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第六章
降臨祭 ⑴
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(side ローズ)
早い時間から行われた礼拝堂の掃除は、いつもよりも入念に行われた。
たまには寝坊するリリアさんも、流石に今日は来ていたよね。遅刻ギリギリだったけど。
清掃を終えて、王族を出迎える準備のため、裏門側ロータリーにやってきたら、早くも王国騎士の隊が整列していた。
配置図によると、今朝裏門を出発する騎士は、第七旅団の精鋭600名ほど。これで中隊二つ分ということらしい。
その隊列の正面で、受勲式の時レンさんの髪をセットしたと思しき白髪の中隊長さんが、何やらびっしり書き込まれた書類を片手に、細かく指示を出している。
ええと、確かディルアーク中隊長だったかな?
なるほど、彼は有能そうだわ。
随分若くていらっしゃるのに、彼よりも年上の部下たちが、真摯な態度で話を聴いている。
因みに二隊あるわけだから、中隊長は 当然もう一人いる。
その人は老齢……というより、もはや引退間近っぽい のほほんとした雰囲気のおじいちゃん騎士さんなのだけど、彼はディルアーク中隊長にお任せ状態なのか、後ろに置かれた椅子に陣取りお茶を飲んでいる様子。
これもまた、信頼のあらわれなんだろうな。
それにしても、これだけの人数が揃っていると壮観だわ。
わたしは、感嘆の溜め息をおとす。
こういう、出陣式の騎士さんの様子が見られるところなんかは、聖女候補特権な気がする。
横にいるリリアさんは、げんなりした表情をしているけど……。
「むさくるしい……」
ああ。
心の声が、つい漏れてしまったみたい。
リリアさんて、本当に体育会系男子に興味ないよね。
苦笑いで頬を掻いた時、聖女付き聖騎士筆頭エンリケ様が事務局から出てきた。
時を同じくして、計ったかのようにディルアーク中隊長が指示を終え、その直後、教会の鐘が開門の時刻を知らせる。
すごい! 偶然かな?
エンリケ様は、事務局にある振り子時計を確認して、予定の時間より少し早めに出てきたのだと思うのだけど、ロータリーには、そう言った類の時計はない。
どうでも良い情報だけど、聖堂前広場の中心には、三角形のオブジェが建てられていて、聖堂の鐘撞塔の上から見ると、これが日時計になっているということを、わたしはつい最近知った。
昔は、これを見て聖堂の鐘を鳴らしていたのですって。
因みに、雨天や曇、夜間は、鐘撞塔の内部に置かれた水時計を使用していたそうで、微妙に時間が狂い、近隣から苦情もあったとか。
今は、礼拝堂の中に置かれた振り子式柱時計を使っているので、随分楽になったのだと、以前マルコさんが話していた。
そんな具合なので、中隊長さんが時間にぴったり合わせたことに驚いたのだけど、自分の話にかかる時間とか、把握していたのかもしれないよね。
時間を図りながら、何度も話す練習したのだとしたら、なんて実直な方だろう。
そういったところで、レンさんと気が合うのかもしれない。
わたしが一人で納得しているうちに、中隊長二人はエンリケ様と握手を交わしている。
そこから、エンリケ様の挨拶。
それが終わると、ディルアーク中隊長は腰に差していた指揮棒を抜いた。
音楽の指揮者が振るタクトでは無くて、装飾のついたステッキ状のあれね。
以前、模擬戦準備の時に、似た形状のものを神官長が振り回していたけど、結局何の意味もなさなかったので、わたし的に役立たずの烙印を押していた、あの棒。
中隊長がそれを振り上げると、ラッパ部隊がファンファーレを吹き鳴らした。
それから中隊長は、縦横無尽に指揮棒と左手で指示を出していく。
驚いたのは、『騎士隊だから、端から順番に動き始めるだろう』と考えていたわたしの予想が、まるっきりはずれていたこと。
小隊ごと二列になった騎士たちは、指揮された通り、ほぼ一斉にバラバラな方向へ動き出したんだけど、不思議なほどお互いの進行の邪魔にならず、効率良く前進していく。
そして、ものの数十秒で、外に出かける班、聖堂内の警備にあたる班、休憩の班の配置に分かれてしまった。
何これ?? 魔法?
