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第五章

利害の一致

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 舞踏が始まり、賑わい始めた会場の一角。

 ソファーにかけたプリシラは、横に座った銀髪の青年、フランチェスコから逃れるように横へずれた。


「照れなくていいのに」

「照れてなど、おりませんわ」


 冷たい視線を向けるプリシラだが、全く気にしていない様子で、フランチェスコは肩を抱こうとする。
 プリシラは、それから逃れて、隣に置かれた一人掛けのソファーに席をうつした。


「やれやれ。恥ずかしがり屋さんだ」


 肩をすくめるフランチェスコ。

 彼は、輝くばかりの長い銀髪を、リボンで一つに束ねている。
 彫りの深い、彫像のように整った顔を彩る、深いブルーの瞳は、ラピスラズリを思わせる輝き。
 スラリとした体型も、絵になって麗しい。

 見ている分には……。


「それよりも、先程の話の続きを、お聞かせください。ジェファーソン様が、本日王宮に来ているのは、本当ですの?」

「ああ。来ているとも。一応僕の弟だよ?何故来ないと思ったのかな?」

「それは……ジェファーソン様は、本日、会に参加されないと、後輩の聖女候補が言っていたからですわ。現に、晩餐会の会場にもいらっしゃらなかったですし」

「嘆かわしいな。まさか、晩餐会の時から、アレを探していたと言うの?君までジェフに夢中だなんて、やめておくれ。そういう演技をして、僕に嫉妬させる魂胆なんだろう?」


 プリシラは、『信じられない』と言いたげな視線を、フランチェスコに送る。


「三年前の狼藉を、お忘れですの?」

「三年前? 君と僕の夜会での逢瀬を、ジェフに邪魔されたことは覚えているけど?あの時は、君も、さぞ残念だったろうね。僕との目眩めくるめく夜を、フイにされたんだから」

「お話になりませんわ」


 立ち上がろうとするプリシラの手を、優雅な所作で取り、フランチェスコはにっこり微笑む。

 その笑顔は、はっきりと軽薄だ。


「お離しになって!」

「うん。お話ししよう」

「言葉遊びはやめてっ!不愉快ですわ。大きな声を出しますわよ?」

「それでは、君のイメージが悪くなるんじゃないかな?」

「聖騎士を呼ぶだけですわ」

「つれないことを言わないでおくれ。わかったよ。お互いにとって、得になる話をしよう。そう。ジェフがいる場所を教えてあげるから、君も僕に教えてくれないかい?最近ジェフが気に入っている聖女候補が、誰なのか」


 プリシラは眉を寄せる。


「それを聞いて、どうなさいますの?」

「気に入ら無いんだよなぁ。ここのところ、僕の周りに来るレディーたちまで、出てくる話題はジェフのこと。あんな見掛け倒しで、手も出さないような男の、何が良いんだか」

「誰彼構わず手を出すより、ずっと素敵ですわ」

「そう? アイツ、下手クソっぽいじゃないか。僕は上手だよ? 一度天国をみせてあげようか?」

「最低」


 プリシラは、吐き捨てるように言う。
 しかし、フランチェスコには全く響かず、彼は、軽く肩をすくめて微笑んだだけだった。


「残念。気が向いたら、また声をかけてよ。で、そのジェフが、最近、やけに一人の聖女候補を気にかけてるって、ダミアン様から聞いたから」

「ジェファーソン様は、皆に平等ですわ」

「そう? 学校でも、昼食に同席しているそうだし、ダミアン様に紹介するよう頼まれたのに、断ったらしいよ?」

「昼食に同席? 初耳ですわ」

「事実だよ。日程が合う時は、席も用意しているらしいし。今までアイツが、特定のを優遇するなんて無かったから、是非とも その娘、ものにしたいと思って」

「…………」


 プリシラは、口をつぐんだ。
 


(確かに、ジェファーソン様は、ローズマリーさんを特別扱いしている節がありますわ。  
 彼がお忍びで聖堂訪問した際も、彼を案内したのは彼女だったと聞きましたし、その後リリアーナさんが、二人がとても親しげだったと、言いふらしていました。
 魔導披露の後のお茶会会場への案内も、ジェファーソン様本人が、ローズマリー様に頼んだそうですし……。
 そう、それに先日もそうだったわ。
 今まで彼が、サロンの後に『特定の女性を送って帰った』などと言う話、聞いたことがありませんもの。 
 それから、ローズマリーさんには、愛称で呼ぶことを許している……)


