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第15話 入学試験②
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「使う武器をそこから選べ。」
「はい。」
模擬戦場の四角い舞台の横に、色々な武器の木剣が用意されていた。
俺はもちろん両手剣を選んだ。
「では…いつでも来い。」
「…行きます!!」
試験官は最後の模擬戦だからか、はたまた疲れたのか、隙だらけだ。
勝てれば合格判定をもらえるだろうし、ちょうどいい。
「はぁぁぁぁ!!!!」
俺は両手剣Lv.6”ジェットスマッシュ”を行使し、一気に間合いを詰めた。
「なっ…!!」
試験官は咄嗟に盾を前に突き出したが、もう遅い。
懐に入り込み、腹に強力な1撃を放った。
「ぐっ…!!」
「威力を殺されたか…」
腹に当たる瞬間、試験官は衝撃を殺すために自ら後ろへ跳躍したのだ。
普通の対人戦であったなら素晴らしいが、この入学試験では判断ミスだ。
「そこまで!!」
両手剣Lv.9を誇る大男の教師が席を立ち、審判を下した。
「なっ!!何故です!?」
「自分の足元を見てみろ。」
「え…?あっ…」
そう、衝撃を軽減することには成功したが舞台から落ちていたのだ。
これが先程指摘した判断ミスだ。
「…小僧、名前は?」
「アルフレッドです。」
「俺はアランだ。小僧、俺と模擬戦をしないか?」
「アラン…どこかで聞いたような…」
誰かから聞いたのだろうか…?
それとも本で見たのだろうか…?
「あぁ、『不死身のアラン』か?」
「…っ!!元Sランク冒険者の!!」
『不死身のアラン』を主人公として描かれた本をいぜんよんだことがあったのだ。
どんな窮地に追い込まれても逆境を覆し、どんな大怪我を負っても戦い続ける…まさに英雄だ。
「名乗って気付かれなかったのは少し落ち込んだぜ。結構有名だと思ってたんだがな…」
「す、すみません!!常識をあまり知らないもので…」
「まあいい。それで、やるか?」
「是非お願いします!!」
「そうだな…試験官に勝った時点で合格は確定だが、俺に1撃でも浴びせられたら学費は全て俺が持ってやろう。」
「っ!!言いましたね?」
「ああ!!やれるものならな!!」
父上が負担してくれることになっているが、せっかく無料になるかもしれないのだ。
俺は前世から金にうるさいので、ここは絶対に一太刀入れてやる。
改めて不死身のアランを”鑑定”してみた。
名前:アラン Lv.107
HP 565/565 TP 15220/15220 SP 0
STR 120 VIT 110 DEX 80 AGI 75 INT 90 LUK 120
スキル
片手剣Lv.6 両手剣Lv.9 槍Lv.5 弓Lv.5 体術Lv.7
ユニークスキル
不屈:逆境になればなるほど一時的にステータスが上昇する
「まじか…」
両手剣の訓練に極振りしてLv.9になったわけではなく、5つともLv.5以上とは…
それに、俺以外でユニークスキルを習得しているとは…
「いつでも来い。」
「っ…!!」
彼が武器を構えた瞬間、プレッシャーが前から押し寄せてきた。
師匠の本気で慣れたつもりだったが、それよりも数段上だ。
「行きます…!!」
”ジェットスマッシュ”は先程見られたので通用しないだろう。
軌道を変えて放ってもいいが、それを使うならもっと別の場面があるはずだ。
俺はじわじわと間合いを詰めていった。
対するアランは上段に剣を構えたまま1歩も動かない。
カウンターを狙っているのか…?
1歩また1歩と近づき、お互いの間合いまであと少しのところまで来た。
間合いに入った瞬間軌道を変えたソードスキルを放ち、そのままスキルチェインで連撃を見舞ってやる。
『…まだだ。あと少し。…今だ!!』
お互いの間合いに入った瞬間、俺は両手剣Lv.3”アークスクエア”をシステムアシストの逆の軌道で放った。
「…っ!!」
彼は少し驚いた表情を見せたが、それだけだった。
すぐさま両手剣を前に出して俺の攻撃を防ぎ切り、そして反撃しようと下段に構えた。
「そこだっ!!!」
”アークスクエア”の4撃目を放つ瞬間に両手剣Lv.7”ジェノスストリーム”へスキルチェインし、無理矢理上段からの攻撃へと変化させた。
「っ!!そう来るか!!」
突然軌道もソードスキルも変えたというのに、口元に笑みを浮かべている。
彼は反撃の態勢をすぐに辞め、後ろへ跳躍した。
「逃がさない!!」
俺は”ジェノスストリーム”を強制中断し、”ジェットスマッシュ”で距離を詰めた。
「そう来ると信じていたぞ!!」
「なっ!!」
俺が懐に飛び込んだとき、既にアランは上段からの”スラッシュ”の構えをしていた。
「おぉぉぉぉ!!!!!」
何とか空中で態勢を変え、アランの”スラッシュ”を”ジェットスマッシュ”でパリィした。
彼は攻撃を弾かれたことで剣を振り上げるような崩れた態勢になり、腹に隙ができた。
俺はその機会を逃さなかった。
パリィされて両手剣が下へ弾かれると同時に剣を手放し、勢いを利用して右から左へ強力な蹴りを放つ体術Lv.4”上弦蹴り”を行使した。
「なっ…!!」
アランは剣で防ぐことも避けることもできない。
俺の”上弦蹴り”は見事彼の右脇腹に直撃し、彼を左へ蹴り飛ばした。
「…俺の負けだ。約束通り学費は全て俺が負担してやる。」
「よっしゃぁ!!!!」
「はい。」
模擬戦場の四角い舞台の横に、色々な武器の木剣が用意されていた。
俺はもちろん両手剣を選んだ。
「では…いつでも来い。」
「…行きます!!」
試験官は最後の模擬戦だからか、はたまた疲れたのか、隙だらけだ。
勝てれば合格判定をもらえるだろうし、ちょうどいい。
「はぁぁぁぁ!!!!」
俺は両手剣Lv.6”ジェットスマッシュ”を行使し、一気に間合いを詰めた。
「なっ…!!」
試験官は咄嗟に盾を前に突き出したが、もう遅い。
懐に入り込み、腹に強力な1撃を放った。
「ぐっ…!!」
「威力を殺されたか…」
腹に当たる瞬間、試験官は衝撃を殺すために自ら後ろへ跳躍したのだ。
普通の対人戦であったなら素晴らしいが、この入学試験では判断ミスだ。
「そこまで!!」
両手剣Lv.9を誇る大男の教師が席を立ち、審判を下した。
「なっ!!何故です!?」
「自分の足元を見てみろ。」
「え…?あっ…」
そう、衝撃を軽減することには成功したが舞台から落ちていたのだ。
これが先程指摘した判断ミスだ。
「…小僧、名前は?」
「アルフレッドです。」
「俺はアランだ。小僧、俺と模擬戦をしないか?」
「アラン…どこかで聞いたような…」
誰かから聞いたのだろうか…?
