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第四章
マジックショー?なにそれ美味しいの?
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(side ローズ)
模擬戦が終了して、休憩の後は余興にあたる魔導披露。
いよいよジェフ様の魔導が見られると思うと、わくわくするよね!
先ほど氷を作られていたけど、あれは魔術の分野だろうから、結局まだ彼の属性が何なのか分からず終い。
どんな魔導が飛び出すのか、本当に楽しみだわ!
聖堂の女子たちの中にも、こちらを楽しみにしていた子が結構いるわけで……。
つい先ほど、ジェフ様がこちらにやって来たのだけど、その時は凄い歓声だったわ。
彼は、後ろにいつもの強面の護衛を従えて、爽やかな笑顔を浮かべながら軽く手を振りつつ、神官テント前を横切った。
老若男女、誰から見ても美しいと受け止められるだろうその微笑に、聖堂陣営が悶絶したよね。
まぁ、わたしから見ると、どこかチャラく見えるわけなんだけど。
……なんて、余裕をかましていたら、視線があった瞬間に、うっとりするほど綺麗な微笑を浮かべた後、妖艶な流し目を残して立ち去っていったから、その場で硬直してしまった。
はぁ。
顔が熱い。
他の人たちに気づかれなかったかしら?
不安になって周囲を見ると、リリアさんがニヤニヤと意味ありげに笑っていて、思わず頭を抱える。
これ、あとで絶対揶揄われる!
他の皆さんは、ジェフ様を見ることに夢中のようだったので、気づかれなかったみたい。
とりあえずは一安心。
ジェフ様は、そのまま聖騎士テントの前へ歩くと、立ち止まる。
休憩に入ってからずっと、エンリケ様にヘッドロックをかけられて、頭を撫でくりまわされていたレンさんは、ジェフ様を見るやいなや、するりと脱出。
あ、逃げられるのに逃げなかったんだ……と、この時悟ったよね。
エンリケ様からのスキンシップを甘んじて受けていたんだと思うと、かなり可愛いんですけど。
レンさんは、小走りにジェフ様に駆け寄り、頭を下げた。
ジェフ様は笑顔で首を振っている。
魔導披露の件かな?
もしかすると、模擬戦後で疲れているであろうレンさんを気遣って、自らこちらに来てくださったのかも?
そうだとしたら、配慮が凄い!
普段は、どことなくチャラい雰囲気が付きまとうけれど、ジェフ様って、ナチュラルに細かな気遣いをなさる方よね。
しかも、階級関係なく。
多くの人に慕われるのには、やっぱりワケがあるんだわ。
レンさんが、ジェフ様に聖騎士テント一番前の空いている席を勧めている。
それを見ていたアメリさんが、すぐさま椅子に近づくと、座面を持参していたらしいクロスで拭い、ジェフ様はそこに腰掛けた。
レンさんは、椅子の横に片膝をついて腰を下ろすと、ジェフ様と小声で話しはじめる。
因みに、現在会場の人たちは、飲み物を求めたりトイレに行ったりと、立ったり座ったり結構ざわついている。
まぁ……神官テントの女性陣は、二人に見入っていて動く気配はないけれど。
そこに、北側ステージ前を横切って、只ならぬ色気を漂わせた美青年がやって来たので、周囲の熱量は更にヒートアップ。
今までは、十代の女子たちが騒いでいたんだけど、今度は少し上の女性神官さんまでもが、そちらに熱視線を送っている。
誰が来たって?
ユーリーさんですね。
試合開始当初は、その重装備にドン引きされていた彼だけど、その後の戦いぶりにか、彼の放つ色気のせいなのか、女性陣の評価は鰻登りみたい。
先の一件で、王子殿下付きの騎士へ配属替えが決まったようだし、将来有望なのは間違いないから、今後ますます人気が出るんだろうな。
ユーリーさんは、ジェフ様とレンさんのところにやってくると、レンさんの横に同じように腰を下ろした。
手には、先ほどの魔法具を持っている。
試合中にレンさんがお願いしていたから、持ってきてくれたのかな?
でも、ジェフ様もいらっしゃるのに大丈夫かしら?などと、心配してみたけれど、どうやら余計なお世話だったみたい。
ジェフ様とユーリーさんは、何故かとても親しげに話をしている。
知り合いだったのかしら?
それにしては、接点がない気がするけれど。
何を話しているかまでは、周囲が騒がしいから聞き取れないけど、二人でにこにこと話しながら、レンさんを見ていて、レンさんは居心地悪そうに、やや俯いている。
目元が少し赤くなっているので、もしかしたら二人に揶揄われているのかな?
それにしても……それぞれが本当に綺麗なお顔をしているから、目が幸せすぎて視線を外せないよね。
そんなことを考えていたのは、わたしだけでは無いらしく、神官テントの女性たちは、三人を見ることに夢中だ。
一人の例外を除いて。
「ねぇねぇ!マリーさんっ!エミリオ様もマジックをご覧になるみたいよ?私たちも行ってみない?」
言われてステージを見ると、丁度、殿下が団長さんとお兄様を従えて、ステージ前に移動するところのようだった。
流石にリリアさんは、ブレないわ!
「そうね。行って見ましょうか」
先ほど、お兄様を蔑ろにしてしまったから、今のうちにご機嫌をとっておくのも大事よね。
リリアさんと連れ立ってステージ前に着くと、ステージ上では、神官さんのアコーディオン演奏をバックに、神官長がマジックショーを行なっていた。
ステージ下には、カタリナさんに先導されて、お行儀良く三列に並んで座る、孤児院の子どもたち。
みんな一様に……どこか残念そうな目をしている。
何でかって?
昨日、タチアナさんの小物選びの時に聞いたんだけど、何かイベントがある毎に、同じ内容のマジックを見せられるから、次に何が起きるのか、すっかり覚えてしまっているそうだ。
わたしたちは初見だから、まだ楽しめるけれど、イベントが有る度にサクラに使われたら、確かにキツイよね。
「エミリオさま~!」
そうよね。
リリアさんも、勿論、マジックショーに興味があって、こちらに来たわけでは無い。
王子殿下はこちらに気づくと、無邪気な笑顔で手を振ってくださった。
「おぉっ!お前たちも見に来たのか。もうすぐ終わるらしいが、最後にあの帽子から鳩が出るらしいぞ!」
よかったわ。
王子殿下は、案外楽しそうにしていらっしゃる。
そこは流石に十歳の少年……
「あれ、帽子の底が二重になってるんだろ?」
きししっっと笑いながら、茶目っ気たっぷりにステージを指さす王子殿下に、ステージ下の面々は乾いた笑いを浮かべている。
あぁ。
タネがバレバレですね。
わたしも同様に苦笑いをしていると、右肩を叩かれた。
「やぁ、ローズ。もう少しお兄様を応援してくれたって良かったんだぞ?」
あらら。
やっぱり根に持っていらっしゃる。
「ちゃんと応援していましたよ?でも、お兄様には沢山の応援団がついていましたから、声が届かなかったのかも?」
「ああ。そうかもな。ま、その件はおいとくとして、あそこまで強いなら、もう少し情報をくれても良かったんじゃないか?」
「まぁ!レンさんにも一切の情報を渡していないのですから、お兄様にばかり情報を渡すのはフェアじゃないですわ」
「……お前な……」
お兄様は、呆れたようにため息をつく。
「マリーは、レンと親しいのか?」
そこに、上目遣いで声をかけてきたのは王子殿下。
陽光で、大きな碧い瞳がキラキラ輝いている。
ええと。
この、子猫のようなつぶらな瞳!
可愛いしか、ないんですが?
「エミリオ様!マリーさんは聖騎士からも、大人気なんですよ~!」
「っ⁈⁈」
何を言ってくれるの?
リリアさん!
「いえいえ!決してそんなことは!」
「そうか。やっぱり人気が……」
「殿下!間に受けないで下さいね?リリアさんのリップサービスですから!」
慌てて情報を修正する。
そんな話、聞いたこともないですよ⁈
その時、お兄様の大きな手が、わたしの頭の上にのった。
「ローズ……その、なんだ。お前はしっかりしているから大丈夫だとは思うが、あまりあちこちに笑顔を振り撒くのは慎めよ?」
「えぇ?」
お兄様は、眉を寄せて困ったように笑った。
何で、そんな残念そうな感じです?
っていうか、こっちの援護をして下さいよ!
「名前……アイツ、マリーのこ……りゃくしょ……呼んで……」
殿下が小さく呟いた。
「え?」
名前?
そのあとは、もごもご言っていて聞き取れない。
「何でもない!それよりマリー!お前そろそろ、俺のことを名前で呼べ!」
「っ⁈」
ええ?
殿下!
