13 / 246
第13話 LvUP
しおりを挟む
「どう…して?」
「す、すまない。言葉が足りなかった。」
「では…どういうことですか?」
追放されるのかと思い、冷や汗が止まらなかった。
家族の元へ帰れなくなるのは悲しいものだ…
「アルフレッド、お前は2年後冒険者学校に入学するのだな?」
「はい。」
「あそこは寮制度だ。それに、卒業後はそのまま冒険者登録される。」
「それは知っていますが…追放と何の関係があるのですか?」
「…ペンシルゴン家の長として、一冒険者にペンシルゴンの名を名乗られるわけにはいかないのだ。」
「…っ!そういうことですか…」
冒険者は討伐依頼や採取依頼を達成し、人々の生活を助けているのは事実だ。
しかし、それを国はよく思っていない。
冒険者は国に属しておらず、完全に独立した組織なのだ。
その上国家騎士団を人数、力量で上回っている。
つまり、国からしたら冒険者は強力な叛逆者予備軍なのだ。
ペンシルゴン家は国王へ尽くす騎士家系の1つだ。
その家系から冒険者を輩出すると、不敬罪や叛逆罪に問われるのだ。
「…分かりました。ではペンシルゴンの名を返上し、ただのアルフレッドになります。
それに、ペンシルゴン家との関係性を疑われないよう極力干渉しないようにします。」
「…すまない。」
「気にしないでください。自分のために父上の体裁を壊すわけにはいきません。」
「…感謝する。冒険者学校の資金は送るから安心してくれ。」
「ありがとうございます。」
「以上だ。…俺はお前を自慢の息子だと思っている。例えただのアルフレッドになったとしてもな。」
「…っ!!ありがとう…ございます…!!」
俺は溢れてくる涙を隠すようにして、執務室を出て自室に戻った。
「…仕方ないよな。」
父上や母上、ジル兄様、レイフ兄様、師匠、先生ともう会えなくなると思うと涙が止まらない。
「大の大人が情けないなぁ…」
泣いたのはいつぶりだろうか…?
前世で母を亡くしたときに号泣してから、涙はもう枯れ切ったと思っていた。
「…残りの2年はせめて家族と楽しく過ごそう。」
翌日
朝食を終え、父上と兄様達は執務へ向かった。
対して俺は、師匠と共に屋敷の外に向かっていた。
「師匠、頂いた大剣なんですが…まだ扱えそうにありません。」
「気にしないでください。あの剣は相当な力がないと扱えませんからね。気長に待ちましょう。」
「はい…!!」
昨日自室に戻った後、俺は師匠に貰った大剣を確認していた。
「“鑑定“!」
名前:グレートバスタードソード ランク:S
STR 90 VIT 70 DEX 70 AGI 60
バスタードソードということは、俺の戦闘スタイル通り片手でも両手でも扱える武器だということだ。
師匠は俺のことをよく見てくれていたんだな…
「…って、え!!ランクSの武器だと!?!?」
つまり鍛治Lv.8の者が作った武器だということだ。
金貨50枚は優に超えるだろう…
この世界の通貨制度は日本円で換算すると、
10円=小銅貨1枚 100円=大銅貨1枚 1000円=小銀貨1枚 10,000円=大銀貨1枚 100,000円=金貨1枚 1,000,000円=白金貨1枚
となっている。
つまり、この大剣は5,000,000円以上するということだ。
「…ん?この数値は…装備必要ステータスか?」
比較するために、近くにあった木剣を“鑑定“した。
名前:練習用木剣 ランク:E
STR 10 VIT 5 DEX 10 AGI 5
「やっぱりそうみたいだな…」
ということは、グレートバスタードソードを装備するのに不足しているSPは250…
最低でもLv.50まで上げないと装備することが出来ないということだ。
「…ゃま…坊ちゃま!!」
「…師匠?」
「急にぼーっとして…大丈夫ですか?」
「は、はい。すみません。」
”鑑定”をして考え込んでしまった。
ステータスウィンドウは自分にしか見えないので、周りから見たらぼーっとその辺を見つめる変な人というわけだ。
「いえ。では行きましょうか。」
俺と師匠が今向かっているのは、魔の森の逆に位置している草原だ。
本によるとここにはスライムが大量に生息しており、たまにゴブリンもいるらしい。
「楽しみだな…!!」
この世界に転生して、初の対魔物戦闘だ。
一体どれくらい強いのだろうか?