 プリシラの胸は、ひどくざわついていた。

 出会ってから、三年以上。
 ドレスのカーテンと揶揄されても、可能な限り近くで、ジェファーソンの事を見て、慕い続けてきたプリシラのこと。

 ジェファーソンのローズマリーに対する態度が、他の女性と違うことくらい、うっすらと気付いていた。

 気付きたくなど無かったが。

 それでも、伯爵令嬢としての常識と聖女候補としての矜持が、プリシラには残っていた。
 
 何より、相手はフランチェスコ。
 碌な結果にならないことは、分かりきっている。


「聖女候補に手を出すことは、何人たりとも、許されていませんわ」

「ダウト。君は気づいているだろう?では、何故君の同期の聖女候補は、婚約している?」

「清い交際は、許可されています」

「違うよ。今日、この会場にいる人間同士の交際や婚姻は、寧ろ推奨されているからさ」

「暴論ですわ」

「事実だよ」


 プリシラは唇を噛む。


(確かに……。
 毎年王宮で開かれる晩餐会は、参加できる人間が厳格に管理されていますのに、いざ会が始まってしまうと、警備体制が緩いのですわ。
 現に、今もそう。
 普段は、聖騎士が必ず数歩で駆けつけられる位置にいますのに、今日、ライアンは私を目で追いつつも、わざと距離を置いているように見えます)


「だから、ね? お互いの利益のために、今日は共闘しないかい? 僕が君に、こっそりジェフの居場所を教えてあげる。だから、君はその聖女候補の情報を、僕に教えてくれれば良いんだ」


 その言葉は、ひどく甘美に、プリシラの耳に響いた。

 一瞬、頷きそうになって、プリシラは慌てて首を振る。


(駄目ですわ!いくらライバルだからといって、何の非も無いローズマリーさんの情報を、手が早いで有名なフランチェスコ様に教えるなんて)


「ああ。心配しなくても大丈夫だよ?君が言ったなんて、誰にも言わないから」

「ですが……」

「それなら、その娘を指差してくれるだけで良い。君が言ったことには、ならないだろう?」

「彼女を、どうするつもりですの?」

「麗しき、後輩に対する愛情だね。大丈夫。曲がりなりにも聖女候補だ。ポイ捨てしたりしないさ。そうだな。僕も良い歳だから、その娘と婚約でもしようかな」

「っ⁈ 正気ですの?」

「だって、最高の嫌がらせだと思わないかい? ジェフは、最愛の娘を、僕に一生奪われる。さいっこうだよ!考えただけで、ゾクゾクするね!」


 フランチェスコは、恍惚とした表情で、その身を自分の両腕で抱きしめ、体を震わせた。
 プリシラは、ゾッとして口元を抑えた。


「最低だと思うかい? でも、僕はアイツに、女性との逢瀬を、今まで何度も邪魔されているんだ。本当は、こんなことじゃ収まらないくらい、アイツのことがムカついてるんだよね」

「それは、貴方が……」

「ねぇ、プリシラ様? もし、今日の計画が成功すれば、ジェフは、きっと抜け殻になるよ? 」


 罵ろうと思って口を開いたプリシラだったが、フランチェスコの言葉に口を閉ざす。


「アイツ、ちゃらちゃらして見せてるけど、アレ、実は僕の真似なんだ。 元々は、バカがつくくらい素直だよ。 子どもの頃は、僕がアイツの大事にしているものを壊すたびに、熱を出して寝込むようなやつだった」

「ひどい……」

「そんなヤツだからこそ、君にチャンスが巡ってくるかもしれないよ? 弱っているときに優しく慰めてあげたら、どうなるかな?」


 耳元で囁かれる甘言に、魔がさしたとしか言いようが無かった。


 プリシラの指は、真っ直ぐに赤い髪の聖女候補、ローズマリーを指す。

 ローズマリーは、バルコニー手前のカーテンの前で、彼女の両親と談笑しているようだった。


「……そう。な~んだ。さっきの娘じゃないか。……うん。純粋そうで容姿も悪くない。それに、さっきの態度。この分なら、上手くいきそうだ」


 いやらしく舌舐めずりをして、フランチェスコは立ち上がろうとする。


「お待ちになって」

「ああ。そうだった。ジェフなら、下の階のロビーで警戒しているよ。あの歳から仕事だってさ。ま、侯爵家を継げないなら、手に職つけるしか無いからね。後で、控室に戻ると装って、行ってみたらいいよ。出来たらついでに、僕の邪魔をしないように足止めしておいてくれると、なお助かるかな?」

「彼女に酷いことは、なさらないで」

「僕が?レディーに酷いことなんて、するわけないじゃないか。お互いに、キモチイイコトをするだけだよ。今回は、ちゃんと責任まで取るんだから、寧ろ高待遇だろう? 将来の侯爵夫人だよ?」

 
 プリシラは押し黙る。


「あぁ~。心配しないで?彼女は正妻になって貰うだけだから、僕のことはいつでも誘ってくれて良いよ」

「……最低」


 フランチェスコは軽薄に笑った。


「さて。それにしても、くくっ。新しい二人のどちらかだと思って、先に手は打っておいたけど、見事にハマったな。それでは、僕は仕込みがあるから、コレで失礼するよ。またね? プリシラ様」


