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第41話 魔物征伐 最終決戦②

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「あれが…悪魔族なのか…?」



ミノタウロスは色黒の皮膚に牛のような顔をしており、前世ゲームと似ているので特に驚きはしなかった。

しかし、あの悪魔の容姿は驚きを隠せない。



身長150cmくらいの身体のそこら中にある黒い目玉…

禍々しいほどの漆黒に包まれた虫のような4つの羽…

化け物としか表現のしようがない。



見ているだけで気持ち悪くなる。

この世のものとは思えないおぞましさだ…



「…アルフレッド、大丈夫か?」



「はい…」



レイフ兄様は勇敢だ。

悪魔に対して恐れることなく、殺意の籠った視線を送っていた。



『こいつが大氾濫の元凶なんだ。恐れて何になるんだ…?ただ俺の平穏な日常を壊した怒りをぶつけるだけだ!!』



「レイフィールド殿、俺にも戦わせてください…!!」



「…分かった。ただし、少しでも危険を感じたら後退しろよ。」



「はい…!!」



アランパーティの皆は後方へ退避し、休んでいるようだ。

いつでも助けに行ける距離にいる辺り、最悪の事態を想定しているのだろう。



「お前等、退け!!!咆哮が来るぞ!!!!」



ミノタウロスの咆哮…これがミノタウロスを危険度Aランクに至らしめる理由だ。

この咆哮はLv差に依存せず、半径10mの範囲内にいる全ての対象を30秒間スタンさせるのだ。

咆哮→スタン→突進の連続技により、今まで数えきれないほど多くの冒険者たちが犠牲になった。



「まずい…!!タンクの3人が範囲内に残ったままだ…!!」



助けに行こうにも、俺には咆哮を凌ぐ術がないので犠牲者が増えるだけだ。

ただ見ていることしかできないのか…?



突如、背後から縄の付いた3本の矢が飛んできた。

その矢は範囲内に残った冒険者に絡みつき、まるで魚を釣るようにして合計300kg近くある3人を範囲外へ引っ張り出した。



『なっ…!?今のは…!?』



「間に合って良かったのである。」



後ろを振り返ると、そこには縄を持ったクラウドが立っていた。



「おおおおおおおおお!!!!」



「これが元Sランク冒険者、アランパーティ剛腕の狙撃手…!!」



『クラウドも元Sランク冒険者だったのか…!?

何はともあれ、あのタンク3人がやられていたら隊列が崩壊していただろう…助かった。』



クラウドの驚異的な援護もあり、冒険者たちは振動と土煙と共に次々ミノタウロスを薙ぎ倒していく。

重傷者も出ず、残りはあと7体だ。



【おまえたちは何をやってるんだ!!折角ボクちんが召喚してあげたというのに…!!】



『ブ…ブモォォォォ!!!』



【この人間達はただの人間じゃないって…?ふざけるな!!もういい!!ボクちんの切り札を出してやる!!】



「今のは悪魔とミノタウロスの会話か…?だとするとまずい…!!」



”言語理解”のおかげで話の内容を聞き取ることができたが…

俺の力では新たな召喚を阻止するのは難しい。



「…クラウド!!最奥にいるミノタウロスの右肩の上!!悪魔を狙え!!!」



「了解である!!…はっ!!」



『あれは…弓Lv.5”バーストアロー”か!!』



標的に当たると自動的に爆発し、その威力は前世のダイナマイトと同等以上だ。

あれで仕留められればいいが…



悪魔はまだ攻撃に気付いていない。

あと30m…20m…10m…



「くっ…!!だが…!!」



悪魔を載せている一際大きいミノタウロスが”バーストアロー”に気付いた。

そして、主である悪魔を守ろうと矢を手で防いだ。



「これで片手は持って行けたはず…!?無傷…だと!?」



【うぉぉぉ…危なかった…!!よくやったミノタウロス0号!!】



『ブモォォォォォ!!!!!』



「すまないアルフレッド殿…」



「いや、あれは仕方ない。」



突如、悪魔の真下に巨大な魔法陣が現れた。

召喚は防げなかったようだ…



【…よし、召喚する準備が整ったぞ!!おまえたちは生贄だ!!!】



『ブ、ブモォォォ!!!』



そう言うと、悪魔が乗っている個体以外のミノタウロスが魔法陣に吸われていった。



「おいおいどういうことだ?…っ!!全員距離を取れ!!!!やばいのが来るぞ!!!」



アランの直感は正しかった。



「う、うわぁぁぁぁぁ!!!!!」



「助けてくれぇ!!!!」



魔法陣がいっそう輝いた次の瞬間、魔法陣から超巨大な生物が姿を現した。

距離を取り切れなかった冒険者たちは次々その巨大生物の背に乗せられ、遥か上空まで連れていかれた。



『あれは…なんだ…!?』



体長150mにもわたる亀のような身体で甲羅の上には山がまるまる1つ…

まるで前世にゲームで見たドラゴンのような首と尻尾…



【くくくっ!!ベヒモス、ボクちんの召喚によくぞ応じてくれた!!!】



「ベヒモス…!?」



「おい小僧!!それは本当か…!?」



「ああ…」



「参ったな…生きてるうちに伝説のSSランク魔物を2度もお目にかかるとは…」



ベヒモスはのんきに辺りを見回している。

悪魔の声が届いていないのか…?



【…おい!!聞いているのか!!ボクちんは!お前の召喚者だぞ!!や…やめろぉぉ!!たす…け…】



「なっ…!!悪魔を…”魔物召喚”の主を喰らった…だと!?」



ベヒモスは果たして俺達の味方だろうか…?

それとも…



《…人間の子供よ。》



『…っ!!なんだ…!?脳内に声が…誰だ!?』



まるで神様が話しているときのようだ。



《我だ。目の前にいる。》



『なっ…!?まさか…!?』
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