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17.お披露目(Y)
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挨拶回りはほぼ終わっただろう。
とくに問題も無く……いや、ときおり相手の父親や夫の側に控えた淑女の仮面を被ったハンターが、獲物を奪われて殺意に満ちた目で見てくるが気にしない。いや、人妻は睨むな。
ジャスミンは、ときおりビクッ!とするが、こちらを見てフニャッと笑うのだ。何その懐きっぷり。
え、ヤバイ。うちの子めちゃくちゃ可愛いのではないだろうか。
「そろそろ君達も踊ってきなさい」
「はい。ジャスミン嬢いけるか?」
「もちろん!」
すでに何組か踊ってるが……、
「ど真ん中行くか?」
「私を殺す気ですか!」
「いや?見せびらかしたい気分だなって」
自分が女性に対してこんなことを思うようになるとは何とも感慨深い。
「……確かにありかも。ユリシーズ様は売約済みですよって知らしめたいかもしれません」
おお、こちらも意外だ。私を男色家扱いして、そのカモフラージュを喜んで引き受けると言っていたのに随分な進歩だ。
「独占欲ですか?」
「…だって特別ですもの」
「うん、俺もだ」
これはもう絶対に手放せないな。
「ジャスミン嬢、私と踊って下さいますか?」
「喜んで!」
私達が踊り始めると、辺りが騒がしくなった。
だが、そんなことはまったく気にならない。
さっきまでビクついていたジャスミン嬢も、今は俺から目を逸らさないから。
彼女の背中に手が触れる。
一瞬、ジャスミン嬢が震えた。
でもそれは恐怖や嫌悪ではない。だって、俺を見つめる目が、少し潤みつつも逸らされることはなく、その頬を少し薄紅に染めているだけだ。
……けしからんドレスだ。だが、ありがとうございます!
「香水の香り…少し甘くなりましたね」
「そうかな。嫌じゃない?」
「……すきですよ」
……持って帰ってもいいかな。もういいんじゃないか?だってこんなにも可愛いんだぞ?
「ポケットに入ればいいのに」
「何がです?」
「ジャスミン嬢」
「はい、聞こえてますって。何をポッケに入れたいのですか?」
「……知ってた。君はそういう人だ」
普段は斜め上を行くのに、こういう時は期待を裏切らないおとぼけ娘になるのだな。
「そういうって?」
「可愛らしいってことだ」
顔を寄せ、耳元で囁く。
「ぴゃっ!?」
………なんか変な鳴き声がした。
「な、なっ、なんて破廉恥なっ!」
「小声で話しただけですよ」
「ご自分のお顔とお声を考えて下さいっ」
「見せつけるんだろう?」
「私も被爆しました…」
「ハハッ!」
キャーッ、とまた悲鳴が聞こえる。どうした。モンスターでも出たか?
そのまま2曲続けて踊り、一度休憩する事にした。
「ジャスミン嬢!」
来たな、ヘタレ殿下め。
「ティモシー殿下、お久しぶりでございます」
「あの!私と踊っていただけませんか!」
私に断らせない為か挨拶もなくいきなりダンスのを申し込んできた。
おい、教育係。王子なのにかなりマナーが悪いぞ。
「ごめんなさい!」
だが、間髪入れずにごめんなさいが炸裂した。
「何故っ!?この男に何か言われたのか!?」
「いえ。じつは私、ユリシーズ様としか踊れない体になってしまったんです」
「ぶっ!」
「はっ!?」
……さすがはジャスミン嬢だ。よくそんな言い回しを思いついたな?
「…そ…それはどういう…」
可哀想に。ティモシー殿下がふるふると揺れている。動揺し過ぎだろう。
「彼のこの手じゃないと、私は安心して踊れません。不器用で申し訳ございませんが、ご容赦下さいませ」
そう言ってジャスミン嬢は頭を下げた。
「だ、だが!練習しないと一生ユリシーズとしか踊れないぞ!」
「え、何も困りませんけど?」
一刀両断だ。そう。困るのは殿下だけ。
「なんで……かお?顔なのか、君もその男の上っ面に騙されて「ませんよ?」
おい。王族の言葉を遮るな被せるな。
「私は、そりゃあもちろんお顔も好きですけど、それだけじゃなくて」
「それだけじゃなくて?」
「もうっ、どうしてユリシーズ様が聞いているの!?」
「ずっと手を繋いで隣にいるから、どうしても聞こえるよな?」
「……ですね」
「分かってもらえてよかった」
「…ひどい、私の前でイチャつくなよぉっ!」
「え、殿下!?」
酷い捨て台詞を残して殿下は去っていった。
あんなにも駄目っ子で大丈夫なのか?
