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第四章
『剣術披露』と『剣の贈呈式』と『選手の紹介』と……
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両手でしっかりと剣を握り、姿勢良く剣を構える王子殿下。
その正面に、団長のセオドア様が同様の姿勢で剣を構えている。
これから行われるのは、『王国騎士の剣術の型』で、実践とは違い動きが決まっている。
お父様とお兄様が早朝鍛錬をする際、実践練習の前に必ず行っていたので覚えている。
相手がこうかかってきたら、こう返す、といった基本の動作で、今回は王子殿下が返す側を担当する。
王子殿下は、呼吸を整えるように一つ息を吐き出し、背筋を伸ばすと団長さんに向かって頷く。
団長さんは頷き返すと、息を吸って剣を上段に振りかぶった。
会場は、水を打ったように静まり返っているので、競技場の上の二人の呼吸の音まで聞こえてくるよう。
張り詰めた空気が伝わってきて、こちらの方が緊張してしまうけれど、王子殿下は、意外にも肩に力が入っていない。
この状況でリラックスした状態が保てるって、本当に彼は十歳なのかしら!
むしろ対峙している団長さんの方が、少し緊張気味に見える。
「かっこいい。エミリオ様。すっごくかっこいい!!」
隣で頬を染めながら、ぶつぶつ呟いているリリアさんがちょっと怖いけど、それには気づかないふりをして、前方に意識を集中する。
団長さんは気合いの声をあげると、一歩前進し、振りかぶった剣を王子殿下の頭部に向けて振りおろす。
王子殿下は、剣を上げると刃先を立てて、剣をしっかりと受けつつ押し上げた。
そして、素早く半歩前に出ると、団長さんの腹部に向かって剣を振り下ろし、当たる直前でピタリと止める。
綺麗。
よく練習された動きに、安堵の息が漏れる。
もう少し危なっかしいのではないかと心配していたけど、余計なお世話だったみたい。
そんなことを考えているうちに、競技場の上の二人は次の型へと移っている。
簡単に見えて、最初は剣を当てずに止めるのも難しいのよね。
それゆえに、成人前の少年が剣の練習をする時は、木剣なんかを使って練習する。
聖騎士さん達も型の練習の時は、普段使う剣と同等の重さの木剣を使うことがある。
聖騎士の剣は、一般でよく使われる剣と異なり長く重いので、慣れていないと勢いを止めきれなかったりするから。
練習中にうっかり斬られるとか、洒落にならないものね。
王子殿下はまだ十歳だし、筋力だって未発達だから、本来だったら木剣でも良いところ。
それなのに、今まで披露した全ての型を、見事なまでにピタリと止めている。
凄いわ!
今日披露される型は、基本の中から五つ。
五つ目の型が終わると、周囲から拍手が沸き起こった。
王国騎士団からは『お見事!』等、殿下を褒め称える声も上がっている。
聖堂サイドも拍手喝采。
隣でリリアさんがきゃーきゃー言ってるし、後ろにいる女性神官見習いの子たちも大騒ぎ。
そうね。
見習いの子たちは、王子殿下と歳が近い子もいるもの。
王子殿下、聖堂の女子たちから大人気だわ。
喜ばしいけど、少しだけ複雑。
競技場に視線を戻し王子殿下を見ると、タイミングよく目が合ってしまった。
驚いて瞬きをする。
こちらを見ていた?
それなら折角だから……。
私は両手を拡声器のように顔にあて、『素敵です』と口だけを動かした後、顔に出来る限りの笑みを浮かべた。
王子殿下は驚いた様に一瞬目を見開くと、それは嬉しそうに破顔した。
なにその笑顔ー‼︎
今まで見たことないんですが⁈
そのあまりにも素直な、少年らしい微笑みに、心臓を鷲掴みにされる思いだった。
か、かわいいじゃないですか!
ヒロインにとっての『殿下の萌えポイント』は、この『オレ様と少年のギャップ』なのかもしれない。
「ねぇ、みたみた?エミリオ様、こっち見て笑ったよ?かわいい~!今、私を見てたよね?」
わたしの腕を掴んで、リリアさんが言うので、わたしは彼女に視線をうつし微笑む。
質問には答えなかった。
なんとなく、あの笑顔は譲れない気がして。
拍手が鳴り止まぬ中、競技場の上の二人は、剣を鞘に戻すと、儀礼通り礼をした。
そして、そのまま競技場中央に残る。
「王子殿下。素晴らしい剣技を見せて頂き、ありがとうございました。それではこれより、剣の贈呈をさせて頂きます」
隣のテントで動きがあった。
神官長が前に進み出て、その後ろにマルコさんと男性神官さんが、それぞれ一振りずつ剣を抱えて付き従う。
この日の為に神官長が用意させた、聖騎士の剣。
「それでは、エミリオ王子殿下へ神官長マヌエルより、剣を贈らせて頂きます」
神官長は、マルコさんから剣を受け取ると、両膝をついて、王子殿下に剣を捧げた。
普段、体を使わない人があの剣を持つと、あんなにふらつくものなのね?