話が唐突すぎて、ついていけません!
「いいな!命令だからな!」
「ですが……」
「め・い・れ・い・だ。分かったな?」
「は……はい!」
怒涛の勢いに押し切られて、思わず返事をしてしまったんだけど、殿下は何故か一瞬驚いた顔をした後、それは嬉しそうに笑った。
「うん!」
うわぁ。可愛い!
凄く良い笑顔だぁ。
後ろで控えていた団長さんは、何故だか柔らかい笑顔でうんうん頷いているし、よく見たら、影にこっそり立っていた執事のハロルドさんが、目元をハンカチで拭っている。
何?
この状況は?
どうしよう。
どうしてお名前で呼ぶことを、周囲の方にまで、あっさり認められてしまった雰囲気なの?
これ、今後お名前で呼ばないと、王子殿下から叱られるし、お名前で呼んだら呼んだで、ヴェロニカ様や、その取り巻きの御令嬢、更には近場で言ったらリリアさんにまで睨まれるやつじゃない?
ああ。
ほら、やっぱり!
久しぶりに、リリアさんが厳しめの視線を送ってきている。
でもこれ、不可抗力じゃない?
わたしから言った訳じゃ無いからね?
「はい。皆さん。それではテントに帰りますよ」
不意に聴こえた、カタリナさんの声で我に帰る。
気付けば、もう、鳩はとうの昔に飛びでた後らしく、子どもたちは整列してテントに戻っていく。
「それじゃ、また後でな!」
王子殿下、いえ……ここからは慣れなければいけないわ。
逃がれられない。
だって命令だから。
エミリオ様は、満面の笑みを浮かべて、手を振りながら、自分のテントへ戻っていった。
結局、マジックショーは見ず終いだけど……ま、いっか!
◆
(side ジェフ)
「早い時間にこちらに来ていただきまして、申し訳ありません。私が先にそちらに向かうべきでした」
「いえいえ。素晴らしい試合を見せて頂きました。二連戦でお疲れでしょう?」
「ご心配頂き、有難うございます。こちらの椅子で申し訳ないことですが、宜しければお掛け下さい」
「それでは遠慮なく」
そんな会話のあと、僕は拭き清められた椅子に腰を下ろした。
レンさんは、椅子の横、地面に片足を突いて僕に視線を合わせる。
疲れている様子など、微塵も伺えない涼しげな表情と、無駄に洗練された仕草が、どうにも腹立たしい。
「お疲れでしょうけど、この後の魔導披露、大丈夫ですか?」
「問題ありません」
答える表情は、相変わらずの無表情。
ま、魔力使った訳じゃ無いから、どってことないんだろう。……多分。
先ほど、思いがけず、彼の生い立ちを知ってしまった訳だけど、『何故、彼がここに縛り付けられているのか』が分かったのは、朗報だ。
『命を救われた恩に報いる』というのは、美談だし、一つの理由に間違いない。
けど、裏を読むなら、案外『まだ養育費の返済が終わっていない』と言ったところかもしれない。
不遇を絵に描いたような人だ。
気の毒だとは思うけれど、持っているポテンシャルが高いから、不遇な状況すら魅力的に見える気がして、同情する気になれない。
僕は、やはり狭量なのだろうか?
「それでは、予定通りに……」
そこまで言ったあたりで、レンさんが不意に視線を上げた。
つられて見上げた先、ユリシーズさんがこちらにやってくるのが見えた。
目が合うと、彼は微笑みながら、こちらに一礼。
僕が笑顔で会釈をかえすと、彼はレンさんに倣って、その横に膝をつく。
ユリシーズさんは、想像以上に有能だったな。
王子殿下は、良い拾い物をしたんじゃ無いか?
