死神幼女に勧誘されて異世界のスライムに転生。早く人間になりたい！

第四章

朝食

「おはようございます。ランドールさん、エリスちゃん」

　リビングに入ると、スク水の上にエプロンをかけたマリカが食事の用意をしていた。

　テーブルの上にあるのは、ホカホカご飯の入ったお櫃と味噌汁の鍋。それに焼き魚。冷水に浸した胡瓜は河童用だ。

　河童だからと言って胡瓜ばかり食べているわけではない。河童にとって胡瓜は嗜好品なわけだ。つまり、この冷やし胡瓜は食後のデザートという事。

「いただきまーす」

　テーブルの周り集まった五人と三匹は、手を合わせて食事を始めた。

　俺はスライムなので、木の葉でもトカゲの死体でも身体に取り込んで分解できるが、人間になった時のために普通に食事する習慣を付けようと、最近はこうしてみんなと食事を取るようになった。

　しかし、前世ではテーブルを囲んで食事を取るなんて長いことやっていなかったな。

　学校ではいつもボッチ飯だったし、家でも一人部屋の中で食べる日が何年も続いていた。

「ランドールさん。どうしたのですが?　涙なんか流して……」

　マリカが心配そうな顔で俺を見つめていた。

「いや、なんでもないんだ。なんか、こうして皆で食卓を囲むっていいなと思って」
「はあ?」

　家族で食卓を囲むなんて当たり前の生活をしていたマリカには分からないだろうな。

　味噌汁を口に含んだ。ちょっと味が薄いな……

「この味噌汁作ったのは、しいちゃん?」
「そうだけど……美味しくなかった?」
「いや、そうじゃないんだ。味が京風だなと思って……」

　しいちゃんが人間であった時は、京都の仏具屋の娘だったらしい。だから、当然料理の味は京風になる。

　それはいいのだけど、死神が食事をするものなのだろうか?

　リンゴを食べる死神がいたが、あれは嗜好品だというし、り○○は普通に食事していたが……

「しいちゃん。食事は必要なの?」
「本当は必要ないのだけどね。味を楽しむ事はできるの」

　嗜好品だったのか。

「それに転生者の世話をするとなると、料理をしなきゃならなくなる場合もあるでしょ。自分の作った食事の味を、確認できないと困るじゃない」

　なるほど。