誰もいなくなった町

クラーゲン

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蒸留実験

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 暖かい布団の中で目を覚ますと、俺の身体の上に温かくて柔らかい何が乗っかっていた。

 いや、何かもへったくりもない。ミウちゃんだ。

 さっきは対面座位でやった後、そのまま寝てしまったようだ。

 手探りで下腹部を探ると、ミウちゃんのワレメに俺のモノが入ったままだというのが分かった。

 また入れたまま眠ってしまったのか。

 時計を見ると、眠っていたのは一時間ほどのようだ。

 こうしちゃいられない。

 ミウちゃんの身体を俺の上から布団の上にそっと降ろした。

 ミウちゃんの中からモノを抜き取ると、ワレメから白濁液が流れ出している。

 昨日でコンドームを使い切ってしまい、今回は中出ししてしまったのだ。

 なんとかしないと、このままではミウちゃんを妊娠させてしまう。

「ミウちゃん。ミウちゃん」

 身体を揺さぶると、程なくしてミウちゃんは目を覚ました。

「あれ? あたし寝ていました」
「それより、まだ一時間しか経っていない。今のうちに水を」
「はい」

 ミウちゃんと出会ってから、そろそろ半月近く経つ……

 水を飲んでは発情してセックスする事を繰り返すうちに分かってきた。

 セックスをしてから数時間は水を飲んでも効果がないという事が…… 

 だから、セックスの直後なら水を飲んでも安全というわけで、セックス直後に飲み溜めをするようになっていた。

「浄水器はダメだったのですね」
「ああ」

 浄水器を通せば、薬を取り除けるのでは?

 そう考えて、さっきやってみたのだが無駄だった。

 水を飲んで数分で俺もミウちゃんも発情してしまったのだ。

「お兄さん。宇宙人さん達は、あたしに赤ちゃんを産ませてどうしたいのかしら?」
「え?」
「パンダの赤ちゃんが生まれたら、みんな喜んでいましたね。宇宙人さんも、あたしが赤ちゃんを産んだら嬉しいのかな? ひょっとして、宇宙人さんから見ると、地球人ってパンダみたいに可愛いのかな?」
「だからって……こんな事許されていいはずない。僕らは知的生命体だ。薬でセックスを強要されて子供を作らされるなんて……」
「でも、もうコンドームもなくなっちゃったし、あたしに初潮がきたら……」

 いや、抵抗する方法があるはずだ。

「ミウちゃん。学校は近くにあったよね」
「え? はい」


 ミウちゃんの通っていた学校は、車で一分ほどのところにあった。

 校庭に車を止めた時……

「にゃう」

 一匹の三毛猫が車に近寄ってくる。

「可愛い!」

 ミウちゃんは車から降りて猫に手を伸ばした。

「にゃうう」

 猫は自分から首筋のミウちゃんの手にこすり付けてくる。

 それにしても、猫なんて久しぶりに見た。こいつも、俺達と一緒に地球から拉致されてきたのだろうか?

「お兄さん。あの子着いてきます」

 校舎へ向かって歩いていく俺達の後ろから、猫が着いてきた。

 昇降口を通って校内に入っても猫は着いてくる。

 猫に構いたいが、今はそれどころじゃない。

「ミウちゃん。理科室は?」
「三階です」

 最上階か。疲れるなあ。

 俺のリュックにはベッドボトル五本が入っていてかなり重い。

「ここが理科室です」

 ミウちゃんに案内された理科室には実験机が六つあった。

「さてと」

 準備室の扉には鍵がかかっていなかった。

 そこで必要な実験器具をかき集める。

 途中で、教師が置いていったと思われる白衣も見つけたので着てみた。

「お兄さん。白衣似合っていますね」
「そうかい。一応、大学では化学を専攻していたんだ」

 実験机の上で、蒸留装置を組み立てた。

 これで薬を除去できるか試すわけだが、電気も都市ガスも使えない状況で熱源をどうするか?

 実験室を探し回った結果、古いアルコールランプが見つかった。

 早速、蒸留実験を始めてみたが……

「時間がかかるな」

 アルコールランプの熱で枝付きフラスコ内の水を沸騰させて、その蒸気をゴム管を通して三角フラスコに送り込む。

 その三角フラスコは周りを水に浸してあるため、中に入った蒸気は冷やされて水に戻るというわけだが、時間がかかる。

 三角フラスコの中には少しずつ水が溜まっているが……

 飲めるぐらい溜まるのに何時間かかるか……

 ダメだ。喉が渇いてきた。

「お兄さん。まだ蒸留水できませんか? あたし、喉がカラカラです」

 蒸留水ができる前に二人とも乾き死にする。

 最初の頃はお茶やジュースは平気だったが、今はそっちにも薬を入れられていた。

 仕方ない。どうせ今朝は中出ししてしまったし…… 

 ん? 白衣のポケットに何か入っている?

 これは……

「ミウちゃん。この白衣を使っていたのはどんな先生?」
「若くてハンサムな先生でした。それに優しくて女子から人気がありました」
「その先生って、学校内で他の女性教師と……仲良くしているという話はなかったかい?」
「さあ? 女の先生は知りませんが、六年生の女生徒とエッチな事をしているという噂は聞いた事あります。本当かどうか知りませんが」

 本当だったようだな。

 ポケットの中身をミウちゃんに見せた。

「これは……コンドーム? それじゃ先生本当に準備室でエッチを……」
「まあ、なんにしても、これだけあれば一週間はもつ」
「よかった」
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