あんな程度の魔法でも、『使い方によっては敵を追い詰めることが出来る』ということを見せてもらえたのは、凄く参考になった。
ここまで出来る人材が、門兵にいるなんて、王国騎士も案外期待できるというものだ。
「ユリシーズさんもお疲れ様でした。今度はどうしました?」
笑みを浮かべて尋ねると、彼は深く頭をさげる。
「お話し中に失礼します。ジェファーソン様に、お礼とお詫びを言いに伺いました。あと、レン君には、これを渡しに」
ユリシーズさんは、魔法具をレンさんに見せる。
なるほど。
試合中にそんなことを言っていたか。
試合中や、その前後の会話から察するに、彼らは知り合いなんだろうけど。
「折角ご協力を頂きましたのに、活かしきれず申し訳ありません」
「いえいえ。寧ろ上々だったのでは?まさか、あんな方法で防がれるなんて、普通は考えませんよね?」
「全くです。ホント、何でもありで、参りました」
本人を目の前にして、協力した者同士、二人で笑い合う。
「流石は黒騎士。旅団に認められた手腕は、並ではありませんでした。一人では、まず勝てませんね」
「怖いなぁ。レンさん。うっかり機嫌を損ねないようにしないと……」
「いえ、そのような事は……」
レンさんは、居た堪れないのか、視線を下げている。
このほめられているのか、けなされているのか判らない状態というのは、さぞ居心地が悪いだろう。
ほんの少しだけ、溜飲が下がった。
ユリシーズさんは、魔法具をレンさんに手渡し、返却は後日で良い旨、小声で伝えている。
レンさんは頷くと、一度それをベルトに付けた。
「どういう物か、僕も興味があるんですけどね?分かったら教えてくれませんか?」
「……かしこまりました」
「あ、それなら、今度作った錬金術師を呼びましょうか?」
「「……是非!」」
ユリシーズさんの思いがけない申し出に、僕とレンさんの声が、かぶった。
ユリシーズさんは、その反応に驚いたようで、苦笑いを浮かべている。
「錬金術師も魔導師も、勉強熱心な人種のようだ。きっと知人も喜びます。どのように日程を調整しましょうか?」
「僕は学生ですから、週末は空いていますけどね。ああ、今後、合同練習をするんですよね?その日程を教えて貰えれば、王宮なり聖堂なり、出向きますよ?」
「いえ。ジェファーソン様にご足労おかけするのは……」
「一番忙しい人が何を言っているんです。僕なら大丈夫ですよ?それに、封印石を見せる約束もしたでしょう?」
「……はい」
「では、日程が決まり次第、ジェファーソン様にご連絡を」
「ええ。殿下付き騎士の着任が済んだら、ジュリー副官と、一度寮に来てください。このアメリが取り次ぎをします」
「かしこまりました」
先の話になるだろうけど、少し楽しみだ。
「この後は、魔導披露だそうですね?」
「ええ。初歩的な魔導ですから、騎士さんたちが見て、楽しめるかどうか判りませんけどね」
「騎士は、魔導と縁遠いですから、興味津々ですよ。おれも楽しみです」
終始笑顔で、楽しそうに話すユリシーズさんは、どこか親しみやすく、話しやすい。
頭がいいんだろうな。
そんな時、
「やぁやぁ、これは魔法使いがお揃いですか?如何でしたでしょうかね?私のマジックは!」
突如割り込んできた男に、眉根を寄せた。
ああ。
確か、新しい神官長だ。
マジック?
何の話だ?
「休憩も終わりのようですね。私は魔法使いではありませんので、これにて失礼」
ユリシーズさんは、笑顔で身を翻し一礼すると、王宮サイドに向かって去っていく。
引き際がうまいな。
「今、ステージにて、マジックを行っていらっしゃいました。大トリは帽子から鳩が飛び出すものでした」
その間に、アメリが耳元で小さく囁く。
なるほど。
マジックね。
嘲笑してやりたいけど、相手が神官長じゃ、分が悪いか。
適当に褒めて誤魔化そう。
神官長がする程度のマジックに、一切興味は無いけれど。
「素晴らしいマジックでしたよ!神官長様!我々魔導師は、精霊術は使えても、生き物を作り出すことは出来ませんから!ねぇ、レンさん?」
レンさんは、頭を下げた。
「流石はジェファーソン様。恐れ入ります。……クルス君、魔導披露でジェファーソン様にご迷惑をかけぬように。剣術が少し出来る程度のこと、思い上がるのでは無いよ」
「……はい」
やれやれ。
彼の待遇が劣悪なのは、神官長が原因か。
魔導披露の失敗に見せかけて、神官長の鼻先に火でも灯してやれば良いのに。
想像してみて、頬が緩んだ。
彼の性格上、絶対やらないだろうな。
「それでは、そろそろ行きましょうか?」
助け舟を出してやると、レンさんは深く頭を下げた。
誠実な彼には、恩を売っておくのも悪く無いだろう。
あとは、ローズちゃんに、僕の良いところも少しは見てもらわないと。
いよいよ魔導披露だし?
