死神幼女に勧誘されて異世界のスライムに転生。早く人間になりたい!

クラーゲン

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第五章

砲撃戦

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 しいちゃんと話している間に、アルベルトキャノンの発射準備は完了していた。『エネルギー充填百二十%』って、叫びたかったのに……まあ、いい。

 俺は移動要塞の足を立てた。樹海の上に頭を出す。広大な樹海が、眼前に転がった。

 その樹海の中を、木の巨人が歩いている。ウッド・ゴーレム。水の国で見た時より足が長い。

 じいさんの話では、ウッド・ゴーレムの足は伸縮式で、その身長は三十メートルから七十メートルまで変形可能。

 樹海を進むときは、足を延ばして進むそうだ。

 二体のウッド・ゴーレムは、百メートルの距離を開けて進んでいた。

 先行している個体をA、後方の個体をBと識別。

 すでに照準はAに合わせてある。

「アルベルトキャノン発射!」

 右の砲身から直径十センチの円錐形の砲弾が射出される。超音速で飛翔した砲弾は、Aの身体を掠めた。

 その様子を鳥分体で観測した俺は、左砲の向きを微調整して撃った。砲弾は命中。Aの左腕を吹っ飛ばした。

 Aはバランスを崩して倒れ、そのまま樹海の中に姿を隠す。

 Bの方はようやく俺に気が付いたのか、ウドウ砲を俺に向けた。

 だが、遅い。

 ウドウ砲が発射されたのは、移動要塞を樹海の中に隠した後だった。

 砲弾は俺の頭上を、虚しく通り過ぎていく。

「次弾装填終了、薬室チャンバー内圧力上昇、エネルギー充填百二十%」

 移動要塞を再び樹海の上に出すと、Aの方はまだ倒れたままのようだ。しかし鳥分体で偵察してみると、ウッド・ゴーレムから歩兵が降りている。

 偵察隊だな。俺に気付かれないように降ろしたつもりだろう。

 Bの方は俺に砲身を向けていた。次弾装填中のようだ。装填を終えるまで待ってやる義理はない。

「アルベルトキャノン発射」

 二発の砲弾が樹海の上を飛翔していく。一発は外れた。一発は左肩のウドウ砲を吹き飛ばす。

 Bはバランスを崩しながらも、右の砲身を撃ってきた。

 ガン! 砲弾は俺に命中。しかし、俺の硬質化分体にヒビも入らない。

 砲弾を撃った後、Bは足を縮めて、その姿を樹海の下に隠した。
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