死神幼女に勧誘されて異世界のスライムに転生。早く人間になりたい!

クラーゲン

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第五章

小屋

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 六人の兵士達は、湖岸の砂浜を進んでいた。

 程なくして大きな岩の横を通り過ぎる。

 岩の陰にあって今まで見えなかった小屋が現れた。

「あの小屋です」

 先頭の兵士が指差す。

 隊長は振り返って、一人の兵士を指差した。

「よし。お前はここに残れ。これから小屋を調査するが、我々が全滅したらすぐに戻ってこの事を報告しろ」
「は!」

 居残りを命じられた兵士は、俺が貼り付いている兵士ではなかった。

 俺の貼り付いた兵士は、隊長らと一緒に小屋に向かっていく。

「しかし、何でできているのだ? この小屋は」

 一人の兵士が小屋に手を触れる。

「木材でも石でも金属でもなさそうだな」

 一番近いのはプラスチックなのだが、この世界にそんな素材はない。小屋の素材は、親衛隊員が乗ってきた舟を解体して組みなおした物。

 つまり、俺の硬質化分体だ。この舟を作った時も、最初から解体して小屋の材料にできるように作ってあった。

「隊長。扉があります」

 兵士の一人が扉を開いた。

「え?」
「キャー!」

 小屋の中では、女が着替え中だった。

「失礼しました!」

 兵士は慌てて扉を閉める。

「どうした?」
「隊長。ご婦人が、着替え中でした」

 予定外だったな。着替えていたのは、親衛隊の女性兵士。ウドウの私兵ならどうせゴロツキの集まりだから、こんな場面に出くわしたら女目当てに小屋に踏み込むと予想し ていたが、意外と紳士的だった。

 もちろん、小屋に踏み込んだら、そこで落とし穴に落とす予定だったが仕方がない。こうなったら、プランBで……

 俺は小屋の中にいる鳥分体に意識を移した。

「まったく。情けない奴ね。こんな可愛い私が着替えているのに、踏み込んでこないとは……」

 着替えていた女性兵士の声が耳に入ったが、俺は見てないぞ。鳥分体は小屋の中の別室に……ん?

 別室と言っても、カーテンで仕切っているだけだが、そのカーテンに顔を付けている五人の男性兵士達がいた。

 予定では、女目当てに踏み込んできた偵察兵を、こいつらが落とし穴に追い込む事になっていたのだが……

 俺は一人の男の肩に止まる。

「君達。何ヲシテイル?」

 男はぎょっとして俺の方を見る。

「こ……これはランドール殿。ち……違います。覗いていたわけでは……」

 まあ、俺も男だ。覗きたいという気持ちは非常によく分かる。分かるのだが、ここでやっちゃダメだろ。

「あんた達!」

 件の女性兵士がバサっとカーテンを開いた。服はすでに着ている。

「やっぱり覗いていたのね」
「ち……違う! どうなっているのか様子を見ようと……」
「敵の方が、よっぽど紳士だったわ」

 女がそう言った時、ドアをノックする音が聞こえた。
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