「へぇ。聞いてはいたけど、こりゃ見事だ」
唐突に、斜め後方から知っている声が聞こえて、わたしは思わず振り返る。
「え……。ユーリーさん⁈ 随分と早いお越しですね」
「いや。動いてないだけ。実は、二晩ほど聖堂で寝泊まりしていたんだ」
「そうだったんですか。それは、お疲れでしょう。ありがとうございます」
わたしは慌てて頭を下げた。
第六と第七の中小隊長級が、宿舎不足を名目に、全体会議の晩から聖堂に滞在していることは知っている。
でも、公にされていないだけで、多分本来の目的は、聖堂有事の際の防衛部隊増員だよね。
ユーリーさんは、そこに組み込まれていたってことなのかな?
いずれにせよ、木製のベンチで寝るのは絶対疲れると思うの。それでいて、守って貰ったわたしたちは、ベッドで休んでいるわけだから、本当に頭が下がる。
「いやいや。各門に詰めてる騎士に比べたら、全然高待遇だから。おれは、戦闘要員じゃなくて、王宮への伝令要員で残っただけだしね?」
「それでも、おかげで安心して過ごせましたから。ありがとうございます」
「そう言ってもらえれば、残ったかいが有るけどさ。まぁ、おれとしては、ツィグ君の采配が見れて役得だったよ。あ、ディルアーク中隊長のことね」
「すっかり仲良しですね」
微笑ましくて、わたしは笑顔になる。
男性同士って、気付けば仲良くなっているよね。そうじゃなくても、ユーリーさんは人たらしだから、二晩も同じ場所で寝泊まりしていれば、仲良くなっちゃうのかな? 羨ましいな。
ユーリーさんは、笑顔を返してくれた。
「うん。彼は明るくて気持ちの良い子だからね。その上、昨日レン君に話を聞いたら、隊長職向きだと絶賛してたからさ。折角だし見ておこうと……そしたら、ホント、見事としか言いようがないよ」
そう言って、うんうんと頷くので、わたしも同意するように頷く。
「ああいった有能な方に守って頂けるのですから、聖女様も安心して王都外勤務に行けますよね。今の!まるで、魔法みたいでした」
「ああ。あんな複雑で美しい移動は、おれも初めて見たよ。あの人数をこうも容易く操るんだ。同じ陣営で戦うなら、これほど心強い味方はいない。レン君が言うには、彼が中隊長職についてから、遠征先での騎士の死傷者数が、劇的に減ったらしいしね」
「へぇ。凄いですね」
調子よく相槌を打ちつつ、これを聴いた わたしは、背筋が僅かに冷たくなったのを感じていた。
物語の中で、聖女になったわたしと共に、マグダレーン遠征をしてくれるのが、この第七旅団をはじめとする三つの旅団。
そして、策を巡らせ、彼らを勝利へと導く采配を振るうのが、このユーリーさんだ。
この有能な二人が、今このタイミングで接触したことに、女神様の意思みたいなものを感じてしまう。
あの中隊長ならば、ユーリーさんが組み立てた戦略通りに、部隊を率いることができるに違いない。
そして、その二人を結びつけたのが、レンさん……つまり、聖騎士なわけで。
基本仲のよくない王国騎士と聖騎士が、手を取り合って巨悪と戦う図式が、ここに完成したことになる。
それは、とても心強いことのはずよね?
でも、防衛戦争が間近に迫っている気配を感じて、無性に不安になってきてしまった。
ああもうっ!
弱気になって、まったくダメだめだわ。
わたしは頭を振った。
今ここで、わたしがどんなに思い悩んだって、物語の道筋は変えられないのだから、有能な人同士が繋がったことを、ひとまず喜ぶべきよ。
そして、ここに、もう一組の集団が手を組むのよね。その中心人物は……。
そう考えた時、裏門から別の一団が、聖堂の中へと入ってきた。
それは、真っ白なローブを着た集団。
一斉にこちらに来るだけで、威圧感というか、何と無く怖い印象を受ける。
王宮魔導士連。
その中心に、わたしの想像していた人物が居た。
そっか。
魔導士長様は、国王様の馬車の隊列の中だから。
いや、それにしても、何故中央に?
存在感ありすぎるよね?
