『シェルターに逃げ込んだら、中に家出少女が棲みついていたのだが、どうすればいい？』

陸

休憩所

「当施設は、落盤や放射線漏れなど緊急事態に備えた避難施設でございます。また、地下道内を移動中の方が、短時間休息に利用することも認められております。それ以外の方は申し訳ありませんが退去してください」

　自動音声ガイダンスだったのか。

　覗き込んでみたが人の姿はない。

　施設の中へ踏み込んでみた。

「お兄ちゃん、勝手に入っていいの？」
「移動中の人が、短時間休息するのはいいらしい」

　とにかく、ここは休憩所でもあるのだ。

　見たところ、十畳ほど広さのカーペット敷きの部屋がある。

　他に、休憩所なら当然あるはずの施設が……あった！



「なあんだ、お兄ちゃんおトイレ行きたかったのか」
　
　用事を済ませて出てきた俺を、ミクちゃんはニヤニヤして見ていた。

「しょうがないだろ。地下通路に、トイレがないなんて考えていなかったんだから」
「ミクも行くう！」

　ミクちゃんも、トイレに駆け込んでいった。

　自分だって、我慢していたくせに。

　ミクちゃんが出てくるまで、広間で待つことにした。

　広間の中では、エアコンが温かい風を猛烈な勢いで噴出している。

　人が入ってくると、自動的に照明やエアコンが動き出す仕組みのようだ。

　それはいいけど、電源はどうなっているのだろう？

　まあ、どうせすぐに出ていくのだから、そんなに頑張って温度上げなくてもいいのに……

　エアコンの設定温度は？　二十六度！　高過ぎだ。　十八度に設定し直し……

　さて、女の子のトイレは長いな。

　カーペットの上に寝転んだ。

　寝転んでから気が付いたが、ブカブカのダウンジャケットって、このまま寝袋に使えるな。　
　
　あ！　急に眠気が……zzzzz