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第26話 礼拝
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翌朝
今日は冒険者学校が始まって初めての休日だ。
いつも通り訓練をしてもいいのだが、せっかくなので今日は街を散策しよう。
『…それに1度教会でお祈りして神様に活動報告をしないとな。』
装備を“アイテムボックス“に収納し、外出用の服装に着替えて街に出た。
ここアインザスは
「そこの坊ちゃん、肉串を買っていかねぇか?」
「いやいや坊主、こっちの肉パンがおすすめだぜ!!」
「おい坊ちゃん、うちの干し肉も買っていかねぇか?」
と、屋台が多い街である。
というのも、ここは冒険者が多いので稼げるからだ。
冒険者が多いのは、アインザスの近くにある森に生息するオークの影響だ。
オークは肉と睾丸が高値で売れるため、中堅冒険者にとって稼ぎになる。
『…まあオークは結構強いから、死者も多数出てるんだけどな。』
オーク肉は屋敷にいたころに何度も食べたことがあるのだが、あれは本当に美味しい。
前世の高級豚肉と同等か、それ以上の食材なのだ。
「教会は…あれか。」
この街で1番巨大かつ豪華な建築物なので、一目で分かる。
「あ、あの…アルフレッド君…?」
「ん…?あ、イザベルさん。おはよう。」
「お、おはようなのです…!ボ、ボクのことはイザベルでいいのです!!」
「ありがとう。」
「アルフレッド君もその、教会に行くのです?」
「ああ。イザベルも?」
「は、はいなのです!て、天使族のしきたりで毎週礼拝に行くのです!」
「なるほど…」
会話しながら、こっそりイザベルを“鑑定“した。
名前 イザベル 種族 天使族 Lv.28
HP 240/240 TP 625/625 SP 0
STR 30 VIT 20 DEX 25 AGI 25 INT 30 LUK 110
スキル
片手剣Lv.3 棍棒Lv.5 盾Lv.4
ユニークスキル
神の祝福:対象の怪我や状態異常を回復する。(※1日に最大5回まで)
『基本ステータス高いな!?…ん?“神の祝福“…ゲームの僧侶みたいなものか。』
魔法がない世界だが、実は魔法に近しいものは存在している。
それは一般的に『奇跡』と呼ばれている。
過去の記録によると
『天使族の祈りで毒が治った。ダークエルフ族が集団儀式で炎の球を作った。』
など、様々である。
本に書かれているだけなので、全てが事実かどうかは分からない。
「あ、あの…!」
「どうした?」
「教会まで一緒に行ってもいいのです?」
「ああ。行こうか。」
天使族と言っても、常に純白の羽が生えたり頭の上に輪が浮かんでいるわけではない。
これらは祈りを捧げるときだけ発現するのだ。
『…1度見てみたかったからちょうどいいな。』
一体どれほど神秘的なのだろうか…?
ジロジロ見るのは失礼なので、チラッとだけにしよう。
「イザベルはこの街の教会に来るの初めて?」
「は、はいなのです!アルフレッド君はどうなのです?」
「俺も初めてだ。」
「そ、そうなのですね!」
それから学校生活の話をしながら歩き、教会に着いた。
「じゃ、じゃあ入るのです!」
「ああ。」
扉を開けると、そこはステンドグラスで装飾された綺麗なところだった。
前世のキリスト教やカトリック教の教会に似ている。
「おぉ…」
閑散としており、俺とイザベルさんの他には
荘厳な装飾に見惚れていると、シスターの格好をした1人の女性が近づいてきた。
「入信ですか?礼拝ですか?」
「れ、礼拝なのです!」
「右に同じだ。」
「ではこちらへどうぞ。」
シスターの案内の元、教会の最奥にある巨大な女神像の元へ案内された。
『俺を転生させてくれた女神様に似ているな…』
「この方は創造神様です。礼拝の方法は知っていますね?」
「は、はいなのです!」
「ああ。」
左膝をつき、右は立膝にして顔の前で手を両手を握り合わせた。
『女神様…アルフレッドです。』
『遅いです!!5歳になって記憶を思い出したら連絡するように言いましたよね…?』
教会で祈っていたはずが、転生時に女神様と会った真っ白な空間に移動していた。
「すみません…家訓で家庭教師の卒業試験を合格するまで家から出られなかったんですよ…」
…まぁ完全にその約束を忘れていたんだが。
『それなら仕方ありませんね。転生の儀を失敗してしまったかと思いましたよ…!!』
「はは…ご心配をおかけしました。」
『許します!…それで、この世界での生活は楽しいですか?』
「ええ。社畜時代の数百倍は楽しいです。」
『良かったです!!それで…改善点はありましたか?』
「そうですね…まだこの世界の見聞が少ないので分かりませんが、娯楽が少なすぎるかと…」
『なるほど…』
「これは本の知識ですが、娯楽が少ないため世界中の街で娼館が発展してるとか…」
『娼館が…!?それは…不埒です!!』
子作りのためではないと言え、交配は一部地域で神聖視されているのだが…
この神様はエロ耐性が低いようだ。
『取り入れる娯楽として何かおすすめはありますか?』
「そうですね…簡単に作れるもので、前世のリバーシや将棋はどうでしょう?」
『いいですね!!では…』
それから娯楽を広める手段を話し合い、結局俺は何もしなくていいことになった。