何処か軽薄に見える、いつも通りの笑顔を浮かべた海の色の瞳の魔導士、ジェフ様は、門の近くにいるわたしに気づくと、柔らかく微笑み、手を振ってくれた。
早い時間から行われた礼拝堂の掃除は、いつもよりも入念に行われた。
たまには寝坊するリリアさんも、流石に今日は来ていたよね。遅刻ギリギリだったけど。
清掃を終えて、王族を出迎える準備のため、裏門側ロータリーにやってきたら、早くも王国騎士の隊が整列していた。
配置図によると、今朝裏門を出発する騎士は、第七旅団の精鋭600名ほど。これで中隊二つ分ということらしい。
その隊列の正面で、受勲式の時レンさんの髪をセットしたと思しき白髪の中隊長さんが、何やらびっしり書き込まれた書類を片手に、細かく指示を出している。
ええと、確かディルアーク中隊長だったかな?
なるほど、彼は有能そうだわ。
随分若くていらっしゃるのに、彼よりも年上の部下たちが、真摯な態度で話を聴いている。
因みに二隊あるわけだから、中隊長は 当然もう一人いる。
その人は老齢……というより、もはや引退間近っぽい のほほんとした雰囲気のおじいちゃん騎士さんなのだけど、彼はディルアーク中隊長にお任せ状態なのか、後ろに置かれた椅子に陣取りお茶を飲んでいる様子。
これもまた、信頼のあらわれなんだろうな。
それにしても、これだけの人数が揃っていると壮観だわ。
わたしは、感嘆の溜め息をおとす。
こういう、出陣式の騎士さんの様子が見られるところなんかは、聖女候補特権な気がする。
横にいるリリアさんは、げんなりした表情をしているけど……。
「むさくるしい……」
ああ。
心の声が、つい漏れてしまったみたい。
リリアさんて、本当に体育会系男子に興味ないよね。
苦笑いで頬を掻いた時、聖女付き聖騎士筆頭エンリケ様が事務局から出てきた。
時を同じくして、計ったかのようにディルアーク中隊長が指示を終え、その直後、教会の鐘が開門の時刻を知らせる。
すごい! 偶然かな?
エンリケ様は、事務局にある振り子時計を確認して、予定の時間より少し早めに出てきたのだと思うのだけど、ロータリーには、そう言った類の時計はない。
どうでも良い情報だけど、聖堂前広場の中心には、三角形のオブジェが建てられていて、聖堂の鐘撞塔の上から見ると、これが日時計になっているということを、わたしはつい最近知った。
昔は、これを見て聖堂の鐘を鳴らしていたのですって。
因みに、雨天や曇、夜間は、鐘撞塔の内部に置かれた水時計を使用していたそうで、微妙に時間が狂い、近隣から苦情もあったとか。
今は、礼拝堂の中に置かれた振り子式柱時計を使っているので、随分楽になったのだと、以前マルコさんが話していた。
そんな具合なので、中隊長さんが時間にぴったり合わせたことに驚いたのだけど、自分の話にかかる時間とか、把握していたのかもしれないよね。
時間を図りながら、何度も話す練習したのだとしたら、なんて実直な方だろう。
そういったところで、レンさんと気が合うのかもしれない。
わたしが一人で納得しているうちに、中隊長二人はエンリケ様と握手を交わしている。
そこから、エンリケ様の挨拶。
それが終わると、ディルアーク中隊長は腰に差していた指揮棒を抜いた。
音楽の指揮者が振るタクトでは無くて、装飾のついたステッキ状のあれね。
以前、模擬戦準備の時に、似た形状のものを神官長が振り回していたけど、結局何の意味もなさなかったので、わたし的に役立たずの烙印を押していた、あの棒。
中隊長がそれを振り上げると、ラッパ部隊がファンファーレを吹き鳴らした。
それから中隊長は、縦横無尽に指揮棒と左手で指示を出していく。
驚いたのは、『騎士隊だから、端から順番に動き始めるだろう』と考えていたわたしの予想が、まるっきりはずれていたこと。
小隊ごと二列になった騎士たちは、指揮された通り、ほぼ一斉にバラバラな方向へ動き出したんだけど、不思議なほどお互いの進行の邪魔にならず、効率良く前進していく。
そして、ものの数十秒で、外に出かける班、聖堂内の警備にあたる班、休憩の班の配置に分かれてしまった。
何これ?? 魔法?
