異世界転生録~死と隣り合わせのこの世界で死なないため、力を付けます!!~

島津穂高

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第125話 過激派

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戦力の増強を終え、結界の展開を終えた俺は考え事をしていた。



『…魔王候補者になったからと言って特にやることないんだよな。今まで通り魔物を倒しに行くか?…ってそういえばこの辺りで魔物を見かけないな。』



今更だが、俺はグレイの城に”転移”してきたので今地図のどこに位置しているのかを把握していなかった。



「グレイ。」



「はっ!いかがなさいましたか?」



「うぉっ!」



グレイは近くにいないのにも関わらず、脳内で声が聞こえて驚いた。



「”念話”スキルか?」



「いえ。おそらく”魔王候補者”と名付けの効果と思われます。」



「そうか。それで、この領地の所在地を教えて欲しい。」



「はっ!我々は今、人族が住む正大陸と魔族が住む魔大陸のちょうど中間あたりでございます。」



「…そうか。」



”魔大陸”という言葉は初めて耳にした。

いまいち実感が湧かないので、一度自分で視察しに行った方が賢明だろう。



「一度周辺を視察してくる。もしトラブルが起きたら呼んでくれ。」



「はっ!承知いたしました。」



以前たてた目標の一つである”世界中をマッピングして完全な地図を作る”を本格的に進める時が来た。俺は風属性魔法を駆使して上空に飛翔した。



『見渡す限りの荒野だな…』



魔族は魔力があれば生きていけるため食事などの動作を行わない。

なので、これほど荒野が広がっていればいくら配下が増えて屋敷を増設することになっても土地に困らなさそうだ。



『まずは…正大陸側に行ってみるか!』



”レーダー”を展開して周囲を警戒しているが、生物が一匹たりとも見当たらない。

元々生物がいない土地だったのだろうか。



全速力で飛ぶこと約三十分、城から30kmほど離れてようやく魔物の集団を見つけた。



『やっとか…なかなか遠かったな…』



そこに生息していたのはオーガとその上位互換であるロックオーガだった。

オーガの見た目は鬼に似ており、特徴的なのはその発達した膂力だ。



『俺のステータスならオーガの膂力でびくともしないが…今は周辺の探索がメインだから討伐は後回しにするか。』



ある研究によると、非常に高いHP量を持つ者は即死攻撃にさえ耐えうるとされている。

実際に心臓を貫かれても、脳天を勝ち割られても死なない者がいたそうだ。



『流石に試すのは怖いからやめておこう…』



その後飛ぶこと数十分、ついに人族の都市が見えてきた。

ここは要塞都市という、古の大戦で人族側の軍事基地として使用された場所らしい。



『…外壁何重になってるんだ?しかも素材は…鋼鉄か!?』



部分的に酸化しているものの、今でも十分軍事基地として機能するだろう。



『次は領地を中心にぐるっと回るか!!』



「ダグラス様、緊急事態です。」



そう思った矢先、グレイから報告が上がった。



「…なんだ?」



「領地に向かって強力な魔力の持ち主が向かってきています。」



「…そんなに強いのか?」



「私めと同等くらいかと。他の魔王候補者の可能性が高いと思われます。」



まさかこんなにも早く接触することになるとは思わなかった。



「…すぐ戻る。」



俺は玉座に”転移”した。



「おかえりなさいませ。」



「ああ。それで、その来客はどこに?」



「はっ!結界の外に。」



「わかった。グレイ、ついてきてくれ。」



「はっ!」



面倒なことにならなければいいのだが…



「おいおい、このイワン様を待たせるとは何様のつもりだ?」



「そうよそうよ!生意気なんだから!!」



赤い角に黒い羽、いかにも子悪党といった面構えで口の利き方も生意気だ。

しかし、こちらも荒い口調になったら絶対喧嘩になるので、落ち着いて対処しよう。



「あぁ!?貴様らこそダグラス様に対してなんて言葉遣いだ!!身の程を知れ!!!愚か者どもが!!!」



『…あーあ。』



グレイを連れてきたのは失敗だった。

過保護すぎるのか、俺の対して侮辱しようものなら真っ先に相手に喧嘩を売ってしまうような人だ。



「あぁ!?…ふん、まあ俺様は寛大だからな。条件付きで許してやらんこともない。」



「…条件とは?」



「このイワン様の下に付け!!そして勇者を殺す手伝いをしろ!!!」



自己中心的な発言に横暴な態度、そろそろキレそうなんだが。

というかもうキレているんだが。



「は?断るが?」



「お前…!俺様の善意を無駄にしやがって…!!死んで償え!!!!」
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