捧げている間も、相当重たいのか、二の腕がふるふるしているのが見えて、わたしは必死に笑いを堪える。
神官長。
折角の見せ場なのに……。
会場内は、微かに笑いを噛み殺す声が聞こえている。
王子殿下は、危なげなく、一振りずつ両手でしっかりと受け取り、団長さんに手渡す。
団長さんは、剣を受け取ると一度テントに戻り、再度競技場に上がって二振り目を受け取った。
同時に二本、持てない訳では無いだろうけど、やはり長いのでバランスとか取りにくいよね。
落としたりすると危ないし、高価な物だし。
「ありがとう。部屋に飾らせてもらう」
王子殿下の言葉に、神官長は土下座の勢いで頭を下げた。
因みに、王子殿下に手渡された剣だけど、一振り目は式典用。
柄頭の重りの部分には、贅沢にも聖騎士カラーの濃紺の宝玉(サファイアかしら?)があしらわれ、鞘部分は白銀で美しい装飾が施されている。
でも、実は本当に凄いのは刃の部分で、女神様に捧げる祈りの言葉と、聖堂のシンボルの『盾』、それから、女神様を示す『二枚の翼』が彫刻されている。
まさに、見るためにだけに作られたような芸術品……らしい。
……今回は、差し上げる本人こと神官長さまが、一人で剣を抜けなかった為、見ることが出来なくて非常に残念だけど。
二振り目は普段使いの聖騎士の剣。
ただ、こちらも王子殿下に差し上げる物ということで、柄の部分に王子殿下のカラーである大粒のルビー一石と装飾用のダイヤを五石もあしらった特別製。
剣が届いた時、朝礼で、神官長が嬉しそうに長々と説明して下さった特徴を、内容を端折ってお伝えしました。
以上、現場のローズでした!
冗談はさておき、いよいよ選手の紹介ね!
正面のテントでは、お兄様が立ち上がって体を動かしているのが見えた。
隣のテントに視線をうつすと、ジャンカルロさんが立ち上がって手足を回したり、簡単なストレッチを行っている。
ジャンカルロさんはご家族を招待されたらしく、同じテントの中で彼を応援している。
このテント、実は聖騎士用の観戦席なのだけど、肝心の聖騎士さんたちは、交代で会場内の警戒を行っているので、今はオースティン家の三人と、休憩中の聖騎士数人しか中にいない。
レンさんはご家族は呼ばなかったのね。
お兄様も呼ばなかったようだけど。
まぁ、うちは遠いし?
宿泊先とか費用とか大変だし、もうすぐ社交シーズンで王都に来るかもしれないから、何度も往復とか、無理させるのは申し訳ないものね。
ところで、もうすぐ選手紹介なのに、その肝心のレンさんがテントにいないんだけど、どういう事?
「それでは、選手の紹介をさせて頂きます」
ミゲル神官長の司会の声。
え?
本当にどこ?
時間とかそういった物に恐ろしく正確な彼が、この重要な場面で遅れるはずが無いのに。
というか、ついさっきまでそこにいませんでしたっけ?
周囲を見渡すけれど、テントで囲われた中にはいない。
……ん?
あれかな?
第三旅団のテントの後方、警護中の聖騎士さんの横で、書類に何か書き込んでいるレンさんを見つけた。
何やってるんだろう。
見るからに雑用なんですけど……。
「初戦の選手は、競技場へ」
ミゲルさんの声がかかり、お兄様とジャンカルロさんが競技場に上がる。
しょせん?…………初戦!
あ……そういうこと?
え?
開会式で、二人目の選手は紹介されないの?
それは、王国騎士側もそうだけど、あちらは自信があるだろうから、二人目が決まっているかも怪しい。
でも、そうか。
聖堂側だけ二人紹介というわけにはいかないから……でも……んー。
なんだかモヤモヤするんですけど?
