死神幼女に勧誘されて異世界のスライムに転生。早く人間になりたい!

クラーゲン

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第一章

洞窟の中1

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 洞窟の中で、彼女は目を覚ました。

「ここは?」

 キョロキョロと周囲を見回す。
 
 目に映るのはむき出しの岩肌。どうも、鍾乳洞のようだ。
 
 鍾乳洞の中で、マットレスのような物が敷かれてその上に寝かされていた。

 その横にあるテーブルの上でランプが灯されている。

 だから、洞窟の中なのに明るかったのだ。

 そのテーブルの傍にある揺り椅子に、大きな人形が置かれている。

 いや、人形じゃない。
 
 人形のように可愛らしい幼女だ。

 ふいに幼女がこっちを見る。

「あら? 目が覚めたの」
「あの……ここはどこ?」
「あたし達が住処にしている洞窟よ。あんた、洞窟の前に倒れていたのよ」
「洞窟の前に?……私が……」

 ちなみに、この揺り椅子もテーブルもマットレスもすべて俺だ。俺の身体の一部を変形させた物。これらの家具は、すべて糸のように細い身体で繋がっている。

 スライムになってから、こういう事が出来るようになってしまったのだ。

 ちなみに俺の本体は、テーブルの上に乗っかっているランプ。

 一見すると、ガラスのランプシェードの中で油が燃えて光っているように見えるが、この光は俺の生体エネルギーを光に変換しているのだ。

 唯一、俺の一部じゃないのは……

「あたしはシエラ。しいちゃんと呼んでね」

 幼女……いや、死神のしいちゃんはさりげなく自己紹介をした。シエラなんて名前は、適当に考えたのだろうと思うが……

「しいちゃん? 私、エリスっていいます」
「エリスちゃん。なんで森の中に倒れていたの?」

スライム……つまり、俺に襲われたと知っていてこんな事を聞くのもなんだけど……いや、しいちゃんが知りたいのはそんな事ではない。

そもそも、この女の子、エリスはなぜ森の中にいたのか?

 あの後調べたのだが、この近くには人里らしきものがまったく見当たらない。

 約十キロ四方が、鬱蒼とした森に覆われている。

 俺は一週間ほど前にこの森の中で転生したのだが、エリスに会うまで人間の姿を見たことがなかった。

 そのうち誰か来るだろうと思って、森の中で待ち構えていたが誰も通らない。

 そろそろヤバイと思ったところへ、エリスが通りかかったのだ。

 エリスから精気を吸収したおかげで、俺はいろいろな能力を使えるようになった。

 まず、身体の一部を鳥に変形させて、森の上空を飛び回ってみたのだが近くに人里が全く見当たらなかったのだ。

 では、エリスはどこから来たのか? どう見ても、エリスは徒歩移動だ。

 女の子が一人で、こんな人里離れたところまで徒歩で移動するものだろうか?

 しいちゃんは、今からそれを聞き出そうとしているわけだ。
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