そんなことを考えながら、僕は競技場下、ミゲル神官長補佐の元へ向かった。
模擬戦が終了して、休憩の後は余興にあたる魔導披露。
いよいよジェフ様の魔導が見られると思うと、わくわくするよね!
先ほど氷を作られていたけど、あれは魔術の分野だろうから、結局まだ彼の属性が何なのか分からず終い。
どんな魔導が飛び出すのか、本当に楽しみだわ!
聖堂の女子たちの中にも、こちらを楽しみにしていた子が結構いるわけで……。
つい先ほど、ジェフ様がこちらにやって来たのだけど、その時は凄い歓声だったわ。
彼は、後ろにいつもの強面の護衛を従えて、爽やかな笑顔を浮かべながら軽く手を振りつつ、神官テント前を横切った。
老若男女、誰から見ても美しいと受け止められるだろうその微笑に、聖堂陣営が悶絶したよね。
まぁ、わたしから見ると、どこかチャラく見えるわけなんだけど。
……なんて、余裕をかましていたら、視線があった瞬間に、うっとりするほど綺麗な微笑を浮かべた後、妖艶な流し目を残して立ち去っていったから、その場で硬直してしまった。
はぁ。
顔が熱い。
他の人たちに気づかれなかったかしら?
不安になって周囲を見ると、リリアさんがニヤニヤと意味ありげに笑っていて、思わず頭を抱える。
これ、あとで絶対揶揄われる!
他の皆さんは、ジェフ様を見ることに夢中のようだったので、気づかれなかったみたい。
とりあえずは一安心。
ジェフ様は、そのまま聖騎士テントの前へ歩くと、立ち止まる。
休憩に入ってからずっと、エンリケ様にヘッドロックをかけられて、頭を撫でくりまわされていたレンさんは、ジェフ様を見るやいなや、するりと脱出。
あ、逃げられるのに逃げなかったんだ……と、この時悟ったよね。
エンリケ様からのスキンシップを甘んじて受けていたんだと思うと、かなり可愛いんですけど。
レンさんは、小走りにジェフ様に駆け寄り、頭を下げた。
ジェフ様は笑顔で首を振っている。
魔導披露の件かな?
もしかすると、模擬戦後で疲れているであろうレンさんを気遣って、自らこちらに来てくださったのかも?
そうだとしたら、配慮が凄い!
普段は、どことなくチャラい雰囲気が付きまとうけれど、ジェフ様って、ナチュラルに細かな気遣いをなさる方よね。
しかも、階級関係なく。
多くの人に慕われるのには、やっぱりワケがあるんだわ。
レンさんが、ジェフ様に聖騎士テント一番前の空いている席を勧めている。
それを見ていたアメリさんが、すぐさま椅子に近づくと、座面を持参していたらしいクロスで拭い、ジェフ様はそこに腰掛けた。
レンさんは、椅子の横に片膝をついて腰を下ろすと、ジェフ様と小声で話しはじめる。
因みに、現在会場の人たちは、飲み物を求めたりトイレに行ったりと、立ったり座ったり結構ざわついている。
まぁ……神官テントの女性陣は、二人に見入っていて動く気配はないけれど。
そこに、北側ステージ前を横切って、只ならぬ色気を漂わせた美青年がやって来たので、周囲の熱量は更にヒートアップ。
今までは、十代の女子たちが騒いでいたんだけど、今度は少し上の女性神官さんまでもが、そちらに熱視線を送っている。
誰が来たって?
ユーリーさんですね。
試合開始当初は、その重装備にドン引きされていた彼だけど、その後の戦いぶりにか、彼の放つ色気のせいなのか、女性陣の評価は鰻登りみたい。
先の一件で、王子殿下付きの騎士へ配属替えが決まったようだし、将来有望なのは間違いないから、今後ますます人気が出るんだろうな。
ユーリーさんは、ジェフ様とレンさんのところにやってくると、レンさんの横に同じように腰を下ろした。
手には、先ほどの魔法具を持っている。
試合中にレンさんがお願いしていたから、持ってきてくれたのかな?
でも、ジェフ様もいらっしゃるのに大丈夫かしら?などと、心配してみたけれど、どうやら余計なお世話だったみたい。
ジェフ様とユーリーさんは、何故かとても親しげに話をしている。
知り合いだったのかしら?
それにしては、接点がない気がするけれど。
何を話しているかまでは、周囲が騒がしいから聞き取れないけど、二人でにこにこと話しながら、レンさんを見ていて、レンさんは居心地悪そうに、やや俯いている。
目元が少し赤くなっているので、もしかしたら二人に揶揄われているのかな?
