178 / 185
第七章
船を選ぼう
しおりを挟む
水の国に戻ってから三日後の昼、俺達はマリカの家に集まっていた。
広間の床には、何枚もの船の絵が並んでいる。
「私はこれが良いと思いますわ。真っ白な帆が、とても綺麗ですし」
マリカの母、マルティナが指差したのは帆船の絵。横浜みなと博物館に展示されている日本丸を思わせるデザインだ。いかにも教養のある女性が選びそうな船だな。
「俺は、これがカッコいいと思うな」
マリカの父は選んだのは、ヤマトを思わせる戦艦。やっぱり男だね。
「あたしはこれがいいかな。なんか懐かしくて」
しいちゃんが選んだのは江戸時代の北前船を思わせる和船。やっぱ、江戸時代の子なんだな。
何をしているかというと、これから建国予定地であるコリレ島へ行くための船のデザインを考えているのだ。
何をのんきなと思うかも知れないが、水の国に戻ってから今まで忙しくてこういう事をしている暇がなかったのだ。
三日前、遠征から戻った俺達は、先ずは水の国の王宮に出向き、ことの顛末の報告と今後の防衛体制の相談をした。まあ、これはほとんどアルベルトがやってくれたが、それからも遠征前にコリレ島に送り込んだ調査隊の報告を聞かなきゃならなかった。その報告を聞いている途中、金の国の商人が俺に商談を持ちかけてきた。
この商人、どこかで俺が捨てた硬質化分体を手に入れたらしく、これを売ってほしいと言うのだ。
ただ、ダイヤモンド並みの固さを持つ硬質化分体は加工ができない。
だから、最初からブロック状に成型して大量に出してくれたら、高額で買い取るというのだ。いったい、何に使うのかと聞いたら、高級建材に使うらしい。
俺としても悪い話ではなかった。新国家建設のために金は欲しい。
なので、昨日はほぼ一日かけて、ブロック状の硬質化分体を作り続けていた。
おかけで俺もエリスもへとへとだったが、そのおかけでようやく、じいさんに初給料を払う事ができた。
そして、今になってコリレ島に行く相談を始めたわけだ。ちなみに船の絵は、水の国の造船業者から借りてきたもの。
実はこの造船業者も転生者だったらしく、覚えている限り前世にあった船の模型を作ったり絵を描いたりしていたらしい。
「僕、これが良いです」
アヤメの弟テクトが指差したのは芦ノ湖の海賊船。男の子だね。
「これなんか素敵です」
マリカが指差したのはヨット。悪くないが、ちょっと小さいな。
現在のところ、入植希望者が五百人ぐらい集まっている。一度に連れて行けなくても、第一陣は五十人ぐらい連れて行きたい。
「私は、これが良いと思います」
アヤメが選んだのは漁船。実用的だね。
「あのお、大丈夫なのですか?」
エリスが心配そうに言う。
「エリス。何か心配なのか?」
「だって、どの船にするにしても、ランドールさんが変化するのですよね。あんまり複雑な形にしたら、ランドールさんが大変じゃないですか?」
「ああ。それは大丈夫だ」
「大丈夫なのですか?」
「ここにある絵を貸してくれた造船業者の家に行けば、これらの精巧な模型があるのだよ。だから、どれにするか決まったら、模型をスキャンさせてもらい、それを拡大コピーすればいい」
「そうだったのですか」
「エリスはどれがいい?」
「そうですね。海賊船とかも楽しそうだけど、この船ってこれから私達が住む家になるのですよね。だから、住みやすい船が良いと思うのです。だから、これかな」
エリスが一枚の絵を指差した。
それから一週間後、俺はプール付き豪華クルーザーに変化していた。
広間の床には、何枚もの船の絵が並んでいる。
「私はこれが良いと思いますわ。真っ白な帆が、とても綺麗ですし」
マリカの母、マルティナが指差したのは帆船の絵。横浜みなと博物館に展示されている日本丸を思わせるデザインだ。いかにも教養のある女性が選びそうな船だな。
「俺は、これがカッコいいと思うな」
マリカの父は選んだのは、ヤマトを思わせる戦艦。やっぱり男だね。
「あたしはこれがいいかな。なんか懐かしくて」
しいちゃんが選んだのは江戸時代の北前船を思わせる和船。やっぱ、江戸時代の子なんだな。
何をしているかというと、これから建国予定地であるコリレ島へ行くための船のデザインを考えているのだ。
何をのんきなと思うかも知れないが、水の国に戻ってから今まで忙しくてこういう事をしている暇がなかったのだ。
三日前、遠征から戻った俺達は、先ずは水の国の王宮に出向き、ことの顛末の報告と今後の防衛体制の相談をした。まあ、これはほとんどアルベルトがやってくれたが、それからも遠征前にコリレ島に送り込んだ調査隊の報告を聞かなきゃならなかった。その報告を聞いている途中、金の国の商人が俺に商談を持ちかけてきた。
この商人、どこかで俺が捨てた硬質化分体を手に入れたらしく、これを売ってほしいと言うのだ。
ただ、ダイヤモンド並みの固さを持つ硬質化分体は加工ができない。
だから、最初からブロック状に成型して大量に出してくれたら、高額で買い取るというのだ。いったい、何に使うのかと聞いたら、高級建材に使うらしい。