 今度こそ立ち上がって、フランチェスコは、ホールの入り口周辺へと向かうようだ。

 じわじわと、後悔が首をもたげてきて、プリシラは胸を押さえた。


「私は、悪くないですわ……」


 自分に言い聞かせるように、小さく呟く。


(そうですわ。フランチェスコ様が何を言ってこようと、ローズマリーさんさえしっかりとお断りすれば、何事も起こらないはず)


 以前、貞淑であるはずの自分自身が、言葉巧みにフランチェスコに連れ出された事を思い出し、プリシラは身震いする。

 
(あの時、ジェファーソン様が来てくださらなかったら、私はどうなっていたかしら……いえ。男女のことは、自己責任ですもの。私が教えなくても、いずれ何処かから耳に入ること。それよりも)


 プリシラは、周囲を見回して、自らの両親の元へと向かった。


(やるべきことは、今のうちに済ませておきましょう。
 舞踏会も中盤になれば、人がバラけるはずですわ。そのタイミングで、控室での休憩を装ってライアンをまき、階下にいるジェファーソン様の元へ。
 今日のこの姿を見ていただければ、ジェファーソン様の気持ちも、私にうつるかもしれないですわ!それに……)


 『足止めしておいてくれると、尚更助かるかな?』


 無意識に脳裏に響いた言葉に、プリシラは頷いた。


(いつものように会場にはいらっしゃらないけれど、ジェファーソン様は、きっと心配なさっているわ。
 それに、賢い彼のこと。
 もしかしたら、危険を察知して、ローズマリー様を助けにいかれるかも?
 まるで、私が彼に恋に落ちた時と同じように)


 プリシラの胸に、痛みが走る。
 

(足止めしなければ。
 ローズマリーさんが、ジェファーソン様への恋心を自覚してしまえば、私では太刀打ちできませんわ)


 不意に湧き出た焦燥感を、プリシラは抑える事ができず、どのように会場から抜け出すかを模索するのだった。






(side ローズ)


 舞踏が始まったので、わたしは静かにバルコニー側へ移動した。

 最初に踊るのは、エミリオ様とヴェロニカ様。
 完璧にエスコートしているエミリオ様は、とても堂々としている。

 感心しながら眺めつつ、先ほどから気になっている二人にも視線を流した。


 プリシラさん、大丈夫かしら。

 ホールの奥まったところにあるソファーまで移動したプリシラさんは、青ざめた顔で、銀髪の青年の手を振り解いている。

 嫌がっているように見えたから、さっきは止めに入ったんだけど、まさか、あれが恋の駆け引きなの?

 嫌よいやよも好きのうちなんて言葉、正直懐疑的なんだけど、ツンデレの女性からしたら、案外間違ってないのかな?
 

「どうした?ローズ。眉間に皺がよっているぞ」


 苦笑と共に声をかけてきた、優しい低音に、自然と笑顔が溢れる。


「お父様!お母様!」

「ローズ。ごきげんよう。今日はまた、大人っぽくて素敵な仕上がりね。やはり王宮直属の使用人の仕事は、流石だわ」


 お母様も優しい笑顔で褒めてくれて、固くなっていた体の力が抜ける気がした。

 やっぱり、家族に会えるって、安心する。


「オレガノは、舞踏会は、前半休憩番らしい。晩餐会は、ずっと配置についていたから、今、食事中だな」

「そうでしたか。緊張しすぎて、そこまで頭が回りませんでした」


 お父様に言われて、わたしは頷く。

 お兄様。
 晩餐会の時、エミリオ様の後ろにいらっしゃったのね。
 座っていたし、粗相しないことに集中しすぎて、全く気づかなかったわ。

 ごめんなさい!


「あら。仕方が無いわよ。一番後ろの配置だもの。前からは見えないでしょう」

「それはそうだな。しかし、以前は取り立てて頂いてる様だったが、何か殿下の機嫌を損ねたかな?」


 わたしたちは、顔を見合わせて首を傾げる。

 特に、思い当たる節も無いんだけど。


「ところでローズ。しばらく離れているうちに、周りが大分賑やかなようで、私少々心配よ。余裕ができたら、一度宿に説明にいらっしゃい。美味しいお菓子を用意しておくわ」


 さして心配していない顔で、お母様がおっしゃるので、わたしは笑みを返した。

 息抜きに、お茶に誘ってくださっているんだわ。


「明日と明後日はお休みです。そちらは如何ですか?」

「明後日なら良いわ」


 嬉しい!
 久しぶりに、家族水いらずでゆっくり出来るわ。
 お兄様も来られると良いんだけど。

 頬を緩めると、両親も笑ってくれた。


「明日は、朝から忙しいから、今日は前半で帰るけれど、オレガノと入れ替わりになるようにするから大丈夫ね?」

「はい」


 お母様に確認されて頷く。

 それは……少しは心細いけど、お兄様もいてくれるし、私も成人したのだから、しっかりしないと。



 その時、わたしはまだ、気づいていなかった。

 両親に会えたことに安心して、幾らか気持ちが緩んでいたことに。


 



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