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第五章

新作ドレス発表⑶ 贈り物の真意は?

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 (side ローズ)


 新作ドレスの発表は滞りなく進み、わたしは、予定されていた通りの受け答えを、無事に済ませることに成功した。

 はぁ。
 打ち合わせ通りで良かったぁ。

 ひとまず胸を撫で下ろす。

 あとは、エミリオ様とのダンスを、失敗なく終わらせられれば、ミッション成功だわ。

 エスコートして頂きながら、もう一度頭の中でステップを確認。


 う~~。緊張する!

 コレだけ注目を浴びている中で、エミリオ様は堂々とした態度で、わたしをダンスフロア中央まで案内して下さる。

 すごいなぁ。
 それは、幼い頃から場慣れされているのだろうけど、緊張とか全然しないのかな?
 わたしより年下なのに、頼もしいな。

 羨望の眼差しを向けていると、エミリオ様と目が合った。

 こうしてダンスを踊らせて頂くのは二度目になる。  
 その時と比べて、随分と凛々しくなった面差し。
 誰の目から見ても、素敵な王子様に成長しつつあるエミリオ様と、こんな風に踊らせて頂けるなんて、とても光栄なことだ。
 
 しっかりしなければ!

 エミリオ様に笑顔を向けると、彼からかえってきたのは、何処かぎこちない微笑み。
 気づけば、つないだ手は僅かに汗ばみ、冷たくなっている。
 
 ……あれ? 
 もしかして、エミリオ様も緊張している?
 それを押し隠して、堂々として見せているのだとしたら、何て愛おしいんだろう。


「緊張しますね」


 同じ気分であると伝えたくて、外野に聞こえないようにそっと囁くと、彼は湯気が出そうなほど顔を赤らめた。

 ……あ。
 緊張していると、わたしに知られたくなかったかな?
 余計なことを言ってしまったと、こっそり反省。


「わるい。滑るといけないから、手を拭くな」


 エミリオ様は、ハニカミ笑顔で一度手を引いて、ポケットのハンカチで手を拭ったあと、再度繋ぎ直した。

 そこに、音楽の演奏が始まる。
 わたしは、エミリオ様のリードに合わせて足を踏み出した。

 あら?あらら?
 何これ。
 びっくりするほど踊りやすい。

 最初に踊った時も、こちらの技量に合わせた見事なダンスに驚かされたけど、今回は更に、そこにご自身の意志が感じられる動き。

 わたしのステップに合わせつつも、ご自身で設定した目的地に連れて行ってくださるから、あ……ほら。
 今、見せ場になっているターンを、下の会場から見えやすいフロアのきわで出来るように誘導してくれた。

 フロアの際は崖になっているから、普通に踊っていたら、少し怖さを感じてしまうところ。
 でも、上手にご自身を盾にして、下が見えないよう進んでくれるから、安心感がすごい。

 それから、普段はヴェロニカ様と踊っているわけだから、歩幅とか、随分違うものになっていると思うのに、どういうことなのかしら?
 このピッタリ合う感じ。

 ちらりと進行方向を向く、綺麗なエメラルドの瞳を見ながら、ふと気付いた。

 あ。
 目線が。

 つまり、歩幅がぴったり!ということなのね。
 それは、エミリオ様の身長が、わたしに追いついたということ。

 そう考えたら、突然胸がきゅーーっとした。

 あわわ。
 今まで、弟みたいな可愛い男の子認定だったのに、『ああ、男の人だ』って、初めて認識してしまった。

 彼はこれから、益々身長が伸びて、凛々しくカッコよくなっていくんだろうなぁ。

 視線が合うと、エミリオ様は無邪気に微笑んでくれる。

 ふわわっ!
 大人っぽさと少年の狭間を、行ったり来たり。
 ギャップがやばい。

 こ、こんなの、誰だってドキドキしちゃうでしょうっ⁈

 恐るべし、メインヒーロー。
 輝いて見えるところも、物語の強制力かな。


 そう言えば、物語では、ミュラーソン公爵家二回目のサロンで、主人公がエミリオ様の第二夫人に、ほぼ内定するのよね。

 イングリッド公爵家のサロンで、エミリオ様と こっそり結婚の約束をしたヒロイン。
 その後、彼から贈られた お揃い仕様の真っ赤なドレスを着て、ミュラーソン公爵家のサロンに臨む。

