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私が魔法に掛けられた可能性。
あるわよね。だって私が一番邪魔だったのだもの。私が身を引けばありがたかったでしょう。
どうしよう。お父様達に相談する?
……違う。まずはちゃんと自分で考えなきゃ。
やっぱりおかしいわ。私はいつから判断を人任せにするようになったの?
そもそも、なぜ私はやられっぱなしだった?
私はそんなにか弱いご令嬢だったかしら。
こわい。魔法ってこういうものなんだ──
こんなに違和感なく思考を変えられるなんて。
失恋の痛手で心が弱ってるんだと思ってた。
それが無いとはいわない。
でも私はもともと恋がすべてみたいな考えではなかった。殿下が浮気した時点でまず問い詰めるわ。だって他人と共有なんてどんなに好きでも気持ち悪くて無理だもの!浮気を止めないならこちらの有責でもいいから婚約破棄したわよね。お父様達も止めなかったと思うもの。
殿下に謝らなきゃ。これは真横で魔法を重ねがけされまくった殿下は別人になっても仕方がないわ。
謝罪しなかったのは許さないけど!
ほら、私はもともと悲劇のヒロインじゃないのよ。先輩と話してヒロイン病は怖いって言ってたのに、まだ罹患したままだったなんて。
もしかして学園自体に影響が残ってるの?だから魔法が解けたと思っていても、通ううちに魔法の影響を受けるとか。だから殿下もおかしくなっていた?
これは専門家に調べてもらわないとさっぱり分からないわよね。
でも、これではっきりした。
──魔法は魅了じゃない。
だったら先輩達は?そもそも先輩だけが掛からない理由がない。もしかして殿下への妙な対抗心も?
ん~、もともとの性格を知らないから判別できないわ。
私に分かるのはこれくらいね。
ここからはお父様と方針を決めましょう。
「お姉様、お手紙が届いてますよ!」
「あら、どうしてあなたが配達員になってるのかしら?」
「お父様が渡すかどうか悩んでたわ。だから、お姉様は本当は強いから大丈夫!って貰ってきちゃった」
手紙は全部で3通。フィデル、ビアンカ、先輩から。もう1つは小包だ。殿下から?
何かあったのだろうか。お父様と話す前に目を通しておいた方がいいわよね?
手紙から開けていく。
まずはフィデルから。
「お元気ですか?
こちらは先輩とビアンカが落ち込みまくっていて面白い事になっています。
ビアンカにはしっかりお仕置きをしておいたので安心してください。悪気がないことが悪いと少しは脳味噌に浸透したと思います。先輩への悪気はあったしね。
迷惑なやつですが、リーゼロッテさんと仲良くしたい気持ちは本当なので、もう一度チャンスをくれると嬉しいです」
……なんだかフィデルのお腹は黒い気がする。
でも、ビアンカのことが大切なのね。お似合いだなぁ。
次はビアンカ。
「リーゼ、ごめんなさい。
フィデルに叱られました。私はリーゼのためだと言いながら自分の欲の為に動いてた。
先輩みたいにもっと頼りにされたかった。でも私はいじめた側で先輩はヒーローだった。本当はヘタレ男のくせにって悔しかったの。
これからは卑怯な真似はしません!だからお願いします。友達でいさせてほしい。
あなたがいないと寂しいです。早く元気になるよう祈ってます」
ビアンカは本当に私を好きでいてくれたのね。先輩に謝罪できてよかった。確かに、あの乱入事件はヒーローのすることじゃなかったわ。いっそのこと魔法の影響かも、と教えてあげたら泣いて喜びそう。でもヘタレ男って。まだまだ教育が必要みたいよ、フィデル。
ビアンカの猪突猛進ぶりはどうなんだろう。魔法?……素な気がするわね。でも、面白くて嫌いじゃない。可愛いもの。でもこれからはもう少し抑えてもらわないとね。
もう一通は先輩。
今更だけど、ギルベルトって名前なんだ。ずっと先輩って呼んでたから変な感じ。
「逃げ回っててごめん。お前の前ではずっと格好付けてたのにあんな醜態を晒してしまって、どんな顔をしたらいいか分からなかったんだ。
俺はクールぶってたけど、本当はお前の名前も呼べない小心者なんだ。それなのにプライドだけは高くて、殿下をライバル視していたくらいだ。なんでも持ってるあいつが死ぬ程羨ましかった。
だから、好きな女の子くらい俺のものにしてもいいんじゃないかって思ってしまった。
入学式でお前の笑顔に一目惚れした。殿下に向けたやつだったけど。
あいつのことマニアックって言ったのは嘘だ。俺も同じなんだ。笑顔一つで好きになった。
あいつがずっと馬鹿でいてほしかった。上辺だけ好きになって、暴力も簡単にできる、悪いとも思っていない馬鹿王子。そこから助け出すヒーローになりたかった。
自分のことばかりでごめん。本当は全然守れてなかった。
本当は顔を見て謝らないといけないのは分かってるけど、また暴走するといけないから手紙にした。
お前が元気になったら今度こそ謝罪と告白をさせてほしい。戻ってくるのをずっと待ってる」
先輩は不器用なのね。言われてみれば名前を呼ばれていなかったかも。私も先輩呼びだし二人とも可笑しいわ。
あの時、告白があまりにも早口で捲し立ててたから、内容がよく分からなかったけど、まさか入学式で好きになっていたなんて。手紙とはいえ、告白は恥ずかしいわ。それに、その頃なら魔法のせいではないのね。
謝罪と告白……帰りづらくなったわ!
ちょっと考えるのは保留にさせて。
最後は殿下からの小包ね。
これは……陶器?