それとも本で見たのだろうか…?
「あぁ、『不死身のアラン』か?」
「…っ!!元Sランク冒険者の!!」
『不死身のアラン』を主人公として描かれた本をいぜんよんだことがあったのだ。
どんな窮地に追い込まれても逆境を覆し、どんな大怪我を負っても戦い続ける…まさに英雄だ。
「名乗って気付かれなかったのは少し落ち込んだぜ。結構有名だと思ってたんだがな…」
「す、すみません!!常識をあまり知らないもので…」
「まあいい。それで、やるか?」
「是非お願いします!!」
「そうだな…試験官に勝った時点で合格は確定だが、俺に1撃でも浴びせられたら学費は全て俺が持ってやろう。」
「っ!!言いましたね?」
「ああ!!やれるものならな!!」
父上が負担してくれることになっているが、せっかく無料になるかもしれないのだ。
俺は前世から金にうるさいので、ここは絶対に一太刀入れてやる。
改めて不死身のアランを”鑑定”してみた。
名前:アラン Lv.107
HP 565/565 TP 15220/15220 SP 0
STR 120 VIT 110 DEX 80 AGI 75 INT 90 LUK 120
スキル
片手剣Lv.6 両手剣Lv.9 槍Lv.5 弓Lv.5 体術Lv.7
ユニークスキル
不屈:逆境になればなるほど一時的にステータスが上昇する
「まじか…」
両手剣の訓練に極振りしてLv.9になったわけではなく、5つともLv.5以上とは…
それに、俺以外でユニークスキルを習得しているとは…
「いつでも来い。」
「っ…!!」
彼が武器を構えた瞬間、プレッシャーが前から押し寄せてきた。
師匠の本気で慣れたつもりだったが、それよりも数段上だ。
「行きます…!!」
”ジェットスマッシュ”は先程見られたので通用しないだろう。
軌道を変えて放ってもいいが、それを使うならもっと別の場面があるはずだ。
俺はじわじわと間合いを詰めていった。
対するアランは上段に剣を構えたまま1歩も動かない。
カウンターを狙っているのか…?
1歩また1歩と近づき、お互いの間合いまであと少しのところまで来た。
間合いに入った瞬間軌道を変えたソードスキルを放ち、そのままスキルチェインで連撃を見舞ってやる。
『…まだだ。あと少し。…今だ!!』
お互いの間合いに入った瞬間、俺は両手剣Lv.3”アークスクエア”をシステムアシストの逆の軌道で放った。
「…っ!!」
彼は少し驚いた表情を見せたが、それだけだった。
すぐさま両手剣を前に出して俺の攻撃を防ぎ切り、そして反撃しようと下段に構えた。
「そこだっ!!!」
”アークスクエア”の4撃目を放つ瞬間に両手剣Lv.7”ジェノスストリーム”へスキルチェインし、無理矢理上段からの攻撃へと変化させた。
「っ!!そう来るか!!」
突然軌道もソードスキルも変えたというのに、口元に笑みを浮かべている。
彼は反撃の態勢をすぐに辞め、後ろへ跳躍した。
「逃がさない!!」
俺は”ジェノスストリーム”を強制中断し、”ジェットスマッシュ”で距離を詰めた。
「そう来ると信じていたぞ!!」
「なっ!!」
俺が懐に飛び込んだとき、既にアランは上段からの”スラッシュ”の構えをしていた。
「おぉぉぉぉ!!!!!」
何とか空中で態勢を変え、アランの”スラッシュ”を”ジェットスマッシュ”でパリィした。
彼は攻撃を弾かれたことで剣を振り上げるような崩れた態勢になり、腹に隙ができた。
俺はその機会を逃さなかった。
パリィされて両手剣が下へ弾かれると同時に剣を手放し、勢いを利用して右から左へ強力な蹴りを放つ体術Lv.4”上弦蹴り”を行使した。
「なっ…!!」
アランは剣で防ぐことも避けることもできない。
俺の”上弦蹴り”は見事彼の右脇腹に直撃し、彼を左へ蹴り飛ばした。
「…俺の負けだ。約束通り学費は全て俺が負担してやる。」
「よっしゃぁ!!!!」
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