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24話 合流、そして──
しおりを挟むバドさんたちに助けてもらって、一旦安全な場所までやってきた私たちは治療を受け、休憩をしていた。
さっき、バドさんが来てくれなかったら本当に危なかった……。
多分、ヘタすれば……ううん、確実に私たちはやられてた。
「っし、これで傷は治したはずだぜ。他に痛むところはねえか?」
私たちに言ってきたのは、初めて会ったときリーゼンと一緒にいた、カタ=パッティーノだった。
スキンヘッド頭に肩パッドを装備して、どこからどう見ても人から恐れられるような見た目をしているけど、なんと専門は補助魔法。
そのなかでも、とりわけ治癒魔法が得意なんだって。
人は見かけによらないとはよく言ったものだけど、ここまでギャップがすごいと……ね?
「ありがとうございます。おかげさまで、どこも痛くないです」
「そいつぁなにより」
ノルくんの言葉に、カタが人のよさそうな笑みを浮かべて返した。
ノルくんの言う通り、実際彼らのおかげで助かったのは間違いないし、カタの治癒魔法の実力は本物だった。
丁寧に施された治癒魔法は本当によく効いていて、体には痛みひとつ残ってなかった。
体はまだ少しだるくて重たいけど、問題なく戦えそう。
「情けないですね、俺。バドさんたちを助けるつもりだったのに、逆に助けられるなんて……」
「ああ、その通りだ。情けないったらありゃしねえ」
ノルくんの言葉を聞いて、バドさんが冷たく突き放した。
即答、と言っても差し支えのない早さの答えに、氷のように冷めた視線。
いつも浮かべていた柔和な笑みは、どこかへ消え去っていた。
「それにな。お前ら、なんでこんなところまで追いかけてきた? これは俺らの戦いだって言ったの、聞いてなかったのか?」
確かに、バドさんは言った。
自分たちがこの場で果てることを覚悟した、決死の行動だったことは私たちもわかってた。
「ケガは治してやったろ。今度はもう助られねえんだから、その足でさっさと帰るのが利口だぜ」
そして、私たちの心に響くよう、わざと冷たく言葉を放っていることも。
バドさんが言っていることはもっともだった。
間違ってないし、正論そのもの。
理論的に考えれば、そのまま従って帰るのが正しいんだと思ってる。
横でなにも言えず、拳を震わせるノルくんもそのことがわかってるんじゃないかな。
しかも、それを言っているのがバドさんだからなおさら。
だけど──
「そんなこと、できるわけないじゃないですか!!」
ノルくんよりも先、言葉が出たのは私の方だった。
本当に無意識。気持ちが爆発して、喉をこみ上げ、飛び出していた。
「ノルくんは、あなたのことが心配で! 心配で心配で、どうしようもなくてここに来たんですよ!?」
感情云々でどうにもならないことは、私にだってわかってる。
でも、ここで思いを通さなきゃ。
自分がなんのためにここへ来たのかわからなくなっちゃう。
でも、私の言葉を聞いてもバドさんの鋭い目つきが緩むことはなかった。
腕を組んだまま、静かに私たちを睨むばかりだった。
「私たちはそこそこに戦えます。このまま、一緒に戦っても悪い話ではないと思いますが?」
そんなとき、グラさんが言葉を繋いでくれた。
メガネのブリッジを持ち上げ「あとは任せてくれ」とでも言わんばかりに。
「損はねえが、手負いのお前たちじゃいつ限界がくるかわからねえだろ。不満があんなら転移で入り口まで送ってやるが?」
「おや、ここがユナイトダンジョンということをお忘れですか? それに今、どれほど奥まで来ているかわかりません。魔法を妨害する罠があっても不思議じゃない、と考えるのが自然ではないですか? もし変なところへ飛んで、とんでもなく強い魔物に襲われたら、か弱い私たちでは抵抗のしようがありませんねえ」
──もし命を落とすようなことがあれば私、恨みであなたの夢にお邪魔してしまうかも。
嫌みたらしい笑みを浮かべ、グラさんが迫った。
「ったく、仕方ねえな……。だが、これだけは言っておく。俺らについてくる以上、絶対に死ぬんじゃねえぞ。目の前で誰かが傷つくのは、もう御免だからな」
そう言う、バドさんの手はわずかに震えていた。
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