 そのことを知らされておらず、怒り狂った悪役令嬢ヴェロニカ様から苦言を言われたり、周囲のご令嬢に嫌がらせをされるヒロイン。
 そこに、エミリオ様とジェフ様が助けに入り、彼女たちをプチ断罪する、といった流れだったと思う。
 

 現実では、ストーリーの流れとは異なる点も多いけど、お揃いのドレスを贈って頂いたりとか、重なっている部分も多少ある。
 
 そうは言っても、足の負傷でイベントに出席できず、お互いに気持ちを確かめ合う機会を飛ばしてしまっているから、内容的には変わってくるのかな? 

 特に、第二夫人内定に関しては、あまりに飛躍しすぎていて、わたしの感情の方だって追いつかないし、エミリオ様だって、きっとそう。

 だから、幾ら物語大魔神が凄い強制力を使ったとしても……。


「上手くやったわねぇ。ヴェロニカ様は」

「本当に。聖女候補が第二夫人ならば、公爵家にとっても王家にとっても、良縁ですわ」

「彼女が聖女になったら、なおのこと。場合によっては、エミリオ様を国王にと押す声も増えましょうね」

「可能性は高いのではなくて? 英雄のご令嬢ですもの。
 それに、聞きました? あちらのエミリオ殿下付きの騎士、お兄様らしいわよ」

「んまぁ。あちらの精悍な方?お父様にそっくりの美丈夫ではありませんの!」


 ダンスフロア周辺を囲む、最前列のマダム連の囁きが耳に飛び込んできて、わたしは目を瞬いた。

 んんん?

 今、何か、『第二夫人に決まった』みたいな話してました?

 待って?
 寝耳に水ですが?

 だって、わたし、まだ、結婚の話どころか、エミリオ様とお付き合いをするところまでいってないのですが?

 これは一体?

 エミリオ様に視線を戻すと、彼は相変わらず無邪気に微笑んでいる。

 ええと。
 うん。

 エミリオ様には、そんな思惑は無いよね?
 彼は基本、正々堂々、有言実行って感じだもの。

 マダム連が深読みしただけよね? 多分。

 今は余計なことを考えずに、しっかりダンスを終えないと。

 再び意識をそちらに集中して、最後のターン。
 エミリオ様が上手にサポートして下さったので、ほぼ完璧に踊り切ることができた。

 エミリオ様に、深く膝をつくお辞儀で感謝を伝えると、彼は照れくさそうに頬を赤らめながら、お辞儀を返してくれた。
 礼儀作法がしっかり身について、本当に素敵に成長なさったなぁ。

 互いに微笑み合った後、周囲にお辞儀をしていると、前方奥の方から、赤い何かがこちらに向かって突進してくるのが見えた。


「エーミーリーオーさまぁっ❤︎」


 その、地を這うような甘え声に、ぞぞぞっと背筋が泡立つ。

 うん。
 リリアさんだわ。
 彼女も招待を受けていたのね。
 というか、勢いが怨念染みていて、ホラーかな?

 つい固まっていると、エミリオ様がご自身の後ろにわたしを隠して下さった。
 
 わわ。
 ありがとうございます。
 また少し、きゅんとしてしまった。

 でも、多分彼女、私のことなど視界に入ってない気が……。

 すかさず間に入ったヴェロニカ様と小声でいくつか会話を交わした後、リリアさんは エミリオ様の前に進み出ると、にやりと笑った。


「と、言うわけで、私と踊って下さいな? エミリオ様」

「う。しかしだな」

「ヴェロニカ様は、ダメって言いませんでしたよ?」

「……まぁ、そうだが」


 すごい。

 ヴェロニカ様を秒で黙らせて、エミリオ様も完全に弱腰。
 わたしには よく聞こえなかったけど、一体どんな魔法を使ったの?