馬車で進むこと数十分
「着きましたよ。」
「おぉぉ…おぉぉぉぉ!!!!」
そこは見渡す限りの草原だった。
そして、半透明の青の身体に赤い核をもつ生物がそこら中でぴょんぴょん跳んでいた。
…そう、本物のスライムだ!!
「なんか…必死に移動してて可愛いな。」
…気性が荒くなければ。
本によると、スライムは知性がないため視界に入った敵全てを攻撃するのだ。
移動速度は遅いものの、1度顔に付いたら倒して液体にするまで息ができなくなる。
スライムは敵を窒息死させるのだ。
「危なくなったら私めが手助けします。」
「お願いします。」
俺ははぐれた1匹のスライムへじわじわ近づき、そして両手剣Lv.6“ジェットスマッシュ“を行使した。
「はぁぁぁ!!」
半透明の身体の中にある赤い核に見事直撃し、核が砕けた。
そして、スライムは粘度のある液体からただの水になった。
『ピロンッ!!』
「なんだ…?」
自身のステータスを見てみると、何と今の戦闘でLvが1→2に上がっていた。
「これだけでLvが…!?!?達成感は…ないけどまあいいか。」
それから俺はひたすらにスライムを狩りまくった。
「す、すまない。言葉が足りなかった。」
「では…どういうことですか?」
追放されるのかと思い、冷や汗が止まらなかった。
家族の元へ帰れなくなるのは悲しいものだ…
「アルフレッド、お前は2年後冒険者学校に入学するのだな?」
「はい。」
「あそこは寮制度だ。それに、卒業後はそのまま冒険者登録される。」
「それは知っていますが…追放と何の関係があるのですか?」
「…ペンシルゴン家の長として、一冒険者にペンシルゴンの名を名乗られるわけにはいかないのだ。」
「…っ!そういうことですか…」
冒険者は討伐依頼や採取依頼を達成し、人々の生活を助けているのは事実だ。
しかし、それを国はよく思っていない。
冒険者は国に属しておらず、完全に独立した組織なのだ。
その上国家騎士団を人数、力量で上回っている。
つまり、国からしたら冒険者は強力な叛逆者予備軍なのだ。
ペンシルゴン家は国王へ尽くす騎士家系の1つだ。
その家系から冒険者を輩出すると、不敬罪や叛逆罪に問われるのだ。
「…分かりました。ではペンシルゴンの名を返上し、ただのアルフレッドになります。
それに、ペンシルゴン家との関係性を疑われないよう極力干渉しないようにします。」
「…すまない。」
「気にしないでください。自分のために父上の体裁を壊すわけにはいきません。」
「…感謝する。冒険者学校の資金は送るから安心してくれ。」
「ありがとうございます。」
「以上だ。…俺はお前を自慢の息子だと思っている。例えただのアルフレッドになったとしてもな。」
「…っ!!ありがとう…ございます…!!」
俺は溢れてくる涙を隠すようにして、執務室を出て自室に戻った。
「…仕方ないよな。」
父上や母上、ジル兄様、レイフ兄様、師匠、先生ともう会えなくなると思うと涙が止まらない。
「大の大人が情けないなぁ…」
泣いたのはいつぶりだろうか…?
前世で母を亡くしたときに号泣してから、涙はもう枯れ切ったと思っていた。
「…残りの2年はせめて家族と楽しく過ごそう。」
翌日
朝食を終え、父上と兄様達は執務へ向かった。
対して俺は、師匠と共に屋敷の外に向かっていた。
「師匠、頂いた大剣なんですが…まだ扱えそうにありません。」
「気にしないでください。あの剣は相当な力がないと扱えませんからね。気長に待ちましょう。」
「はい…!!」
昨日自室に戻った後、俺は師匠に貰った大剣を確認していた。
「“鑑定“!」
名前:グレートバスタードソード ランク:S
STR 90 VIT 70 DEX 70 AGI 60
バスタードソードということは、俺の戦闘スタイル通り片手でも両手でも扱える武器だということだ。
師匠は俺のことをよく見てくれていたんだな…
「…って、え!!ランクSの武器だと!?!?」
つまり鍛治Lv.8の者が作った武器だということだ。
金貨50枚は優に超えるだろう…
この世界の通貨制度は日本円で換算すると、
10円=小銅貨1枚 100円=大銅貨1枚 1000円=小銀貨1枚 10,000円=大銀貨1枚 100,000円=金貨1枚 1,000,000円=白金貨1枚
となっている。
つまり、この大剣は5,000,000円以上するということだ。
「…ん?この数値は…装備必要ステータスか?」
比較するために、近くにあった木剣を“鑑定“した。
名前:練習用木剣 ランク:E
STR 10 VIT 5 DEX 10 AGI 5
「やっぱりそうみたいだな…」
ということは、グレートバスタードソードを装備するのに不足しているSPは250…
最低でもLv.50まで上げないと装備することが出来ないということだ。
「…ゃま…坊ちゃま!!」
「…師匠?」
「急にぼーっとして…大丈夫ですか?」
「は、はい。すみません。」
”鑑定”をして考え込んでしまった。
ステータスウィンドウは自分にしか見えないので、周りから見たらぼーっとその辺を見つめる変な人というわけだ。
「いえ。では行きましょうか。」
俺と師匠が今向かっているのは、魔の森の逆に位置している草原だ。
本によるとここにはスライムが大量に生息しており、たまにゴブリンもいるらしい。
「楽しみだな…!!」
この世界に転生して、初の対魔物戦闘だ。
一体どれくらい強いのだろうか?