それにしても……それぞれが本当に綺麗なお顔をしているから、目が幸せすぎて視線を外せないよね。
そんなことを考えていたのは、わたしだけでは無いらしく、神官テントの女性たちは、三人を見ることに夢中だ。
一人の例外を除いて。
「ねぇねぇ!マリーさんっ!エミリオ様もマジックをご覧になるみたいよ?私たちも行ってみない?」
言われてステージを見ると、丁度、殿下が団長さんとお兄様を従えて、ステージ前に移動するところのようだった。
流石にリリアさんは、ブレないわ!
「そうね。行って見ましょうか」
先ほど、お兄様を蔑ろにしてしまったから、今のうちにご機嫌をとっておくのも大事よね。
リリアさんと連れ立ってステージ前に着くと、ステージ上では、神官さんのアコーディオン演奏をバックに、神官長がマジックショーを行なっていた。
ステージ下には、カタリナさんに先導されて、お行儀良く三列に並んで座る、孤児院の子どもたち。
みんな一様に……どこか残念そうな目をしている。
何でかって?
昨日、タチアナさんの小物選びの時に聞いたんだけど、何かイベントがある毎に、同じ内容のマジックを見せられるから、次に何が起きるのか、すっかり覚えてしまっているそうだ。
わたしたちは初見だから、まだ楽しめるけれど、イベントが有る度にサクラに使われたら、確かにキツイよね。
「エミリオさま~!」
そうよね。
リリアさんも、勿論、マジックショーに興味があって、こちらに来たわけでは無い。
王子殿下はこちらに気づくと、無邪気な笑顔で手を振ってくださった。
「おぉっ!お前たちも見に来たのか。もうすぐ終わるらしいが、最後にあの帽子から鳩が出るらしいぞ!」
よかったわ。
王子殿下は、案外楽しそうにしていらっしゃる。
そこは流石に十歳の少年……
「あれ、帽子の底が二重になってるんだろ?」
きししっっと笑いながら、茶目っ気たっぷりにステージを指さす王子殿下に、ステージ下の面々は乾いた笑いを浮かべている。
あぁ。
タネがバレバレですね。
わたしも同様に苦笑いをしていると、右肩を叩かれた。
「やぁ、ローズ。もう少しお兄様を応援してくれたって良かったんだぞ?」
あらら。
やっぱり根に持っていらっしゃる。
「ちゃんと応援していましたよ?でも、お兄様には沢山の応援団がついていましたから、声が届かなかったのかも?」
「ああ。そうかもな。ま、その件はおいとくとして、あそこまで強いなら、もう少し情報をくれても良かったんじゃないか?」
「まぁ!レンさんにも一切の情報を渡していないのですから、お兄様にばかり情報を渡すのはフェアじゃないですわ」
「……お前な……」
お兄様は、呆れたようにため息をつく。
「マリーは、レンと親しいのか?」
そこに、上目遣いで声をかけてきたのは王子殿下。
陽光で、大きな碧い瞳がキラキラ輝いている。
ええと。
この、子猫のようなつぶらな瞳!
可愛いしか、ないんですが?
「エミリオ様!マリーさんは聖騎士からも、大人気なんですよ~!」
「っ⁈⁈」
何を言ってくれるの?
リリアさん!
「いえいえ!決してそんなことは!」
「そうか。やっぱり人気が……」
「殿下!間に受けないで下さいね?リリアさんのリップサービスですから!」
慌てて情報を修正する。
そんな話、聞いたこともないですよ⁈
その時、お兄様の大きな手が、わたしの頭の上にのった。
「ローズ……その、なんだ。お前はしっかりしているから大丈夫だとは思うが、あまりあちこちに笑顔を振り撒くのは慎めよ?」
「えぇ?」
お兄様は、眉を寄せて困ったように笑った。
何で、そんな残念そうな感じです?
っていうか、こっちの援護をして下さいよ!
「名前……アイツ、マリーのこ……りゃくしょ……呼んで……」
殿下が小さく呟いた。
「え?」
名前?
そのあとは、もごもご言っていて聞き取れない。
「何でもない!それよりマリー!お前そろそろ、俺のことを名前で呼べ!」
「っ⁈」
ええ?
殿下!
話が唐突すぎて、ついていけません!
