『シェルターに逃げ込んだら、中に家出少女が棲みついていたのだが、どうすればいい？』

漆

羽瀬理ちゃんの部屋で４

　ベッドの中で抱き合ったまま、俺は羽瀬理ちゃんを抱きしめて余韻に浸っていた。

「僕の演技は、どうだったかな？」

　ああいけね。なんか間抜けな事を言ってしまったかな。

「まるで、先生が生まれ変わったのかと思いました」

　え？　生まれ変わった？

「それじゃあ、先生は？」
「先生は、獄中でハンガーストライキをして……餓死しました」
「そうだったのか」

　最愛の人と引き離され、その人に獄死され、この子の味わった悲しみは計り知れないものだろう。

　俺は、この子の悲しみを少しでも癒すことができたのだろうか？

「先生は死ぬ前に、私に遺書を残してくれたのです」
「遺書？」
「先生が警察に捕まる前に、私にメールで送ってきたのです。読んでもらっていいですか？」

　羽瀬理ちゃんはスマホを僕に差し出した。

「いいのかい？　僕が読んでも」
「卓也さんに、読んでほしいのです」

　俺はスマホに視線を向けた。