競技場の上では、二人の名前や簡単な経歴が紹介されている。
会場は、応援の声やちょっとしたヤジなんかで盛り上がりを見せている。
聖堂側の女子たちも、『二人ともカッコいい!』と大盛り上がり。
そんな中、黙々と書類に書き込みを終え、警備の聖騎士に頭を下げると、第六旅団のテント後方に移動していくレンさん。
彼が動いているということは、誰かの指示に従っているということで、仕事の一環なのよね?
でも、選手なのに。
ジャンカルロさんの方が、後から決まったのに……。
テントの中には他の聖騎士さんも休んでいるのだし、余裕のある人に任せるわけにはいかない仕事なの?
というか、そもそも開会式が終わってからではダメなの?
恐らく仕事を言いつけた張本人だろうと確信して、競技場で饒舌に選手二人を褒めちぎっている神官長を睨む。
本人はご機嫌なようで、結構なことね。
競技場の上では、選手の二人がにこやかに握手を交わして、お互いに言葉をかけあっている。
その後も、選手二人の応援合戦があったり、王子殿下が二人に声をかけたりして会場は大いに盛り上がった。
◆
(side レン)
挨拶を終えた神官長から、突然、開会式の間に来場者数を確認するよう言いつけられた。
剣術披露中の移動は無礼なので、それが終わると同時に、今や作った意味すら失われたに等しいステージの背後を通り、会場の一番奥に位置する王子殿下のテント後方へ移動した。
開会式が終わってしまうと、短いとはいえ休憩が入るので、人がばらけてしまう。
よって、開会式の間に人数確認をするのは、ある意味、理にかなっている。
ただ、警戒中の聖騎士が開会式の間に、テントごと人数を数えているので、後で取りまとめても同じ結果にはなるのだが。
可能な限り好意的に考えては見るが、結局のところ八つ当たりだろう。
聖女様のまさかの行動で、幾度となく練習を重ね楽しみにしていた挨拶が、中途半端に終わってしまったのだから、当たり散らしたくもなるのだろう。
その対象が私一人で済むのならば、それで構わない。
試合が始まるまでは、特に用もないのだから。
王子殿下のテント後方で警備についているライアンさんから、テントの中の人数を確認し、書類に書き記していると、前から気配が近づいてきた。
怒っている?
視線を上げると、予想通り、オレガノ様が渋面を浮かべてこちらに向かってくるところだった。
「君は……さっきから何をしている!」
「…………職務です」
他に答えようもなく、しかし、答えないわけにもいかず、そんなことは分かっているであろう、当然の返答を返す。
聞いてきたオレガノ様自身も、それ以上訪ねなかった。
王宮での会議で、私の置かれた立場は何となく理解されているだろうから、どう声をかけていいか悩まれているのかもしれない。
「何といったらいいのかな。その、何とかならないものなのかい?」
そう問いかける声には、憤りが滲む。
このご兄妹は、とても優しいお人柄だと素直に思う。
「お気持ちだけ。ありがとうございます」
そう答え、頭を下げる。
はたから聞けば、おおよそ噛み合っていないだろう返答だが、オレガノ様は理解して下さったらしく、渋い表情のまま頷いた。
会場では、一振り目の剣が王子殿下に手渡されたところだった。
歓声が沸き起こっているので、誰もこちらに注目していないだろうが、オレガノ様はこの後、選手紹介に出なければならないので、そろそろ定位置に戻った方が良いだろう。
「そろそろ戻られた方が……」
「君は選手紹介にも出ないのか?」
「初戦の選手のみと伺っています」
「面白くないな。君との勝負だったのに」
本当に優しい方だ。
私との試合を、そのように考えて下さるとは。
「私は、楽しみです」
素直な言葉が、口をついて出てしまった。
本当はこんなことを言うべきではないのに。
オレガノ様は、驚いたように口を小さく開いている。
言ってしまった以上は、しっかりと伝えるべきだろう。
「英雄アーサー様の御子息様と、手合わせする機会を頂けるだけでも光栄なことです。今日、試合に出して頂けるだけで、私は十分です」
オレガノ様は、ようやく渋い表情を緩めて笑った。
笑う表情は、少しだけローズさんに似ている気がする。
「そんなことを言われたら、初戦絶対負けられないじゃないか」
「ご冗談を」
楽しそうに言うオレガノ様を見るにつけて、こちらまで気分が高揚するようだった。
「君がそう言うなら、分かった。それじゃ、また試合で会おう!」
「はい」
礼をしてオレガノ様を見送ると、私も次のテントへ移動する。
あぁ……本当ニ楽シミダ……。
…………。
‼
待て……違う。
そちらに流されてはダメだ。
ふいに浮上した思考を、慌てて押さえ込む。
可能な限り胸の内に押し込めていた、生来の好戦的な感情を押し留めるのに苦心する。
『剣術は、守るためのもの』。
祖父に教えられた戒めを、何度も胸中で繰り返す。
試合はあくまで試合。
守るための練習に過ぎない。
闘うことが目的であってはならない。
落ち着け!
