異世界転生録~死と隣り合わせのこの世界で死なないため、力を付けます!!~

島津穂高

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第26話 王都

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メリルと別れた後、俺はまず宿をとることにした。

”熊の子亭”という宿をおすすめしてもらったので、そこを探している。



『看板が熊の親子のマークだから…あ、あそこか。』



冒険者ギルドからもダンジョンからもそれほど離れておらす、いい立地だ。



「いらっしゃいませ。お名前は?」



そこには熊の獣人の可愛い娘がいた。



「ダグラスだ。メリルの紹介で来た。」



「メリルさんの…!!分かりました。安くしておきますね!」



「ああ、ありがとう。」



「何泊しますか?10泊以上から長く泊まるほど割り引かれますよ!」



「じゃあ10泊で頼む。」



「分かりました!一日当たりメリルさんの紹介で銀貨2枚、10泊ご利用で銅貨1枚引きなので合計金貨1枚と銀貨9枚、銅貨9枚です!」



「分かった。」



「ご利用ありがとうございます!私はここの看板娘をしてるメーアだよ!よろしくね!」



「ああ、よろしく。」



その後、メーアに熊の子亭の説明を受けた。



宿泊メニューには3食付いており、1階にある食堂で食べられる。

昼は前日に頼めば携帯食を用意してくれるそうだ。

宿泊は2階の個室で、小綺麗な部屋だった。



次に事前準備と観光をすることにした。



まずは冒険者ギルドに向かい、クエストやダンジョンなどについて情報収集をした。

クエストはヴァーリ領と大して変わらず、少し違うのはダンジョン関連のことくらいだ。



ダンジョンは内部の魔物を間引かないと”スタンピード”という魔物の大反乱が発生してしまうため、討伐した魔物の種類と数で報酬が支払われるできるようだ。



ダンジョンは上へ続く階層となっており、上に行くごとに魔物が強くなっているようだ。

現時点では72階層まで踏破されており、何階層まであるかは神のみぞ知るという。



俺はダンジョンの正体が巨大な魔物だという噂を聞いた。

宝箱や罠があるのはダンジョンに生物をおびき寄せて殺し、死んだ生物を吸収するためだという説が濃厚だ。



『確かに言われてみればそんな気がする。』



王都はダンジョンを持っているだけあって冒険者に向けた店が多くある。

例えば魔道具店や鍛冶屋、薬屋などだ。



中でも鍛冶屋はたくさんあり、鍛冶屋だけが並んでいる”鍛冶屋の道”があるらしい。



今の俺の装備は革の防具一式と鉄の片手剣、鉄の短剣×10、鉄の盾である。



『剣が1本しかないのは心もとないなぁ…』



そう思い、俺は予備の片手剣を買うために鍛冶屋の道を歩いた。

適当な店に入り、”鑑定”で武器を見ていた。



『うーん…F~Sランク中良さげな品でDランクかぁ…せめてCは欲しいなぁ。』



Cランクの片手剣を探していると、気が付けば行き止まりの壁まで来てしまった。



『Dランクで妥協するか。…ん?』



脇道があり、その奥にぽつんと鍛冶屋が1軒あった。



『隠れ名店な気がする…!』



俺はその鍛冶屋に直行した。

中に入ると、置かれている武器はF~Dの粗悪品だった。



『なんだ…隠れ名店じゃないのか…』



そう思いきや、より深く”鑑定”してみるとどれも剣の刃の部分だけ粗悪に作られており、どうやら手抜きされているようだ。



「店主、ここの武器は全部あなたが作ったのか?」



「ん?ああ。そうだ。どうかしたのか?」



「失礼なことを聞くかもしれないが…刃の部分だけ手抜きしてないか?」



「…よくわかったな!お前、名前は?」



「ダグラスです。あなたは?」



「俺はアルガンだ。ダグラス、ついてこい。」



言われるままついていくと、店の奥の部屋に入った。



「…暗いな。」



「明かりをつけるからちょっと待ってろ。」



アルガンが明かりをつけると、そこは武器がたくさん飾られていた。

しかも、どれもCランク以上でAランクの武器まである。



「アルガン、ここは…?」



「俺のとっておきだ!最近の奴らは武器なら何でもいいとかダンジョンで得た武器の方がいいとか思っている奴ばっかりでな。

ダグラスみたいに見る目がある奴のためにここに隠しているのさ!」



「そうなのか…俺は”鑑定”スキルを持ってるからな。ずるみたいなもんだけど…」



「そんなことはないさ!まあゆっくり見ていきな!」



俺は2時間ほどかけてじっくり見て、ついに決めた。



「アルガン、これを買ってもいいか?」



「やっぱり見る目があるな!ダグラスのこと気に行ったから半額でいいぞ!」



「ありがとう!で、いくらだ?」



「金貨50枚だ。」



俺は出家するとき家族に当面の生活費として金貨50枚もらったのだ。

もらった分全部なくなるが、俺の所持金が金貨17枚くらいあるからいいだろう。



「…これでいいか?」



「冗談、実際は金貨25枚!」



「買った!」



「これからもひいきにな!」



「ああ、こちらこそよろしく!」



俺は”ゼフソード”というAランクの片手剣を購入した。

耐久値、攻撃力ともにとても高い。



『これをメイン武器にするか!』



早速試し切りをしたいが、もう日が暮れてきたので熊の子亭に帰った。



「おかえりダグラスさん。夕食はあっちの食堂でとってね!」



「ありがとう。メーア。」



明日は事前準備が終わり次第ダンジョンに潜ることにした。
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