「いいな!命令だからな!」
「ですが……」
「め・い・れ・い・だ。分かったな?」
「は……はい!」
怒涛の勢いに押し切られて、思わず返事をしてしまったんだけど、殿下は何故か一瞬驚いた顔をした後、それは嬉しそうに笑った。
「うん!」
うわぁ。可愛い!
凄く良い笑顔だぁ。
後ろで控えていた団長さんは、何故だか柔らかい笑顔でうんうん頷いているし、よく見たら、影にこっそり立っていた執事のハロルドさんが、目元をハンカチで拭っている。
何?
この状況は?
どうしよう。
どうしてお名前で呼ぶことを、周囲の方にまで、あっさり認められてしまった雰囲気なの?
これ、今後お名前で呼ばないと、王子殿下から叱られるし、お名前で呼んだら呼んだで、ヴェロニカ様や、その取り巻きの御令嬢、更には近場で言ったらリリアさんにまで睨まれるやつじゃない?
ああ。
ほら、やっぱり!
久しぶりに、リリアさんが厳しめの視線を送ってきている。
でもこれ、不可抗力じゃない?
わたしから言った訳じゃ無いからね?
「はい。皆さん。それではテントに帰りますよ」
不意に聴こえた、カタリナさんの声で我に帰る。
気付けば、もう、鳩はとうの昔に飛びでた後らしく、子どもたちは整列してテントに戻っていく。
「それじゃ、また後でな!」
王子殿下、いえ……ここからは慣れなければいけないわ。
逃がれられない。
だって命令だから。
エミリオ様は、満面の笑みを浮かべて、手を振りながら、自分のテントへ戻っていった。
結局、マジックショーは見ず終いだけど……ま、いっか!
◆
(side ジェフ)
「早い時間にこちらに来ていただきまして、申し訳ありません。私が先にそちらに向かうべきでした」
「いえいえ。素晴らしい試合を見せて頂きました。二連戦でお疲れでしょう?」
「ご心配頂き、有難うございます。こちらの椅子で申し訳ないことですが、宜しければお掛け下さい」
「それでは遠慮なく」
そんな会話のあと、僕は拭き清められた椅子に腰を下ろした。
レンさんは、椅子の横、地面に片足を突いて僕に視線を合わせる。
疲れている様子など、微塵も伺えない涼しげな表情と、無駄に洗練された仕草が、どうにも腹立たしい。
「お疲れでしょうけど、この後の魔導披露、大丈夫ですか?」
「問題ありません」
答える表情は、相変わらずの無表情。
ま、魔力使った訳じゃ無いから、どってことないんだろう。……多分。
先ほど、思いがけず、彼の生い立ちを知ってしまった訳だけど、『何故、彼がここに縛り付けられているのか』が分かったのは、朗報だ。
『命を救われた恩に報いる』というのは、美談だし、一つの理由に間違いない。
けど、裏を読むなら、案外『まだ養育費の返済が終わっていない』と言ったところかもしれない。
不遇を絵に描いたような人だ。
気の毒だとは思うけれど、持っているポテンシャルが高いから、不遇な状況すら魅力的に見える気がして、同情する気になれない。
僕は、やはり狭量なのだろうか?
「それでは、予定通りに……」
そこまで言ったあたりで、レンさんが不意に視線を上げた。
つられて見上げた先、ユリシーズさんがこちらにやってくるのが見えた。
目が合うと、彼は微笑みながら、こちらに一礼。
僕が笑顔で会釈をかえすと、彼はレンさんに倣って、その横に膝をつく。
ユリシーズさんは、想像以上に有能だったな。
王子殿下は、良い拾い物をしたんじゃ無いか?
