誰もいなくなった町

クラーゲン

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偽物の町

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 長いトンネルの中を、ミウちゃんを助手席に乗せて俺は車を走らせていた。

 このトンネルを抜けると、隣の県に出るはず。

 しかし……

 トンネルを抜けて最初に目に入ったのは、大きな病院だった。

 地図ではそんな病院はないはず。

「あれ? この病院」

 ミウちゃんは車窓から、不思議そうにその建物を眺めていた。

「ミウちゃん。この病院を知っているの?」
「一昨年、お爺ちゃんが入院した病院です。でも、あたし達が向かった方向と逆方向だったはずだけど……」

 やはりそうか。徒歩で歩いている時は分からなかったが、車で走るとこの世界が異常だという事がよく分かった。

 東西南北どちらの方向に走っても、元のところへ戻ってしまうのだ。

 そこで試しに、コンビニから南に向かってひたすら走ってみた。

 ここが真面な世界なら、隣の県に出るはず。

 ところが……

 俺は病院の駐車場に車を止めてロードマップを取り出した。

 やはりそうだ。

 俺が最初に入ったトンネルの入り口は、コンビニから南の方向へ七キロいったところにある。

 しかし、現在いる病院は北の方向へ七キロ。正反対だ。

 この世界は、ミウちゃんと出会ったコンビニを中心に半径七キロの閉じた世界だったのだ。

 たとえば、コンビニから東へ七キロ走ったとしよう。

 するとそこは世界の果て。

 だがそこに壁があるわけじゃない。

 それ以上先へ進むと、西の果てから出てきてしまう。

 そういう世界だったのだ。

 誰がなんの目的でこんな事をやったのか?

 それも薄々分かってきた。

「ミウちゃん。僕達は一つ思い違いをしていた」
「なんですか?」
「世界中の人達が消えて僕達二人が取り残されたのではない。僕達が拉致されて、この世界に連れてこられたんだ」
「ええ? でも、この町は……」
「僕達の町そっくりに作られたニセの町だ」
「ええ!?」
「何者がこんな事をやったのか分からないけど……僕達は奴らとってペットか家畜のような存在なんだよ」
「ペット?」
「奴らは、僕らをこの世界に閉じこめて子供を作らせてようとしているんだ」
「そのために、エッチな水をあたし達に飲ませていたのですか?」
「そうとしか考えられない」

 数日前から、俺達はあちこちの店に行っては水を飲んでみたがどれも薬が入れられていた。

 最初はミウちゃんのコンビニの水だけだったのに……

 それだけじゃない。

 いつの間にか、どの店からも、コンドームが消えてしまった。

 俺達を拉致した奴らは、町ごとコピーしたのだろう。

 当然コンドームも一緒にコピーしてしまったが、俺達がそれを使っているのを見て、避妊具だと気が付いて回収したのだろう。

 ただ、不思議なのは、それならなぜミウちゃんのような初潮前の女の子をさらったのだろう?

「お兄さん。この病院、売店があるはずです」
「売店?」
「病院の売店なら、宇宙人さんも気が付かないで薬を入れなかったかも……」

 一理ある。ていうか、宇宙人なのか? 俺達を拉致したのは?

 病院の売店はすぐに見つかった。

 ミウちゃんが場所を覚えていたからだ。

 もちろん水もあった。二百八十ミリリットルのペットボトルが何十本も。

「しかし、これを宇宙人が見逃してくれたかな?」
「お兄さん。薬が入っていても、どうせセックスするだけじゃないですか」
「ミウちゃん嫌じゃないの?」
「最初はちょっと嫌だったけど、慣れてきたら気持ちいいし。それにどうせミウの中に出しても赤ちゃんできないし。宇宙人さんもウッカリさんですね」

 ウッカリさん。案外それが当たっているのかもしれない。うっかり初潮前の女の子を連れてきてしまったのかも……

「じゃあ、飲もうか」
「待ってください。どうせなら、病室で飲みましょう」
「どうして?」
「どうせセックスするなら、ベッドの上がいいです。さっきみたいに、スーパーの床は嫌」

 そうだった。

 さっきトンネルに入る前にスーパーに立ち寄って水を試したのだ。

 その結果、冷たい床の上でやる羽目になった。

 俺達は最上階の個室に来た。

「ここは、一昨年お爺さんが入院した部屋です」

 部屋には大きなベッドが一つと、応接セットがあった。

 高そうな部屋だな。

 ミウちゃんは部屋に入るなりベッドの布団に潜り込んだ。

「あたし、おじいちゃんをお見舞いに行った時から、このベッドで寝たいなと思っていたのです」

 おいおい……

「おにいさんも来て下さい。ここで水を飲みましょう」

 俺はベッドに入ってミウちゃんと一緒に水を飲んだ。

 しかし……

「来ませんね」
「来ないね」

 いつまで経っても、性欲は沸いてこない。

 しかし、女の子と同じ布団に入っている状況なのだから、それだけでやりたくなるのではないか?

 と思うのだが、そうはならない。

 さっき、スーパーの床でやりまくってから一時間も経っていないので精力が回復していないのだ。

 そうしている間に、俺はいつの間にかミウちゃん抱きしめたまま眠ってしまった。

 どうやら宇宙人は病院の売店を見落としていたようだ。



 などという事はなかった。

 この水は安全と思って、ダンボール一箱分を車に積み込んで走り出したのはそれから三時間後の事。

 それまで、俺はミウちゃんを抱きしめて眠っていたのだ。

 車を運転中に俺もミウちゃんも水を飲んだ。

 しばらくして……

「あ! あ! あ! ああん!」

 助手席を見るとミウちゃんは股を弄りながら喘ぎ声を上げている。

 なぜ!? 薬は入っていなかったのでは?

 いや、俺の方もムラムラしてきた。

「おにいさん! ちょうだい!」

 ミウちゃん横から手を伸ばして俺のチャックを降ろした。

「ちょっ! ミウちゃん! 運転中はダメ! 危ない!」

 だが、ミウちゃんは止められなかった。

 チャックから俺のそそり立つモノが姿を現すと、ミウちゃんは助手席から俺の膝の上に移り、モノを膣に咥えこんだのだ。

 そして、今は腰を激しく動かして喘いでいる。

「あ! ああ!  ああん! 気持ちいい!」

 ブレーキを踏んで車を道の真ん中で停止させた。
 
 ミウちゃんの身体を後ろから抱きしめて上下させる。

「あ! あ! あ! あああん!」

 運転席の上で、俺は猛烈な快感に翻弄され、ミウちゃんの中に熱い液体を放出した。
  

 この後、事故を回避できたのは奇跡と言えるだろう。
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