異世界転生録~死と隣り合わせのこの世界で死なないため、力を付けます!!~

島津穂高

文字の大きさ
102 / 188

第102話 カルキノス討伐前日

しおりを挟む
「ところで今、悪属性神話生物の情報はあるんですか?」



「あるわ。私が武闘国家に来たのはその神話生物の討伐よ。」



「…っ!!」



まさかそんなにも身近にいるとは思わなかった。

一応”レーダー”を行使したがそれっぽいものは見つからなかった。



「あとここに来た目的にダグラスさんを勧誘する名目があったのは認めるわ。」



「…そうなんですね。それと、もうパーティメンバーなんですから砕けた話し方でいいですよ。」



「そう…?分かったわ。よろしくねダグラス!そっちも敬語じゃなくていいわ。」



「分かった。よろしくリヴェリア。」



これで彼女との距離が一歩縮められた気がする。

俺は少しの間、その幸福感に浸った。



「それで、ダグラスも討伐に協力してくれないかしら?」



「…分かった!まずは情報を聞かせてくれ。」



「ええ。カルキノスという巨大蟹で、武闘国家から森林フィールドを抜けた先にある沼地に生息しているわ。」



「カルキノスの人的被害は?」



「多くの行商人を沼に引きずり込んでいるの。そのせいでいくつかの村が貧困になってるわ。」



「それは困るな…それで、討伐の際に気を付けることはあるか?」



「そうね…巨大なハサミと口から出す泡のブレスくらいかしら。それ以外はただサンドクラブの巨大版ってところよ。」



「なるほど…討伐はいつにする?」



「そうね…色々準備もあるだろうから明朝でどう?」



「了解!じゃあまた明日!」



「ってちょっと待って!!」



「どうしたんだ?」



「その…パーティは同じ家で暮らすんじゃないの?」



「…確かに。でも、一緒に住める家を今から調達できる?」



「それは…」



「じゃあ他の人たちもいるけど俺の屋敷に来るか?」



「いいの!?」



「ああ。パーティだからな!」



まさかリヴェリアの方から同居を誘ってくれるとは思わなかった。

いつか二人きりで暮らせる家が欲しいものだ。



「じゃあついてきて!」



「うん!」



それから俺は神話生物の話をしながら屋敷に向かった。

驚くことに、リヴェリアは”善”属性の神話生物に鍛えられたらしい。



「ついたよ。」



「わぁ…思ってたより大きいわね!」



「ああ。いっぱいの人が暮らしてるからな。」



「でもどうしてこんなに人がいるの?」



「それは俺が状態の酷い奴隷を保護して生活を与えてるからだよ。」



「そうなのね…奴隷か…」



リヴェリアの顔にどこか寂しさのようなものが垣間見えた。

奴隷と何か嫌な思い出があるのかもしれない。



「あ、ダグラス様おかえり!!そっちの人は…もしかしてダグラス様の彼女?」



「こらセリー!彼女はパーティメンバーだよ!客人としてもてなして!」



「了解!!」



「うちのメイドがごめん…」



「…」



「…リヴェリア?」



「あ、いや!なんでもないの!」



リヴェリアは頬を赤く染めていた。

もしかしたら俺に気があるんじゃないかと考えたが、そんな考えは一瞬で覆された。



「ほ、本物のメイドだーー!!!!!握手してもいいかしら!!!」



「う、うん…」



どうやら頬を赤く染めていた対象はメイドだったようだ。



「…まぁそんなことだろうと思っていたさ。」



俺は気を落とさないよう、虚勢を張って誤魔化した。



「じゃあセリー、リヴェリアを手厚くもてなしてあげて。」



「了解しました!こちらへどうぞ!」



「ええ!」



それから夕食と入浴を終え、明日の作戦会議をしていた。

特にラブコメチックな展開が無かったのが残念だ。



「俺は”鑑定”を使えるんだが、リヴェリアのステータス視てもいいか?」



「もちろん!!」




名前 リヴェリア=ウォーカー 種族 ハイエルフ 性別 女 Lv.302



装備

黒龍の両手剣 黒龍の魔法杖 黒龍の鎧 



ステータス

HP 588410/588410 MP 673610/673610 TP 455610/455610 SP 100215



スキル

・魔法

火属性魔法S 水属性魔法S 風属性魔法S 光属性魔法S 氷属性魔法S 無属性魔法B 結界魔法B

精霊魔法S



・武技

片手剣B 両手剣S 弓A 体術S



ユニークスキル

詠唱省略



称号

火属性魔法の極意 水属性魔法の極意 風属性魔法の極意 光属性魔法の極意 氷属性魔法の極意 

復讐者リベンジャー:憎悪すればするほどステータスが向上する




「…強いね。」



「そんなことないわ!ダグラスの方が強いでしょ?」



「いや、戦闘経験量を踏まえるとリヴェリアの方が強いよ。」



「そうかなぁ…?えへへ…」



まんざらでもない顔をしている。

かわいい…って今考えることはそうじゃない。



「リヴェリアは前衛もできるけど後衛中心の戦闘スタイルで合ってる?」



「その通りよ!!ダグラスは?」



「俺はどっちもできるけど主に魔法剣士って感じかな。」



「魔法剣士!?かっこいいわね!!」



「そうかな…?ありがとう。」



意中の相手に褒められるとこうも嬉しいものなのか。

初めての経験なのでそわそわする。



「じゃあ明日は俺が前衛、リヴェリアが後衛でいいかな?」



「いいけど…まずはお互い力を知りたいから最初はそれぞれ1人で戦わない?」



「そんなに余裕な相手なのか?」



「海龍やニーズヘッグよりだいぶ格下って感じよ。」



「分かった!それでいこう!」



「じゃあまた明日!おやすみダグラス!」



「おやすみ。」
しおりを挟む
感想 14

あなたにおすすめの小説

酒好きおじさんの異世界酒造スローライフ

天野 恵
ファンタジー