馬車で進むこと数十分
「着きましたよ。」
「おぉぉ…おぉぉぉぉ!!!!」
そこは見渡す限りの草原だった。
そして、半透明の青の身体に赤い核をもつ生物がそこら中でぴょんぴょん跳んでいた。
…そう、本物のスライムだ!!
「なんか…必死に移動してて可愛いな。」
…気性が荒くなければ。
本によると、スライムは知性がないため視界に入った敵全てを攻撃するのだ。
移動速度は遅いものの、1度顔に付いたら倒して液体にするまで息ができなくなる。
スライムは敵を窒息死させるのだ。
「危なくなったら私めが手助けします。」
「お願いします。」
俺ははぐれた1匹のスライムへじわじわ近づき、そして両手剣Lv.6“ジェットスマッシュ“を行使した。
「はぁぁぁ!!」
半透明の身体の中にある赤い核に見事直撃し、核が砕けた。
そして、スライムは粘度のある液体からただの水になった。
『ピロンッ!!』
「なんだ…?」
自身のステータスを見てみると、何と今の戦闘でLvが1→2に上がっていた。
「これだけでLvが…!?!?達成感は…ないけどまあいいか。」
それから俺はひたすらにスライムを狩りまくった。
2
お気に入りに追加
1,275
あなたにおすすめの小説
家族全員異世界へ転移したが、その世界で父(魔王)母(勇者)だった…らしい~妹は聖女クラスの魔力持ち!?俺はどうなんですかね?遠い目~
厘/りん
ファンタジー
ある休日、家族でお昼ご飯を食べていたらいきなり異世界へ転移した。俺(長男)カケルは日本と全く違う異世界に動揺していたが、父と母の様子がおかしかった。なぜか、やけに落ち着いている。問い詰めると、もともと父は異世界人だった(らしい)。信じられない!
☆第4回次世代ファンタジーカップ
142位でした。ありがとう御座いました。
★Nolaノベルさん•なろうさんに編集して掲載中。
ズボラ通販生活
ice
ファンタジー
西野桃(にしのもも)35歳の独身、オタクが神様のミスで異世界へ!貪欲に通販スキル、時間停止アイテムボックス容量無限、結界魔法…さらには、お金まで貰う。商人無双や!とか言いつつ、楽に、ゆるーく、商売をしていく。淋しい独身者、旦那という名の奴隷まで?!ズボラなオバサンが異世界に転移して好き勝手生活する!
