異世界転生録~死と隣り合わせのこの世界で死なないため、力を付けます!!~

島津穂高

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第164話 家畜処理

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豚領主の屋敷を出た後、一旦騎士団本部に連れて行かれた。

そこで、ティーナとクリフを中心とする優しい騎士団の人々が旅支度を手伝ってくれた。



「こ、こんなに食料もらえませんよ!!」



「良いのよ!あの領主に納めるくらいだったらオードル君に渡す方がいいわ!!…それにクリフと結婚できない八つ当たりよ!」



「結婚…?その…あの領主様はそこまで酷いお方なんですか?」



「税金は高いし納めた税金は還元されないし…その上結婚すると初夜はあの領主に捧げないといけないとかいう…おかしい法律まであるんだ。」



「初夜というのは分からないですが…酷そうなのは分かりました。 」



無論嘘だ。

本当にあの豚領主はどうしようもないクソ野郎らしい。



「だからここだけの話、お兄さんはティーナのことが好きだけど結婚できないんだよ…」



「…っ!!お似合いですよ!!」



「そうかなぁ…?えへへ…」



クリフとティーナはまるで交際しているのかというくらい仲が良く、お似合いだと思っていたが…

まさか相思相愛だったとは。



「じゃあその…反旗を翻したりしないんですか?」



「うーん…でもあの領主は商会との繋がりがあるから、倒したら私たちが困っちゃうのよ…」



「大変ですね…」



“偽装“を解いてあの豚領主を殺した後、ヴァルハラ帝国に帰還して要塞都市と同盟国になるのも良いかもしれない。

…そうしたら商会との繋がりもなんとか維持できるだろうし、それにクリフやティーナ達に自由を与えられるだろう。



「長く止まってたらまたあの領主になんか言われちゃうから…そろそろ行きなさい。」



「門まではお兄さんが送るよ!」



「分かりました!短い間でしたが…ありがとうございました!!」



それからクリフにまるで母親のように心配されながら歩き、ついに門に着いた。



「…じゃあまたいつか。」



「はい!ティーナさんとお幸せに!!」



「ちょ、オードル君!!もー…元気でね!!」



門を出て歩き続けていると、後ろから豚領主を中心に11人の騎馬兵が追ってきた。

気に食わなかった俺を殺しにきたのだろう。



『…はっ、まさか自分達が狩られる側だとは思ってないだろうな!!』



胸糞悪い相手とその取り巻きを殺せる折角の機会なので、一般人相手には試せないような魔法を行使したい。



『そうだなぁ…あっ、そうだ!状態異常魔法の威力と持続時間を調べるか!!』



この前“ウェポンマスター“の練習の休憩時間中、“死属性魔法“と“闇属性魔法“の、特にデバフ分野との融合魔法、“状態異常魔法“を習得したのだ。

ティーナ達を苦しませるあの豚領主に辛い思いをさせられると思うと、自然に笑みが出てくる。



「そこのガキ、止まるだよ!!」



「…要塞都市の領主様!?!?どうしてここに…」



「お前を殺しにきただよ!!ぐふ、ぐふふ…どう殺してやろうか…」



「はは…!!あははははは!!!!!」



「な、何だな…?死の恐怖で壊れただな…?」



「俺を殺すだと…?魔王候補者であるこの俺を…?」



俺は“偽装“を解除し、身体から禍々しいほどの死の魔力を放出した。



「ひ、ひぃ!!!お、お前ら!!!早くこいつを殺すだな!!!!」



「い、嫌だぁ!!死にたくない!!!」



「た、助けてぇぇ!!」



俺は兵士たちに慈悲をかけず、状態異常魔法“パラライズ“を行使した。

すると、兵士たちはわずかに痙攣しながら動きを止めた。



効果はやはり対象を麻痺状態にするもので、効果範囲が単体か全体かは任意で決められるようだ。

そして便利なことに、麻痺させる部分も指定できるらしい。



「そうだなぁ…じゃあ豚領主の口だけ“パラライズ“解除。」



「だ、誰が豚領主だな!!!失礼なガキめ!!!」



「…“パラライズ“」



相手を捕まえて情報を吐かせる時、役に立ちそうだ。

それから“パラライズ“の効果が切れるまで待ち続けてみると、なんと持続時間は5分と長かった。



「じゃあ次は…“ダークネス“」



「な、何だな…?何も見えないだな…?」



これは単体か全体を対象に、視界を真っ暗にする効果で、持続時間は“パラライズ“と同じ5分だった。

戦闘中に五感の一つを奪えるのは、大したアドバンテージになる。



「次は…“パラライズ“、“ダークネス"」



ステータスを“鑑定“してみると、麻痺と暗闇両方のデバフ状態になっていたので、重ねがけは出来るようだ。

持続時間は変わらず5分だった。



「次は…“ポイズン“」



これは単体か全体を対象に、猛毒状態にする魔法だ。

1秒毎に固定ダメージ5000を与え、同時に目や鼻、耳、毛穴など至る所から血が吹き出した。



『うわぁ…思ってたよりグロいな…』



持続時間を調べようと“ポイズン“の効果が切れるのを待っているうちに、全員が死にかけていた。



『あ、危ない!光属性魔法“エリアヒール“!!』



実験データが取らなくては困るので、全員を回復した。



それから対象に睡眠状態のデバフをかける“スリープ“や幻想の痛みを感じさせる“イリュージョンペイン“、対象のステータス値を低下させる“ウィークネス“など様々な実験をしているうちに、豚領主達は廃人になってしまった。



『壊れちゃったか…まあ十分実験データ取れたからもういいや。』



俺は豚領主達に“ポイズン“を行使し、無惨な姿にして殺した。

そして、その変死体を要塞都市の門前に“転移“させた。



『…よし、ストレスも発散できたし帰るか!!』
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