53 / 188
第53話 パーティークエスト
しおりを挟む
ハワードの鍛冶屋を出ると、もう正午直前だった。
『まずい!!待ち合わせが!!』
俺は人目のつかない路地裏に入り、ギルドの近くに”転移”した。
そして何とか時間内にギルドに入った。
「あ、来ましたよ。彼がダグラス君です。」
「ぎりぎりになってしまってすみません。ダグラスです。よろしくお願いします。」
「俺はこのパーティー”疾風迅雷”のリーダーを務めている魔法師のジャックだ。よろしくな!」
「私は副リーダーで細剣士のサリアよ。よろしくね。」
「俺は重戦士のモローだ!よろしくなダグラス!!」
「私はヒーラーのソマリですぅ…よ、よろしくお願いしましゅ!!」
あ、ソマリさん噛んだ。
「最後に俺は軽剣士のブルーノだ!よろしく頼むぜ!!」
「よろしくお願いします皆さん!」
変に上下関係を気にする人などがいなくてよかった。
俺は前世の体験でそういう人が苦手なのだ。
そう、あれは高校1年の頃。
俺は高校生活というものに憧れ、胸に期待を寄せて生徒会に入った。
しかし、実態は教師たちの犬だった。
俺は”生徒会役員”という肩書を天秤にかけられてこき使われたのだ。
…思い出すとイライラしてきた。
でももうそんな人たちは俺の周りにいないから関係ない。
「ダグラス君ちょっといいかな?」
「はい。なんですかテレサさん。」
「実は”疾風迅雷”の人達はダグラス君の力のこと知らないから手加減してほしいの…」
「分かりました。」
「なんて言われたんだ?」
「”疾風迅雷”の皆さんをよく見て勉強しなさいと。」
…まあ今でっち上げた嘘だが。
「そうか!じゃあ早速クエストを受けてみる?」
「…俺はリーダーに任せます。」
「じゃあ受けよっか!」
リーダーは”トロール討伐”を引き受けた。
トロールは巨大で強力な魔物だ。
皮膚が非常に硬く、傷をつけても再生能力が高いためすぐに回復されるらしい。
「最初はダグラス君は休みでもいいかな?」
「…?わかりました。」
「先輩としてかっこいいところを見せたいんだ!!」
「わかりました!楽しみにしています!」
「そう?ありがとう。」
トロールは湿気の多い森林の奥深くに生息しているそうなので、早速森林へ向かった。
その道中、
「リーダー、質問いいですか?」
「どうしたんだダグラス?」
「パーティー名の由来って何ですか?」
「ああ、それはね。元々このパーティーは俺とサリアの二人だったんだ。
俺は雷属性魔法を、サリアは素早く細剣で攻撃をすることから取ったんだ。」
「なるほど…それはますます見るのが楽しみになってきました!」
「そんなに期待されるとちょっと困るな…あはは…」
それにしても”雷属性魔法”というのは初耳だ。
今度時間ができたら探して鍛えてみようと思う。
「そろそろ生息地だね。ここからは集中していこう。」
「分かったわ。」
さっきまでほんわかした雰囲気だったのに、一瞬にして全員が集中して臨戦態勢になった。
『すごい切り替えの早さだな…』
感心していると、”気配察知”スキルに反応があった。
「みんな、止まってくれ。近いぞ。」
ブルーノがトロールの気配に気づいた。
ブルーノの発言を聞くとすぐに皆陣形を整えて後衛職は詠唱を開始した。
「3、2、1、行くぞ!」
リーダーの掛け声のもと皆はトロールのいる方角へと飛び出し、遭遇した。
そしてトロールが皆に気づいて攻撃を仕掛ける前にリーダーが雷属性魔法で攻撃して”スタン”させ、その隙に前衛が攻撃を重ねた。
戦闘は順調に進み、無傷で完封勝利した。
『すごいな…連携に無駄な動きがなかった…』
力量はマークたちと互角くらいだろう。
「ダグラス、どうだった?」
「すごかったです!動きに無駄がなくて完璧な連携でした!!」
「そうだろ?俺たちは今まで何回も一緒に死線をくぐり抜けてきたからな!!」
「じゃあ次はダグラスも混ざってみようか。特異な武器は?」
「片手剣と盾です。」
「じゃあ軽戦士に近いからブルーノと交代してみて。」
「分かりました。」
「俺が教えてやるよ!ドンってやってバンってこうだ!」
「あ、ありがとうございますブルーノさん。参考(?)になりました。」
「おう!!」
それからしばらく森林を歩き、またブルーノが発見した。
「ダグラス、準備はいいか?」
「はい!いつでも行けます!」
「いい返事だ。さっきと同じように始める。3、2、1、行くぞ!」
俺はリーダーのカウントダウンが終了し、雷属性魔法でトロールがスタンしてすぐにトロールに一撃を与えた。
正直一撃で倒せるが、力を隠す必要があるのでただの鉄の剣Cで戦った。
すると、それが実にいい感じだった。
トロールの皮膚を若干切り裂くくらいで、切断したり剣が折れたりもしなかった。
『今後パーティーに参加することになったらこのスタイルで行くか!』
それから順調に削っていき、ついに倒すことができた。
「成功だ!よくやったダグラス!」
「ありがとうございます!!」
「これはブルーノよりも連携が取れてるかもな!あははっ!」
「そ、そんなことないですよ!ブルーノさんの方が何倍もすごかったです!」
「そ、そうか?ありがとな!」
