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第9話 模擬戦
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自室に戻り、トレーニング着に着替えた後庭に出た。
すると、兄様達と父上は既に集まっていた。
「おぉ…すごいな…」
父上とレイフ兄様の肥大化した筋肉がトレーニング着を着ていることではっきりわかる。
前世のボディビル大会に出ていそうな肉体だ…
大してジル兄様は、シュッとしたプロボクサーのような肉体だった。
よく見ると、無駄な筋肉が全てそぎ落とされた完璧な肉体をしていた。
「俺は…まだ6歳だけどどちらかというとジル兄様似だな。」
正直父上やレイフ兄様のようにムキムキにはなりたくない。
あの体型を維持するのはなかなか大変そうだからな…
「アルフレッドも来たことだし始めるとしよう。まずはジルベスター。」
「はい!」
父上が両手剣を、ジル兄様が片手剣と盾を装備して庭の中央に歩んだ。
2人が対峙すると、レイフ兄様が距離を取ったので俺も真似をして後ろに下がった。
そこまで激しい戦いになるのか…?
「来ないのか?」
仕掛けようにも、父上には一切隙が無い。
そのためジル兄様は父上の出方を窺っているようだ。
「…ならこちらから行くぞ!!」
そう言うと、父上は地面を激しく蹴って一瞬で距離を詰めた。
対するジル兄様は、全く動じずにその場から一歩も動かない。
互いの間合いに入った次の瞬間。
父上はその膂力で上段からの強力な斬り落としをし、ジル兄様は盾を前に突き出した。
「…ん?」
剣と盾が衝突したと思いきや、全然衝突音が聞こえなかった。
よく見てみると、なんとジル兄様が盾で父上の攻撃をいなしていたのだ。
「おぉ…!!膂力差を技術で埋めたのか…!!」
それから数十分間激しい攻防が続いた。
「…参りました。」
最後は父上が右からの斬撃に見せかけた下段からの斬り上げのフェイントでジル兄様の盾を弾き飛ばし…
そのまま連撃で片手剣も飛ばして決着した。
「強くなったな。」
「ありがとうございます!」
「次はレイフィールド。」
「はい!」
レイフ兄様もジル兄様と同様、片手剣と盾を装備して父上と対峙した。
「…行きます!」
レイフ兄様はジル兄様とは間反対で、積極的に攻撃を仕掛けた。
父上はレイフ兄様の激しい攻撃を処理するので手一杯になっているのか、なかなか反撃をしなかった。
しかし次の瞬間。
父上が攻撃を弾き、レイフ兄様が少し体勢を崩した。
その一瞬の間に父上はレイフ兄様の武器を弾き飛ばし、決着した。
「…参りました。」
「強くなった…が、戦法が単純過ぎる。騎士学校では通用するだろうが魔の森では通用しないぞ。」
「はい…」
戦法よりLv差では…?と思ったが、それは心の内に留めておこう。
「次はアルフレッド。」
「…え?」
「少しで構わない。」
「わ、わかりました…」
トレーニング着に着替えさせられたときから少し嫌な予感はしていた。
まさか本当に模擬戦に参加させられるとは…
俺はまだ両手剣しか扱ったことがないので、両手剣を装備して父上の前に立った。
「くっ…!」
対峙しただけで師匠より凄まじい威圧感だ。
『この人とは絶対に戦ってはいけない。』
と本能が告げている。
普段から父上には反抗しないようにしよう…
「…行きます!!」
俺は父上の攻撃を処理できないと判断し、レイフ兄様のように積極的に攻撃を仕掛けた。
「はぁぁぁ!!!」
父上の真正面に上段からの斬り下ろしである“スラッシュ“を行使した。
その攻撃は難なく防がれ、右に弾かれた。
しかし、本命はこの次だ。
弾かれた勢いを利用し、そのまま右から左への“スラッシュ“を行使した。
「…っ!!」
父上は驚き目を見開いたが、俺の攻撃を左から右への“スラッシュ“で相殺して距離を取った。
「…まさかこの技術を習得しているとはな。」
俺は訓練でただ“スラッシュ“を行使し続けていたわけではない。
実は“スラッシュ“の様々な実験を行っていたのだ。
この世界では前世のフルダイブ型VRゲームのように、システムアシストのような目に見えない補助機能が働く。
例えば“スラッシュ“は上段からの斬り下ろしの軌道で攻撃が発動する。
では、ソードスキル中にシステムアシストを解除したらどうなるのか?