あるわよね。だって私が一番邪魔だったのだもの。私が身を引けばありがたかったでしょう。
どうしよう。お父様達に相談する?
……違う。まずはちゃんと自分で考えなきゃ。
やっぱりおかしいわ。私はいつから判断を人任せにするようになったの?
そもそも、なぜ私はやられっぱなしだった?
私はそんなにか弱いご令嬢だったかしら。
こわい。魔法ってこういうものなんだ──
こんなに違和感なく思考を変えられるなんて。
失恋の痛手で心が弱ってるんだと思ってた。
それが無いとはいわない。
でも私はもともと恋がすべてみたいな考えではなかった。殿下が浮気した時点でまず問い詰めるわ。だって他人と共有なんてどんなに好きでも気持ち悪くて無理だもの!浮気を止めないならこちらの有責でもいいから婚約破棄したわよね。お父様達も止めなかったと思うもの。
殿下に謝らなきゃ。これは真横で魔法を重ねがけされまくった殿下は別人になっても仕方がないわ。
謝罪しなかったのは許さないけど!
ほら、私はもともと悲劇のヒロインじゃないのよ。先輩と話してヒロイン病は怖いって言ってたのに、まだ罹患したままだったなんて。
もしかして学園自体に影響が残ってるの?だから魔法が解けたと思っていても、通ううちに魔法の影響を受けるとか。だから殿下もおかしくなっていた?
これは専門家に調べてもらわないとさっぱり分からないわよね。
でも、これではっきりした。
──魔法は魅了じゃない。
だったら先輩達は?そもそも先輩だけが掛からない理由がない。もしかして殿下への妙な対抗心も?
ん~、もともとの性格を知らないから判別できないわ。
私に分かるのはこれくらいね。
ここからはお父様と方針を決めましょう。
「お姉様、お手紙が届いてますよ!」
「あら、どうしてあなたが配達員になってるのかしら?」
「お父様が渡すかどうか悩んでたわ。だから、お姉様は本当は強いから大丈夫!って貰ってきちゃった」
手紙は全部で3通。フィデル、ビアンカ、先輩から。もう1つは小包だ。殿下から?
何かあったのだろうか。お父様と話す前に目を通しておいた方がいいわよね?
手紙から開けていく。
まずはフィデルから。
「お元気ですか?
こちらは先輩とビアンカが落ち込みまくっていて面白い事になっています。
ビアンカにはしっかりお仕置きをしておいたので安心してください。悪気がないことが悪いと少しは脳味噌に浸透したと思います。先輩への悪気はあったしね。
迷惑なやつですが、リーゼロッテさんと仲良くしたい気持ちは本当なので、もう一度チャンスをくれると嬉しいです」
……なんだかフィデルのお腹は黒い気がする。
でも、ビアンカのことが大切なのね。お似合いだなぁ。
次はビアンカ。
「リーゼ、ごめんなさい。
フィデルに叱られました。私はリーゼのためだと言いながら自分の欲の為に動いてた。
先輩みたいにもっと頼りにされたかった。でも私はいじめた側で先輩はヒーローだった。本当はヘタレ男のくせにって悔しかったの。
これからは卑怯な真似はしません!だからお願いします。友達でいさせてほしい。
あなたがいないと寂しいです。早く元気になるよう祈ってます」
ビアンカは本当に私を好きでいてくれたのね。先輩に謝罪できてよかった。確かに、あの乱入事件はヒーローのすることじゃなかったわ。いっそのこと魔法の影響かも、と教えてあげたら泣いて喜びそう。でもヘタレ男って。まだまだ教育が必要みたいよ、フィデル。
ビアンカの猪突猛進ぶりはどうなんだろう。魔法?……素な気がするわね。でも、面白くて嫌いじゃない。可愛いもの。でもこれからはもう少し抑えてもらわないとね。
もう一通は先輩。
今更だけど、ギルベルトって名前なんだ。ずっと先輩って呼んでたから変な感じ。
「逃げ回っててごめん。お前の前ではずっと格好付けてたのにあんな醜態を晒してしまって、どんな顔をしたらいいか分からなかったんだ。
俺はクールぶってたけど、本当はお前の名前も呼べない小心者なんだ。それなのにプライドだけは高くて、殿下をライバル視していたくらいだ。なんでも持ってるあいつが死ぬ程羨ましかった。
だから、好きな女の子くらい俺のものにしてもいいんじゃないかって思ってしまった。
入学式でお前の笑顔に一目惚れした。殿下に向けたやつだったけど。
あいつのことマニアックって言ったのは嘘だ。俺も同じなんだ。笑顔一つで好きになった。
あいつがずっと馬鹿でいてほしかった。上辺だけ好きになって、暴力も簡単にできる、悪いとも思っていない馬鹿王子。そこから助け出すヒーローになりたかった。
自分のことばかりでごめん。本当は全然守れてなかった。
本当は顔を見て謝らないといけないのは分かってるけど、また暴走するといけないから手紙にした。
お前が元気になったら今度こそ謝罪と告白をさせてほしい。戻ってくるのをずっと待ってる」
先輩は不器用なのね。言われてみれば名前を呼ばれていなかったかも。私も先輩呼びだし二人とも可笑しいわ。
あの時、告白があまりにも早口で捲し立ててたから、内容がよく分からなかったけど、まさか入学式で好きになっていたなんて。手紙とはいえ、告白は恥ずかしいわ。それに、その頃なら魔法のせいではないのね。
謝罪と告白……帰りづらくなったわ!
ちょっと考えるのは保留にさせて。
最後は殿下からの小包ね。
これは……陶器?
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