その後も順調にもう3体倒し、クエストを達成できた。
『まずい!!待ち合わせが!!』
俺は人目のつかない路地裏に入り、ギルドの近くに”転移”した。
そして何とか時間内にギルドに入った。
「あ、来ましたよ。彼がダグラス君です。」
「ぎりぎりになってしまってすみません。ダグラスです。よろしくお願いします。」
「俺はこのパーティー”疾風迅雷”のリーダーを務めている魔法師のジャックだ。よろしくな!」
「私は副リーダーで細剣士のサリアよ。よろしくね。」
「俺は重戦士のモローだ!よろしくなダグラス!!」
「私はヒーラーのソマリですぅ…よ、よろしくお願いしましゅ!!」
あ、ソマリさん噛んだ。
「最後に俺は軽剣士のブルーノだ!よろしく頼むぜ!!」
「よろしくお願いします皆さん!」
変に上下関係を気にする人などがいなくてよかった。
俺は前世の体験でそういう人が苦手なのだ。
そう、あれは高校1年の頃。
俺は高校生活というものに憧れ、胸に期待を寄せて生徒会に入った。
しかし、実態は教師たちの犬だった。
俺は”生徒会役員”という肩書を天秤にかけられてこき使われたのだ。
…思い出すとイライラしてきた。
でももうそんな人たちは俺の周りにいないから関係ない。
「ダグラス君ちょっといいかな?」
「はい。なんですかテレサさん。」
「実は”疾風迅雷”の人達はダグラス君の力のこと知らないから手加減してほしいの…」
「分かりました。」
「なんて言われたんだ?」
「”疾風迅雷”の皆さんをよく見て勉強しなさいと。」
…まあ今でっち上げた嘘だが。
「そうか!じゃあ早速クエストを受けてみる?」
「…俺はリーダーに任せます。」
「じゃあ受けよっか!」
リーダーは”トロール討伐”を引き受けた。
トロールは巨大で強力な魔物だ。
皮膚が非常に硬く、傷をつけても再生能力が高いためすぐに回復されるらしい。
「最初はダグラス君は休みでもいいかな?」
「…?わかりました。」
「先輩としてかっこいいところを見せたいんだ!!」
「わかりました!楽しみにしています!」
「そう?ありがとう。」
トロールは湿気の多い森林の奥深くに生息しているそうなので、早速森林へ向かった。
その道中、
「リーダー、質問いいですか?」
「どうしたんだダグラス?」
「パーティー名の由来って何ですか?」
「ああ、それはね。元々このパーティーは俺とサリアの二人だったんだ。
俺は雷属性魔法を、サリアは素早く細剣で攻撃をすることから取ったんだ。」
「なるほど…それはますます見るのが楽しみになってきました!」
「そんなに期待されるとちょっと困るな…あはは…」
それにしても”雷属性魔法”というのは初耳だ。
今度時間ができたら探して鍛えてみようと思う。
「そろそろ生息地だね。ここからは集中していこう。」
「分かったわ。」
さっきまでほんわかした雰囲気だったのに、一瞬にして全員が集中して臨戦態勢になった。
『すごい切り替えの早さだな…』
感心していると、”気配察知”スキルに反応があった。
「みんな、止まってくれ。近いぞ。」
ブルーノがトロールの気配に気づいた。
ブルーノの発言を聞くとすぐに皆陣形を整えて後衛職は詠唱を開始した。
「3、2、1、行くぞ!」
リーダーの掛け声のもと皆はトロールのいる方角へと飛び出し、遭遇した。
そしてトロールが皆に気づいて攻撃を仕掛ける前にリーダーが雷属性魔法で攻撃して”スタン”させ、その隙に前衛が攻撃を重ねた。
戦闘は順調に進み、無傷で完封勝利した。
『すごいな…連携に無駄な動きがなかった…』
力量はマークたちと互角くらいだろう。
「ダグラス、どうだった?」
「すごかったです!動きに無駄がなくて完璧な連携でした!!」
「そうだろ?俺たちは今まで何回も一緒に死線をくぐり抜けてきたからな!!」
「じゃあ次はダグラスも混ざってみようか。特異な武器は?」
「片手剣と盾です。」
「じゃあ軽戦士に近いからブルーノと交代してみて。」
「分かりました。」
「俺が教えてやるよ!ドンってやってバンってこうだ!」
「あ、ありがとうございますブルーノさん。参考(?)になりました。」
「おう!!」
それからしばらく森林を歩き、またブルーノが発見した。
「ダグラス、準備はいいか?」
「はい!いつでも行けます!」
「いい返事だ。さっきと同じように始める。3、2、1、行くぞ!」
俺はリーダーのカウントダウンが終了し、雷属性魔法でトロールがスタンしてすぐにトロールに一撃を与えた。
正直一撃で倒せるが、力を隠す必要があるのでただの鉄の剣Cで戦った。
すると、それが実にいい感じだった。
トロールの皮膚を若干切り裂くくらいで、切断したり剣が折れたりもしなかった。
『今後パーティーに参加することになったらこのスタイルで行くか!』
それから順調に削っていき、ついに倒すことができた。
「成功だ!よくやったダグラス!」
「ありがとうございます!!」
「これはブルーノよりも連携が取れてるかもな!あははっ!」
「そ、そんなことないですよ!ブルーノさんの方が何倍もすごかったです!」
「そ、そうか?ありがとな!」
その後も順調にもう3体倒し、クエストを達成できた。
0
お気に入りに追加
859
あなたにおすすめの小説

