上 下
34 / 246

第34話 魔物征伐 偵察

しおりを挟む
「レイフィールド殿、2階層に繋がる階段を見つけました!!」



「そうか…!!皆、ついにアルフレッド2階層へ繋がる階段を発見した!!」



「おおおおおおおおおお!!!!!」



「アルフレッド、階段までに魔物はいるか?」



「いません。」



「そうか…皆、階段前で1度休憩をとる!!階層が変わり、魔物がより強力化するかもしれない。

各員装備の点検を行うように!!」



「了解である!!」



数分後



「疲れたぁ…!!」



「小僧、よく頑張ったな!!!」



「ありがとう…」



疲れたが100匹近くラミアを討伐したお陰で、Lvは71→86まで上昇した。

SPはまだ振り分けないでおこう。



『この魔物征伐でレアアイテムをゲットしたが装備必要ステータスが足りなくて装備できない…なんてことになったら悲しいからな。』



「この後偵察に呼び出されるだろうから…これ飲んどけ。」



「これは…?」



「酒だ!」



「ちょっ…!!未成年に何飲まそうとしてるんだよ!!ってか魔物征伐に酒を持って来たのかよ…!!」



「いつものことであるよ…」



「そうそう!あーしも最初は注意してたけど…もうやめちゃった!」



「えぇ…」



アランにこんな一面があったとは。

酔って作戦に影響を及ぼさなければいいが…



「ほどほどにしておけよ…」



「ああ!」



「…って、おいぃぃ!!!!!」



懐から一升瓶を取り出したと思ったら直飲みし、みるみるうちに半分を飲み干してしまった。



「くぅ…!!!やっぱダンジョンは酒だよなぁ!!!」



本の中の『不死身のアラン』の姿がどんどん崩れていく…

俺はファンじゃないからダメージを受けないが…父上が見たらどう思うだろう。



「アルフレッド、偵察を頼んでもいいか?私も同行する。」



「分かりました。…でも、レイフィールド殿が抜けて大丈夫なんですか?」



「問題ない。既に知らせてある。」



「分かりました。では行きましょうか。」



俺はレイフ兄様と二人きりで、2階層の偵察へ向かった。



「レイフ兄様。」



「なんだ?」



「師匠は…魔物征伐に来ていますか?」



「ああ。副団長だから地上の統率をしてるよ。」



「そうですか…!」



実は師匠が副団長だったことは出家前に父上から聞いたので驚かなかった。

せっかくなので魔物征伐が終わったら挨拶に向かおう。



「…そろそろ2階層に着きます。魔物と罠は…今のところありません。」



「そうか。ところでアル、いつ探知なんてできるようになったんだ?」



「えっと…以前スライムを倒して回っていた時、効率よく見つける練習をしてたら出来るようになりました。」



「そうだったのか…道理でLvUPが早かったわけだ。」



「はは…」



何とか誤魔化せた…と思う。



貴族やギルドで使われる“鑑定“の魔道具はHPやSP、STRなどのパラメータだけで、スキルやユニークスキルは表示されない。

もし表示されていたら、5つものユニークスキルを持つ俺は神の申し子として教会で崇められていただろう。



「…っと、着きます。罠があったときに備えて戦闘準備を!」



「分かった。」



ゆっくり階段の出口へ進んでいき、2階層に入ると眩い光が差し込んできた。



「…っ!!これは…草原か…?」



「そう…みたいだな。」



草が風でなびき、遠くには木々が茂っている。

ここがダンジョンの中だと知らされなければ、地上と区別がつかないだろう。



「アル、ここから遠くまで偵察できるか…?」



「やってみます。」



俺は有効範囲を前方半円で半径300mに設定し、“気配探知“を行使した。



「うっ…!!」



「アル!!大丈夫か…!?!?」



脳内に大量の情報が流れ込み、酔ってしまった。

これ以上膨大な情報が瞬間的に流れ込むと、脳が損傷を負う可能性がある。

今後は出来るだけ控えた方が良さそうだ。



「落ち着いてからでいい。」



「はい…」



数分後



「落ち着きました。」



「よかった…それで、何が分かった?」



「目では遠くまで続いているように見えますが、実際のこの階層は約250m四方です。

それと、向こうに見える木々のあたりにウルフ系の魔物が大量にいました。

そして…最奥に大きい個体が1匹います。」



「指揮個体か…厄介だな。」



ウルフ系は知能が高く、策略を用いて人を狩るため1番弱いウルフでもEランクの魔物である。

ウルフの進化先がCランクのダイアウルフ、ダイアウルフの進化先がAランクのウェアウルフである。



「今までAランクのメデゥーサ、Bランクのノーブルオーガ、Cランクのラミアが現れたことから考えて…」



「取り巻きがダイアウルフ、指揮個体がウェアウルフだろうな…アル、戻るぞ。」



「はい。」



木々が茂った草原はウルフ系の生息地だ。

そこで討伐をしたらまんまと敵の策略にはまり、死傷者が続出するだろう。

かと言って生息地からおびき出す方法も見つからない。



『レイフ兄様はどう対応するんだ…?』



そんなことを考えながら階段を上り、1階層に戻った。



「偵察が終わった。皆、集まってくれ。」



着いてすぐに作戦会議を始め、得た情報を共有した。



「大量のダイアウルフに指揮個体のウェアウルフ…もはやSランク冒険者が受注するクエストだぞ…」



「一体どうすれば…」



目の前に困難が立ちはだかり、今まで順調だった進攻が初めて停止した。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

異世界転生したらよくわからない騎士の家に生まれたので、とりあえず死なないように気をつけていたら無双してしまった件。

星の国のマジシャン
ファンタジー
 引きこもりニート、40歳の俺が、皇帝に騎士として支える分家の貴族に転生。  そして魔法剣術学校の剣術科に通うことなるが、そこには波瀾万丈な物語が生まれる程の過酷な「必須科目」の数々が。  本家VS分家の「決闘」や、卒業と命を懸け必死で戦い抜く「魔物サバイバル」、さらには40年の弱男人生で味わったことのない甘酸っぱい青春群像劇やモテ期も…。  この世界を動かす、最大の敵にご注目ください!

女神のチョンボで異世界に召喚されてしまった。どうしてくれるんだよ?

よっしぃ
ファンタジー
僕の名前は 口田 士門くちた しもん。31歳独身。 転勤の為、新たな赴任地へ車で荷物を積んで移動中、妙な光を通過したと思ったら、気絶してた。目が覚めると何かを刎ねたのかフロントガラスは割れ、血だらけに。 吐き気がして外に出て、嘔吐してると化け物に襲われる…が、武器で殴られたにもかかわらず、服が傷ついたけど、ダメージがない。怖くて化け物を突き飛ばすと何故かスプラッターに。 そして何か画面が出てくるけど、読めない。 さらに現地の人が現れるけど、言葉が理解できない。 何なんだ、ここは?そしてどうなってるんだ? 私は女神。 星系を管理しているんだけど、ちょっとしたミスで地球という星に居る勇者候補を召喚しようとしてミスっちゃって。 1人召喚するはずが、周りの建物ごと沢山の人を召喚しちゃってて。 さらに追い打ちをかけるように、取り消そうとしたら、召喚した場所が経験値100倍になっちゃってて、現地の魔物が召喚した人を殺しちゃって、あっという間に高レベルに。 これがさらに上司にばれちゃって大騒ぎに・・・・ これは女神のついうっかりから始まった、異世界召喚に巻き込まれた口田を中心とする物語。 旧題 女神のチョンボで大変な事に 誤字脱字等を修正、一部内容の変更及び加筆を行っています。また一度完結しましたが、完結前のはしょり過ぎた部分を新たに加え、執筆中です! 前回の作品は一度消しましたが、読みたいという要望が多いので、おさらいも含め、再び投稿します。 前回530話あたりまでで完結させていますが、8月6日現在約570話になってます。毎日1話執筆予定で、当面続きます。 アルファポリスで公開しなかった部分までは一気に公開していく予定です。 新たな部分は時間の都合で8月末あたりから公開できそうです。

