上 下
53 / 246

第53話 反省会

しおりを挟む
「…ド!!…レッド!!…アルフレッド!!」



「…っ!!」



「やっと起きたか…オレに心配かけるんじゃねーよ!」



目を開けると、そこには巨大な2つの山が視界を覆った。

まさかこれは…あの伝説の膝枕か!!

驚き、咄嗟に身じろぎしようとした。



「あぁもう!!くすぐったいから動くんじゃねーよ!!もう少し安静にしてろ!!」



「あ、ありがとう…それでクレア、俺どれくらい寝てた?」



「ほんの数分だ。他の3人はアランに赤いモヤモヤについて詰問してる。」



「そうか…ありがとう。クレアもあの3人に混ざりたかっただろ?」



「ま、まあそうだけど…お前の方が大切だ。」



相変わらず言動がイケメンだな…

クラスの女子から人気があって、ファンクラブが作られてるのも納得だ。



「この後教授を交えて反省会するんだけどさ…お前も来るよな?」



「ああ。」



集まるのは5人だが、三人寄ればなんとやらだ。

俺だけでは気付けないことを知れるかもしれない。



「あ~クレアがアルフレッドに膝枕してる~!!」



「し、してねーよそんなの!!」



「痛っ!!」



突然クレアが膝を抜き、後頭部を地面にぶつけた。

もう少し柔らかな枕を堪能したかったのに…スーの奴め。



「え~ほんとかな~?」



「本当だ!!」



「…ま~そういうことにしておこうか。アルフレッドも起きたし反省会始めよう!!2人とも教室に来てね!」



「分かった。」



クレアが照れ隠しのためかスーと一緒に向かったので、俺は1人で移動した。



その移動中。

俺は完敗した原因を考え込んでいた。



『何がダメだったんだ…?予想より俺の戦闘技術が通用しなかったことか?

…いや、戦闘技術は良かったけどアランがそれ以上に化け物だったことか。』



正直アランを見くびっている自分がいたことは確かだ。

近いうちに1度、初心に帰って反省しよう。



そんなことを考えながら歩いているうちに、教室の前に着いた。



「おう小僧!!やっと来たか…」



「あ、ああ…遅れてすまない。」



「気にするな!!じゃあ反省会を始める!!まずは自己を顧みて、改善点を述べろ。

次に、他の人は思いついたことがあったらどんどん意見しろ。」



「イザベルからだ。」



「は、はいなのです!ボ、ボクは”神のご加護”を封じられてしまったことがダメだったかと…お、思ったのです。」



「そうだな…アイリス、どう思う?」



「そうですね…アラン教授に”神の御加護”知られていることが分かっているので、逆にこれをフェイントに使えればよかったかと。」



「なるほどなのです…」



俺は距離を取って”神の御加護”を行使することばかりで、その発想はなかった。

他者の意見はやはり新鮮だ。



「他に何かあるか?…じゃあ次、クレア。」



「オレは…特に思いつかないな!!力と技術の両方が下回ってたとしか言いようがない!!」



「まあ…同じ武器で同じ戦闘スタイルだからな。誰か意見はあるか?…じゃあ次、アイリス。」



「はい。私は駆け引きが下手だったかと思います。

最初に距離を詰めるにしても速度で勝るにしても、アラン教授のペースに飲み込まれていたかと。」



「その通りだ。小僧、お前だったら駆け引きはどうやって鍛える?」



「できれば模擬戦を重ねて慣れたいが…時間も相手の労力もかかるから、ポーカーやらブラックジャックやらを繰り返すな。」



「小僧…!!よくわかってんじゃねーか!!」



アランの目が突然キラキラしたものへと変貌した。

正直…ちょっとキモイ。



「そう、俺がカジノに通ってるのは金のためじゃない!!駆け引きを鍛えるためだ!!」



「そうだったのですね…!!私も見習います!!」



『あーあ。アイリスはアランのことになると盲目的だから信じちゃったよ…』



「じゃあ次、スー。」



「あたしは…1撃与えるために槍を手放したのは良くなかったかな~1撃じゃ仕留められなくてどのみちやられるし。」



「そうだな。だがあの戦術はなかなか良かった。…小僧と被ったのは不運だったが。」



「ちぇ~まぁ仕方ないさ。」



スーが気に食わなそうな顔でこちらを見つめてきた。

いや…本当にごめん。



「他に意見はあるか?…じゃあ最後、小僧。」



「俺は…アランに全力を出させたのがそもそもの間違いだった。不意打ちで”闘気操術”を発動して攻撃していればあるいは…」



「そうだな。…ちなみに小僧、”闘気操術”の発動まで時間は?」



「TP消費1000の軽いやつだったら5秒くらい。けど、アランが他4人と戦ってた間にTP3000を纏うのも有りだったな。」



「5秒か…」



アランが真剣な表情で、目を瞑って考え込んでいる。

俺が不意打ちで”闘気操術”を発動したときの戦闘シミュレーションをしているのだろうか…?



「そうだな…確かに負けてたかもしれん。」



「おぉ…!!アルフレッド、やっぱすごいな!!」



「うわっ!近い近い…」



クレアのパーソナルスペースが狭いのは問題だ。

柔らかな胸が…当たっている。



「あっ…!!それよりアラン教授!!」



「ど、どうしたアイリス?」



「その”闘気操術”っていつ教えてくれるんですか!?」



「それあたしも気になる~!!」



「ボ、ボクも…!!」



「あ、ずるいぞ3人とも!!オレにも教えてくれ!!」



「ダメだ!!もっと基礎が完成してからな!」



「ちぇ~仕方ないなぁ…」



こうして実力測定は終了した。

剣闘祭出場メンバーは無事、メンバー変更なしとなった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】【勇者】の称号が無かった美少年は王宮を追放されたのでのんびり異世界を謳歌する

雪雪ノ雪
ファンタジー
ある日、突然学校にいた人全員が【勇者】として召喚された。 その召喚に巻き込まれた少年柊茜は、1人だけ【勇者】の称号がなかった。 代わりにあったのは【ラグナロク】という【固有exスキル】。 それを見た柊茜は 「あー....このスキルのせいで【勇者】の称号がなかったのかー。まぁ、ス・ラ・イ・厶・に【勇者】って称号とか合わないからなぁ…」 【勇者】の称号が無かった柊茜は、王宮を追放されてしまう。 追放されてしまった柊茜は、特に慌てる事もなくのんびり異世界を謳歌する..........たぶん….... 主人公は男の娘です 基本主人公が自分を表す時は「私」と表現します

異世界転生したらよくわからない騎士の家に生まれたので、とりあえず死なないように気をつけていたら無双してしまった件。

星の国のマジシャン
ファンタジー
 引きこもりニート、40歳の俺が、皇帝に騎士として支える分家の貴族に転生。  そして魔法剣術学校の剣術科に通うことなるが、そこには波瀾万丈な物語が生まれる程の過酷な「必須科目」の数々が。  本家VS分家の「決闘」や、卒業と命を懸け必死で戦い抜く「魔物サバイバル」、さらには40年の弱男人生で味わったことのない甘酸っぱい青春群像劇やモテ期も…。  この世界を動かす、最大の敵にご注目ください!

異世界に召喚されたが勇者ではなかったために放り出された夫婦は拾った赤ちゃんを守り育てる。そして3人の孤児を弟子にする。

お小遣い月3万
ファンタジー
 異世界に召喚された夫婦。だけど2人は勇者の資質を持っていなかった。ステータス画面を出現させることはできなかったのだ。ステータス画面が出現できない2人はレベルが上がらなかった。  夫の淳は初級魔法は使えるけど、それ以上の魔法は使えなかった。  妻の美子は魔法すら使えなかった。だけど、のちにユニークスキルを持っていることがわかる。彼女が作った料理を食べるとHPが回復するというユニークスキルである。  勇者になれなかった夫婦は城から放り出され、見知らぬ土地である異世界で暮らし始めた。  ある日、妻は川に洗濯に、夫はゴブリンの討伐に森に出かけた。  夫は竹のような植物が光っているのを見つける。光の正体を確認するために植物を切ると、そこに現れたのは赤ちゃんだった。  夫婦は赤ちゃんを育てることになった。赤ちゃんは女の子だった。  その子を大切に育てる。  女の子が5歳の時に、彼女がステータス画面を発現させることができるのに気づいてしまう。  2人は王様に子どもが奪われないようにステータス画面が発現することを隠した。  だけど子どもはどんどんと強くなって行く。    大切な我が子が魔王討伐に向かうまでの物語。世界で一番大切なモノを守るために夫婦は奮闘する。世界で一番愛しているモノの幸せのために夫婦は奮闘する。

