四季

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出逢い

冬の少年

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冬はそーっとその家の中を覗いた。中にはひとりの女の子がいる。
思い切ってコンコンッと窓を叩いてみた。

「だぁれ?」

すると、中にいた女の子が気付いて窓を開けた。
その瞬間、暖かな空気が外へ流れてきた。中の女の子と目が合う。

「ぼく、冬といいます。あの⋯弥々さんに会いにきたんです」


冬は「突然すみません」とゆっくり頭を下げた。
冬はどこまでもマイペースで、おっとりとしている性格のせいで夏よりもさらに子供っぽく見えた。

「冬君⋯そこじゃ寒いでしょ?中に入ってきて!」

弥々は優しく笑って冬を家の中へ迎え入れ、温かい飲み物を差し出した。

「ありがとう⋯」

ふにゃっと笑ってカップを受け取り、こくんっと飲むとそれはとても優しい味がした。






そして時間が過ぎ、12月25日。クリスマスになった。
冬が家に行くと弥々が1人で座っていた。

「弥々さん、おひとりなんですか?」

「うん、お父さんもお母さんもお仕事で帰りが遅いから⋯毎年クリスマスはひとりなの」

「⋯さみしい?」

「少し⋯でも、今年は冬君がいるからさみしくないよ!」

弥々は笑ってそう言うが、その笑顔はやはりさみしそうで、どこか無理をしているように見えた。
そんな弥々を見て冬は突然立ち上がり、外へと出て行った。

「冬君?」

「見ててね」

そう言うと冬はどこからか鈴を取り出し、ゆっくりと舞い始めた。
静かな場所にシャン…シャン…という鈴の音だけが響き渡る。

ふと、冷たいものが弥々の顔に当たった。
空を見上げる。

「うわ~!雪だ⋯!」

空から、はらりはらりと雪が舞うように降りてきた。

まるで、冬の舞に合わせて踊っているみたいだ。
冬が舞い終わっても雪は降り続けている。

「プレゼント⋯」

「クリスマスの?」

冬は頷いた。

「冬君、ありがとう!最高のクリスマスプレゼントよ!」

弥々の嬉しそうな顔を見て、冬も嬉しそうに笑った。







――そして、12月30日の夜。

弥々は冬が身支度をしていることに気が付き、問いかけた。

「冬君、どこにいくの?」

「みんなのもとへ行ってきます」

「えっ?もう帰っちゃうの!?」


春、夏、秋の誰よりもずっと早い帰還に弥々は驚いていた。

「ううん⋯まだ帰らない。一日⋯二日間、天界に帰るだけ⋯。またすぐに戻ってきます」

「本当?」

「うん」

「そっか⋯引き止めてごめんね」


申し訳なさそうな顔をしている弥々に、
冬はニコッと笑い「またね」と言ってその場から去っていった。
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