【完結】帝国から追放された最強のチーム、リミッター外して無双する
エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング2位獲得作品】
スペイゴール大陸最強の帝国、ユハ帝国。
帝国に仕え、最強の戦力を誇っていたチーム、『デイブレイク』は、突然議会から追放を言い渡される。
しかし帝国は気づいていなかった。彼らの力が帝国を拡大し、恐るべき戦力を誇示していたことに。
自由になった『デイブレイク』のメンバー、エルフのクリス、バランス型のアキラ、強大な魔力を宿すジャック、杖さばきの達人ランラン、絶世の美女シエナは、今まで抑えていた実力を完全開放し、ゼロからユハ帝国を超える国を建国していく。
※この世界では、杖と魔法を使って戦闘を行います。しかし、あの稲妻型の傷を持つメガネの少年のように戦うわけではありません。どうやって戦うのかは、本文を読んでのお楽しみです。杖で戦う戦士のことを、本文では杖士(ブレイカー)と描写しています。
※舞台の雰囲気は中世ヨーロッパ〜近世ヨーロッパに近いです。
〜『デイブレイク』のメンバー紹介〜
・クリス(男・エルフ・570歳)
チームのリーダー。もともとはエルフの貴族の家系だったため、上品で高潔。白く透明感のある肌に、整った顔立ちである。エルフ特有のとがった耳も特徴的。メンバーからも信頼されているが……
・アキラ(男・人間・29歳)
杖術、身体能力、頭脳、魔力など、あらゆる面のバランスが取れたチームの主力。独特なユーモアのセンスがあり、ムードメーカーでもある。唯一の弱点が……
・ジャック(男・人間・34歳)
怪物級の魔力を持つ杖士。その魔力が強大すぎるがゆえに、普段はその魔力を抑え込んでいるため、感情をあまり出さない。チームで唯一の黒人で、ドレッドヘアが特徴的。戦闘で右腕を失って以来義手を装着しているが……
・ランラン(女・人間・25歳)
優れた杖の腕前を持ち、チームを支える杖士。陽気でチャレンジャーな一面もあり、可愛さも武器である。性格の共通点から、アキラと親しく、親友である。しかし実は……
・シエナ(女・人間・28歳)
絶世の美女。とはいっても杖士としての実力も高く、アキラと同じくバランス型である。誰もが羨む美貌をもっているが、本人はあまり自信がないらしく、相手の反応を確認しながら静かに話す。あるメンバーのことが……
[完結]異世界転生したら幼女になったが 速攻で村を追い出された件について ~そしていずれ最強になる幼女~
k33
ファンタジー
初めての小説です..!
ある日 主人公 マサヤがトラックに引かれ幼女で異世界転生するのだが その先には 転生者は嫌われていると知る そして別の転生者と出会い この世界はゲームの世界と知る そして、そこから 魔法専門学校に入り Aまで目指すが 果たして上がれるのか!? そして 魔王城には立ち寄った者は一人もいないと別の転生者は言うが 果たして マサヤは 魔王城に入り 魔王を倒し無事に日本に帰れるのか!?
【完結】【勇者】の称号が無かった美少年は王宮を追放されたのでのんびり異世界を謳歌する
雪雪ノ雪
ファンタジー
ある日、突然学校にいた人全員が【勇者】として召喚された。
その召喚に巻き込まれた少年柊茜は、1人だけ【勇者】の称号がなかった。
代わりにあったのは【ラグナロク】という【固有exスキル】。
それを見た柊茜は
「あー....このスキルのせいで【勇者】の称号がなかったのかー。まぁ、ス・ラ・イ・厶・に【勇者】って称号とか合わないからなぁ…」
【勇者】の称号が無かった柊茜は、王宮を追放されてしまう。
追放されてしまった柊茜は、特に慌てる事もなくのんびり異世界を謳歌する..........たぶん…....
主人公は男の娘です 基本主人公が自分を表す時は「私」と表現します
どうやら異世界ではないらしいが、魔法やレベルがある世界になったようだ
ボケ猫
ファンタジー
日々、異世界などの妄想をする、アラフォーのテツ。
ある日突然、この世界のシステムが、魔法やレベルのある世界へと変化。
夢にまで見たシステムに大喜びのテツ。
そんな中、アラフォーのおっさんがレベルを上げながら家族とともに新しい世界を生きていく。
そして、世界変化の一因であろう異世界人の転移者との出会い。
新しい世界で、新たな出会い、関係を構築していこうとする物語・・・のはず・・。
異世界転生したらよくわからない騎士の家に生まれたので、とりあえず死なないように気をつけていたら無双してしまった件。
星の国のマジシャン
ファンタジー
引きこもりニート、40歳の俺が、皇帝に騎士として支える分家の貴族に転生。
そして魔法剣術学校の剣術科に通うことなるが、そこには波瀾万丈な物語が生まれる程の過酷な「必須科目」の数々が。
本家VS分家の「決闘」や、卒業と命を懸け必死で戦い抜く「魔物サバイバル」、さらには40年の弱男人生で味わったことのない甘酸っぱい青春群像劇やモテ期も…。
この世界を動かす、最大の敵にご注目ください!
もういらないと言われたので隣国で聖女やります。
ゆーぞー
ファンタジー
孤児院出身のアリスは5歳の時に天女様の加護があることがわかり、王都で聖女をしていた。
しかし国王が崩御したため、国外追放されてしまう。
しかし隣国で聖女をやることになり、アリスは幸せを掴んでいく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる