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第89話 剣闘祭 決勝戦 vsライオネル

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クレアの試合を観戦している間にTP5,000を体内で循環させ、“闘気操術“の準備をしていた。

そして舞台に上がると同時に闘気を身体に纏った。

同時に“武器強化“も施した。



「すぅぅーー…ふぅぅーー…」



深呼吸して気分を落ち着かせ、ライオネルと対峙した。



「よくも僕のクレアを…!!お前だけは絶対に許さない…!!」



こうも恨まれると、まるで俺の方が悪役みたいだ。

罵倒を聞き流しつつ、試合の準備を整えた。



「両者武器を構えて…試合開始!!」



「はぁぁぁぁ!!!」



開始と同時に、ライオネルが光を放ちつつ“火炎龍の加護“を完全解放した。

しかし、深呼吸して落ち着いたおかげで“状態異常無効“を発動して火傷を回避できた。

ついでに光による視界損失も防げた。



もし発動出来ていなかったら、息をするだけで肺が焼かれていただろう。

それくらいの高熱だ。



「行くぞアルフレッドォォォ!!!」



雄叫びと同時に攻撃を仕掛けてきた。

軌道から察するに、両手剣Lv.6“ジェットスマッシュ“だろう。



“火炎龍の加護“のバフよりも“闘気操術“の方が少し上回っているようだ。

ライオネルの動きが若干スローモーションに見える。



俺は“ジェットスマッシュ“を相殺するため、その場で右下段に両手剣Lv.1“スラッシュ“のシステムアシスト外軌道の構えを取った。



「死ねぇぇぇ!!!」



「はぁぁぁ!!」



ガキンッという轟音と共に左肩へ迫ってくる斬撃をパリィした。

ライオネルは衝撃で身体が仰け反り、俺は反動で右腕が若干痺れている。



「くっ…!!はぁぁぁ!!」



痺れを堪えながら、追撃に両手剣Lv.7“ジェノスストリーム“を行使した。

この7連撃で仕留められれば良かったが…そうはいかなかった。



体勢を崩したところで危険を察知したのか、“火炎龍の加護“を足と腕へ集中させた。

そしてすぐに両手剣Lv.3“アークスクエア“、Lv.2“ドライクロー“を続けて行使してきた。



これによって1~4撃目を“アークスクエア“の相殺に、5~7撃目を“ドライクロー“の相殺に消費してしまった。

このままスキルチェインで追撃しても二の舞になる予感がしたので、一旦距離を取った。



「なっ…なんと素晴らしい試合でしょうかーー!!どちらも学生とは思えぬ戦闘技術です!!」



『くそっ…!!肉を切らせて骨を断てば良かった…!!』



“火炎龍の加護“によって強化された攻撃力を警戒し過ぎてしまった。

だが今の相殺でライオネルに実力の差を感じさせたはずだ。



『一旦落ち着いて…っ!!』



「僕のクレアを…返せぇぇーーーーー!!!!!」



前を見ると、ライオネルが攻撃を仕掛けてきていた。

その姿は知性を失った猛獣のようだ。



『くそっ…!!休む暇もないのか!!』



怒りに身を任せた攻撃は動きに無駄が多いと誰が言ったのだろうか。

かえって無駄が省かれ、先程よりもキレのある動きになった。



再び“ジェットスマッシュ“を行使して左肩へ斬り込んできた。

本来のライオネルであれば、同じ技を2度連続で行使するような愚かなことはしなかっただろう。



俺はその軌道を完全に察知し、左へ身体を逸らして回避した。

そしてガラ空きになった背中へ体術Lv.5“下弦蹴り“を放った。



「うぅ…!!僕のクレアァァァ!!!!」



「うるせぇ!!お前は振られたんだよ!!」



痛みをあまり感じていないのだろうか?

”下弦蹴り”は確実に決まったのに、ダメージを受けた様子がない。



「嘘だぁぁぁ!!!お前が…お前が奪ったんだぁぁぁーーー!!!」



「振られて尚追い回すこのストーカー野郎が!!」



通常攻撃で仕掛けてきたところへ“ジェノスストリーム“を行使した。

ライオネルはソードスキルに反応せず、直撃して“火炎龍の加護“によって得た頑丈な鱗が粉砕して胸の皮膚を露出させた。



「ひぃぃーーー!!!!痛い…痛いぃぃぃーーーー!!!!!」



今まで大きな怪我を負ったことがなかったのか、痛覚にはなれていないようだ。

激痛で舞台に倒れ、のたうち回っている。



「次クレアに近付いたら今日以上の苦痛を味わわせるからな!!」



「わ、わかったぁぁ…もう近づかないからぁ……」



「そうか。じゃあ…死ね!!」



俺の怒りを込め、のたうち回っているライオネルに両手剣Lv.9”ノヴァディザスター”を放ち、ばらばらに斬り刻んだ。

魔道具の効果で舞台の外に弾き出されたライオネルは、痛みで泡を吹いて失神している。



「し、試合終了ーー!!!剣闘祭1年生の部、優勝はアインザスだーーーー!!!!!」



「おおおおおおおお!!!!!!」



「それにしてもアランさん、最後のライオネル選手は様子がおかしかったですがどうしたんでしょうか?」



「今まで自分より強い相手と戦って大怪我を負ったことがなかったんでしょう。痛みに喘いでいたようです。」



「なるほど…初めての経験だったということですね。」



『なんだろう…少し卑猥に聞こえるのは俺だけか?』



「アルフレッドーーーー!!!!」



「どうしたクレ…うわっ!!」



そんな変なことを考えているとクレアが後ろから抱き着いてきた。

目に涙を浮かべているが、表情は明るく何やら吹っ切れた様子だ。



「ありがとなアルフレッドーー!!」



「ああ。クレアはクレア自身のものだからな。これからは自由に生きろ。」



「じゃあオレをもらってくれ!!」



「…えっ!?」
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