相手が英雄の御子息だったのが、まずかったのか?
とはいえ、こんなに簡単にコントロールを失っていては、来るべき日に正しい選択など出来るはずもない。
呼吸が浅くなると同時に鼓動が強く脈打ち、周囲の音が聞こえなくなる。
「先輩?大丈夫っすか?」
立ち止まっていたらしい私の肩に、無遠慮に手を置いて声をかけたのはラルフだった。
彼が王宮関係者テントの担当だったのか。
その、ほどよく気の抜けた声に、周囲の音が戻ってきた。
過呼吸気味になっていたようだ。
「あ……ぁ。大丈夫……」
「そぉすか?ちょっと顔色悪くないです?」
「大事ない。少し緊張しただけだから」
「先輩でも緊張とかするんですか⁈」
ラルフがニヤニヤ笑いながら顔を覗き込んでくるので、顔面を掴んで押し返した。
このところ、身長も伸びウエイトも増えたようで、簡単には押されてくれないが。
「からかうな」
「えぇ?あんま滅多に表情でないんですから、ちょっとくらい見せてくれても良いじゃないですかぁ!」
「断る。……人数は数え終わっているか?」
「はい。これっす。って、先輩こんなことしてて良いんですか?選手紹介は?」
「私は必要無いそうだ」
「はぁ?」
ラルフが神官長に向かって、ぶつぶつと憤り始めたので、一気に力が抜けた。
何というか……助かった。
この場にラルフがいたことを、これほど有り難く感じるとは。
用は済んだので、次のテントに移動するべくラルフを見上げると、彼はまだ競技場に向かって文句を垂れているようだ。
一つ息を落とすと、感謝を込めてラルフの頭を撫でた。
身長差があるため、頭と言っても前髪部分だが。
ラルフは、呆けた顔でこちらを向いた。
「助かった。ありがとう。次に行く」
「っす!」
返事を聞き頷くと、第三旅団のテントへ移動する。
後輩というのは可愛いものだ。
懐いてくれていれば尚更。
ニコさんとエンリケ様からは、私があのように見えているのだろうか?
……私には、あんな可愛げはないだろうけど。
二人がやたらと頭を撫でてくる気持ちを少しだけ理解して、私は第三旅団のテント後方に立つ同僚に声をかけた。
◆
(After episode)
「君たち、仲良いなぁ」
ユーリーは、警備についていたラルフの元に歩み寄りながら声をかけた。
ラルフはユーリーを見とめると、人懐こく笑う。
「こんにちは!あー。今、先輩にユーリーさん来てるの伝えようと思ってたのに、言い逃しました」
「後で挨拶に行くからいいよ。彼、なんかあったのかい?」
「あ、気付きました?」
「あぁ。口元押さえてたから、具合が悪いのかと思ったんだが……でも、君と話した後は平気そうだったな」
「緊張したって言ってましたね。少し過呼吸っぽかったですし」
「彼が緊張ねぇ」
「緊張とか無縁に見えますけどね」
「うん。ところでラルフ君、今君、頭撫でられてたよね?」
「ええ。びっくりしました」
「今日一日、第六と第七の騎士に背後を取られないよう、気をつけた方がいい」
「は?どういう意味ですか」
ユーリーが目線を、第六旅団のテント後方に投げたので、ラルフもつられるようにそちらを見る。
そこでは、旅団長二人がレンの肩に手や腕を置いて、何か話しているようだった。
手を置かれている本人は、相変わらずの無表情だが、異様な光景だ。
一見、カツアゲにあっているかの様な絵面だが、親しげに見えないこともない。
レンに人数報告を終えた両テントの聖騎士は、距離を取って見て見ぬふりを決め込んでいる。
「とにかく、気をつけて」
「はぁ……」
急に悪寒が走って、ラルフがテントの中に視線を移すと、王国騎士の刺す様に鋭い複数の視線とぶつかった。
「え。なんで?ユーリーさん、まじ助けて?」
「第六と第七には、黒騎士のファンクラブあるから。おれじゃ守り切れないわ」
「はぁっ?黒騎士ってなんすか?ファンクラブ⁈」
「黒騎士は、レン君に付けられた通り名だね。結構彼に命を助けられたやつ、多いらしいんだよ」
「まじか~」
ラルフは、深く首を垂れた。
その正面に、団長のセオドア様が同様の姿勢で剣を構えている。
これから行われるのは、『王国騎士の剣術の型』で、実践とは違い動きが決まっている。
お父様とお兄様が早朝鍛錬をする際、実践練習の前に必ず行っていたので覚えている。
相手がこうかかってきたら、こう返す、といった基本の動作で、今回は王子殿下が返す側を担当する。
王子殿下は、呼吸を整えるように一つ息を吐き出し、背筋を伸ばすと団長さんに向かって頷く。
団長さんは頷き返すと、息を吸って剣を上段に振りかぶった。
会場は、水を打ったように静まり返っているので、競技場の上の二人の呼吸の音まで聞こえてくるよう。
張り詰めた空気が伝わってきて、こちらの方が緊張してしまうけれど、王子殿下は、意外にも肩に力が入っていない。
この状況でリラックスした状態が保てるって、本当に彼は十歳なのかしら!