異世界転移しましたが、面倒事に巻き込まれそうな予感しかしないので早めに逃げ出す事にします。
sou
ファンタジー
蕪木高等学校3年1組の生徒40名は突如眩い光に包まれた。
目が覚めた彼らは異世界転移し見知らぬ国、リスランダ王国へと転移していたのだ。
「勇者たちよ…この国を救ってくれ…えっ!一人いなくなった?どこに?」
これは、面倒事を予感した主人公がいち早く逃げ出し、平穏な暮らしを目指す物語。
なろう、カクヨムにも同作を投稿しています。

【後日談完結】10日間の異世界旅行~帰れなくなった二人の異世界冒険譚~
ばいむ
ファンタジー
剣と魔法の世界であるライハンドリア・・・。魔獣と言われるモンスターがおり、剣と魔法でそれを倒す冒険者と言われる人達がいる世界。
高校の休み時間に突然その世界に行くことになってしまった。この世界での生活は10日間と言われ、混乱しながらも楽しむことにしたが、なぜか戻ることができなかった。
特殊な能力を授かるわけでもなく、生きるための力をつけるには自ら鍛錬しなければならなかった。魔獣を狩り、いろいろな遺跡を訪ね、いろいろな人と出会った。何度か死にそうになったこともあったが、多くの人に助けられながらも少しずつ成長していった。
冒険をともにするのは同じく異世界に転移してきた女性・ジェニファー。彼女と出会い、そして・・・。
初投稿というか、初作品というか、まともな初執筆品です。
今までこういうものをまともに書いたこともなかったのでいろいろと変なところがあるかもしれませんがご了承ください。
誤字脱字等あれば連絡をお願いします。
感想やレビューをいただけるととてもうれしいです。書くときの参考にさせていただきます。
おもしろかっただけでも励みになります。
2021/6/27 無事に完結しました。
2021/9/10 後日談の追加開始
2022/2/18 後日談完結

