11 / 185
第一章
スキャン能力
しおりを挟む
「お疲れ様」
俺が戻ると、しいちゃんとエリスは焚火を囲んでくつろいでいた。
焚火の周囲では、鶏肉を挿した櫛が何本か並んで立てられ、肉が火で炙られている。
エリスがその中の一本を取った。
肉から滴った油が焚火に落ちて、火が一瞬大きくなる。
「どうしたの? その肉」
俺がそう言うと、しいちゃんは意外そうな顔をした。
「気が付いてなかったの?」
「何が?」
「ランドール。あんた、エリスちゃんの精気を吸った後で、鳥を捕まえたでしょう」
「ああ」
捕まえたと言っても、殺すつもりじゃない。
身体の構造をスキャンするためだ。
エリスの精気を吸った後、俺は自分にいろんな能力がある事に気が付いた。
その一つが造形能力。自分の身体の一部を何かの形に変形させる能力だ。
ただ、それには俺の中にある脳のような器官に、その形のデータを入力する必要がある。
前世の俺の姿は、オプションというか、サンプルというか、転生時点でデータが入っていたらしい。
家具のデータは、しいちゃんからインストールしてもらえた。
しかし、最初から入っているデータはそれだけで、動物とかのデータはない。
その時、俺は自分にスキャン能力がある事に気が付いた。
動物の形とかスキャンしてその形状を三次元データ化して、俺の身体をその通り造形する事ができるのだ。
さっそく、雉のような鳥を捕まえて形状をスキャンしてみた。
だが、そのデータを基にして、俺の身体の一部を鳥に変形させてみたのだが上手く飛べない。
どうやら形状だけでは、ダメみたいだ。
鳥の詳細な内部構造だけでなく、鳥の脳にある記憶と経験も必要らしい。
量子レベルのスキャンをかけて、鳥の身体構造から記憶まで正確にデータを取ってから身体の一部を変形させたところ今度は飛ぶことができた。
「しいちゃん。まさか、あの時の鳥を捕まえておいたの?」
スキャンした後、鳥は意識を失っていたがそのうち目が覚めると思って、草むらに放っておいたはずだが……
ん? しいちゃんは憐れむような目で俺を見た。
「ランドール。やっぱり、気が付いてなかったのね」
「何が?」
「動物に、量子スキャンをかけると死んじゃう事があるのよ」
「え? マジで?」
「特にあんた、あの鳥の脳まで量子スキャンしたでしょう。あんな事をすると、脳が破壊されちゃうの」
うわわ! あれって、非破壊検査じゃなかったのか。
鳥さんには悪いことをしてしまった。鳥の記憶によると、あの鳥はあぶれメスで子育て中のヒナはいなかったのが幸いだ。
せめてエリスに食べられて栄養になってくれ。
俺が戻ると、しいちゃんとエリスは焚火を囲んでくつろいでいた。
焚火の周囲では、鶏肉を挿した櫛が何本か並んで立てられ、肉が火で炙られている。
エリスがその中の一本を取った。
肉から滴った油が焚火に落ちて、火が一瞬大きくなる。
「どうしたの? その肉」
俺がそう言うと、しいちゃんは意外そうな顔をした。
「気が付いてなかったの?」
「何が?」
「ランドール。あんた、エリスちゃんの精気を吸った後で、鳥を捕まえたでしょう」
「ああ」
捕まえたと言っても、殺すつもりじゃない。
身体の構造をスキャンするためだ。
エリスの精気を吸った後、俺は自分にいろんな能力がある事に気が付いた。
その一つが造形能力。自分の身体の一部を何かの形に変形させる能力だ。
ただ、それには俺の中にある脳のような器官に、その形のデータを入力する必要がある。
前世の俺の姿は、オプションというか、サンプルというか、転生時点でデータが入っていたらしい。
家具のデータは、しいちゃんからインストールしてもらえた。
しかし、最初から入っているデータはそれだけで、動物とかのデータはない。
その時、俺は自分にスキャン能力がある事に気が付いた。
動物の形とかスキャンしてその形状を三次元データ化して、俺の身体をその通り造形する事ができるのだ。
さっそく、雉のような鳥を捕まえて形状をスキャンしてみた。
だが、そのデータを基にして、俺の身体の一部を鳥に変形させてみたのだが上手く飛べない。
どうやら形状だけでは、ダメみたいだ。
鳥の詳細な内部構造だけでなく、鳥の脳にある記憶と経験も必要らしい。