鍵の王~才能を奪うスキルを持って生まれた僕は才能を与える王族の王子だったので、裏から国を支配しようと思います~

真心糸
ファンタジー
【あらすじ】  ジュナリュシア・キーブレスは、キーブレス王国の第十七王子として生を受けた。  キーブレス王国は、スキル至上主義を掲げており、高ランクのスキルを持つ者が権力を持ち、低ランクの者はゴミのように虐げられる国だった。そして、ジュナの一族であるキーブレス王家は、魔法などのスキルを他人に授与することができる特殊能力者の一族で、ジュナも同様の能力が発現することが期待された。  しかし、スキル鑑定式の日、ジュナが鑑定士に言い渡された能力は《スキル無し》。これと同じ日に第五王女ピアーチェスに言い渡された能力は《Eランクのギフトキー》。  つまり、スキル至上主義のキーブレス王国では、死刑宣告にも等しい鑑定結果であった。他の王子たちは、Cランク以上のギフトキーを所持していることもあり、ジュナとピアーチェスはひどい差別を受けることになる。  お互いに近い境遇ということもあり、身を寄せ合うようになる2人。すぐに仲良くなった2人だったが、ある日、別の兄弟から命を狙われる事件が起き、窮地に立たされたジュナは、隠された能力《他人からスキルを奪う能力》が覚醒する。  この事件をきっかけに、ジュナは考えを改めた。この国で自分と姉が生きていくには、クズな王族たちからスキルを奪って裏から国を支配するしかない、と。  これは、スキル至上主義の王国で、自分たちが生き延びるために闇組織を結成し、裏から王国を支配していく物語。 【他サイトでの掲載状況】 本作は、カクヨム様、小説家になろう様、ノベルアップ+様でも掲載しています。

最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした

新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。 「もうオマエはいらん」 勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。 ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。 転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。 勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)

異世界に転生!堪能させて頂きます

葵沙良
ファンタジー
遠宮 鈴霞(とおみやりんか)28歳。 大手企業の庶務課に勤める普通のOL。 今日は何時もの残業が無く、定時で帰宅途中の交差点そばのバス停で事件は起きた━━━━。 ハンドルを切り損なった車が、高校生3人と鈴霞のいるバス停に突っ込んできたのだ! 死んだと思ったのに、目を覚ました場所は白い空間。 女神様から、地球の輪廻に戻るか異世界アークスライドへ転生するか聞かれたのだった。 「せっかくの異世界、チャンスが有るなら行きますとも!堪能させて頂きます♪」 笑いあり涙あり?シリアスあり。トラブルに巻き込まれたり⁉ 鈴霞にとって楽しい異世界ライフになるのか⁉ 趣味の域で書いておりますので、雑な部分があるかも知れませんが、楽しく読んで頂けたら嬉しいです。戦闘シーンも出来るだけ頑張って書いていきたいと思います。 こちらは《改訂版》です。現在、加筆・修正を大幅に行っています。なので、不定期投稿です。 何の予告もなく修正等行う場合が有りますので、ご容赦下さいm(__)m

無尽蔵の魔力で世界を救います~現実世界からやって来た俺は神より魔力が多いらしい~

甲賀流
ファンタジー
なんの特徴もない高校生の高橋 春陽はある時、異世界への繋がるダンジョンに迷い込んだ。なんだ……空気中に星屑みたいなのがキラキラしてるけど?これが全て魔力だって? そしてダンジョンを突破した先には広大な異世界があり、この世界全ての魔力を行使して神や魔族に挑んでいく。

エラーから始まる異世界生活

KeyBow
ファンタジー
45歳リーマンの志郎は本来異世界転移されないはずだったが、何が原因か高校生の異世界勇者召喚に巻き込まれる。 本来の人数より1名増の影響か転移処理でエラーが発生する。 高校生は正常?に転移されたようだが、志郎はエラー召喚されてしまった。 冤罪で多くの魔物うようよするような所に放逐がされ、死にそうになりながら一人の少女と出会う。 その後冒険者として生きて行かざるを得ず奴隷を買い成り上がっていく物語。 某刑事のように”あの女(王女)絶対いずれしょんべんぶっ掛けてやる”事を当面の目標の一つとして。 実は所有するギフトはかなりレアなぶっ飛びな内容で、召喚された中では最強だったはずである。 勇者として活躍するのかしないのか? 能力を鍛え、復讐と色々エラーがあり屈折してしまった心を、召還時のエラーで壊れた記憶を抱えてもがきながら奴隷の少女達に救われるて変わっていく第二の人生を歩む志郎の物語が始まる。 多分チーレムになったり残酷表現があります。苦手な方はお気をつけ下さい。 初めての作品にお付き合い下さい。

処理中です...