魔法のせいだから許して?

ましろ

文字の大きさ
32 / 50

32.

しおりを挟む
「まぁ、断罪?何かのお芝居かしら」

「そうですね、空想の物語だったらどれだけよかったかと思っていますわ。でも、現実ですの。今回の事件をここまで大事にして下さった影の功労者に文句の一つでも言わないといけないでしょう?」


陛下達はとりあえず見守って下さるみたいね。不敬罪は存在しないものとして言わせていただこう。


「面白いことを言うのね。私が何をしたというのかしら。魔法を掛けたのはマルティナ。それに便乗したのは学園の生徒。私は何もしていないわよ?」

「なぜ何もしなかったのですか?陛下に、殿下に関わることだからご自分で責任を持つと言って調査団を管理していたのですよね?」

「まぁ、陛下と仲良しなのね。でもね、残念ながら魔法の調査は難しいのよ。頑張った調査員を責めないであげて?」


信じられない。調査員のせいにするつもり?


「そんなこと考えもしませんでしたわ。だって。すべての罪が王妃様にあるのは明白ですもの」

「……可哀想だと思って優しくしてあげていたら。ずいぶんと生意気を言うようになったみたいね」


あらあら怖いこと。でも脅すということは真実だということよね?


「ふふ、きっと王妃様の教育のおかげです」


あなたの脅しくらい笑顔で躱してみせますよ。だって怒っていいのは私の方だ。


「ねぇ知ってます?子供は親の分身なんかじゃないんですよ?」

「……なんですって?」

「ですから、子供は子供。親は親。まったくの別人だということです。ご理解いただけましたか?」


まったく理解できていないようね。内容ではなく、なぜ今そのような話になったかを理解できていない。


「なぜこんな話をするか分かりませんか?王妃様がジークハルト様をご自分の分身のように思っていらっしゃるようなので、その間違いを指摘させていただいたのですよ」

「何を言ってるの?そんなはずないでしょう」


もしかして無自覚だったのかしら。一番迷惑なタイプね。


「では、なぜ殿下の心を決めつけているのですか?まさか王妃殿下も魔法が使えるとか?」

「な!私がいつ!」

「私は母だから分かるのです!でしたっけ?
凄いですね。母親になると魔法が使えるようですわ。でもそのわりに世間には知られていませんね。もしかして!これも禁忌魔法でしたか?」


あら、陛下と王太子殿下の頬が引きつってるわ。ここまで不敬な発言をするとは思わなかったのね。
残念ながら私は怒ってますので!


「……私は間違っていないわ。あの子は!気を付けないと愛のために他を傷付けることを厭わない化物になってしまうのよ!」

「それこそどこの物語ですか?殿下は確かに溺愛体質ですよ。彼の中で愛はかなりの上位ランクです。それでも、彼は自分が王子だという意識を常に持っていました。間違っても愛に狂う人ではないんです。
付き合って5年の私が知っていることをどうして魔法使いの母親は知らないのですか?」

「だから!あなたが理解できないだけよ!!
あの子を愛してるから信じられないのは分かるわ。でも大丈夫。いつかあなたも子供を産めば分かるようになるわ」


凄いな。見事に話が通じない。


「では、魔法使いの王妃様に質問です。今、王太子殿下は何を思っているでしょうか。母親魔法で教えてくださいませ」

「え?」

「同じ大切なご子息です。もちろん分かりますよね?」


殿下を見ながら気不味そうに目を逸らす。分からないのよね。私は分かるけどなぁ。母親がヤバイ人だった!これ一択でしょう。


「おかしいですね。分からないのですか?そうなると、母親は魔法を使えないということですね。では、あなたが言う恋愛狂いのジークハルト様は妄想ということです。そんな妄想の彼を隠す為に調査妨害をしていたのですか?」

「違うわ!本当に分かるのよ!」

「ではなぜジーク様はここにいないの?」

「あの子は……自分の真実の姿を知って傷付いてしまったのよ」

「母上、違いますよ。あなたのその狂った考えのせいで自分の人生まで狂わされたのを知って出て行ったのですよ」


王太子殿下がとうとう我慢出来なくなったようだ。二人は仲の良い兄弟だから腹も立つだろう。


「アルブレヒト、何を言ってるの」

「自分の母親に狂ってると思われて平然としていられるとでも?そのせいで大切な婚約者を傷付けるまでに至ったんだ。あなたの顔も見たくないだろう」

「私は!」

「妨害しただろう?調査を。あいつの残酷な姿を他に知られたくないからだと?
あなたがそんなことをしなかったら、もっと早くに解決出来たんですよ。そうしたら婚約白紙になんてならなかったかもしれない。先程の生徒や教師達だって、まだ踏みとどまれる状況だったかもしれない。

狂っているのはジークじゃない。あなただ」






しおりを挟む
感想 156

あなたにおすすめの小説

さようならの定型文~身勝手なあなたへ

宵森みなと
恋愛
「好きな女がいる。君とは“白い結婚”を——」 ――それは、夢にまで見た結婚式の初夜。 額に誓いのキスを受けた“その夜”、彼はそう言った。 涙すら出なかった。 なぜなら私は、その直前に“前世の記憶”を思い出したから。 ……よりによって、元・男の人生を。 夫には白い結婚宣言、恋も砕け、初夜で絶望と救済で、目覚めたのは皮肉にも、“現実”と“前世”の自分だった。 「さようなら」 だって、もう誰かに振り回されるなんて嫌。 慰謝料もらって悠々自適なシングルライフ。 別居、自立して、左団扇の人生送ってみせますわ。 だけど元・夫も、従兄も、世間も――私を放ってはくれないみたい? 「……何それ、私の人生、まだ波乱あるの?」 はい、あります。盛りだくさんで。 元・男、今・女。 “白い結婚からの離縁”から始まる、人生劇場ここに開幕。 -----『白い結婚の行方』シリーズ ----- 『白い結婚の行方』の物語が始まる、前のお話です。