量子レベルのスキャンをかけて、鳥の身体構造から記憶まで正確にデータを取ってから身体の一部を変形させたところ今度は飛ぶことができた。
「しいちゃん。まさか、あの時の鳥を捕まえておいたの?」
スキャンした後、鳥は意識を失っていたがそのうち目が覚めると思って、草むらに放っておいたはずだが……
ん? しいちゃんは憐れむような目で俺を見た。
「ランドール。やっぱり、気が付いてなかったのね」
「何が?」
「動物に、量子スキャンをかけると死んじゃう事があるのよ」
「え? マジで?」
「特にあんた、あの鳥の脳まで量子スキャンしたでしょう。あんな事をすると、脳が破壊されちゃうの」
うわわ! あれって、非破壊検査じゃなかったのか。
鳥さんには悪いことをしてしまった。鳥の記憶によると、あの鳥はあぶれメスで子育て中のヒナはいなかったのが幸いだ。
せめてエリスに食べられて栄養になってくれ。
0
「死神幼女に勧誘されて異世界のスライムに転生。早く人間になりたい!」エロ要素を抜いてこちらのサイトに載せてみました。よろしければブックマークなどの応援お願いします。
お気に入りに追加
290
あなたにおすすめの小説
[完結]異世界転生したら幼女になったが 速攻で村を追い出された件について ~そしていずれ最強になる幼女~
k33
ファンタジー
初めての小説です..!
ある日 主人公 マサヤがトラックに引かれ幼女で異世界転生するのだが その先には 転生者は嫌われていると知る そして別の転生者と出会い この世界はゲームの世界と知る そして、そこから 魔法専門学校に入り Aまで目指すが 果たして上がれるのか!? そして 魔王城には立ち寄った者は一人もいないと別の転生者は言うが 果たして マサヤは 魔王城に入り 魔王を倒し無事に日本に帰れるのか!?
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します
ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!!
カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。

日本列島、時震により転移す!
黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!


ブラックギルドマスターへ、社畜以下の道具として扱ってくれてあざーす!お陰で転職した俺は初日にSランクハンターに成り上がりました!
仁徳
ファンタジー
あらすじ
リュシアン・プライムはブラックハンターギルドの一員だった。
彼はギルドマスターやギルド仲間から、常人ではこなせない量の依頼を押し付けられていたが、夜遅くまで働くことで全ての依頼を一日で終わらせていた。
ある日、リュシアンは仲間の罠に嵌められ、依頼を終わらせることができなかった。その一度の失敗をきっかけに、ギルドマスターから無能ハンターの烙印を押され、クビになる。
途方に暮れていると、モンスターに襲われている女性を彼は見つけてしまう。
ハンターとして襲われている人を見過ごせないリュシアンは、モンスターから女性を守った。
彼は助けた女性が、隣町にあるハンターギルドのギルドマスターであることを知る。
リュシアンの才能に目をつけたギルドマスターは、彼をスカウトした。
一方ブラックギルドでは、リュシアンがいないことで依頼達成の効率が悪くなり、依頼は溜まっていく一方だった。ついにブラックギルドは町の住民たちからのクレームなどが殺到して町民たちから見放されることになる。
そんな彼らに反してリュシアンは新しい職場、新しい仲間と出会い、ブッラックギルドの経験を活かして最速でギルドランキング一位を獲得し、ギルドマスターや町の住民たちから一目置かれるようになった。
これはブラックな環境で働いていた主人公が一人の女性を助けたことがきっかけで人生が一変し、ホワイトなギルド環境で最強、無双、ときどきスローライフをしていく物語!
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる