投稿小説のヒロインに転生したけど、両手をあげて喜べません

丸山 令

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第四章

行くのは危ないと分かっているのに、どうして主人公って危険に突っ込んでいくのかしら。正直理解できないわ。

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 その日の夜。

 食事やお風呂をさっさと済ませて、部屋に引き上げてきたわたしは、椅子に腰掛けぼーっと思考を巡らせていた。

 お風呂は今日もヨハンナが誘ってくれて、姉妹のように和気あいあいと楽しめたのだけど、部屋に戻って一人になると、正直気分が落ちる。

 今日、お兄様とゆっくりお話出来たことはとっても良かった。

 けど、結果的には心配事が増えた形だ。
 
 まず、一番ショックなのはユーリーさんを見つけられなかったこと。
 軍師不在で魔王軍と戦うことを考えると、付け焼き刃でも、少し軍策とか兵法とか勉強したほうが良いのかな?

 それから、わたしが『人から向けられた恋愛感情にひどく鈍感だ』とお兄様に指摘されたこと。
 どうやら自分で考えていた以上に、わたしはにぶいらしい。
 こんなことでは、お兄様を脳筋だと笑えないわ。

 小説の通りに進んでいると言えばその通りだから、良かったと言えば良かったのかな?

 でもまだ、心の準備が全然出来てない!
 
 だってお二方と会った回数だってそれほど多くないのに、そんなに突然恋に落ちるものなの?

 物語の強制力的なもので、無理矢理そういうことになっているのだとしたら、なんとも罪深い。

 わたしの気持ちだって曖昧だ。

 ヒロインのように、王子殿下にぞっこんという状況ではないし。

 ため息を吐き出すと、わたしは立ち上がった。

 お水を飲もうかな。
 
 最近は大分夏らしくなり、室内はそれなりに暑い。

 備え付けのポットからマグに水をうつそうとして、中身が殆ど無いことに気付いた。

 食事の時に貰ってくれば良かった。

 反省しながら、食堂へ向かうべく水差しを持って部屋を出る。
 先ほど九時の鐘がなっていたので、廊下のランタンは間引いてあり、薄暗い。
 昨日もこれくらいの時間に歩いていた訳だけど、静かで薄暗い廊下は、なんとなく薄気味悪いよね。

 怖いと思っていたせいか、ランタンが揺れる影に驚き、なんとなく窓の外に目線がいってしまう。
 そして、そこに思いもよらぬものを見つけて、わたしはその場で固まった。

 広場に火の玉が浮いてる!!!!

 見たく無いものを見てしまった!
 聖堂にまつわる怖い話を思い出し、わたしは慌てて廊下を通過した。

 気のせい!
 気のせいだから!

 階段を降りる前にもう一度窓から確認すると、火の玉は二つに増えていた。

 背中に水を流されたような感覚がして、わたしは急いで階段をおりる。

 こういう時、よくある物語の主人公って、必ず原因を確かめに行くじゃない?

 行くのは危ないと分かっているのに、どうして危険に突っ込んでいくのかしら?
 確かに、そこでフラグを回収しないと物語は進んでいかないのかも知れないけれど、もっと危機感を持っても良いと思うの。

 え?
 ダメかな?


 キッチンにつくと使用人さんがいて、少し気分が落ち着いた。
 水を分けて貰うと、また階段へ引き返す。

 階段に一歩、足をかけて、わたしは立ち止まった。

 少し落ち着いたから考えを改めたのだけど、やっぱり見に行くべきよね?

 一応これでもヒロインなのよ。わたし。

 ここでフラグを回収しなかったせいで、後々大失敗でした!ではお話にならないわ。

 何と言っても、王国に住む人たちの生命を守るのがわたしの役割なのだ。
 幽霊を怖がっているようでは、魔物となんて戦えないわよ!

 いや、普通に怖いんだけどね。

 必死に自分を鼓舞して足の向きを寮の入り口に変える。

 大丈夫!
 だってここ聖堂よ?
 きっと幽霊なんていないもの!
 
 
「どうしました?」

「っっ!!!」


 寮の管理人さんに声をかけられて心臓が跳ねた。


「あ、いえ。少し風にあたってきます。今日は暑いですね」

「遅いですから、気をつけてください?聖堂の中とはいえ、危ないですよ?」

「はい!ありがとうございます」


 笑顔で応えると外へ出る。
 あ、水差し持ってきちゃった。
 まぁいいか。
 ちょっと見て帰るだけだし。


 建物伝いにある通路を通って広場に出ると、いよいよはっきりと火の玉が二つ浮いているのが見えた。


ーーーリ“イィィィイイッ


 金属の擦れるような高音域の音が微かに耳に届いて、次の瞬間、二つの火の玉の間で人影が動くのが見えた。

 誰かいる?
 こんな時間に?

ーーーカチり


 再び金属質の音がしたと思ったら、微かに見えていた人影のようなものが五つ、一瞬でばらばらになって崩れ落ちた。

 ひぃぃぃっ!!!

 やっぱりまずいもの見ちゃったんじゃないでしょうか?!?!

 に!逃げた方が?!

 持っていた水差しを抱きしめて、踵を返そうとしたけど、足がもつれて後方に体勢を崩してしまった。

 転ぶ瞬間って何故か時間がゆっくり動くよね?
 水差しが手から離れて落ちていくのがゆっくり見える。
 自分の体は水差しと反対方向へ。

 転ぶ!

 身構えて衝撃に耐えるべく身を固くした。
 いつの間にか目を閉じていたようだけど、衝撃はいつまでたっても訪れなかった。
 一拍置いてから、背中を誰かの腕が支えてくれていることに気づき、恐る恐る目を開ける。


「大丈夫ですか?」


 想像以上に近いところから、穏やかな柔らかい声が聞こえて目線を上げると、整った顔が見えた。
 

「レン……さん?」

「はい。……立てますか?」


 言われて、完全に体重を預けてしまっていることに気づく。

 すいません!
 重かったですよね?

 慌てて足を踏ん張ろうとするけど、足が震えてうまく力が入らない。

 あれ?
 まさか、腰抜けた?!


「…………失礼します」


 わたわたと慌てていたら、レンさんにヒョイっと抱き上げられてしまった。

 数秒後に頭が理解して顔が熱くなる。

 まって?
 これ!お姫様抱っこじゃない?!

 レンさんはプチパニックの、わたしを抱えて移動し、近くのベンチにそっと下ろしてくれた。
 ほっそりしてみえるのに、やっぱりしっかりと逞しいのね。

 立ち上がったレンさんの表情はいつも通り。

 なんか、腰が抜けた情けない子を運んでくれただけなのに、勝手にパニクってごめんなさい。

 レンさんは、踵を返すと落ちている水差しを拾ってきてくれた。
 金属製のもので良かった。
 水は溢れてしまったけれど、割れずに済んだ。


「こんな遅くにどうされたんですか?」

「ええと……火の玉が見えたので!」

「あぁ。もう少し光量を抑えれば良かったですね。驚かせてすみませんでした」


 ん?
 光量?

 目が慣れてきても、やっぱり火の玉は火の玉だ。
 でも、間でばらばらになっているのは、剣術練習用の人型の的であることがわかった。


「あの火は魔導ですか?」

「そうです。少し調整をしたかったので」


 そう言うレンさんの私服のベルトには、王都外勤務の時にいつもさしている、もう一振りの剣が取り付けられていた。

 長さは王国騎士の剣と同じくらいかしら。
 ただ、鞘を見る限り、剣の刃は直線的でかなり幅広な珍しい形状。
 柄が細めなのか、一部を除いて布を幾重にも重ねて大雑把に巻きつけてある。
 布の無い部分には、暗いからはっきり分からないけれど、石の様なものが嵌め込まれているみたい。
 あの石、何処かで見たような?


「その……長さも重さも扱いも違いますから、調整しないと感覚が狂いますので」


 わたしの視線に気づいたのか、レンさんは剣の柄に手を置きながらぽつりと言った。

 脇差として、たださしているわけではなくて、しっかり調整して使いこなされるんだ。
 流石だなぁ。


「そうでしたか。邪魔をしてすみません。丁度廊下で火の玉が見えて……聖堂の怖い噂話を思い出して、つい来てしまったんです」

「首のない体が歩いていた、という噂ですか?」


 首のない?!?!

 あ、死体認定されたの、首が無かったからなんだ。
 …………いや、やっぱり怖い!!

 身を竦めたわたしに気づいたのか、レンさんは目元を和らげた。


「あくまで噂です。聖堂の関係者で見た人はいませんから」

「そうなんですか?」

「はい」


 それなら良かったけど。

 少し気持ちが落ち着いてきて、思い出す。
 せっかくお会いできたし、今日のお礼を言っておこう。


「あの!今日はお兄様にお付き合い頂いた上、会う機会までつくって頂いて、本当にありがとうございました」

「いえ。丁度良く会えて良かったですね」

「はい。おかげさまで。その……あ!私服の時は大変ですね!かっこいいと、あちらこちらで噂されてましたよ?」


 って、何言ってるんだろう?
 わたし。
 もう少し気の利いたこと言えないの⁈
 言って後悔していると、レンさんは少し目を伏せた後、こちらに視線を戻す。


「いえ。私ひとりの時は、ああいった状況にはなりませんから。元々ラルフは目立ちますが、やはりオレガノ様の魅力かと思います」


 あれ?
 何処かで聞いたよ?
 このセリフ。
 ここにもうひとり無自覚イケメンがいる。


「そんなこと無いですよ!レンさんは、かっこいいですから!!」


 力を込めて断言してから、急に恥ずかしくなった。
 な!
 何を言っているの?わたしは!
 そんなこと言われても普通に困るよね。


「初めて言われました。ありがとうございます」


 恥ずかしくて俯いていると、上からやんわりと返答が返ってきた。

 見上げると、レンさんは目線を外して、口元を右手で覆っている。
 見える表情に変化は無いけれど、いつもより幾分人間らしい反応に頬が緩んだ。

 もしかして、照れているのかな?
 

「いえ!あの、ええと!まだ調整中ですよね?お邪魔してすみません。ご迷惑でなければ、少し見学させて頂いても?」

「この後は簡単な魔導の練習ですが……」

「え?魔導ですか?見てみたいです!」


 食い気味で言ってしまい、はしたなかったかと反省する。


「っぁ、すいません!今日授業で、魔力のある方は精霊が見えているという話を聞いて、とても羨ましくて。わたしには見えないので、魔導に凄く憧れがあって」


 これは、転生したことを思い出した時からずっと考えていたこと。

 神様。
 作者様。
 わたしにもチートくださいよ!
 魔法使いたかったです!


 レンさんは、少し考える様に目線を外すと、こちらに視線を戻した。


「その通りに、とはいかないですが、火精霊でしたら、似たような雰囲気でお見せすることは出来ますよ?」

「本当ですか?!」


 思いがけない提案に、思わず前のめりになってしまう。
 レンさんは、勢いに押されたのか半歩下がった。

 すいません!
 興奮してしまいました。
 

「はい。以前、先先代の聖女様に同様のことを言われて、練習したことがありますので」


「是非っ!是非見せてください!!」

「わかりました」


 言いながら、レンさんは少し距離を取った。
 二メートルほど離れると、立ち止まる。


「おそらく、そこまではいかないと思いますが、触れると火傷をすることもありますので気をつけてください」

「はい!」


 わたしが元気に返事をすると、レンさんは右手を前へ差し出し、手の平を上に向けた。


「謹んで乞い願い奉る
 その赫灼かくしゃくたる銀朱
 炎の守護サラムレリアの眷属よ
 我に宿りし古の血を媒介に
 その力賜らん」


 呪文の詠唱です!

 前回も、祝詞のような響きを持っていると思ったけれど、実際に聞くと本当に祝詞みたい!

 この世界の人間は、無詠唱で魔導を使うことが出来ないらしい。
 一方、魔術は陣を使う。
 いわゆる魔法陣ね。

 当然、魔導士はみんな詠唱するので、『厨二病っぽい!』とか言って、馬鹿にされたりはしない。


「炎よ。我が手に宿れ」


 最後にパワーワードが紡がれると、レンさんの手のひらの上に、拳大の火の玉が浮かんだ。

 先ほどから後方で燃えている、二つの火の玉より一回り小さい。


「散開」


 レンさんがもう一度言葉を紡ぐと、炎が細かい粒子になって周囲に飛び散った。
 花火よりもずっと細かい粒子状の火の粉が、レンさんを中心に空間を漂う。

 夜の暗闇で見せてくれたこともあってか、その赤い煌めきは、とても綺麗で神秘的。
 レンさんの周囲を赤々と照らすと、数秒後、空間にスゥっと溶けて消えていった。

 完全に光が消えると、レンさんはこちらに戻ってくる。


「多少見え方は違いますが、こういったものが常に周辺にある、という感じです」


「凄い!とっても綺麗でした!!」


 興奮が抑えられず、思ったことをそのまま言葉にしてしまった。
 これでは語彙力がない残念な娘だわ。

 でも、それを聞いたレンさんは、目元を和らげた。

 最近、レンさんは、よくこの表情を見せてくれる。
 微笑んでくれているように見えて、なんだか嬉しい。


「火精霊は、はっきりと色がありますので、再現しやすいんです。昼間ならば、水精霊でも似たようなことが出来るかもしれないですね」

「水の魔導も出来るんですか?」

「あの程度でしたら。ですが、それは私がお見せするよりも……」

「え?」


 疑問の声を発したわたしを見て、レンさんは、はっとしたように、途中で口をつぐんだ。


「いえ、失言でした。忘れて下さい」

「??」


 そのまま黙ってしまったので、首を傾げる。

 何か失言ありましたか?

 その時にわかに風が吹いた。
 少し涼しく感じて、身を縮める。


「少し、涼しくなって来ましたね。もう遅いですから、戻られた方が」


 レンさんは、いつも通りの表情でわたしに言った。

 それもそうよね。

 ちょっと行ってくると言って出て来てから、大分時間が経ってしまった。
 それにお水も汲み直さなければ。


「はい。そうします。魔導をみせて頂き、ありがとうございました」

「いえ」


 立ち上がると、足はしっかり地面についた。
 良かった!


「送ります」

「いえ、練習中ですよね?直ぐそこですから、大丈夫です!走って戻ります!」

「そうですか?」

「はい!」


 笑顔で言いながら頭を下げると、レンさんも頭を下げてくれた。
 
 今日は、良いものを見せて頂いたなぁ。
 頬を緩ませながら、わたしは小走りで寮に帰った。

 部屋に戻って悩み事を思い出し、げんなりするのは、また後のお話。
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