酒井健一(51歳)は大の酒好きで、酒類マスターの称号を持ち世界各国を飛び回っていたほどの実力だった。 ある日、深酒して帰宅途中に事故に遭い、気がついたら異世界に転生していた。転移した際に一つの“スキル”を授かった。 そのスキルというのは【酒聖(しゅせい)】という名のスキル。 よくわからないスキルのせいで見捨てられてしまう。 そんな時、修道院シスターのアリアと出会う。 こうして、2人は異世界で仲間と出会い、お酒作りや飲み歩きスローライフが始まる。

凡人がおまけ召喚されてしまった件

根鳥 泰造
ファンタジー
 勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。  仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。  それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。  異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。  最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。  だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。  祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。

裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね

竹井ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。 元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、 王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。 代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。 父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。 カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。 その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。 ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。 「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」 そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。 もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。 

異世界に召喚されて2日目です。クズは要らないと追放され、激レアユニークスキルで危機回避したはずが、トラブル続きで泣きそうです。

もにゃむ
ファンタジー
父親に教師になる人生を強要され、父親が死ぬまで自分の望む人生を歩むことはできないと、人生を諦め淡々とした日々を送る清泉だったが、夏休みの補習中、突然4人の生徒と共に光に包まれ異世界に召喚されてしまう。 異世界召喚という非現実的な状況に、教師1年目の清泉が状況把握に努めていると、ステータスを確認したい召喚者と1人の生徒の間にトラブル発生。 ステータスではなく職業だけを鑑定することで落ち着くも、清泉と女子生徒の1人は職業がクズだから要らないと、王都追放を言い渡されてしまう。 残留組の2人の生徒にはクズな職業だと蔑みの目を向けられ、 同時に追放を言い渡された女子生徒は問題行動が多すぎて退学させるための監視対象で、 追加で追放を言い渡された男子生徒は言動に違和感ありまくりで、 清泉は1人で自由に生きるために、問題児たちからさっさと離れたいと思うのだが……

最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした

新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。 「もうオマエはいらん」 勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。 ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。 転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。 勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)

俺に王太子の側近なんて無理です!

クレハ
ファンタジー
5歳の時公爵家の家の庭にある木から落ちて前世の記憶を思い出した俺。 そう、ここは剣と魔法の世界! 友達の呪いを解くために悪魔召喚をしたりその友達の側近になったりして大忙し。 ハイスペックなちゃらんぽらんな人間を演じる俺の奮闘記、ここに開幕。

無能と言われた召喚士は実家から追放されたが、別の属性があるのでどうでもいいです

竹桜
ファンタジー
 無能と呼ばれた召喚士は王立学園を卒業と同時に実家を追放され、絶縁された。  だが、その無能と呼ばれた召喚士は別の力を持っていたのだ。  その力を使用し、無能と呼ばれた召喚士は歌姫と魔物研究者を守っていく。

無限に進化を続けて最強に至る

お寿司食べたい
ファンタジー
突然、居眠り運転をしているトラックに轢かれて異世界に転生した春風 宝。そこで女神からもらった特典は「倒したモンスターの力を奪って無限に強くなる」だった。 ※よくある転生ものです。良ければ読んでください。 不定期更新 初作 小説家になろうでも投稿してます。 文章力がないので悪しからず。優しくアドバイスしてください。 改稿したので、しばらくしたら消します

処理中です...