むしろ対峙している団長さんの方が、少し緊張気味に見える。
「かっこいい。エミリオ様。すっごくかっこいい!!」
隣で頬を染めながら、ぶつぶつ呟いているリリアさんがちょっと怖いけど、それには気づかないふりをして、前方に意識を集中する。
団長さんは気合いの声をあげると、一歩前進し、振りかぶった剣を王子殿下の頭部に向けて振りおろす。
王子殿下は、剣を上げると刃先を立てて、剣をしっかりと受けつつ押し上げた。
そして、素早く半歩前に出ると、団長さんの腹部に向かって剣を振り下ろし、当たる直前でピタリと止める。
綺麗。
よく練習された動きに、安堵の息が漏れる。
もう少し危なっかしいのではないかと心配していたけど、余計なお世話だったみたい。
そんなことを考えているうちに、競技場の上の二人は次の型へと移っている。
簡単に見えて、最初は剣を当てずに止めるのも難しいのよね。
それゆえに、成人前の少年が剣の練習をする時は、木剣なんかを使って練習する。
聖騎士さん達も型の練習の時は、普段使う剣と同等の重さの木剣を使うことがある。
聖騎士の剣は、一般でよく使われる剣と異なり長く重いので、慣れていないと勢いを止めきれなかったりするから。
練習中にうっかり斬られるとか、洒落にならないものね。
王子殿下はまだ十歳だし、筋力だって未発達だから、本来だったら木剣でも良いところ。
それなのに、今まで披露した全ての型を、見事なまでにピタリと止めている。
凄いわ!
今日披露される型は、基本の中から五つ。
五つ目の型が終わると、周囲から拍手が沸き起こった。
王国騎士団からは『お見事!』等、殿下を褒め称える声も上がっている。
聖堂サイドも拍手喝采。
隣でリリアさんがきゃーきゃー言ってるし、後ろにいる女性神官見習いの子たちも大騒ぎ。
そうね。
見習いの子たちは、王子殿下と歳が近い子もいるもの。
王子殿下、聖堂の女子たちから大人気だわ。
喜ばしいけど、少しだけ複雑。
競技場に視線を戻し王子殿下を見ると、タイミングよく目が合ってしまった。
驚いて瞬きをする。
こちらを見ていた?
それなら折角だから……。
私は両手を拡声器のように顔にあて、『素敵です』と口だけを動かした後、顔に出来る限りの笑みを浮かべた。
王子殿下は驚いた様に一瞬目を見開くと、それは嬉しそうに破顔した。
なにその笑顔ー‼︎
今まで見たことないんですが⁈
そのあまりにも素直な、少年らしい微笑みに、心臓を鷲掴みにされる思いだった。
か、かわいいじゃないですか!
ヒロインにとっての『殿下の萌えポイント』は、この『オレ様と少年のギャップ』なのかもしれない。
「ねぇ、みたみた?エミリオ様、こっち見て笑ったよ?かわいい~!今、私を見てたよね?」
わたしの腕を掴んで、リリアさんが言うので、わたしは彼女に視線をうつし微笑む。
質問には答えなかった。
なんとなく、あの笑顔は譲れない気がして。
拍手が鳴り止まぬ中、競技場の上の二人は、剣を鞘に戻すと、儀礼通り礼をした。
そして、そのまま競技場中央に残る。
「王子殿下。素晴らしい剣技を見せて頂き、ありがとうございました。それではこれより、剣の贈呈をさせて頂きます」
隣のテントで動きがあった。
神官長が前に進み出て、その後ろにマルコさんと男性神官さんが、それぞれ一振りずつ剣を抱えて付き従う。
この日の為に神官長が用意させた、聖騎士の剣。
「それでは、エミリオ王子殿下へ神官長マヌエルより、剣を贈らせて頂きます」
神官長は、マルコさんから剣を受け取ると、両膝をついて、王子殿下に剣を捧げた。
普段、体を使わない人があの剣を持つと、あんなにふらつくものなのね?