俺としても悪い話ではなかった。新国家建設のために金は欲しい。
なので、昨日はほぼ一日かけて、ブロック状の硬質化分体を作り続けていた。
おかけで俺もエリスもへとへとだったが、そのおかけでようやく、じいさんに初給料を払う事ができた。
そして、今になってコリレ島に行く相談を始めたわけだ。ちなみに船の絵は、水の国の造船業者から借りてきたもの。
実はこの造船業者も転生者だったらしく、覚えている限り前世にあった船の模型を作ったり絵を描いたりしていたらしい。
「僕、これが良いです」
アヤメの弟テクトが指差したのは芦ノ湖の海賊船。男の子だね。
「これなんか素敵です」
マリカが指差したのはヨット。悪くないが、ちょっと小さいな。
現在のところ、入植希望者が五百人ぐらい集まっている。一度に連れて行けなくても、第一陣は五十人ぐらい連れて行きたい。
「私は、これが良いと思います」
アヤメが選んだのは漁船。実用的だね。
「あのお、大丈夫なのですか?」
エリスが心配そうに言う。
「エリス。何か心配なのか?」
「だって、どの船にするにしても、ランドールさんが変化するのですよね。あんまり複雑な形にしたら、ランドールさんが大変じゃないですか?」
「ああ。それは大丈夫だ」
「大丈夫なのですか?」
「ここにある絵を貸してくれた造船業者の家に行けば、これらの精巧な模型があるのだよ。だから、どれにするか決まったら、模型をスキャンさせてもらい、それを拡大コピーすればいい」
「そうだったのですか」
「エリスはどれがいい?」
「そうですね。海賊船とかも楽しそうだけど、この船ってこれから私達が住む家になるのですよね。だから、住みやすい船が良いと思うのです。だから、これかな」
エリスが一枚の絵を指差した。
それから一週間後、俺はプール付き豪華クルーザーに変化していた。
0
「死神幼女に勧誘されて異世界のスライムに転生。早く人間になりたい!」エロ要素を抜いてこちらのサイトに載せてみました。よろしければブックマークなどの応援お願いします。
お気に入りに追加
290
あなたにおすすめの小説
[完結]異世界転生したら幼女になったが 速攻で村を追い出された件について ~そしていずれ最強になる幼女~
k33
ファンタジー
初めての小説です..!
ある日 主人公 マサヤがトラックに引かれ幼女で異世界転生するのだが その先には 転生者は嫌われていると知る そして別の転生者と出会い この世界はゲームの世界と知る そして、そこから 魔法専門学校に入り Aまで目指すが 果たして上がれるのか!? そして 魔王城には立ち寄った者は一人もいないと別の転生者は言うが 果たして マサヤは 魔王城に入り 魔王を倒し無事に日本に帰れるのか!?
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
スライムすら倒せない底辺冒険者の俺、レベルアップしてハーレムを築く(予定)〜ユニークスキル[レベルアップ]を手に入れた俺は最弱魔法で無双する
カツラノエース
ファンタジー
ろくでもない人生を送っていた俺、海乃 哲也は、
23歳にして交通事故で死に、異世界転生をする。
急に異世界に飛ばされた俺、もちろん金は無い。何とか超初級クエストで金を集め武器を買ったが、俺に戦いの才能は無かったらしく、スライムすら倒せずに返り討ちにあってしまう。
完全に戦うということを諦めた俺は危険の無い薬草集めで、何とか金を稼ぎ、ひもじい思いをしながらも生き繋いでいた。
そんな日々を過ごしていると、突然ユニークスキル[レベルアップ]とやらを獲得する。
最初はこの胡散臭過ぎるユニークスキルを疑ったが、薬草集めでレベルが2に上がった俺は、好奇心に負け、ダメ元で再びスライムと戦う。
すると、前までは歯が立たなかったスライムをすんなり倒せてしまう。
どうやら本当にレベルアップしている模様。
「ちょっと待てよ?これなら最強になれるんじゃね?」
最弱魔法しか使う事の出来ない底辺冒険者である俺が、レベルアップで高みを目指す物語。
他サイトにも掲載しています。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します
ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!!
カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった
ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます!
僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか?
『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』

日本列島、時震により転移す!
黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる