死神幼女に勧誘されて異世界のスライムに転生。早く人間になりたい！

第六章

れっどどらごん８

　バッサ！　バッサ！

　レッドドラゴンの羽ばたきが起こした風で、次第に霧が晴れて移動要塞の姿は露わになっていく。

　その様子を、俺は鳥分体を通して見ていた。

　うっすらと移動要塞の姿が見えてきたとき……

「見つけたぞ！　ランドール！」

　レッドドラゴンは羽ばたくのをやめて、火炎放射の体勢に入った。

　おい！　この状況で火を吐く気か！　それは困る！

　レッドドラゴンの火炎を、俺は高圧水流で迎え撃った。

「ええい！　往生際の悪い！　大人しく燃やされろ！」
「そんなバカいるか！」

　そう言いながら、俺はアルベルトキャノンを放った。

　間一髪でレッドドラゴンは弾丸を避けると、レッドドラゴンは地上に降りた。

　再び羽ばたいて強風を起こす。

　地に足を付けて羽ばたいた方が、強い風が起こせることに気が付いたようだ。

　さっきよりも遥かに強い風が吹き寄せる。台風並みだ。

　霧はたちまち吹きはらわれて、移動要塞は丸見えにっなった。

「あははははは！　ランドール！　もう姿は丸見えだぞ」

　勝ち誇ったフィリスは、右手を俺に向けた！

「さあレッドドラゴンよ。ランドールを焼き尽くせ！」

　しかし、レッドドラゴンは火炎を吐かなかった。

「何をしている！　レッドドラゴン！」

　しかし、レッドドラゴンの動きは硬直している。

「ん？」

　フィリスは俺の方を向いて顔を引きつらせた。

　俺の装甲には、いくつもの六芒星ヘキサグラムの模様が現れていたからだ。

　式神は、五芒星ペンタグラムや六芒星ヘキサグラムなど図形を見せられると動きが止まってしまうと言われている。某伝奇小説から得た知識だが、それはこの世界でも変わらないようだ。

「アルベルトキャノン発射」

　直径十センチの硬質化分体の弾丸が、レッドドラゴンの胸に穴を穿った。