捧げている間も、相当重たいのか、二の腕がふるふるしているのが見えて、わたしは必死に笑いを堪える。
神官長。
折角の見せ場なのに……。
会場内は、微かに笑いを噛み殺す声が聞こえている。
王子殿下は、危なげなく、一振りずつ両手でしっかりと受け取り、団長さんに手渡す。
団長さんは、剣を受け取ると一度テントに戻り、再度競技場に上がって二振り目を受け取った。
同時に二本、持てない訳では無いだろうけど、やはり長いのでバランスとか取りにくいよね。
落としたりすると危ないし、高価な物だし。
「ありがとう。部屋に飾らせてもらう」
王子殿下の言葉に、神官長は土下座の勢いで頭を下げた。
因みに、王子殿下に手渡された剣だけど、一振り目は式典用。
柄頭の重りの部分には、贅沢にも聖騎士カラーの濃紺の宝玉(サファイアかしら?)があしらわれ、鞘部分は白銀で美しい装飾が施されている。
でも、実は本当に凄いのは刃の部分で、女神様に捧げる祈りの言葉と、聖堂のシンボルの『盾』、それから、女神様を示す『二枚の翼』が彫刻されている。
まさに、見るためにだけに作られたような芸術品……らしい。
……今回は、差し上げる本人こと神官長さまが、一人で剣を抜けなかった為、見ることが出来なくて非常に残念だけど。
二振り目は普段使いの聖騎士の剣。
ただ、こちらも王子殿下に差し上げる物ということで、柄の部分に王子殿下のカラーである大粒のルビー一石と装飾用のダイヤを五石もあしらった特別製。
剣が届いた時、朝礼で、神官長が嬉しそうに長々と説明して下さった特徴を、内容を端折ってお伝えしました。
以上、現場のローズでした!
冗談はさておき、いよいよ選手の紹介ね!
正面のテントでは、お兄様が立ち上がって体を動かしているのが見えた。
隣のテントに視線をうつすと、ジャンカルロさんが立ち上がって手足を回したり、簡単なストレッチを行っている。
ジャンカルロさんはご家族を招待されたらしく、同じテントの中で彼を応援している。
このテント、実は聖騎士用の観戦席なのだけど、肝心の聖騎士さんたちは、交代で会場内の警戒を行っているので、今はオースティン家の三人と、休憩中の聖騎士数人しか中にいない。
レンさんはご家族は呼ばなかったのね。
お兄様も呼ばなかったようだけど。
まぁ、うちは遠いし?
宿泊先とか費用とか大変だし、もうすぐ社交シーズンで王都に来るかもしれないから、何度も往復とか、無理させるのは申し訳ないものね。
ところで、もうすぐ選手紹介なのに、その肝心のレンさんがテントにいないんだけど、どういう事?
「それでは、選手の紹介をさせて頂きます」
ミゲル神官長の司会の声。
え?
本当にどこ?
時間とかそういった物に恐ろしく正確な彼が、この重要な場面で遅れるはずが無いのに。
というか、ついさっきまでそこにいませんでしたっけ?
周囲を見渡すけれど、テントで囲われた中にはいない。
……ん?
あれかな?
第三旅団のテントの後方、警護中の聖騎士さんの横で、書類に何か書き込んでいるレンさんを見つけた。
何やってるんだろう。
見るからに雑用なんですけど……。
「初戦の選手は、競技場へ」
ミゲルさんの声がかかり、お兄様とジャンカルロさんが競技場に上がる。
しょせん?…………初戦!
あ……そういうこと?
え?
開会式で、二人目の選手は紹介されないの?
それは、王国騎士側もそうだけど、あちらは自信があるだろうから、二人目が決まっているかも怪しい。
でも、そうか。
聖堂側だけ二人紹介というわけにはいかないから……でも……んー。
なんだかモヤモヤするんですけど?
競技場の上では、二人の名前や簡単な経歴が紹介されている。
会場は、応援の声やちょっとしたヤジなんかで盛り上がりを見せている。
聖堂側の女子たちも、『二人ともカッコいい!』と大盛り上がり。
そんな中、黙々と書類に書き込みを終え、警備の聖騎士に頭を下げると、第六旅団のテント後方に移動していくレンさん。
彼が動いているということは、誰かの指示に従っているということで、仕事の一環なのよね?
