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第五章

ガールズ ボーイズ アフタートーク

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(side ローズ)


 身内の やたら甘酸っぱい現場を目撃してしまい、内心かなり動揺をひきずったまま、わたしはエミリオ様の控室前に戻って来た。
 
 この後お見送りがある関係で、式典の後はここに集合することになっていたから。

 部屋の前には、先に来ていたリリアさんとタチアナさん。
 補佐たちは、中でお話をしているらしく、和やかに談笑する声が、小さく外に漏れ聞こえている。
 わたしが戻るのと時を同じくして、プリシラさんとマデリーンさんもやって来た。

 これで、聖女候補は全員集合。

 因みに、ユーリーさんも途中まで一緒に戻って来ていたんだけど、『ジュリーさんに追いついてしまうのは微妙だから』と言って、途中で別れた。

 結局、わたしはジュリーさんに追い付かなかったから、一緒に来ても無問題だったと思うのよね?
 でも、未だこちら来ないと言うことは、案外、お兄様とレンさんのところに戻ったのかもしれない。
 
 まぁ。
 お兄様は結構本気で凹んでいたし、二人きりというのは、レンさん的にも気まずいに違いない。
 悪意が無かったのは間違いないけど、お兄様がジュリーさんを好きだと言う事実を、本人の前でバラしてしまった格好だもの。
 
 その晩に起きたことを、ある程度知っているらしいユーリーさんだったら、うまくなだめることが出来るのかも?

 それか、まさかジュリーさんの反応を伝えに行った?
 好きなことがバレてしまったのは仕方がないとして、脈有りの可能性を伝えれば、お兄様も持ち直すかもしれない。

 でも…………。
 話されていた内容をよくよく想像してみると、ジュリーさんが赤面したのは、本当に脈があってのことなのか、分からないよね。

 だってだって、お兄様とレンさんの話しを総合すると、『あの晩、寝ぼけたお兄様が、レンさんをジュリーさんと勘違いして押し倒し、顔を寄せて来た』ってことになる。
 レンさんが頭突きをした時、額同士がちゃんとぶつかったってことは、お兄様はキスをしようとしたんだろうな。

 ってっ!
 きゃーっ!ちょっとっ!
 お兄様、ほんと何やってるの?

 それは……二十歳の男性なんだと考えれば、それくらい普通なのかもしれないけど、わたしにはまだ、刺激がつよすぎるわ。

 しかも、ビジュアル的にはあり?とか、微妙に思えてしまうところに、言いもしれない罪悪感と謎の敗北感が……。

 って、問題はそこじゃ無かった。

 その話を聞いたジュリーさんは、絶対恥ずかしかったはず。
 だって、それってつまり、酔ったお兄様がジュリーさんを押し倒したいと思っていたってことで。

 それなら、赤くなるのも無理はないわ。

 あ。うん。
 真っ青にならなかっただけ、幾分マシではあるかしら?
 

「ねぇ、マリーさん」


 一人で想像して、勝手にドギマギしていたら、隣にいたリリアさんが、にやにや笑いで声をかけてきたので、顔を向ける。


「なに?」

「なんだか、心ここにあらずってかんじ。さては、さっきの王国騎士さんに告白でもされた?」

「さっきの王国騎士さん?」

「ほら。勲章もらってた」

「……何のこと?」

「やだー。しらばっくれちゃって。二人でしばらく席外してたじゃない?」


 …………⁈
 もしかして、ユーリーさんのことかな?


「違うよ? 全然別件! お兄様のことで少し……」

「お兄様? えー? でも、マリーさんのお兄様、その後誰かを探しに出て行ったよ?」


 あー。
 そうよね。
 最初は、ジュリーさんがレンさんを呼び出したのが気になっての行動だった。
 それが、結果お兄様に繋がっただけ。


「ええと。とにかく、そういう浮わいた話じゃないよ?」


 別の方向性で、メチャクチャ浮わついた話ではあるけれど。


「またまたー。誤魔化したって無駄なんだから。今週だけで、何人に告白されたの?」

「っう。それは……」


 何で、リリアさんがそんなこと知っているのかな?

 確かに、ここのところ 神官さんとか一般の方から、よく思いをぶつけられるなぁ、とは思っていたけれど。
 というか、神官さんは、聖女候補や聖女が気持ちに応えられないの、分かってますよね?
 どういう意図なのかしら?


「まぁ、どっちでも良いけど、モテて困っちゃうね?」

「好ましく思って頂けるのは光栄だけど、お応え出来ないから、気が滅入るし……って、違くて! 本当に、今日のは違うから!」

「まぁ。随分と下世話な話をなさっているのね? 色恋のことしか、頭にないのかしら?不憫だこと」


 話に割って入ったのは、プリシラさん。
 ここのところ、何故かやたらと風当たりが強い気がする。


恋話コイバナ楽しいですよ? それとも、プリシラさんは、もう諦めたちゃったのかな? 
 ま、全然相手にされないと、ジェラシー感じちゃうんでしょうけどー」


 ちょ……リリアさん?
 何で喧嘩を売るの?
 別に二人は競合しないのに。

 プリシラさんは唇を噛み締め、怒りに身体を振るわせている。


「ふっ……ふん! 私は、聖女になるためにここにおりますのよ。そこのローズマリーさんのように、あらゆる男に色目を使うような、ふしだらな女ではありませんもの」

「……ぇ」


 何故か、矛先がこちらに?