…そう、ソードスキルは行使できるが軌道は任意で変えられるのだ。
「…まだ行きます!!」
本当は両手剣Lv.3“アークスクエア“という四角の4連撃を行使したいのだが、これはまだ任意で軌道を変えられない。
代わりに、両手剣Lv.2“ドライクロー“を行使する。
これは獣の爪のように、同時に3本の斬撃を行使するソードスキルだ。
「はぁぁぁぁ!!!」
俺は上下左右、ありとあらゆる方向から“ドライクロー“を行使しまくった。
1秒間に約9連撃という、怒涛の勢いだ。
にも関わらず、父上の顔には全く焦りの表情が見られない。
「くっ…!!」
数秒しか経っていないが疲労がどんと押し寄せてきて、1秒間に8連撃になったその刹那。
父上に俺の攻撃をパリィされ、剣を弾き飛ばされた。
「…参りました。」
「よく頑張っているな。」
「ありがとうございます…!!」
「凄いなアル!!」
「天才剣士なんじゃないか!?!?」
「ありがとうございます!」
その後父上と兄様達と一緒に、たくさん訓練をした。
すると、兄様達と父上は既に集まっていた。
「おぉ…すごいな…」
父上とレイフ兄様の肥大化した筋肉がトレーニング着を着ていることではっきりわかる。
前世のボディビル大会に出ていそうな肉体だ…
大してジル兄様は、シュッとしたプロボクサーのような肉体だった。
よく見ると、無駄な筋肉が全てそぎ落とされた完璧な肉体をしていた。
「俺は…まだ6歳だけどどちらかというとジル兄様似だな。」
正直父上やレイフ兄様のようにムキムキにはなりたくない。
あの体型を維持するのはなかなか大変そうだからな…
「アルフレッドも来たことだし始めるとしよう。まずはジルベスター。」
「はい!」
父上が両手剣を、ジル兄様が片手剣と盾を装備して庭の中央に歩んだ。
2人が対峙すると、レイフ兄様が距離を取ったので俺も真似をして後ろに下がった。
そこまで激しい戦いになるのか…?
「来ないのか?」
仕掛けようにも、父上には一切隙が無い。
そのためジル兄様は父上の出方を窺っているようだ。
「…ならこちらから行くぞ!!」
そう言うと、父上は地面を激しく蹴って一瞬で距離を詰めた。
対するジル兄様は、全く動じずにその場から一歩も動かない。
互いの間合いに入った次の瞬間。
父上はその膂力で上段からの強力な斬り落としをし、ジル兄様は盾を前に突き出した。
「…ん?」
剣と盾が衝突したと思いきや、全然衝突音が聞こえなかった。
よく見てみると、なんとジル兄様が盾で父上の攻撃をいなしていたのだ。
「おぉ…!!膂力差を技術で埋めたのか…!!」
それから数十分間激しい攻防が続いた。
「…参りました。」
最後は父上が右からの斬撃に見せかけた下段からの斬り上げのフェイントでジル兄様の盾を弾き飛ばし…
そのまま連撃で片手剣も飛ばして決着した。
「強くなったな。」
「ありがとうございます!」
「次はレイフィールド。」
「はい!」
レイフ兄様もジル兄様と同様、片手剣と盾を装備して父上と対峙した。
「…行きます!」
レイフ兄様はジル兄様とは間反対で、積極的に攻撃を仕掛けた。
父上はレイフ兄様の激しい攻撃を処理するので手一杯になっているのか、なかなか反撃をしなかった。
しかし次の瞬間。
父上が攻撃を弾き、レイフ兄様が少し体勢を崩した。
その一瞬の間に父上はレイフ兄様の武器を弾き飛ばし、決着した。
「…参りました。」
「強くなった…が、戦法が単純過ぎる。騎士学校では通用するだろうが魔の森では通用しないぞ。」
「はい…」
戦法よりLv差では…?と思ったが、それは心の内に留めておこう。
「次はアルフレッド。」
「…え?」
「少しで構わない。」
「わ、わかりました…」
トレーニング着に着替えさせられたときから少し嫌な予感はしていた。
まさか本当に模擬戦に参加させられるとは…
俺はまだ両手剣しか扱ったことがないので、両手剣を装備して父上の前に立った。
「くっ…!」
対峙しただけで師匠より凄まじい威圧感だ。
『この人とは絶対に戦ってはいけない。』
と本能が告げている。
普段から父上には反抗しないようにしよう…
「…行きます!!」
俺は父上の攻撃を処理できないと判断し、レイフ兄様のように積極的に攻撃を仕掛けた。
「はぁぁぁ!!!」
父上の真正面に上段からの斬り下ろしである“スラッシュ“を行使した。
その攻撃は難なく防がれ、右に弾かれた。
しかし、本命はこの次だ。
弾かれた勢いを利用し、そのまま右から左への“スラッシュ“を行使した。
「…っ!!」
父上は驚き目を見開いたが、俺の攻撃を左から右への“スラッシュ“で相殺して距離を取った。
「…まさかこの技術を習得しているとはな。」
俺は訓練でただ“スラッシュ“を行使し続けていたわけではない。
実は“スラッシュ“の様々な実験を行っていたのだ。
この世界では前世のフルダイブ型VRゲームのように、システムアシストのような目に見えない補助機能が働く。
例えば“スラッシュ“は上段からの斬り下ろしの軌道で攻撃が発動する。
では、ソードスキル中にシステムアシストを解除したらどうなるのか?
…そう、ソードスキルは行使できるが軌道は任意で変えられるのだ。
「…まだ行きます!!」
本当は両手剣Lv.3“アークスクエア“という四角の4連撃を行使したいのだが、これはまだ任意で軌道を変えられない。
代わりに、両手剣Lv.2“ドライクロー“を行使する。
これは獣の爪のように、同時に3本の斬撃を行使するソードスキルだ。
「はぁぁぁぁ!!!」
俺は上下左右、ありとあらゆる方向から“ドライクロー“を行使しまくった。
1秒間に約9連撃という、怒涛の勢いだ。
にも関わらず、父上の顔には全く焦りの表情が見られない。
「くっ…!!」
数秒しか経っていないが疲労がどんと押し寄せてきて、1秒間に8連撃になったその刹那。
父上に俺の攻撃をパリィされ、剣を弾き飛ばされた。
「…参りました。」
「よく頑張っているな。」
「ありがとうございます…!!」
「凄いなアル!!」
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「ありがとうございます!」
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