アーティファクトコレクター -異世界と転生とお宝と-

一星
ファンタジー
至って普通のサラリーマン、松平善は車に跳ねられ死んでしまう。気が付くとそこはダンジョンの中。しかも体は子供になっている!? スキル? ステータス? なんだそれ。ゲームの様な仕組みがある異世界で生き返ったは良いが、こんな状況むごいよ神様。 ダンジョン攻略をしたり、ゴブリンたちを支配したり、戦争に参加したり、鳩を愛でたりする物語です。 基本ゆったり進行で話が進みます。 四章後半ごろから主人公無双が多くなり、その後は人間では最強になります。

収納大魔導士と呼ばれたい少年

カタナヅキ
ファンタジー
収納魔術師は異空間に繋がる出入口を作り出し、あらゆる物体を取り込むことができる。但し、他の魔術師と違って彼等が扱える魔法は一つに限られ、戦闘面での活躍は期待できない――それが一般常識だった。だが、一人の少年が収納魔法を極めた事で常識は覆される。 「収納魔術師だって戦えるんだよ」 戦闘には不向きと思われていた収納魔法を利用し、少年は世間の収納魔術師の常識を一変させる伝説を次々と作り出す――

【完結】おじいちゃんは元勇者

三園 七詩
ファンタジー
元勇者のおじいさんに拾われた子供の話… 親に捨てられ、周りからも見放され生きる事をあきらめた子供の前に国から追放された元勇者のおじいさんが現れる。 エイトを息子のように可愛がり…いつしか子供は強くなり過ぎてしまっていた…

転生チートで英雄になったんですが、スローライフしたいです(切実)

みなかみしょう
ファンタジー
フィル・グランデは世界を救った英雄である。 辺境大陸に発生した魔王を倒すべく、十歳の頃から死闘を重ね、多くの国家と仲間の協力を得て、ついにはそれを打ち倒した。 世界を混沌に叩き落とした魔王の討伐に、人々は歓喜した。 同時に、一人の英雄を失った悲しみもそこにあった。 十年かけて魔王を倒した英雄フィル。 魔王と差し違えた英雄フィル。 一人の若者は、死して伝説の存在となったのである。 ところがどっこい、フィルは生きていた。 彼は『イスト』と名前を変え、見た目を変えて、田舎国家で売れない雑貨屋を営む道を選んでいた。 彼が栄誉と名声を捨てた理由は一つ。 「もうあんまり働きたくない」 実は彼は転生者であり、仕事漬けだった前世をとても悔やんでいた。 次こそはと思って心機一転臨んだ転生先、そこでの戦いの日々にもうんざりだった。 「今度こそ、仕事はそこそこにして、やりたいことをやる。キャンプとか」 強い決意で怠惰な日々を過ごすイストの下に、次々と厄介ごとがふりかかる。 元々の仕事熱心かつお人好しな性格が災いし、彼はそれを断り切れない。 「くそっ! 魔王を倒したのに、なんでこんなに戦ってばかりなんだ!」 これは、一人の男がスローライフを獲得するために奮闘する物語である。

凡人がおまけ召喚されてしまった件

根鳥 泰造
ファンタジー
 勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。  仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。  それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。  異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。  最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。  だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。  祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。

レベルが上がらずパーティから捨てられましたが、実は成長曲線が「勇者」でした

桐山じゃろ
ファンタジー
同い年の幼馴染で作ったパーティの中で、ラウトだけがレベル10から上がらなくなってしまった。パーティリーダーのセルパンはラウトに頼り切っている現状に気づかないまま、レベルが低いという理由だけでラウトをパーティから追放する。しかしその後、仲間のひとりはラウトについてきてくれたし、弱い魔物を倒しただけでレベルが上がり始めた。やがてラウトは精霊に寵愛されし最強の勇者となる。一方でラウトを捨てた元仲間たちは自業自得によるざまぁに遭ったりします。※小説家になろう、カクヨムにも同じものを公開しています。

処理中です...