 と言うか、前にターナーさんにもそんなこと言われて、相当ショック受けたんですが、わたし、ふしだらです?
 優柔不断なのは自覚しているけど、そんなあちこちにアピールしているわけでは無いはずで。


「わたし……あちこちに色目なんて……」

 
 この状況において誰もフォローしてくれないってことは、聖女候補の皆さんは、少なからずそう思っているのかな?
 そう考えると、地味にダメージが倍増する。

 あ。まずい。
 泣きそう。


 その時、控室の扉がゆっくり開いた。
 わたしたちは、姿勢を正しお辞儀をする。

 悠然と、こちらに出て来たエミリオ様は、こちらに右手を上げて笑顔で挨拶した直後、驚いた顔でわたしを見た。


「マリー。少しいいか?」

「? はい」


 呼ばれて前に進み出ると、指で横に並ぶよう指示される。

 わたしは、たじろいだ。

 これって、また、影で『色目を使ってる』とか言われるのでは?


「どうした? まだ足が痛むのか?」


 心配そうに声をかけて下さる エミリオ様。
 この優しいお心遣いを無碍にするなんて、さすがに出来ない。


「いえ。すっかり良くなりました。ご心配頂き、有難うございます」


 丁寧に淑女のお辞儀をして、ミゲルさんを先頭に動き出した列に従い、エミリオ様の半歩後ろを歩く。
 その後方で、恨めしげにリリアさんが声を上げた。


「エミリオ様、私も隣が良かったですぅ」

「リリアとは行きで一緒だったろう? 順番だ」


 エミリオ様は、からからと笑って公平性をアピールする。

 これなら、わたしが一方的に秋波を送っているようには見えないよね?
 もしかしたら、控室で外の会話を聞いていて、フォローして下さったのかも?
 

「ところで、マリー。来週のミュラーソン公爵家で行われる舞踏会だが、もうドレスは手元に届いたか?」

「はい。昨日届きました」

「それは良かった。こちらも先日届いたが、素晴らしい仕上がりに、ヴェロニカが感動していた。無論、俺も気に入っている。
 夫人に、くれぐれも宜しく伝えてくれ」

「光栄の至りです。必ずお伝えします」

「うん。披露するのが楽しみだな」

「はい。わたくしでは役不足で、お恥ずかしいですが」

「なーに。誰よりも似合うに決まっている。娘なんだからな」


 色恋とは程遠い、何処か事務的にも感じられる会話を交わしているうちに、あっという間にロータリーに着いてしまった。

 馬車に乗るエミリオ様を見上げると、快活に微笑み、手を振って下さる。

 会う度に、素敵に成長なさるなぁ。

 名残惜しい気持ちになりつつ、わたしは聖堂から出ていく馬車を見送った。




 


「大丈夫かい? とりあえず、涙を拭こうか」


 聖堂中庭で、膝を抱えてかがみ込むオレガノと、その横にしゃがんで付き添っていたレンに近づくと、ユリシーズは声をかけた。


「ユーリーさん?」


 間の抜けた声を上げるオレガノ。
 その横で、レンは静かに立ち上がって頭を下げた。


「その、おれの早とちりで、事態を複雑化させちゃったみたいだ。なんか、ごめんね?」

「へ? どういうことですか?」


 状況が飲み込めず、オレガノは狼狽える。


「オレガノさんがレン君を押し倒す経緯までは見てなかったのに、見たままを伝えて、不安を煽っちゃったからね。
 あの晩、変な気は使わずに、おれがちゃんとレン君に確認すれば良かったんだ」

