつ通路を歩いていった。



数分後



『ん…?あれは…!!』



地下5階上空の真横を通ったとき、天井から吊るされた機械生命体の反応があった。

それは体長7mほどの大型で、掴むためなのか異常に発達した足…

まるで前世の鳥型恐竜のような見た目だ。



『まさか恐竜型の機械生命体なんて言わないよな…?』



機械製の恐竜にはロマンを感じざるを得ないが…

それが敵だとすれば話は変わってくる。



「…師範、真横に地下3階とは違った鳥型機械生命体の反応が1つあります。」



「ふむ…他に反応はあるのじゃ?」



「いえ…ですが、間違いなくいるはずです。」



「どうしてじゃ?」



「今反応があった個体、天井から吊るされていたんです。まるで見世物みたいに…」



「む…ということは…」



「はい。実際に地下2階は美術品だらけでしたし、もしかしたら地上にもあるような博物館かもしれません。」



「…理解したのじゃ。確かに、大量に飾られている可能性が高いのじゃよ。」



「そうですね。」



もう記憶が朧げだが、前世にそういったゲームか映画があったような気がする。

その作品を思い出して教訓を得たいところだが…全く思い出せない。



「…どうしますか?」



「ふむ…引き返す選択肢はないのじゃ。正面突破するのじゃよ。」



「…分かりました。」



通路を進むにつれて続々と反応が増えていき、扉の前に着いた頃には反応が22個あった。

すぐに戦闘できるよう、”闘気操術”を行使して武器を構えた。



「…開けるのじゃ。」



地下5階の扉は赤色に金の刺繍が入った豪華なものだった。

デザイン重視でセキュリティーを気にしていないのか、鍵がロックされていなかった。



「おぉ…」



扉を開けた先は、予想通り博物館だった。

”機械探知”で把握した個体以外にも、破損している遺物などもショーケースに入れて展示されていた。

電力は供給されているらしく、それぞれの展示品にスポットライトが当たっていた。



「光で展示品を強調しているようじゃの…その案は妾の博物館に採用するのじゃ。」



「呑気ですね…」



「む…それ以外は特に地上の博物館と大差ないのじゃ。」



「俺は行ったことがないので分かりませんが…なかなか迫力がありますね。」



「うむ…今にも動き出しそうじゃな。」



そう、本当に今にも動き出しそうだ。

大型恐竜の機械生命体は大きく口を開けてこちらを見ているし、小型肉食恐竜の群れも走る体勢でこちらを見ている。



「…っ!?!?師範、どれも俺達の方をじっと見てます!!」



「むっ!?」



ショーケースに入れられた展示品以外、どれを見ても目が合う。

これほど恐ろしいことはないだろう。



「気味が悪いのじゃよ…」



「そうですね…」



「早く通ってしまうのじゃ。」



「はい。」



そう言って1歩目を踏み出すと、プチッと何かが切れたような音がした。

その途端、嫌な予感がした。



「…っ!!師範、上です!!」



「むっ…!!こっちも動き出したのじゃ!!」



展示用の固定糸を引きちぎり、動き出したのだ。

…だが、どこか動きががくついていて様子がおかしい。



「侵入者ヲ発見シマシタ。タダチニ処理シマス。」



『こいつらも不良品か…?いや、音声も脳的な役割も問題なさそうだな…』



鳥型恐竜の機械生命体が上手く羽ばたけず、こちらへ落ちてきた。

そこへすかさず両手剣Lv.9”ノヴァディザスター”を行使し、斬撃を放った。



鳥型恐竜はその斬撃を避けることなく、バラバラに斬られた。

まるで寝起きで動きが鈍い動物のような…



「…っ!!師範、おそらく長い間展示されてたので関節が上手く機能しないようです!!狙い目です!!」



「うむ!!よくやったのじゃ!!」



前を見ると、師範は何らかの二刀流ソードスキルを行使して目の前にいる大型恐竜の相手をしていた。

噛みつき攻撃をパリィし、高速で膝の隙間に刃を入れて足を斬り落とした。



「むっ!!斬撃を頼むのじゃ!!」



「分かりました!!」



前から小型恐竜の群れが襲い掛かってきた。

身のこなしが軽そうなので、縦横斜めなど様々な角度で斬撃を放ちまくった。



「正解だったな…!!」



放った斬撃は避ける隙間を与えずに飛んで行き、向かってくる小型恐竜の群れを粉々に斬り裂いた。



それから大型恐竜は師範が、小型恐竜と鳥型恐竜は俺が対応して戦い続けた。

数十分にもわたり、残るは師範が一騎打ちしている超大型恐竜だけだ。



その機械生命体は首が長くて胴体が太く、体長20mほどあって広大な博物館がとても窮屈なように感じる。

この建物はやはりとても頑丈に作られているようで、超大型恐竜が足踏みしてもビクとも揺れない。



「…これで終いなのじゃ!!」



蓄積してきたダメージでついに両膝を斬り落とし、倒れてきたところで長い首を斬り落とした。



「ふぅ…なかなか手強かったのじゃ。」



「意外と何とかなりましたね…」



「うむ!!さて、アーティファクトを探すのじゃ!!」



「はい!!」
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