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7.生きる意味を、そこに
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小さな嗚咽はやがて、大きくなり、号泣へと変化してゆく。
南さんを私の胸へと抱き寄せ、
「もう、一人で抱え込まなくていいんですよ。私も抱えます。大丈夫です」
そう語りかけると、さらに大きな声を上げながら涙を流す。
やがて落ち着いたのか、顔を上げ、目を赤く腫らし私に向き直る。
「ごめんね、こんな情けない姿見せるはずじゃなかったのに。はぁ、今日ってほんとにいろんな行動が裏目に出ちゃう」
大きなため息を吐きながら立ち上がり、
「ささ、御幸たちのところに戻ろ?そろそろ心配し始める頃だし」
そう言って歩き始める南さん。
「待ってください」
私は、御幸さん達の方へ向かう南さんに、静止を促す。
「この件、御幸さん達には話すんですか?」
そう私が話すと、ゆっくりとこちらを向き、
「話すよ、生きる意味、見つけたし」
そう言って再び御幸さん達の方へ向かう南さんの背中は、とても小さなものだった。
僕たちが談笑をしていると、扉が開かれる。
「お待たせ。ごめんね、急にソロ練しちゃって」
そう言う南の目は真っ赤だった。
「ねぇ南、雪ちゃんそっちに行ったでしょ?」
僕の問いに南は、
「うん、きたきた。僕の練習を見学したいって」
そんなことを言う南の後ろから、ひょこっと、顔を出す雪ちゃん。
二人は何やら耳打ちをしているようで、
「二人で何話してるの?」
美玖の質問に肩をビクつかせる二人
「ちょっとね」
そう言ってまた二人で話し始める。僕らが怪訝に思っていると、南が突然、僕たちに頭を下げる。
「みんな、ごめん」
突然の事に僕たちが呆けていると、
「私、みんなに隠してた事がある」
「どうしたの南ちゃん、突然」
「私、実は病気してて、声を失うか、命賭けるか、の2択なんだよね」
そんなカミングアウトに僕の思考は一瞬で白く染まる。死ぬ?南が?鮮明に思い出させられる嫌な記憶。
降りしきる雨、とある建物の屋上、傘もささずに立っている女性、そんな女性は私に笑みを向けてきた。その刹那、女性は後ろへ大きく飛び、その後烈音が響く。私はその女性が立っていた場所へ近づいた。彼女が飛び降りた後の姿は凄惨以外の何者でもなく、ペンキをひっくり返したような跡が彼女の頭部に広がっていた。
「うっ、、、」
そんなことを思い出し、私は胃の中の内容物が込み上げてくるのを感じ取った。すぐさま部屋を飛び出るが、間に合わず、廊下に吐き戻す。
「うっ、、、おぇ、、、」
何度も何度も嘔吐く。やがて、美玖がやってきて背中をさすってくれる。
そのあと、少し落ち着いて清掃員さんを呼び、後片付けを手伝ってもらった。
「御幸、本当にごめん」
僕たちの楽器を片付けている際、南が僕に言う。
「僕こそ話をまともに聞けなくてごめん」
「、、、ッ、御幸」
「何?」
「私、このバンド抜けるよ」
顔を上げると、そこには、歯を食い縛り、悔しさに満ちた顔で語る南の姿があった。
南さんを私の胸へと抱き寄せ、
「もう、一人で抱え込まなくていいんですよ。私も抱えます。大丈夫です」
そう語りかけると、さらに大きな声を上げながら涙を流す。
やがて落ち着いたのか、顔を上げ、目を赤く腫らし私に向き直る。
「ごめんね、こんな情けない姿見せるはずじゃなかったのに。はぁ、今日ってほんとにいろんな行動が裏目に出ちゃう」
大きなため息を吐きながら立ち上がり、
「ささ、御幸たちのところに戻ろ?そろそろ心配し始める頃だし」
そう言って歩き始める南さん。
「待ってください」
私は、御幸さん達の方へ向かう南さんに、静止を促す。
「この件、御幸さん達には話すんですか?」
そう私が話すと、ゆっくりとこちらを向き、
「話すよ、生きる意味、見つけたし」
そう言って再び御幸さん達の方へ向かう南さんの背中は、とても小さなものだった。
僕たちが談笑をしていると、扉が開かれる。
「お待たせ。ごめんね、急にソロ練しちゃって」
そう言う南の目は真っ赤だった。
「ねぇ南、雪ちゃんそっちに行ったでしょ?」
僕の問いに南は、
「うん、きたきた。僕の練習を見学したいって」
そんなことを言う南の後ろから、ひょこっと、顔を出す雪ちゃん。
二人は何やら耳打ちをしているようで、
「二人で何話してるの?」
美玖の質問に肩をビクつかせる二人
「ちょっとね」
そう言ってまた二人で話し始める。僕らが怪訝に思っていると、南が突然、僕たちに頭を下げる。
「みんな、ごめん」
突然の事に僕たちが呆けていると、
「私、みんなに隠してた事がある」
「どうしたの南ちゃん、突然」
「私、実は病気してて、声を失うか、命賭けるか、の2択なんだよね」
そんなカミングアウトに僕の思考は一瞬で白く染まる。死ぬ?南が?鮮明に思い出させられる嫌な記憶。
降りしきる雨、とある建物の屋上、傘もささずに立っている女性、そんな女性は私に笑みを向けてきた。その刹那、女性は後ろへ大きく飛び、その後烈音が響く。私はその女性が立っていた場所へ近づいた。彼女が飛び降りた後の姿は凄惨以外の何者でもなく、ペンキをひっくり返したような跡が彼女の頭部に広がっていた。
「うっ、、、」
そんなことを思い出し、私は胃の中の内容物が込み上げてくるのを感じ取った。すぐさま部屋を飛び出るが、間に合わず、廊下に吐き戻す。
「うっ、、、おぇ、、、」
何度も何度も嘔吐く。やがて、美玖がやってきて背中をさすってくれる。
そのあと、少し落ち着いて清掃員さんを呼び、後片付けを手伝ってもらった。
「御幸、本当にごめん」
僕たちの楽器を片付けている際、南が僕に言う。
「僕こそ話をまともに聞けなくてごめん」
「、、、ッ、御幸」
「何?」
「私、このバンド抜けるよ」
顔を上げると、そこには、歯を食い縛り、悔しさに満ちた顔で語る南の姿があった。
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