でも、選手なのに。
ジャンカルロさんの方が、後から決まったのに……。
テントの中には他の聖騎士さんも休んでいるのだし、余裕のある人に任せるわけにはいかない仕事なの?
というか、そもそも開会式が終わってからではダメなの?
恐らく仕事を言いつけた張本人だろうと確信して、競技場で饒舌に選手二人を褒めちぎっている神官長を睨む。
本人はご機嫌なようで、結構なことね。
競技場の上では、選手の二人がにこやかに握手を交わして、お互いに言葉をかけあっている。
その後も、選手二人の応援合戦があったり、王子殿下が二人に声をかけたりして会場は大いに盛り上がった。
◆
(side レン)
挨拶を終えた神官長から、突然、開会式の間に来場者数を確認するよう言いつけられた。
剣術披露中の移動は無礼なので、それが終わると同時に、今や作った意味すら失われたに等しいステージの背後を通り、会場の一番奥に位置する王子殿下のテント後方へ移動した。
開会式が終わってしまうと、短いとはいえ休憩が入るので、人がばらけてしまう。
よって、開会式の間に人数確認をするのは、ある意味、理にかなっている。
ただ、警戒中の聖騎士が開会式の間に、テントごと人数を数えているので、後で取りまとめても同じ結果にはなるのだが。
可能な限り好意的に考えては見るが、結局のところ八つ当たりだろう。
聖女様のまさかの行動で、幾度となく練習を重ね楽しみにしていた挨拶が、中途半端に終わってしまったのだから、当たり散らしたくもなるのだろう。
その対象が私一人で済むのならば、それで構わない。
試合が始まるまでは、特に用もないのだから。
王子殿下のテント後方で警備についているライアンさんから、テントの中の人数を確認し、書類に書き記していると、前から気配が近づいてきた。
怒っている?
視線を上げると、予想通り、オレガノ様が渋面を浮かべてこちらに向かってくるところだった。
「君は……さっきから何をしている!」
「…………職務です」
他に答えようもなく、しかし、答えないわけにもいかず、そんなことは分かっているであろう、当然の返答を返す。
聞いてきたオレガノ様自身も、それ以上訪ねなかった。
王宮での会議で、私の置かれた立場は何となく理解されているだろうから、どう声をかけていいか悩まれているのかもしれない。
「何といったらいいのかな。その、何とかならないものなのかい?」
そう問いかける声には、憤りが滲む。
このご兄妹は、とても優しいお人柄だと素直に思う。
「お気持ちだけ。ありがとうございます」
そう答え、頭を下げる。
はたから聞けば、おおよそ噛み合っていないだろう返答だが、オレガノ様は理解して下さったらしく、渋い表情のまま頷いた。
会場では、一振り目の剣が王子殿下に手渡されたところだった。
歓声が沸き起こっているので、誰もこちらに注目していないだろうが、オレガノ様はこの後、選手紹介に出なければならないので、そろそろ定位置に戻った方が良いだろう。
「そろそろ戻られた方が……」
「君は選手紹介にも出ないのか?」
「初戦の選手のみと伺っています」
「面白くないな。君との勝負だったのに」
本当に優しい方だ。
私との試合を、そのように考えて下さるとは。
「私は、楽しみです」
素直な言葉が、口をついて出てしまった。
本当はこんなことを言うべきではないのに。
オレガノ様は、驚いたように口を小さく開いている。
言ってしまった以上は、しっかりと伝えるべきだろう。
「英雄アーサー様の御子息様と、手合わせする機会を頂けるだけでも光栄なことです。今日、試合に出して頂けるだけで、私は十分です」
オレガノ様は、ようやく渋い表情を緩めて笑った。
笑う表情は、少しだけローズさんに似ている気がする。
「そんなことを言われたら、初戦絶対負けられないじゃないか」
「ご冗談を」
楽しそうに言うオレガノ様を見るにつけて、こちらまで気分が高揚するようだった。
「君がそう言うなら、分かった。それじゃ、また試合で会おう!」
「はい」
礼をしてオレガノ様を見送ると、私も次のテントへ移動する。
あぁ……本当ニ楽シミダ……。
…………。
‼
待て……違う。
そちらに流されてはダメだ。
ふいに浮上した思考を、慌てて押さえ込む。
可能な限り胸の内に押し込めていた、生来の好戦的な感情を押し留めるのに苦心する。
『剣術は、守るためのもの』。
祖父に教えられた戒めを、何度も胸中で繰り返す。
試合はあくまで試合。
守るための練習に過ぎない。
闘うことが目的であってはならない。
落ち着け!
相手が英雄の御子息だったのが、まずかったのか?
とはいえ、こんなに簡単にコントロールを失っていては、来るべき日に正しい選択など出来るはずもない。
呼吸が浅くなると同時に鼓動が強く脈打ち、周囲の音が聞こえなくなる。
「先輩?大丈夫っすか?」
立ち止まっていたらしい私の肩に、無遠慮に手を置いて声をかけたのはラルフだった。
彼が王宮関係者テントの担当だったのか。
その、ほどよく気の抜けた声に、周囲の音が戻ってきた。
過呼吸気味になっていたようだ。
「あ……ぁ。大丈夫……」
「そぉすか?ちょっと顔色悪くないです?」
「大事ない。少し緊張しただけだから」
「先輩でも緊張とかするんですか⁈」
ラルフがニヤニヤ笑いながら顔を覗き込んでくるので、顔面を掴んで押し返した。
このところ、身長も伸びウエイトも増えたようで、簡単には押されてくれないが。
「からかうな」
「えぇ?あんま滅多に表情でないんですから、ちょっとくらい見せてくれても良いじゃないですかぁ!」
「断る。……人数は数え終わっているか?」
「はい。これっす。って、先輩こんなことしてて良いんですか?選手紹介は?」
「私は必要無いそうだ」
「はぁ?」
ラルフが神官長に向かって、ぶつぶつと憤り始めたので、一気に力が抜けた。
何というか……助かった。
この場にラルフがいたことを、これほど有り難く感じるとは。
用は済んだので、次のテントに移動するべくラルフを見上げると、彼はまだ競技場に向かって文句を垂れているようだ。
一つ息を落とすと、感謝を込めてラルフの頭を撫でた。
身長差があるため、頭と言っても前髪部分だが。
ラルフは、呆けた顔でこちらを向いた。
「助かった。ありがとう。次に行く」
「っす!」
返事を聞き頷くと、第三旅団のテントへ移動する。
後輩というのは可愛いものだ。
懐いてくれていれば尚更。
ニコさんとエンリケ様からは、私があのように見えているのだろうか?
……私には、あんな可愛げはないだろうけど。
二人がやたらと頭を撫でてくる気持ちを少しだけ理解して、私は第三旅団のテント後方に立つ同僚に声をかけた。
◆
(After episode)
「君たち、仲良いなぁ」
ユーリーは、警備についていたラルフの元に歩み寄りながら声をかけた。
ラルフはユーリーを見とめると、人懐こく笑う。
「こんにちは!あー。今、先輩にユーリーさん来てるの伝えようと思ってたのに、言い逃しました」
「後で挨拶に行くからいいよ。彼、なんかあったのかい?」
「あ、気付きました?」
「あぁ。口元押さえてたから、具合が悪いのかと思ったんだが……でも、君と話した後は平気そうだったな」
「緊張したって言ってましたね。少し過呼吸っぽかったですし」
「彼が緊張ねぇ」
「緊張とか無縁に見えますけどね」
「うん。ところでラルフ君、今君、頭撫でられてたよね?」
「ええ。びっくりしました」
「今日一日、第六と第七の騎士に背後を取られないよう、気をつけた方がいい」
「は?どういう意味ですか」
ユーリーが目線を、第六旅団のテント後方に投げたので、ラルフもつられるようにそちらを見る。
そこでは、旅団長二人がレンの肩に手や腕を置いて、何か話しているようだった。
手を置かれている本人は、相変わらずの無表情だが、異様な光景だ。
一見、カツアゲにあっているかの様な絵面だが、親しげに見えないこともない。
レンに人数報告を終えた両テントの聖騎士は、距離を取って見て見ぬふりを決め込んでいる。
「とにかく、気をつけて」
「はぁ……」
急に悪寒が走って、ラルフがテントの中に視線を移すと、王国騎士の刺す様に鋭い複数の視線とぶつかった。
「え。なんで?ユーリーさん、まじ助けて?」
「第六と第七には、黒騎士のファンクラブあるから。おれじゃ守り切れないわ」
「はぁっ?黒騎士ってなんすか?ファンクラブ⁈」
「黒騎士は、レン君に付けられた通り名だね。結構彼に命を助けられたやつ、多いらしいんだよ」
「まじか~」
ラルフは、深く首を垂れた。
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