あんな程度の魔法でも、『使い方によっては敵を追い詰めることが出来る』ということを見せてもらえたのは、凄く参考になった。
ここまで出来る人材が、門兵にいるなんて、王国騎士も案外期待できるというものだ。
「ユリシーズさんもお疲れ様でした。今度はどうしました?」
笑みを浮かべて尋ねると、彼は深く頭をさげる。
「お話し中に失礼します。ジェファーソン様に、お礼とお詫びを言いに伺いました。あと、レン君には、これを渡しに」
ユリシーズさんは、魔法具をレンさんに見せる。
なるほど。
試合中にそんなことを言っていたか。
試合中や、その前後の会話から察するに、彼らは知り合いなんだろうけど。
「折角ご協力を頂きましたのに、活かしきれず申し訳ありません」
「いえいえ。寧ろ上々だったのでは?まさか、あんな方法で防がれるなんて、普通は考えませんよね?」
「全くです。ホント、何でもありで、参りました」
本人を目の前にして、協力した者同士、二人で笑い合う。
「流石は黒騎士。旅団に認められた手腕は、並ではありませんでした。一人では、まず勝てませんね」
「怖いなぁ。レンさん。うっかり機嫌を損ねないようにしないと……」
「いえ、そのような事は……」
レンさんは、居た堪れないのか、視線を下げている。
このほめられているのか、けなされているのか判らない状態というのは、さぞ居心地が悪いだろう。
ほんの少しだけ、溜飲が下がった。
ユリシーズさんは、魔法具をレンさんに手渡し、返却は後日で良い旨、小声で伝えている。
レンさんは頷くと、一度それをベルトに付けた。
「どういう物か、僕も興味があるんですけどね?分かったら教えてくれませんか?」
「……かしこまりました」
「あ、それなら、今度作った錬金術師を呼びましょうか?」
「「……是非!」」
ユリシーズさんの思いがけない申し出に、僕とレンさんの声が、かぶった。
ユリシーズさんは、その反応に驚いたようで、苦笑いを浮かべている。
「錬金術師も魔導師も、勉強熱心な人種のようだ。きっと知人も喜びます。どのように日程を調整しましょうか?」
「僕は学生ですから、週末は空いていますけどね。ああ、今後、合同練習をするんですよね?その日程を教えて貰えれば、王宮なり聖堂なり、出向きますよ?」
「いえ。ジェファーソン様にご足労おかけするのは……」
「一番忙しい人が何を言っているんです。僕なら大丈夫ですよ?それに、封印石を見せる約束もしたでしょう?」
「……はい」
「では、日程が決まり次第、ジェファーソン様にご連絡を」
「ええ。殿下付き騎士の着任が済んだら、ジュリー副官と、一度寮に来てください。このアメリが取り次ぎをします」
「かしこまりました」
先の話になるだろうけど、少し楽しみだ。
「この後は、魔導披露だそうですね?」
「ええ。初歩的な魔導ですから、騎士さんたちが見て、楽しめるかどうか判りませんけどね」
「騎士は、魔導と縁遠いですから、興味津々ですよ。おれも楽しみです」
終始笑顔で、楽しそうに話すユリシーズさんは、どこか親しみやすく、話しやすい。
頭がいいんだろうな。
そんな時、
「やぁやぁ、これは魔法使いがお揃いですか?如何でしたでしょうかね?私のマジックは!」
突如割り込んできた男に、眉根を寄せた。
ああ。
確か、新しい神官長だ。
マジック?
何の話だ?
「休憩も終わりのようですね。私は魔法使いではありませんので、これにて失礼」
ユリシーズさんは、笑顔で身を翻し一礼すると、王宮サイドに向かって去っていく。
引き際がうまいな。
「今、ステージにて、マジックを行っていらっしゃいました。大トリは帽子から鳩が飛び出すものでした」
その間に、アメリが耳元で小さく囁く。
なるほど。
マジックね。
嘲笑してやりたいけど、相手が神官長じゃ、分が悪いか。
適当に褒めて誤魔化そう。
神官長がする程度のマジックに、一切興味は無いけれど。
「素晴らしいマジックでしたよ!神官長様!我々魔導師は、精霊術は使えても、生き物を作り出すことは出来ませんから!ねぇ、レンさん?」
レンさんは、頭を下げた。
「流石はジェファーソン様。恐れ入ります。……クルス君、魔導披露でジェファーソン様にご迷惑をかけぬように。剣術が少し出来る程度のこと、思い上がるのでは無いよ」
「……はい」
やれやれ。
彼の待遇が劣悪なのは、神官長が原因か。
魔導披露の失敗に見せかけて、神官長の鼻先に火でも灯してやれば良いのに。
想像してみて、頬が緩んだ。
彼の性格上、絶対やらないだろうな。
「それでは、そろそろ行きましょうか?」
助け舟を出してやると、レンさんは深く頭を下げた。
誠実な彼には、恩を売っておくのも悪く無いだろう。
あとは、ローズちゃんに、僕の良いところも少しは見てもらわないと。
いよいよ魔導披露だし?
そんなことを考えながら、僕は競技場下、ミゲル神官長補佐の元へ向かった。
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