…楽できて良かった。
『実はアルフレッドさんに伝えなければいけないことができてしまって…』
今日は冒険者学校が始まって初めての休日だ。
いつも通り訓練をしてもいいのだが、せっかくなので今日は街を散策しよう。
『…それに1度教会でお祈りして神様に活動報告をしないとな。』
装備を“アイテムボックス“に収納し、外出用の服装に着替えて街に出た。
ここアインザスは
「そこの坊ちゃん、肉串を買っていかねぇか?」
「いやいや坊主、こっちの肉パンがおすすめだぜ!!」
「おい坊ちゃん、うちの干し肉も買っていかねぇか?」
と、屋台が多い街である。
というのも、ここは冒険者が多いので稼げるからだ。
冒険者が多いのは、アインザスの近くにある森に生息するオークの影響だ。
オークは肉と睾丸が高値で売れるため、中堅冒険者にとって稼ぎになる。
『…まあオークは結構強いから、死者も多数出てるんだけどな。』
オーク肉は屋敷にいたころに何度も食べたことがあるのだが、あれは本当に美味しい。
前世の高級豚肉と同等か、それ以上の食材なのだ。
「教会は…あれか。」
この街で1番巨大かつ豪華な建築物なので、一目で分かる。
「あ、あの…アルフレッド君…?」
「ん…?あ、イザベルさん。おはよう。」
「お、おはようなのです…!ボ、ボクのことはイザベルでいいのです!!」
「ありがとう。」
「アルフレッド君もその、教会に行くのです?」
「ああ。イザベルも?」
「は、はいなのです!て、天使族のしきたりで毎週礼拝に行くのです!」
「なるほど…」
会話しながら、こっそりイザベルを“鑑定“した。
名前 イザベル 種族 天使族 Lv.28
HP 240/240 TP 625/625 SP 0
STR 30 VIT 20 DEX 25 AGI 25 INT 30 LUK 110
スキル
片手剣Lv.3 棍棒Lv.5 盾Lv.4
ユニークスキル
神の祝福:対象の怪我や状態異常を回復する。(※1日に最大5回まで)
『基本ステータス高いな!?…ん?“神の祝福“…ゲームの僧侶みたいなものか。』
魔法がない世界だが、実は魔法に近しいものは存在している。
それは一般的に『奇跡』と呼ばれている。
過去の記録によると
『天使族の祈りで毒が治った。ダークエルフ族が集団儀式で炎の球を作った。』
など、様々である。
本に書かれているだけなので、全てが事実かどうかは分からない。
「あ、あの…!」
「どうした?」
「教会まで一緒に行ってもいいのです?」
「ああ。行こうか。」
天使族と言っても、常に純白の羽が生えたり頭の上に輪が浮かんでいるわけではない。
これらは祈りを捧げるときだけ発現するのだ。
『…1度見てみたかったからちょうどいいな。』
一体どれほど神秘的なのだろうか…?
ジロジロ見るのは失礼なので、チラッとだけにしよう。
「イザベルはこの街の教会に来るの初めて?」
「は、はいなのです!アルフレッド君はどうなのです?」
「俺も初めてだ。」
「そ、そうなのですね!」
それから学校生活の話をしながら歩き、教会に着いた。
「じゃ、じゃあ入るのです!」
「ああ。」
扉を開けると、そこはステンドグラスで装飾された綺麗なところだった。
前世のキリスト教やカトリック教の教会に似ている。
「おぉ…」
閑散としており、俺とイザベルさんの他には
荘厳な装飾に見惚れていると、シスターの格好をした1人の女性が近づいてきた。
「入信ですか?礼拝ですか?」
「れ、礼拝なのです!」
「右に同じだ。」
「ではこちらへどうぞ。」
シスターの案内の元、教会の最奥にある巨大な女神像の元へ案内された。
『俺を転生させてくれた女神様に似ているな…』
「この方は創造神様です。礼拝の方法は知っていますね?」
「は、はいなのです!」
「ああ。」
左膝をつき、右は立膝にして顔の前で手を両手を握り合わせた。
『女神様…アルフレッドです。』
『遅いです!!5歳になって記憶を思い出したら連絡するように言いましたよね…?』
教会で祈っていたはずが、転生時に女神様と会った真っ白な空間に移動していた。
「すみません…家訓で家庭教師の卒業試験を合格するまで家から出られなかったんですよ…」
…まぁ完全にその約束を忘れていたんだが。
『それなら仕方ありませんね。転生の儀を失敗してしまったかと思いましたよ…!!』
「はは…ご心配をおかけしました。」
『許します!…それで、この世界での生活は楽しいですか?』
「ええ。社畜時代の数百倍は楽しいです。」
『良かったです!!それで…改善点はありましたか?』
「そうですね…まだこの世界の見聞が少ないので分かりませんが、娯楽が少なすぎるかと…」
『なるほど…』
「これは本の知識ですが、娯楽が少ないため世界中の街で娼館が発展してるとか…」
『娼館が…!?それは…不埒です!!』
子作りのためではないと言え、交配は一部地域で神聖視されているのだが…
この神様はエロ耐性が低いようだ。
『取り入れる娯楽として何かおすすめはありますか?』
「そうですね…簡単に作れるもので、前世のリバーシや将棋はどうでしょう?」
『いいですね!!では…』
それから娯楽を広める手段を話し合い、結局俺は何もしなくていいことになった。
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