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第56話 決闘都市コルセア

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盗賊の襲撃から2日経ち、俺達の旅路には再び平穏が訪れていた。



「あーっ!!おいアルフレッド!!イカサマしたろ!!」



「いやしてねーよ!!」



「本当かな~?」



「本当だよ!!」



「ストレートフラッシュなんて、イザベルくらいしか出せませんよ。」



「アイリスまで…」



今日も今日とてTPを循環させながらトランプで遊んでいる。

そろそろ飽きてきたが…どうやらそれは俺だけのようだ。



「5人とも、コルセアが見えてきたぞ!!」



「おー!!あの飛び出てる塔みたいなやつがコロッセオか?」



「はい。」



「なるほどね~あれが噂のコロッセオか~」



「でかいな…」



そこはペンシルゴン領より出没する魔物が弱いため城壁が低い。

コロッセオより低いのはどうかと思っていたが…どうやらコロッセオが異常に大きいようだ。



「コロッセオは今は絶滅危惧種のハイドワーフが建てたと言われてるからな。異常にでかいのはそのせいだ。」



「なるほど…」



そんな話をしているうちに、門に着いた。

他の通行者がおらず、空いていたのは好都合だ。



「通行証をお見せください。」



「ああ。」



「…っ!!アインザス冒険者学校御一行様でしたか。どうぞお入りください。」



「ありがとう。」



『入場が少し緩すぎないか…?俺達が乗ってる荷台の確認もしないとは…』



荷物確認やボディーチェックも想定していたが…そこまで厳しくないようだ。



「おぉ…!!新鮮な感覚だな…!!」



門を抜けた先はアインザス領と同じく中世ヨーロッパのような街並みで、商店通りではコロッセオに関するものが一面に並んでいた。

観光客向けだと思ったが、どうやら地元客にも需要があるらしい。



「おぉ…おぉ…!!!おいアルフレッド!!剣闘士のグッズが売ってるぞ!!」



「そうだな。」



「あれは…!!前回の優勝剣闘士、バトラーの銅像です!!」



バトラー…剣闘士に興味がなかったので、全く聞いたことがない。

結構な有名人なのか…?



「アイリスも興味あったんだ。意外だね~」



「そういうスーも興味あるでしょう?」



「まあ無いと言ったら嘘になるね~」



「じ、実はボクもバトラーのファンなのです!!」



「イザベルもか!!後で一緒に買い物行こーぜ!!」



「は、はいなのです!!」



イザベルはもっとメルヘンなものが好きだと勝手に思い込んでいた…

クレアは…まあ予想通りだ。



「おいお前ら…観光は宿泊宿の登録が終わってからな。」



「おう!!」



馬車を返却し、徒歩で移動を始めた。

道中4人が商店に誘われているかのように惹きつけられていたが、アランの叱責でなんとか欲望を抑えて進んだ。



数十分後



「ここだ!!」



「おー!!オレたちの寮と同じくらい豪華だな…!!」



「アラン、部屋分けはどうなってるんだ?」



「女子4人は2人1組に分けて、小僧は1人部屋だ。」



「えーアルフレッドだけ1人部屋ずる~い。教授と同室じゃないの~?」



「俺は引率者用で別に用意されてるからな。」



「ちぇー。」



今回はアランと別の部屋か…

うるさいいびきに慣れ始めて来たが、静かに越したことはない。



「ようこそおいでくださいました。」



受付には綺麗な女性が立っていた。

高価な絹でできた服を着ていることから察するに、ここは高級宿なのだろう。



「アインザス冒険者学校御一行様でお間違い無いでしょうか?」



「ああ。」



「では案内いたしますのでこちらへどうぞ。」



2階にある端の3部屋に着いた。

宿の廊下や部屋の中も、見れば見るほど学校の寮によく似ている。



「オレとイザベルが1番手前の部屋な!!」



「では私とスーは真ん中の部屋を使いますね。」



「じゃあ俺は端の部屋を使うか。」



隅っこが落ち着く性格なので、助かる。



「…なぁアルフレッド。」



「なんだ?」



「めちゃくちゃ寮に似てないか?」



「それな。…提携でもしてるんじゃないか?」



「うふふ。その通りですわ。あなたがアルフレッド様ですね?」



「あ、ああ。」



素に戻ったのか、突然口調が変わった。

ですわ口調…元貴族のお嬢さまとかだろうか?



「そうですか…!!なら安心ですわね。」



そう言うと、案内の女性はにっこりと微笑んだ。

安心…とはどういうことだろうか?



「…あっ、もしかして執事学校の卒業生ですか?それもソフィアと関係がある…?」



「はい!わたくしはソフィアの姉、シルビアと申しますわ。どうぞお見知り置きを。」



言われてみれば、銀髪と水色の瞳が同じだ。

あどけなさが残ったソフィアと異なってシルビアは凛とした顔をしているが、確かに似ている。



「それではご自由にお過ごし下さい。食事の時間は学校と同じですので、それまでにお帰りください。」



「おっしゃぁー!!イザベル、商店に行くぞ!!」



「は、はいなのです!!」



「スー、私たちも行きましょうか。」



「そうだね~アルフレッドはどうする?」



「俺は…街を歩いてくるよ。商店通りには行かないから2人で行ってきな。」



「りょーかい。」



「俺は一杯引っ掛けてくるわ!!」



「ほどほどにな…」



さて…俺も街を見て回ろう。
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