元万能技術者の冒険者にして釣り人な日々
於田縫紀
ファンタジー
俺は神殿技術者だったが過労死して転生。そして冒険者となった日の夜に記憶や技能・魔法を取り戻した。しかしかつて持っていた能力や魔法の他に、釣りに必要だと神が判断した様々な技能や魔法がおまけされていた。
今世はこれらを利用してのんびり釣り、最小限に仕事をしようと思ったのだが……
(タイトルは異なりますが、カクヨム投稿中の『何でも作れる元神殿技術者の冒険者にして釣り人な日々』と同じお話です。更新が追いつくまでは毎日更新、追いついた後は隔日更新となります)

劣悪だと言われたハズレ加護の『空間魔法』を、便利だと思っているのは僕だけなのだろうか?
はらくろ
ファンタジー
海と交易で栄えた国を支える貴族家のひとつに、
強くて聡明な父と、優しくて活動的な母の間に生まれ育った少年がいた。
母親似に育った賢く可愛らしい少年は優秀で、将来が楽しみだと言われていたが、
その少年に、突然の困難が立ちはだかる。
理由は、貴族の跡取りとしては公言できないほどの、劣悪な加護を洗礼で授かってしまったから。
一生外へ出られないかもしれない幽閉のような生活を続けるよりも、少年は屋敷を出て行く選択をする。
それでも持ち前の強く非常識なほどの魔力の多さと、負けず嫌いな性格でその困難を乗り越えていく。
そんな少年の物語。

異世界転生ファミリー
くろねこ教授
ファンタジー
辺境のとある家族。その一家には秘密があった?!
辺境の村に住む何の変哲もないマーティン一家。
アリス・マーティンは美人で料理が旨い主婦。
アーサーは元腕利きの冒険者、村の自警団のリーダー格で頼れる男。
長男のナイトはクールで賢い美少年。
ソフィアは産まれて一年の赤ん坊。
何の不思議もない家族と思われたが……
彼等には実は他人に知られる訳にはいかない秘密があったのだ。

転生してチートを手に入れました!!生まれた時から精霊王に囲まれてます…やだ
如月花恋
ファンタジー
…目の前がめっちゃ明るくなったと思ったら今度は…真っ白?
「え~…大丈夫?」
…大丈夫じゃないです
というかあなた誰?
「神。ごめんね~?合コンしてたら死んじゃってた~」
…合…コン
私の死因…神様の合コン…
…かない
「てことで…好きな所に転生していいよ!!」
好きな所…転生
じゃ異世界で
「異世界ってそんな子供みたいな…」
子供だし
小2
「まっいっか。分かった。知り合いのところ送るね」
よろです
魔法使えるところがいいな
「更に注文!?」
…神様のせいで死んだのに…
「あぁ!!分かりました!!」
やたね
「君…結構策士だな」
そう?
作戦とかは楽しいけど…
「う~ん…だったらあそこでも大丈夫かな。ちょうど人が足りないって言ってたし」
…あそこ?
「…うん。君ならやれるよ。頑張って」
…んな他人事みたいな…
「あ。爵位は結構高めだからね」
しゃくい…?
「じゃ!!」
え?
ちょ…しゃくいの説明ぃぃぃぃ!!

巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する
高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。
手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。

こじらせ騎士と王子と灰色の魔導士
有沢真尋
ファンタジー
かつて魔王と勇者が相打ちした世界。
月日がたち、魔力の大半を失いつつも生き延びていた魔王は、人間にまぎれ宮廷魔導士として安穏とした生活を送っていた。
一介の近衛騎士に生まれ変わった勇者の傍らで。
相変わらず人を惹きつける魅力をもった元勇者は、今回は女として生まれついていたが、女人禁制の近衛騎士隊で女であることを隠して修行に励んでいた。
しかし、世継ぎの王子が彼(彼女)を見初めてしまい、実は女であるとも知らず、あろうことか「男でもいいから伴侶に迎えたい」と言い出して……!?
謎の友情によって結ばれた元魔王は、元勇者によって「恋人のふりをして欲しい」とお願いされてしまい……!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる