25 / 185
第二章
エリスがいない
しおりを挟む
夜の静寂を、エリスの悲鳴が引き裂いた時、俺は完全に熟睡していた。
何があったのだ?
状況を把握しようとして、少し困惑。
自分の身体が、大きくなっていた事を忘れていた。
転生してしばらくの間、俺は不定形な身体の任意部分に目や耳など感覚器官を作り出して外部の情報を得ていた。
しかし、エリスの精気を吸ってから俺は急速に変貌し、身体の形を自在に変え、着色できるようになった。
いや、今までも簡単な形に変えることはできたが、眠ってしまうと元の不定形なスライムに戻ってしまっていた。だから、今までは眠りから覚めた時に最初にやることは、感覚器官を作って周囲の状況を探ることだったが、今はその必要はない。
眠る前に作っておいた感覚器官が、そのまま残っていたのだ。
そうでなかったら、エリスの悲鳴など聞こえるはずがない。
とにかく、エリスに何かあったようだ。
眠る前、俺は巨大になった身体を二階建住宅に変貌させていた。以前なら、眠っている間にこの住宅はドロドロのスライムに戻っていたが、今は本体が眠って間も形を維持できるように予備脳とも言える器官が備わっているようだ。
もはやスライムというより、ロ○ムとかサイ○ーダ○ンT1000だな。
それはそうと、エリスはどこだ?
俺の本体は……思考している部分……はエリスの部屋のクマのヌイグルミの中にある。
ヌイグルミの目を開いて周囲を見回したが、本来エリスのいるはずのベッドは空。
急いで家中の壁に目を作って……うおおお! 情報処理が追いつかない。警備室の警備員が、すべての監視カメラの映像を一度見ようとしたってできないよね。
目を一つ一つ開けていく事にした。
まずはリビング、続いてキッチン、風呂、トイレ、空き部屋。
しいちゃんの部屋を勝手にのぞいたら怒られそうだな。部屋のドアノブを手に変化させてノックした。
返事がない。室内に目を作って中を見るとしいちゃんはいなかった。
じいさんの部屋は?
じいさんは高イビキをかいて寝ていた。
なんとなくムカついたので、壁から腕を出してじいさんの頭をポカリと叩く。
「な!? なんじゃあ?」
「じいさん。エリスが見あたらないのだ」
「なんですと!? しばし、お待ちを」
じいさんは懐から振り子を取り出した。
そういえば、このじいさん、ダウジングでエリスを探せるのだったな。先に起こしてよかった。
「ランドール様。申し訳ありませんが、しばらくの間、精気の吸収を止めて頂けませんか?」
「え? ああ、そうか」
俺の身体は、常に周囲の精気を吸収している。なので、この家の中にいる限り、エリスから発生させる精気は外へ漏れない。その代り、エリスが外へ出たら外から精気が入ってくることもできないのだ。
この精気の吸収は普段は無意識にやっているが、俺の意思で止める事が出来る。
まあ、呼吸を止めるようなものだ。
俺が精気の吸収を止めた事を確認すると、じいさんはダウジングを開始した。程なくして、エリスを見つける。
「む! エリス殿は家の外です。それも、急速に遠去かっていく」
なんだって? エリスは……俺がイヤになって逃げだしたのか?
何があったのだ?
状況を把握しようとして、少し困惑。
自分の身体が、大きくなっていた事を忘れていた。
転生してしばらくの間、俺は不定形な身体の任意部分に目や耳など感覚器官を作り出して外部の情報を得ていた。
しかし、エリスの精気を吸ってから俺は急速に変貌し、身体の形を自在に変え、着色できるようになった。
いや、今までも簡単な形に変えることはできたが、眠ってしまうと元の不定形なスライムに戻ってしまっていた。だから、今までは眠りから覚めた時に最初にやることは、感覚器官を作って周囲の状況を探ることだったが、今はその必要はない。
眠る前に作っておいた感覚器官が、そのまま残っていたのだ。
そうでなかったら、エリスの悲鳴など聞こえるはずがない。
とにかく、エリスに何かあったようだ。
眠る前、俺は巨大になった身体を二階建住宅に変貌させていた。以前なら、眠っている間にこの住宅はドロドロのスライムに戻っていたが、今は本体が眠って間も形を維持できるように予備脳とも言える器官が備わっているようだ。
もはやスライムというより、ロ○ムとかサイ○ーダ○ンT1000だな。
それはそうと、エリスはどこだ?
俺の本体は……思考している部分……はエリスの部屋のクマのヌイグルミの中にある。
ヌイグルミの目を開いて周囲を見回したが、本来エリスのいるはずのベッドは空。
急いで家中の壁に目を作って……うおおお! 情報処理が追いつかない。警備室の警備員が、すべての監視カメラの映像を一度見ようとしたってできないよね。
目を一つ一つ開けていく事にした。
まずはリビング、続いてキッチン、風呂、トイレ、空き部屋。
しいちゃんの部屋を勝手にのぞいたら怒られそうだな。部屋のドアノブを手に変化させてノックした。
返事がない。室内に目を作って中を見るとしいちゃんはいなかった。
じいさんの部屋は?
じいさんは高イビキをかいて寝ていた。
なんとなくムカついたので、壁から腕を出してじいさんの頭をポカリと叩く。
「な!? なんじゃあ?」
「じいさん。エリスが見あたらないのだ」
「なんですと!? しばし、お待ちを」
じいさんは懐から振り子を取り出した。
そういえば、このじいさん、ダウジングでエリスを探せるのだったな。先に起こしてよかった。
「ランドール様。申し訳ありませんが、しばらくの間、精気の吸収を止めて頂けませんか?」
「え? ああ、そうか」
俺の身体は、常に周囲の精気を吸収している。なので、この家の中にいる限り、エリスから発生させる精気は外へ漏れない。その代り、エリスが外へ出たら外から精気が入ってくることもできないのだ。
この精気の吸収は普段は無意識にやっているが、俺の意思で止める事が出来る。
まあ、呼吸を止めるようなものだ。
俺が精気の吸収を止めた事を確認すると、じいさんはダウジングを開始した。程なくして、エリスを見つける。
「む! エリス殿は家の外です。それも、急速に遠去かっていく」
なんだって? エリスは……俺がイヤになって逃げだしたのか?
0
「死神幼女に勧誘されて異世界のスライムに転生。早く人間になりたい!」エロ要素を抜いてこちらのサイトに載せてみました。よろしければブックマークなどの応援お願いします。
お気に入りに追加
290
あなたにおすすめの小説
[完結]異世界転生したら幼女になったが 速攻で村を追い出された件について ~そしていずれ最強になる幼女~
k33
ファンタジー
初めての小説です..!
ある日 主人公 マサヤがトラックに引かれ幼女で異世界転生するのだが その先には 転生者は嫌われていると知る そして別の転生者と出会い この世界はゲームの世界と知る そして、そこから 魔法専門学校に入り Aまで目指すが 果たして上がれるのか!? そして 魔王城には立ち寄った者は一人もいないと別の転生者は言うが 果たして マサヤは 魔王城に入り 魔王を倒し無事に日本に帰れるのか!?
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します
ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!!
カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

日本列島、時震により転移す!
黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。
スライムすら倒せない底辺冒険者の俺、レベルアップしてハーレムを築く(予定)〜ユニークスキル[レベルアップ]を手に入れた俺は最弱魔法で無双する
カツラノエース
ファンタジー
ろくでもない人生を送っていた俺、海乃 哲也は、
23歳にして交通事故で死に、異世界転生をする。
急に異世界に飛ばされた俺、もちろん金は無い。何とか超初級クエストで金を集め武器を買ったが、俺に戦いの才能は無かったらしく、スライムすら倒せずに返り討ちにあってしまう。
完全に戦うということを諦めた俺は危険の無い薬草集めで、何とか金を稼ぎ、ひもじい思いをしながらも生き繋いでいた。
そんな日々を過ごしていると、突然ユニークスキル[レベルアップ]とやらを獲得する。
最初はこの胡散臭過ぎるユニークスキルを疑ったが、薬草集めでレベルが2に上がった俺は、好奇心に負け、ダメ元で再びスライムと戦う。
すると、前までは歯が立たなかったスライムをすんなり倒せてしまう。
どうやら本当にレベルアップしている模様。
「ちょっと待てよ?これなら最強になれるんじゃね?」
最弱魔法しか使う事の出来ない底辺冒険者である俺が、レベルアップで高みを目指す物語。
他サイトにも掲載しています。

美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった
ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます!
僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか?
『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる