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第61話 帰還

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『…仕方なかったか。』



海龍を殺した瞬間、Lvが一気に上がった。

そして”神殺し”という称号を得た。



『神殺し…?海龍が”神龍族”だったからか。』



効果は”神に対する攻撃力+100%”という非常に強力なものだった。



『…まあ今のところ神を殺そうなんて思ってないけどな。』



また、俺は”鑑定&略奪”をしてドラゴンブレスSを習得した。



『今まで魔物スキルはFしか”鑑定&略奪”したことなかったが…ランクはそのまま奪えるのか。』



いきなりSランクで習得できたのは嬉しい。



俺は”解体”をせずに死体を”アイテムボックス”に収納して海上都市に帰ろうとした。

しかし、体力がもう残っていなかった。



『っ…!もう意識が…』



俺は力尽き海に沈んでいった。



「ん…さん…達哉さん…」



誰かに呼ばれる声がして俺は意識を戻した。



「目が覚めましたか。すみません、今はダグラスさんでしたね。」



「神様…?そうか…俺は海龍を倒した後そのまま死んだのか…」



「いえ、死んでませんよ。私がダグラスさんの魂を一時的にここに連れてきただけです。」



「そうなんですね。それで、何か用ですか?」



「はい。ダグラスさんが”神龍”である海龍を倒したので神の柱が1つ空きましたその勧誘に。」



「そうですか。すみませんが俺なんかには荷が重いです。

なので、他のもっと神様に相応しいような人を勧誘してあげてください。」



「そうですか…分かりました。では、これからの人生も楽しんでくださいね。」



「ありがとうございます。」



そう言うと俺はまた意識を失った。



「うぅ………臭い!!」



俺はひどい生臭さで目を覚ました。

最悪の目覚めだ。



『ここは…どこだ?』



ここは真っ暗だが空気がある。

”ライト”で照らしてみると周りには船の残骸や魔物の死骸など色んなものがあった。



『本当にどこだここは!?』



”マッピング”を見てみると、俺の座標が常に動き続けていた。



『…どういうことだ?』



”気配察知”をしてみると、原因が分かった。

俺はどうやらとても巨大生命体の内にいるようだ。



『道理で生臭いのか…』



倒れている間にMPも回復したので俺は”クリーン”、”リフレッシュ”を行使して体を清潔にした後、海上都市門前の砂浜に”転移”した。



「ダグラス君…!!おかえり…!!」



「…ただいま帰りました。」



テレサさんが1人で待ってくれていた。



「海龍は…?」



「なんとか倒しました。」



「なかなか帰ってこないから…もしかしたら死んじゃったんじゃないかって心配したのよ?」



「すみません…どのくらい経ってましたか?」



「今日で5日目よ。」



「俺はあの生臭いところで2日も寝てたのか…それにしてもあの巨大生命体はいったい…」



”鑑定”してくればよかったと思ったが、また出会う気がするので深く考えるのをやめた。



「ギルドに戻りましょうか。」



「はい。」



俺はテレサさんについてギルドに向かっている途中。



「あ、あのギルド職員帰って来たんだな…よかった!」



「大切な人と離れ離れになったとかなんとか…」



「もしかして後ろにいる人がテレサちゃんの…?」



「羨ましい…」



『…テレサさんは俺のことが好きだったんだろうか?』



テレサさんの方を見てみると、顔を赤くしている。



『こ、これは…あり得るんじゃないか…!?』



俺は心の内で盛り上がっていた。



「あ、あの!テレサさん!!」



「どうしたの突然?」



「さっきから街の人々がちらほら言ってることって…?」



「そりゃあ私はダグラス君専用の職員だからね!!」



つまり”ビジネスパートナーとして”大切な人だったようだ。



『今のは言い訳だったりしないかな…?』



そんなことを思っているとギルドに着いた。



「失礼します。テレサです。」



「入って~」



入ると、バーバラさんはとても疲れた顔をしていた。



「…ダグラス君?」



「はい。帰りました。」



「っっっ!!!!ダグラス君!!よかった生きてたんだ~~~~!!!」



バーバラさんが涙を流しながら抱きついてきた。



「心配かけてすみません。海龍は討伐しました。」



「そうなのね…それよりダグラス君が帰って来てくれて本当によかったわ!!!!」



「ありがとうございます…」



「あ、ごめんなさいね!興奮して抱きついちゃって…」



「いえいえ。心配してくれてありがとうございました。」



「こちらこそ~!!改めて海龍を倒してこの街を救ってくれてありがと~!!」



「それで、討伐大会はどうなりました?」



「そんなものもちろん中止ですよ!!!非常事態だったんですから!!」



「で、ですよね…」



テレサさんに怒られてしまった。



「でも海龍の報酬とかはありますよね…?」



「もちろん!!でも街を救った英雄だから王様のところへ行かないとだめなの…」



「…そうですか。」



アイザック家で貴族の作法は習得しているが、”英雄”としてもてはやされるのが好きではないので面倒くさい。

それに王宮に行くことで認知されて何かと足枷を着けられそうな気がするのだ。



「…報酬って拒否できますか?」



「…どうして?」



「俺は気ままに冒険したいので王宮とかで認知されるのはちょっと…政治に使われたりしたら嫌なので…」



「そういってくれて助かったわ!!実は私も困ってたのよ~!!」



「もしかして俺にテレサさんをつけて情報隠蔽している先は王宮だったんですか?」



「そうなのよ~!!せっかく将来有望な冒険者だもの!!国に渡してダグラス君を腐らせたくないわ!!」



これは不敬罪に当たらないのだろうか…?



「ありがとうございます。」



「あ、でもちゃんとギルドで報酬は用意するから今日はゆっくり休んで~」



「はい。」



俺は海鮮亭に着くと、安心したようでそのまま眠りについた。
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