死神幼女に勧誘されて異世界のスライムに転生。早く人間になりたい！

第四章

俺、そんな有名だったっけ?

　いったい、このレンゲという女戦士、どうしたというのだ?　俺の名前を聞いた途端に平伏して……

「あなた様が、あのランドール様とはつゆ知らず、ご無礼をお許し下さい」

　え?　『あのランドール様』って?　俺、そんな有名だったっけ?

「水の国へ差し向けられたウッド・ゴーレムを、たった一人で倒してサクヤ様をお守りいただいた武勇は聞き及んでおります」

　え?　それ聞き及んでいたの?　それは、ちとマズイかも……

「ちょっと!　レンゲさんといったな?　あんた、なぜ、それを知っているの?」
「はい。水の国に送った我々の間者が、ランドール様の活躍ぶりを伝書鳩で知らせてきました」

　伝書鳩?　いや、鳩に似た鳥なのだろう。それはいいとして……

「知っているなら、なぜ俺達を攻撃してきた?」
「申し訳ありません。湖に突然巨大な物体が現れたため、てっきり、ランドール様が撃ち漏らしたウッド・ゴーレムが逃げてきたのかと思いまして」
「ああ、その心配なら、ないよ。ウッド・ゴーレムは全部倒したから。ところで、このことは、あんた達しか知らないのか?」
「はい。今のところは我々しか知りませんが」
「そうか。では、木の国のウドウ王子には、この情報は伝わっているのかい?」
「それは分かりません。しかし、水の国を攻撃するのに、間者の一人も放たないということないでしょう」

　そうか。水の国で俺がやった事は、ウドウ王子にすでに知られていると考えるべきだな。

　できれば、ウドウ王子に何も情報が伝わらないうちに、マルティナを救出したかったが……