「いえ。こちらこそ、あの時はっきり『何も無かった』と言うべきでした。
 すみません。
 どうやら冷静さを欠いていたようで」

「無理もないよ。いくら酒豪とはいえ、多少は酔ってただろうし、頭も打っていた」

「えっ? ええっ? ちょっと待って下さい! 何故その話を知っているんです?」


 当然知っているものとして、レンとユリシーズの間でなされている会話に、オレガノは頭を抱えた。


「あれ?気づいてなかった?さっき、あそこでずっと様子を伺っていたんだけど……」

「嘘でしょう?」

「オレガノ様が来る前から、ずっとあちらにいらっしゃいました」


 レンの言葉がとどめとなり、オレガノは地面に四つん這いで手をつくと、いよいよ項垂れた。


「これ、なんて公開処刑?」

「オレガノ様のことですから、気づいていらっしゃるとばかり。
 想像以上に動揺なさっていたのですね。気付かず、申し訳ありませんでした」

「ジュリー副官が、怖い顔でレン君を連れて行ったから、ちょっと心配になってね? 
 まさか、真逆の勘違いをされているなんて、予想外だったけど」


 二人に代わる代わる言われて、オレガノは益々落ち込んでいく。


「恥ずかしすぎて、死にそうだ」

「そうだろうな」

「心中お察しします。
 ところで、ここは隠れているようで、割と人目につきます。他に気になることがあるならば、全てお答えしますので、場所をうつしませんか?」


 レンの提案に、二人は頷くと立ち上がった。






 応接室で話すことも検討されたが、内容があまりにも私的なことであるために、結局、宿舎にあるレンの部屋へ移動することにした三人。


 部屋の前で、食事の誘いに来ていたわんこズ、もとい、ラルフとジャンカルロに鉢合わせてしまう。

 二人は部屋の外で待つと言うが、どのみち聞き耳を立てているなら同じことだと、中に入れることになった。

 そして、話し合うこと数分。


「オレガノ様、諦めるにはまだ早いっす!」

「そうですよ! その場で拒絶されなかったのですから、まだ可能性はありますって!」

「そ?そうかな……」


 現在、オレガノは、何故か部外者の二人に励まされていたりする。


「しかし、いくら女性と間違えたにしたって、どうすれば、この隙のない人を押し倒せるっすか? 」

「確かに!」


 要約を聞かされて、妙に盛り上がってしまったワンコズ。


「いや。自分も全く覚えていなくて……」


 頭を掻きながら、オレガノは眉を下げる。


「クルスさんも、酔っ払いに簡単に転がされるなんて、不用心すぎますよ」


 口を尖らせながら、何故か不満げな声を上げるジャンカルロ。
 レンは、少し考えるように口に手を当てた。


「予想外の行動を取られれば、人は案外簡単に転ぶ。例えば……」


 やおら、横に掛けていたジャンカルロの腕を掴むと、レンは一瞬で彼を目の前の床に転がした。
 そのまま、頭を打たぬよう後頭部を片手で支え、押さえ込むようにもう片方の手を顔の横に置くと、ジャンカルロは何も出来ずに硬直する。


「その相手が、普段絶対しない行動であれば尚更、判断は遅れる。
 その場合、体は瞬間的に硬直するため、このように簡単に転がされてしまうということだ。
 ジャンは可愛らしい顔をしているから、今後こういった状況に置かれることもあるだろう。
 そういった時どう跳ね除けるか、いくつか方法を考えておくと良い」


 至近距離でそう告げられて、ジャンカルロは目を白黒させながらコクコクと頷く。

 その様子を見て、一つ頷きレンが体を起こすと、ジャンカルロは狼狽えながら起き上がって、その場で大人しく縮こまった。


「酒が入れば、人間動きが緩慢になると思われがちですが、抑えが効かない分、力は強くなります。今回は、勘違いで済みましたが、実際に、女性に手を出してはまずいですから」

「分かった。禁酒する。約束だ!」

「そうなのか? 迷惑料で、今晩奢って貰おうと思っていたのに」


 ニヤニヤ笑いのユーリーに、オレガノはげんなりとして頷いた。


「お詫びと口止め料代わりに、今日の全員分の昼食を奢らせてもらうというので、手打ちにしていただけませんか?」


「いえ。そこまでして頂くわけには」
「マジっすか?オレガノ様!さいっこー! 何食べに行きます?肉?」


 レンとラルフは、いつも通り同時に真逆のことを言い、ユリシーズとオレガノは笑った。


「それじゃ、足りないといけないから、少し金を引き出してくる。正午に正門で待ち合わせよう」

 オレガノが、そう言って部屋を出ると、


「じゃ、オレらも行く準備してこよー!」


 未だ膝を抱えて縮こまっているジャンカルロの襟足を掴んで、ラルフも階下に降りていった。


 部屋の中に残っていたユリシーズは、一つ咳払いをしてから、レンに視線を向ける。


「ところで、さっき、オレの横でローズさんも話を聞いてたこと、当然気づいていたよな?」

「…………はい」


 少し考えた後、レンは肯定を返した。


「連れてきたおれが言うのもどうかと思うが、彼女の前で真実を話したのは、何でだい?」

「それは……先に、ジュリー副官の予想をローズさんに聞かれてしまいましたので。
 あの話をそのまま受け取られるは、その、何となく嫌だな、と。
 オレガノ様が気配に気づかなかったのは、予想外でしたし」


 レンは、僅かに眉を寄せた。


「なるほどな。うん。まぁ、ローズさんは誤解していないから大丈夫とだけ、伝えておく」

「やはり罪悪感があるので、食事代は折半します」

「それだと、俺も出さなきゃいけないじゃないか」

 二人は顔を見合わせると、小さくため息をつきながら、部屋を後にした。

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