 なんとなく、脅迫しているような雰囲気に、一歩後ずさる。
 恋する乙女……プリシラさんも怖かったけど、リリアさんもまた、迫力だ。


「エスコートして下さらないの?」


 困ったように、口に指先を当てるリリアさん。
 よく見ると、髪飾りと胸元の花飾りは、赤と濃い紫色が使われていて、エミリオ様の横に立つと、不思議とお揃い感が……。

 あれ?

 お揃いの、殿下から贈られた真っ赤なドレスで登場し、周りの顰蹙ひんしゅくを買うご令嬢って、何だかまるで……。


「あら、あちらのご令嬢も、紫色。
 それに、エミリオ様のお色のドレスって……」

「まさか、贈られたのかしら? それも、内内に?」

「あらまぁ。もう一人お妾候補がいらっしゃるの? それとも……」


 さわさわと、招待客の皆さんが口々に囁いているのが聞こえる。

 リリアさんは、更に一歩前に進み出て、囁いた。


「言うこと聞いてくれないと、リリア、口が滑っちゃうかも?」

「わかった。だが、今はレディーをエスコートしている最中だから、もう少し後にしてくれ」

「マリーさんのこと? だったら、大丈夫! 
 彼女、とっても人気があるんだからぁ。
 機会が有るならエスコートを代わりたい人だって、たくさんいるよ!ねぇ?」


 わたしに向かって尋ねたのかと思い、『そんなことは』と答えようとしたら、それより前に、返答は彼女の後ろから聞こえた。


「そうですよ。殿下。
 幾らお気に入りだからって、ローズちゃんの了承も無しに、独り占めは狡いなぁ。
 それに、聖女候補のリリアさんが、恥を忍んでお願いしているのですから、踊ってあげないのは気の毒では?
 ああ。ご安心下さい。
 その間、ローズちゃんのエスコートは、僕が代わりましょう」

「な。お前……」

 
 エミリオ様は、眉を寄せる。

 リリアさんの斜め後方には、にこやかに微笑む超絶美男子、ジェフ様が立っていた。


「ジェフ……貴方、どうやって?」


 狼狽えたように呟くヴェロニカ様。

 確かに!

 ジェフ様は、ついほんの少し前まで、外の四阿に陣取り、ドレスのカーテンと揶揄されるほどの、たくさんのご令嬢方に囲まれていた。
 現在その場所には、まだご令嬢方が残っているんだけど、各自談笑していて、ジェフ様の元にやって来る素振りは見えない。

 あのって、結構出入り自由な感じなのかな?
 最初に見た時、ご令嬢方は『絶対逃さない』って雰囲気だったけど。


「どうとは? 普通に、歩いてきましたよ?」


 あ。
 わざと はぐらかしましたね。


「それにしても、ベル従姉様。
 新作ドレスは、本当に見事な出来栄えですね!
 大人っぽくて、とても魅力的ですよ。
 僕、感激しました!
 マグダレーン男爵ご夫妻におかれましては、新しいブランドの立ち上げ、おめでとうございます」


 丁寧に挨拶をするジェフ様に、両親は礼をしている。
 ジェフ様はにっこり微笑むと、おもむろに進路をこちらに向け、スタスタとわたしに歩み寄った。


「やぁ、ローズちゃん。とっても可愛いドレスだね。可憐な君に、よく似合っているよ」


 優しい微笑みを浮かべながら唐突に褒められて、わたしの心臓は早鐘をうつ。

 こんな綺麗なお顔の男性に、セクシーなハスキーボイスで、全力で褒められるとか、それ、なんてご褒美?

