死神幼女に勧誘されて異世界のスライムに転生。早く人間になりたい!

クラーゲン

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第二章

決心

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 考えさせてくれとは言ったが、俺の腹は決まっていた。じいさんは、『マルティナを取り返すとなると、ウドウ王子と事を構える事になります』と言っていたが、マルティナを取り返しに行かなくても、エリスが俺の庇護下にある限り、いずれはウドウ王子とやらとぶつかることになる。それが、早いか遅いかの違いに過ぎない。

 俺が考えると言ったのは、どうやってこれをエリスとマリカに話すかという事。マルティナを奪還する事は、俺の中ではすでに決定事項となっていたのだ。

 考えを中断して、俺は外の様子を見に行った。

 雲一つない晴れ渡った空の下、家は順調に川を下っている。進行方向に、今のところ障害物となる物はなさそうだ。

 もし、障害物があったら、外にいる河童が壁や扉を叩いて俺に伝える手はずになっている。

「人間の言葉が分かる者はいるか?」

 俺の問いかけに、一匹の河童が振り返る。

「アタシ、人間ノ言葉分カル」

 河童の性別は分からないが、答えたのは女の子のようだな。

「そうか。後、どのぐらいでマリカの家に着く?」

 河童は少し考えてから答えた。

「一時間ホド」
「ありがとう。引き続き見張りを頼む」
「マカセテ」
 
 俺は意識を家の中に戻した。じいさんの部屋での壁を人間の身体に変化させる。

「じいさん。しいちゃん。マルティナは、奪還する事にする事にしたよ」
「ランドール殿。本当にそれでよろしいのですか?」

 じいさんは心配そうな顔で言う。

「ああ。言っておくが優しさで決めたのではない。エリスがここにいる限り、ウドウ王子とやらとは、いつかはぶつかることになる。その時に、マルティナが向こうの手の内にあったら、人質にされる。ウドウ王子が、それを思いつく前に取り返すのだ」
「そういう事でしたら……」

 しいちゃんが話に割り込んできた。
 
「ランドール。プランはあるの?」
「それを、これから考える。もちろん、闇雲に突っ込むつもりはない。あらゆる手段を、検討した上で実行するつもりだ」
「それなら、あたしは反対しない」
「ありがとう。とにかく、そのためには情報が欲しい。マリカの家に着いたら、話し合おう。とくにじいさんにはウドウ王子と木に国に関して、知る限りの情報を教えてほしい」
「おまかせ下さい。それまでに、私は資料を用意しておきます」
「頼んだよ。それと、俺はこの事を二人に伝えておく。隠しておくのはよくない」

 そう言って俺は壁に引っ込んだ。

 二人の所へ行く前に、外の様子を見た。特に問題はない。

 俺は浴室の壁の一部を人に変化させた。

「話がある」
「きゃああああ!」

 当然のことだが、マリカの悲鳴が浴室内に響き渡った。
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