異世界転生録~死と隣り合わせのこの世界で死なないため、力を付けます!!~

島津穂高

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第157話 五武将

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早速”千里眼”で観察を始めた。

チェイス達は魔大陸の方に一直線に走っていった。



『魔狼族の集落は魔大陸側か…それにしても名付けの効果か走る速度結構速いな…』



おそらく七人とも脚力はグレイと同等程度だろう。

そう考えると、魔狼族はなかなか強い種族だと分かる。



それから観察を続けて数時間、チェイス達が足を止めた。



『なんだ…?誰かと接触するのか?』



注意深く見てみると、チェイス達の前から来たのは他の魔狼族だった。



『やっぱり裏切りか…』



しかし、次の瞬間その考えは覆された。

チェイス達が険しい顔をして戦闘態勢を取ったのだ。



『ん…?仲間割れか…?』



チェイス達の表情から察するに、コルム陣営の魔狼族なのだろうか?



『なっ…!!』



”千里眼”に”鑑定”を加えて行使してみたところ、なんとグレイと同等のステータスだった。

Lv.273という高さから察するに、名付け前から強かったのだろう。



会話内容を聞くべく、俺は”地獄耳”のスキルを行使した。



「ど、どうして五武将がここに!?…コルム様の護衛はいいんですか?」



「笑止!コルム様に護衛など無用!!我はお前達の監視任務を承っていたのだ!」



「くっ…!!」



五武将ということは、グレイ級の強さの奴が五人いるということか…

俺一人で五武将を同時に相手するのは少し厳しいかもしれない。



『…チェイス達の命が危ないか?』



確かに一人一人ではあの五武将に敵わないだろうが、チェイス達は七人いる。

協力して戦えば勝てるだろう。



『とりあえずチェイス達は白だとわかったし、戦闘に備えて寝るか。』



翌朝

結界外に”転移”すると、そこにはボロボロになったチェイス達がいた。



『大丈夫か!?!?』



合計ステータスや人数は勝っていたはずなのに、チェイス達は想定していた以上に負傷していた。

中には頭が割れている者、脇腹が開きかけている者、骨が折れている者までいる。



「はい…コルム直属の部下、五武将の一人と対峙しました。傷を負いましたが、何とか討伐完了しました。」



「そうか…魔狼族は回復魔法か?それとも死の魔力の方がいいか?」



「回復魔法で大丈夫です。ただ、魔力切れを起こしそうなのでできれば死の魔力もいただけると…」



「分かった。」



俺は光属性魔法”オールエリアパーフェクトヒール”を行使してHPを全快し、続けて”魔力念操作”を行使してチェイス達を死の魔力で包んだ。



数分後



「もう全快しました!おいらたちのためにわざわざありがとうございました!」



「気にするな!それで、五武将とやらの死体はどこに?」



「大分向こうに転がってるはずです。」



「分かった。」



最近調べていて知ったのだが、召喚魔法の媒体は生前のステータスが高ければ高いほど召喚した者の能力いが高くなるらしい。

なので、是非五武将の遺体は有効活用したい。



『おっ!あれか。』



五武将の遺体を見て察するに、チェイス達の攻撃は魔狼族の特徴である発達した爪と牙を使ったものだろう。

死んでからまだあまり時間が経っていないのか、血は温かく魔物も寄ってきていない。



今召喚魔法を行使するわけにもいかないので、ひとまず“アイテムボックス“に収納した。



『さて…チェイス達の体力が回復次第魔狼族の集落に行くか。』



それからチェイス達の元に戻り、少し休憩を挟んだ。



「回復しました!!おいら達はもう戦えます!!」



「そうか!じゃあ早速魔狼族の集落に案内してくれ。」



「はい!!」



道中チェイスから聞いた話によると、魔狼族の寿命は500年~1500年と幅広いそうだ。

そして俺が一番興味を持ったのは、古代の書物をたくさん蔵書した図書館だ。



「ダグラス様、そろそろ見えてきますよ!」



「分かった。一応戦闘準備をしておいてくれ。」



「分かりました!」



全バフをかけながら歩んでいくと、トーテムでできた門が見えてきた。

そして、巨体の門番二人がこちらに敵意を剥き出しにしてきた。



「なっ…!ダグラス様、あの門番は五武将のうちの二人です!!気をつけてください!!」



「…チェイス達は見ていてくれ。お前達の主の実力を見せてやる。」



「…っ!はい!!」



実力を見せるというのは口実で、実際は新しく習得した魔法を試す為である。

俺はチェイス達を後ろに待機させ、門へと近づいていった。



「トムさんを殺したのはお前か?」



「トムさん…?」



「五武将の一人だ。そっちに偵察に行っていたはずだ。」



「そんな名前だったのか。…まあ俺が殺したようなものだ。」



「そうか…ならば死ね!!!」



そう言うと片方が爪で斬りかかり、もう片方は後ろで魔法の詠唱を始めた。

唱えている魔法はおそらく古代魔法だろう。

古代魔法は未知の部分が多いため、効果が発動する前に倒したい。



「死属性魔法A”デスフィールド”」



これは”デスタッチ”の広範囲魔法だ。

俺よりステータスの低い相手を即死させる効果がある。



「ぐっ…くそぉ…」



「コルム…様に…栄光…あ…」



何故か即死しなかったが、それでも五秒程度で絶命した。

即死しなかった原因を調べるため”鑑定”すると、”即死耐性F”というスキルを習得していた。



おそらく日頃からコルムの死の魔力を浴び続けているため発現したのだろう。

二人の死体を”アイテムボックス”に収納し、チェイス達の元に戻った。



「じゃあ集落に入ろうか。」
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