「へぇ。聞いてはいたけど、こりゃ見事だ」
唐突に、斜め後方から知っている声が聞こえて、わたしは思わず振り返る。
「え……。ユーリーさん⁈ 随分と早いお越しですね」
「いや。動いてないだけ。実は、二晩ほど聖堂で寝泊まりしていたんだ」
「そうだったんですか。それは、お疲れでしょう。ありがとうございます」
わたしは慌てて頭を下げた。
第六と第七の中小隊長級が、宿舎不足を名目に、全体会議の晩から聖堂に滞在していることは知っている。
でも、公にされていないだけで、多分本来の目的は、聖堂有事の際の防衛部隊増員だよね。
ユーリーさんは、そこに組み込まれていたってことなのかな?
いずれにせよ、木製のベンチで寝るのは絶対疲れると思うの。それでいて、守って貰ったわたしたちは、ベッドで休んでいるわけだから、本当に頭が下がる。
「いやいや。各門に詰めてる騎士に比べたら、全然高待遇だから。おれは、戦闘要員じゃなくて、王宮への伝令要員で残っただけだしね?」
「それでも、おかげで安心して過ごせましたから。ありがとうございます」
「そう言ってもらえれば、残ったかいが有るけどさ。まぁ、おれとしては、ツィグ君の采配が見れて役得だったよ。あ、ディルアーク中隊長のことね」
「すっかり仲良しですね」
微笑ましくて、わたしは笑顔になる。
男性同士って、気付けば仲良くなっているよね。そうじゃなくても、ユーリーさんは人たらしだから、二晩も同じ場所で寝泊まりしていれば、仲良くなっちゃうのかな? 羨ましいな。
ユーリーさんは、笑顔を返してくれた。
「うん。彼は明るくて気持ちの良い子だからね。その上、昨日レン君に話を聞いたら、隊長職向きだと絶賛してたからさ。折角だし見ておこうと……そしたら、ホント、見事としか言いようがないよ」
そう言って、うんうんと頷くので、わたしも同意するように頷く。
「ああいった有能な方に守って頂けるのですから、聖女様も安心して王都外勤務に行けますよね。今の!まるで、魔法みたいでした」
「ああ。あんな複雑で美しい移動は、おれも初めて見たよ。あの人数をこうも容易く操るんだ。同じ陣営で戦うなら、これほど心強い味方はいない。レン君が言うには、彼が中隊長職についてから、遠征先での騎士の死傷者数が、劇的に減ったらしいしね」
「へぇ。凄いですね」
調子よく相槌を打ちつつ、これを聴いた わたしは、背筋が僅かに冷たくなったのを感じていた。
物語の中で、聖女になったわたしと共に、マグダレーン遠征をしてくれるのが、この第七旅団をはじめとする三つの旅団。
そして、策を巡らせ、彼らを勝利へと導く采配を振るうのが、このユーリーさんだ。
この有能な二人が、今このタイミングで接触したことに、女神様の意思みたいなものを感じてしまう。
あの中隊長ならば、ユーリーさんが組み立てた戦略通りに、部隊を率いることができるに違いない。
そして、その二人を結びつけたのが、レンさん……つまり、聖騎士なわけで。
基本仲のよくない王国騎士と聖騎士が、手を取り合って巨悪と戦う図式が、ここに完成したことになる。
それは、とても心強いことのはずよね?
でも、防衛戦争が間近に迫っている気配を感じて、無性に不安になってきてしまった。
ああもうっ!
弱気になって、まったくダメだめだわ。
わたしは頭を振った。
今ここで、わたしがどんなに思い悩んだって、物語の道筋は変えられないのだから、有能な人同士が繋がったことを、ひとまず喜ぶべきよ。
そして、ここに、もう一組の集団が手を組むのよね。その中心人物は……。
そう考えた時、裏門から別の一団が、聖堂の中へと入ってきた。
それは、真っ白なローブを着た集団。
一斉にこちらに来るだけで、威圧感というか、何と無く怖い印象を受ける。
王宮魔導士連。
その中心に、わたしの想像していた人物が居た。
そっか。
魔導士長様は、国王様の馬車の隊列の中だから。
いや、それにしても、何故中央に?
存在感ありすぎるよね?
何処か軽薄に見える、いつも通りの笑顔を浮かべた海の色の瞳の魔導士、ジェフ様は、門の近くにいるわたしに気づくと、柔らかく微笑み、手を振ってくれた。
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