「どうしたのでしょう。お腹でも痛かったのかな?」
更に腹痛でトイレへ行ったと思われて踏んだり蹴ったりだな。
まぁ、人のモノに手を出そうとする方が悪いってことだ。
「疲れただろう、何か飲もうか。ここで待って……無い方がいいな。一緒に飲み物を取りに行こう」
本当ならば飲み物を取って来てやりたいが、ジャスミンを一人にするなんて恐ろし過ぎる。
「はーい」
「酒は禁止な」
「えー」
とくに問題も無く……いや、ときおり相手の父親や夫の側に控えた淑女の仮面を被ったハンターが、獲物を奪われて殺意に満ちた目で見てくるが気にしない。いや、人妻は睨むな。
ジャスミンは、ときおりビクッ!とするが、こちらを見てフニャッと笑うのだ。何その懐きっぷり。
え、ヤバイ。うちの子めちゃくちゃ可愛いのではないだろうか。
「そろそろ君達も踊ってきなさい」
「はい。ジャスミン嬢いけるか?」
「もちろん!」
すでに何組か踊ってるが……、
「ど真ん中行くか?」
「私を殺す気ですか!」
「いや?見せびらかしたい気分だなって」
自分が女性に対してこんなことを思うようになるとは何とも感慨深い。
「……確かにありかも。ユリシーズ様は売約済みですよって知らしめたいかもしれません」
おお、こちらも意外だ。私を男色家扱いして、そのカモフラージュを喜んで引き受けると言っていたのに随分な進歩だ。
「独占欲ですか?」
「…だって特別ですもの」
「うん、俺もだ」
これはもう絶対に手放せないな。
「ジャスミン嬢、私と踊って下さいますか?」
「喜んで!」
私達が踊り始めると、辺りが騒がしくなった。
だが、そんなことはまったく気にならない。
さっきまでビクついていたジャスミン嬢も、今は俺から目を逸らさないから。
彼女の背中に手が触れる。
一瞬、ジャスミン嬢が震えた。
でもそれは恐怖や嫌悪ではない。だって、俺を見つめる目が、少し潤みつつも逸らされることはなく、その頬を少し薄紅に染めているだけだ。
……けしからんドレスだ。だが、ありがとうございます!
「香水の香り…少し甘くなりましたね」
「そうかな。嫌じゃない?」
「……すきですよ」
……持って帰ってもいいかな。もういいんじゃないか?だってこんなにも可愛いんだぞ?
「ポケットに入ればいいのに」
「何がです?」
「ジャスミン嬢」
「はい、聞こえてますって。何をポッケに入れたいのですか?」
「……知ってた。君はそういう人だ」
普段は斜め上を行くのに、こういう時は期待を裏切らないおとぼけ娘になるのだな。
「そういうって?」
「可愛らしいってことだ」
顔を寄せ、耳元で囁く。
「ぴゃっ!?」
………なんか変な鳴き声がした。
「な、なっ、なんて破廉恥なっ!」
「小声で話しただけですよ」
「ご自分のお顔とお声を考えて下さいっ」
「見せつけるんだろう?」
「私も被爆しました…」
「ハハッ!」
キャーッ、とまた悲鳴が聞こえる。どうした。モンスターでも出たか?
そのまま2曲続けて踊り、一度休憩する事にした。
「ジャスミン嬢!」
来たな、ヘタレ殿下め。
「ティモシー殿下、お久しぶりでございます」
「あの!私と踊っていただけませんか!」
私に断らせない為か挨拶もなくいきなりダンスのを申し込んできた。
おい、教育係。王子なのにかなりマナーが悪いぞ。
「ごめんなさい!」
だが、間髪入れずにごめんなさいが炸裂した。
「何故っ!?この男に何か言われたのか!?」
「いえ。じつは私、ユリシーズ様としか踊れない体になってしまったんです」
「ぶっ!」
「はっ!?」
……さすがはジャスミン嬢だ。よくそんな言い回しを思いついたな?
「…そ…それはどういう…」
可哀想に。ティモシー殿下がふるふると揺れている。動揺し過ぎだろう。
「彼のこの手じゃないと、私は安心して踊れません。不器用で申し訳ございませんが、ご容赦下さいませ」
そう言ってジャスミン嬢は頭を下げた。
「だ、だが!練習しないと一生ユリシーズとしか踊れないぞ!」
「え、何も困りませんけど?」
一刀両断だ。そう。困るのは殿下だけ。
「なんで……かお?顔なのか、君もその男の上っ面に騙されて「ませんよ?」
おい。王族の言葉を遮るな被せるな。
「私は、そりゃあもちろんお顔も好きですけど、それだけじゃなくて」
「それだけじゃなくて?」
「もうっ、どうしてユリシーズ様が聞いているの!?」
「ずっと手を繋いで隣にいるから、どうしても聞こえるよな?」
「……ですね」
「分かってもらえてよかった」
「…ひどい、私の前でイチャつくなよぉっ!」
「え、殿下!?」
酷い捨て台詞を残して殿下は去っていった。
あんなにも駄目っ子で大丈夫なのか?
「どうしたのでしょう。お腹でも痛かったのかな?」
更に腹痛でトイレへ行ったと思われて踏んだり蹴ったりだな。
まぁ、人のモノに手を出そうとする方が悪いってことだ。
「疲れただろう、何か飲もうか。ここで待って……無い方がいいな。一緒に飲み物を取りに行こう」
本当ならば飲み物を取って来てやりたいが、ジャスミンを一人にするなんて恐ろし過ぎる。
「はーい」
「酒は禁止な」
「えー」
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