 
「あ……ありがとう、ございます」


 あ、ダメ。
 照れすぎて、声が上擦った。
 うあ~~。顔が熱い。


「ブランドたち上げのお祝いに、プレゼントを用意させて貰ったよ。受け取ってくれるかな?」

「おい! 何でお前が、マリーに贈り物を?」

「僕、一応、株主ですからね。
 ささやかなお祝いですよ? 何か問題が?」


 突っかかるエミリオ様。
 ジェフ様は、いつも通りの軽薄な笑みを浮かべつつ、さらりと答え、確認をとるようにヴェロニカ様と両親に視線を送る。

 ヴェロニカ様は、額を抑えてため息をつき、巻き込まれたお父様とお母様は、一瞬考えるような目をしたけど、こちらを向いて、小さく頷いた。

 ええと。
 受け取って良いってことかな?

 まぁ、株主からのお祝いの品、と言うことならば、断る理由、無いものね。


「ありがとうございます」


 差し出されたオレンジ色の小箱を受け取り、お礼を言うと、ジェフ様は嬉しそうに微笑む。


「良かったら、開けてみてくれるかい?」


 言われて箱を見ると、それは箱の蓋だけにラッピングが施されており、簡単に開けられる作りになっていることに気づく。

 うなずいて蓋を開けると、中には、はっきりした黄色と淡い青紫色のストライプ柄のリボンが入っていた。
 その中央には、大粒のトパーズが飾られていて、更に布のあちこちには、細かなアメジストが散りばめられている。

 うわぁ。
 なんて言うか、斬新な色の組み合わせなのに、凄くお洒落だわ!

 紫色と黄色やオレンジって、こんなに相性が良い物なの?


「おや。案外、今の君のドレスにも似合いそうだよ。折角だからつけてみない?」


 そう言われたら、断る選択肢無いよね?
 反射的にこくりとうなずくと、ジェフ様の後方に控えていたアメリさんが音もなく寄ってきて、髪飾りを差し替えてくれた。
 うわぁ、どうかな?似合うかな?

 テンションが最高に上がったとき、ジェフ様がわたしの前で礼をした。


「レディーローズマリー? 宜しければ、僕とも一曲、踊って頂けませんか?」


 あ。
 これ、正式なダンスのお誘いだわ。

 そっと差し出さた手に、胸が高鳴る。

 先程宣言していたけど、本当に一番に誘って下さった。そうと自覚すると、胸が締め付けられるように疼いた。

 こんなの、嬉しく無いわけが無いよね?

 それでも何となく、ちらりとエミリオ様に視線をむける。

 そしたら、なんと!リリアさんが、腕にしがみついている。
 積極的だわ。

 この後、この二人も踊るのよね?

 サロンでのダンスは、既婚未婚関係なく自由に踊れることになっているから……それなら。


「喜んで」


 おずおずと手を差し出すと、ジェフ様はにっこり微笑み、ジャケットを脱いだ。

 そして、わたしの手をとりダンスフロアへ。

 エミリオ様たちも、横に移動してきたので、同時に踊るのかな?

 曲が流れ始めたので、丁寧に礼をすると、ジェフ様からも帰ってくる。

 彼は、仕草が洗練されていて、本当にお洒落だな。
 長い手足で、繊細にリードされ、わたしは夢見心地で踊らせて頂いた。


「あら。ジェフ様の衣装は黄色系ですのに、不思議と纏まっていますわね」

「まぁ、ほんと。髪飾りのせいかしら? 不思議と統一感が」

「ね。トパーズのカフスボタンが、髪飾りとお揃いだわ」

「あのシャツも。室内では濃紺に見えましたけど、外でみたら濃い紫色ですわよ!」

「意味深ね~~~!」

 招待客の間では、一斉に別の推測が始まり、ヴェロニカ様が憔悴しながら頭を抱えていたことに、その時のわたしは、気づかなかった。
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