死神幼女に勧誘されて異世界のスライムに転生。早く人間になりたい！

第三章

水の国攻防戦５

「エリス。あの人を知っているのか？」
「あのお方は、木の国の王太子殿下サクヤ様です」
「なんだって!?」

　そんな人が、なぜこんなところに……？

　いや、今までの話の流れからして、だいたい分かるな。

「おい！　フェリス！　ウドウ王子は、自分の妹と結婚しようというのか？　おまえは、そんな事に手を貸すというのか？」
「い……いやあ……私も、それは……倫理上良くないんじゃないかなあ？　とは思うのだが……仕事なのでな」

　つまり、サクヤ様というこの少女は、変態兄貴に結婚させられるのが嫌で、逃げてきたと……

　しかし、王太子が逃げ出さなければならないとは……都で何かあったな。

「とにかく、事情が分かった以上おまえにサクヤ様は渡せない」

　俺は背中から触手を出して、サクヤ様の方へ伸ばした。

「殿下。ご無礼をお許しください」
「え？　は……はい」

　サクヤ様を触手で掴み、俺の頭部に招き入れた。

「殿下！」

　操縦室の中でエリスがサクヤ様に駆け寄る。操縦室と言っても、別に操縦はされていないけどね。

「あなたはエリス！　無事だったのですね！　寺院が襲撃されたと聞いて心配していました」
「そんなもったいない。殿下こそどうして？」
「王宮が兄上に襲撃されたのです。父上は捕えられ、私は抜け穴から王宮を抜けて、水の国を頼って……」
「おいたわしい……」

　とりあえず、こっちの無事は確保。後は……

　俺はフェリスに向き直る。

「さて、決着をつけようか」
「どうあっても我々に楯突く気か？」
「お前こそ、妹に手を出す変態王子の味方なんかよくできるな」
「黙れ！　エリスの精気を吸っているお前が、人を変態呼ばわりするな！」

　う！　それを言われると弱いが……

「問答無用！　いくぞ！　フェリス」
「かかってこい！」