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第一章
洞窟の中2
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「あたし逃げて来たのです」
エリスはようやく口を開いた。
「逃げてきた? 誰から?」
しいちゃんの問いにエリスは首を横にふる。
「分かりません」
「心当たりはないの?」
「いいえ。心当たりは一杯あります。あり過ぎて分からないのです」
あり過ぎの方かい!
「心当たりがあり過ぎって……あんた、何をやらかしたのよ?」
「何もやっていません。ただ、あたしが狙われるのには理由があるのです。ですが、それは言えません」
「どうして? 言ったら、あたしもあんたを狙うとでも? あたしみたいな子供が怖いの?」
「あなた……人間じゃありませんね」
図星を突かれて、しいちゃんは少し狼狽えた。
「これは驚いた。それが分かるって事は、あなた見かけ通りの村娘じゃないわね。追手の目を誤魔化すために、そんな恰好をしていた。違うかしら?」
「……」
エリスは無言で俯いた。
「まあ、言いたくなきゃ言わなくてもいいわ。それより、どうもお客さんが来たみたいだけど」
「お客さん?」
「武装した男たちが、この洞窟に入って来たわ」
ちなみにそれが分かったのは、糸状に伸ばした俺の身体を洞窟中に張り巡らせてあったから。
その糸状体の近くに人が通ると振動で分かる。それで振動を感知すると、糸状体を変化させて目や耳のような機能を持つ器官にして侵入者の情報を得るのだ。
そしてしいちゃんは、その感覚を俺からリンクして受け取っている。テレパシーのようなものだが、思考までは読み取れていないらしい。
しいちゃんは、さらに言葉を続けた。
「エリスを追ってきたみたいだけど引き渡してほしい?」
「だ……ダメです」
「では、やっつけて欲しい?」
「できれば、そうしてほしいのですが……できますか?」
「できるわよ。まあ、やるのはあたしの部下だけど」
部下って、俺の事かい!
「ただし、タダではやっつけられないわね」
「お金でしたら、この通り」
エリスは懐から皮袋を取り出した。
「ううん……お金じゃダメなのよね」
「では……なにを……?」
「あなたの精気」
「え?」
「あたしの部下が戦うには魔力が必要なの。その魔力の源である精気を分けて欲しいの。大丈夫。死ぬことはないから」
「精気って……まさか!」
エリスは突然周囲を見回した。
そして、今まで自分の座っていたマットレスから飛び上がる。
さらにテーブルや揺り椅子に手を触れた。
「やはり……」
エリスは、しいちゃんを睨みつけた。
「あら? エリスちゃん、気がついちゃった」
「森の中で、あたしを襲ったスライム。あなたの部下ですね」
「ばれちゃったわよ。ランドール。姿を現して」
そんな事言ってもなあ……
「姿なんて、最初から隠していないけどなあ……」
「そうだったわね。じゃあ本来の姿に戻って」
「俺には本来の姿はまだないって、しいちゃんが言ったんだけど」
「そうだった。それじゃあ転生前の姿……と言っても転生直前だとエリスちゃんが怖がるから……」
悪かったな。
「十六歳ぐらいの姿で」
「やってみる」
エリスはようやく口を開いた。
「逃げてきた? 誰から?」
しいちゃんの問いにエリスは首を横にふる。
「分かりません」
「心当たりはないの?」
「いいえ。心当たりは一杯あります。あり過ぎて分からないのです」
あり過ぎの方かい!
「心当たりがあり過ぎって……あんた、何をやらかしたのよ?」
「何もやっていません。ただ、あたしが狙われるのには理由があるのです。ですが、それは言えません」
「どうして? 言ったら、あたしもあんたを狙うとでも? あたしみたいな子供が怖いの?」
「あなた……人間じゃありませんね」
図星を突かれて、しいちゃんは少し狼狽えた。
「これは驚いた。それが分かるって事は、あなた見かけ通りの村娘じゃないわね。追手の目を誤魔化すために、そんな恰好をしていた。違うかしら?」
「……」
エリスは無言で俯いた。
「まあ、言いたくなきゃ言わなくてもいいわ。それより、どうもお客さんが来たみたいだけど」
「お客さん?」
「武装した男たちが、この洞窟に入って来たわ」
ちなみにそれが分かったのは、糸状に伸ばした俺の身体を洞窟中に張り巡らせてあったから。
その糸状体の近くに人が通ると振動で分かる。それで振動を感知すると、糸状体を変化させて目や耳のような機能を持つ器官にして侵入者の情報を得るのだ。
そしてしいちゃんは、その感覚を俺からリンクして受け取っている。テレパシーのようなものだが、思考までは読み取れていないらしい。
しいちゃんは、さらに言葉を続けた。
「エリスを追ってきたみたいだけど引き渡してほしい?」
「だ……ダメです」
「では、やっつけて欲しい?」
「できれば、そうしてほしいのですが……できますか?」
「できるわよ。まあ、やるのはあたしの部下だけど」
部下って、俺の事かい!
「ただし、タダではやっつけられないわね」
「お金でしたら、この通り」
エリスは懐から皮袋を取り出した。
「ううん……お金じゃダメなのよね」
「では……なにを……?」
「あなたの精気」
「え?」
「あたしの部下が戦うには魔力が必要なの。その魔力の源である精気を分けて欲しいの。大丈夫。死ぬことはないから」
「精気って……まさか!」
エリスは突然周囲を見回した。
そして、今まで自分の座っていたマットレスから飛び上がる。
さらにテーブルや揺り椅子に手を触れた。
「やはり……」
エリスは、しいちゃんを睨みつけた。
「あら? エリスちゃん、気がついちゃった」
「森の中で、あたしを襲ったスライム。あなたの部下ですね」
「ばれちゃったわよ。ランドール。姿を現して」
そんな事言ってもなあ……
「姿なんて、最初から隠していないけどなあ……」
「そうだったわね。じゃあ本来の姿に戻って」
「俺には本来の姿はまだないって、しいちゃんが言ったんだけど」
「そうだった。それじゃあ転生前の姿……と言っても転生直前だとエリスちゃんが怖がるから……」
悪かったな。
「十六歳ぐらいの姿で」
「やってみる」
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「死神幼女に勧誘されて異世界のスライムに転生。早く人間になりたい!」エロ要素を抜いてこちらのサイトに載せてみました。よろしければブックマークなどの応援お願いします。
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