あなたが捨てた花冠と后の愛

小鳥遊 れいら
恋愛
幼き頃から皇后になるために育てられた公爵令嬢のリリィは婚約者であるレオナルド皇太子と相思相愛であった。 順調に愛を育み合った2人は結婚したが、なかなか子宝に恵まれなかった。。。 そんなある日、隣国から王女であるルチア様が側妃として嫁いでくることを相談なしに伝えられる。 リリィは強引に話をしてくるレオナルドに嫌悪感を抱くようになる。追い打ちをかけるような出来事が起き、愛ではなく未来の皇后として国を守っていくことに自分の人生をかけることをしていく。 そのためにリリィが取った行動とは何なのか。 リリィの心が離れてしまったレオナルドはどうしていくのか。 2人の未来はいかに···

白い結婚の行方

宵森みなと
恋愛
「この結婚は、形式だけ。三年経ったら、離縁して養子縁組みをして欲しい。」 そう告げられたのは、まだ十二歳だった。 名門マイラス侯爵家の跡取りと、書面上だけの「夫婦」になるという取り決め。 愛もなく、未来も誓わず、ただ家と家の都合で交わされた契約だが、彼女にも目的はあった。 この白い結婚の意味を誰より彼女は、知っていた。自らの運命をどう選択するのか、彼女自身に委ねられていた。 冷静で、理知的で、どこか人を寄せつけない彼女。 誰もが「大人びている」と評した少女の胸の奥には、小さな祈りが宿っていた。 結婚に興味などなかったはずの青年も、少女との出会いと別れ、後悔を経て、再び運命を掴もうと足掻く。 これは、名ばかりの「夫婦」から始まった二人の物語。 偽りの契りが、やがて確かな絆へと変わるまで。 交差する記憶、巻き戻る時間、二度目の選択――。 真実の愛とは何かを、問いかける静かなる運命の物語。 ──三年後、彼女の選択は、彼らは本当に“夫婦”になれるのだろうか?  

【完結】旦那様、その真実の愛とお幸せに

おのまとぺ
恋愛
「真実の愛を見つけてしまった。申し訳ないが、君とは離縁したい」 結婚三年目の祝いの席で、遅れて現れた夫アントンが放った第一声。レミリアは驚きつつも笑顔を作って夫を見上げる。 「承知いたしました、旦那様。その恋全力で応援します」 「え?」 驚愕するアントンをそのままに、レミリアは宣言通りに片想いのサポートのような真似を始める。呆然とする者、訝しむ者に見守られ、迫りつつある別れの日を二人はどういった形で迎えるのか。 ◇真実の愛に目覚めた夫を支える妻の話 ◇元サヤではありません ◇全56話完結予定

(完結)婚約破棄から始まる真実の愛

青空一夏
恋愛
 私は、幼い頃からの婚約者の公爵様から、『つまらない女性なのは罪だ。妹のアリッサ王女と婚約する』と言われた。私は、そんなにつまらない人間なのだろうか?お父様もお母様も、砂糖菓子のようなかわいい雰囲気のアリッサだけをかわいがる。  女王であったお婆さまのお気に入りだった私は、一年前にお婆さまが亡くなってから虐げられる日々をおくっていた。婚約者を奪われ、妹の代わりに隣国の老王に嫁がされる私はどうなってしまうの?  美しく聡明な王女が、両親や妹に酷い仕打ちを受けながらも、結局は一番幸せになっているという内容になる(予定です)

〈完結〉【書籍化&コミカライズ・取り下げ予定】記憶を失ったらあなたへの恋心も消えました。

ごろごろみかん。
恋愛
婚約者には、何よりも大切にしている義妹がいる、らしい。 ある日、私は階段から転がり落ち、目が覚めた時には全てを忘れていた。 対面した婚約者は、 「お前がどうしても、というからこの婚約を結んだ。そんなことも覚えていないのか」 ……とても偉そう。日記を見るに、以前の私は彼を慕っていたらしいけれど。 「階段から転げ落ちた衝撃であなたへの恋心もなくなったみたいです。ですから婚約は解消していただいて構いません。今まで無理を言って申し訳ありませんでした」 今の私はあなたを愛していません。 気弱令嬢(だった)シャーロットの逆襲が始まる。 ☆タイトルコロコロ変えてすみません、これで決定、のはず。 ☆商業化が決定したため取り下げ予定です(完結まで更新します)

無価値な私はいらないでしょう?

火野村志紀
恋愛
いっそのこと、手放してくださった方が楽でした。 だから、私から離れようと思うのです。

【完結】ずっと、ずっとあなたを愛していました 〜後悔も、懺悔も今更いりません〜

高瀬船
恋愛
リスティアナ・メイブルムには二歳年上の婚約者が居る。 婚約者は、国の王太子で穏やかで優しく、婚約は王命ではあったが仲睦まじく関係を築けていた。 それなのに、突然ある日婚約者である王太子からは土下座をされ、婚約を解消して欲しいと願われる。 何故、そんな事に。 優しく微笑むその笑顔を向ける先は確かに自分に向けられていたのに。 婚約者として確かに大切にされていたのに何故こうなってしまったのか。 リスティアナの思いとは裏腹に、ある時期からリスティアナに悪い噂が立ち始める。 悪い噂が立つ事など何もしていないのにも関わらず、リスティアナは次第に学園で、夜会で、孤立していく。

処理中です...