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「ごめん!リーゼ、私が愚かだったせいで君に辛い思いをさせ「止まって下さい!」…え?」
「お願いです、それ以上近づかないで」
やっぱり殿下はまだ怖い。頭では大丈夫だと思っていても、体が勝手に震える。
「……申し訳ありません。それ以上近くに来られると……怖すぎて吐きそうです。お話しならその位置からお願いします」
ここはもう素直に伝えましょう。殿下の前でケロッと吐くよりマシなはず。
「……愛してるんだ、リーゼ。だから迎えに来たよ。お願いだ、もう一度やり直そう!」
ダメだ、拒絶反応で吐きそう……
慌ててハンカチで口を押さえる。もう少し耐えて、私!
「すでに私達の婚約は白紙に戻っています。今更無かったことにはできませんわ。婚約とはそんな簡単なものではありません。
どうか、他の女性をお探し下さい。素敵な出会いがある事をお祈り申し上げます」
よし、言い切った!
「大丈夫だよ、リーゼ。君さえ頷いてくれたら再婚約していいと言われているんだ。だって魔法のせいだったのだし、婚約白紙は一時的な措置というだけだ。安心して?」
安心材料は一つも無いです。なぜお父様が戻って来ないのかしら。ようするに先生に裏切られた?帰り際にお父様だけ呼びとめたのはそういうこと?
権力は教育者も屈服させるのか。教え子は守ってほしかった。
「見てください」
殿下との距離は1m。ちゃんと見えるわよね?ちょっと心配になりながら左手を前に出す。
「見えますか?震えているでしょう。……あなたが怖いのです。頭ではもう大丈夫だと思っていても、体があの時の恐怖を忘れてくれません。ですから、一緒にいるなんて無理ですわ。どうかお許しください」
気持ちと体が別物みたい。感情では殿下なんかに負けたくないと思っているのに、体は震えるし吐きそうだし頭がグラグラする。
早く帰りたいなぁ。あ、先輩に会えなかった。
「……私はそれ程までに君を傷付けてしまったのだね。
私はここで誓う。一生を賭けて君に償うことを!」
「……え?」
「私達の愛はどんな壁も乗り越えられるよ。君の傷は私が癒す。さあ、おいで?」
え、怖い。なに?こんな気狂いだった?
同じ言語を使ってるのにまっっったく通じないのはなぜなの?魔法の後遺症?!
「……無理です吐きます殿下を汚物塗れにはできませんご容赦ください」
絶対に近づいて来ないであろうワードで牽制する。だって殿下はきれい好き。ほら、一歩下がった。
「そうだね、少し焦り過ぎたようだ、すまなかった。私達には時間がたくさんある。これからは毎日君に愛を捧げよう。愛してるよリーゼ、また明日会おう」
そう言って颯爽と去っていく。
私はすでに放心状態。どうしよう、殿下のあの怒涛の攻めを毎日くらうの?死ねるんじゃないかしら。
お父様が戻ってくるまで、私は呆然と佇む事しかできなかった。
「助けて先輩!勝てる気がしません!」
「おう?」
学園に戻って3日。すでに死にそうです!
「殿下が怖いんです、まったく諦めてくれません!陛下達も私さえ承諾したら再婚約可能だって言っちゃったんですよ!
毎日毎日プレゼントは届くし、もちろん送り返すけど!毎朝迎えにくるし、吐くから無理だって断ってるけど!休み時間もすぐ来るし愛を囁きまくるし周りも温かい目で見守ってて、ゴール直前みたいな!
なんで?あんなに私を敵認定してたくせに!
お陰様で未だに友達すら作れません……」
殿下を撒いてやっとたどり着いた図書室。いつも通り本を読む先輩に感情が溢れる。
私はこんなに苦労してるのに、なんでシレッと読書してるの!私だって本の世界にのめり込みたい!
「俺が助けていいのか?」
「へ?」
「俺が助けに入ったら、俺達が仲がいいと殿下に知られる。それでもいい?覚悟はあるか?」
先輩のこんなに真剣な顔は初めて見た。
私達の仲……本が好きなこと?でも、先輩が言ってるのはそんなことじゃない。
「……先輩は私のことが好きなの?」
「嫌いなヤツの為にプレゼントを選んだりしないな。……すっごく恥ずかしかったんだぞ」
だよね、恥ずかしいよね。違う、そこじゃない。
「……私は、先輩に好意はあります。でも、殿下のことが強烈過ぎて、これが友情なのか恋なのか判別できません」
「わかってる。ただ、その間に俺が割って入ってもお前は大丈夫か?これ以上お前が傷付く姿を見たくはない。もちろん諦めないけどな」
いつからそんな風に思ってたんだろう。
ずっと友達だと思って……本当に?
友達が居なすぎてちょっと分からない。友情以上恋愛未満。そんな感じ。
「えと、殿下に知られるのは保留でお願いします。心の拠り所が無くなるのがイヤなので」
「そういうことをはっきり言う所とかが好み。貴族的な会話しかしない女が苦手。まずは一つだけな」
ニヤリと笑う姿が憎たらしい。でもそっか。素直に言っていいんだ。
「私も。先輩の飾らない話し方は気に入ってます」
二人でちょっと笑い合ってから本を読む。
私のお気に入りの時間。
「お願いです、それ以上近づかないで」
やっぱり殿下はまだ怖い。頭では大丈夫だと思っていても、体が勝手に震える。
「……申し訳ありません。それ以上近くに来られると……怖すぎて吐きそうです。お話しならその位置からお願いします」
ここはもう素直に伝えましょう。殿下の前でケロッと吐くよりマシなはず。
「……愛してるんだ、リーゼ。だから迎えに来たよ。お願いだ、もう一度やり直そう!」
ダメだ、拒絶反応で吐きそう……
慌ててハンカチで口を押さえる。もう少し耐えて、私!
「すでに私達の婚約は白紙に戻っています。今更無かったことにはできませんわ。婚約とはそんな簡単なものではありません。
どうか、他の女性をお探し下さい。素敵な出会いがある事をお祈り申し上げます」
よし、言い切った!
「大丈夫だよ、リーゼ。君さえ頷いてくれたら再婚約していいと言われているんだ。だって魔法のせいだったのだし、婚約白紙は一時的な措置というだけだ。安心して?」
安心材料は一つも無いです。なぜお父様が戻って来ないのかしら。ようするに先生に裏切られた?帰り際にお父様だけ呼びとめたのはそういうこと?
権力は教育者も屈服させるのか。教え子は守ってほしかった。
「見てください」
殿下との距離は1m。ちゃんと見えるわよね?ちょっと心配になりながら左手を前に出す。
「見えますか?震えているでしょう。……あなたが怖いのです。頭ではもう大丈夫だと思っていても、体があの時の恐怖を忘れてくれません。ですから、一緒にいるなんて無理ですわ。どうかお許しください」
気持ちと体が別物みたい。感情では殿下なんかに負けたくないと思っているのに、体は震えるし吐きそうだし頭がグラグラする。
早く帰りたいなぁ。あ、先輩に会えなかった。
「……私はそれ程までに君を傷付けてしまったのだね。
私はここで誓う。一生を賭けて君に償うことを!」
「……え?」
「私達の愛はどんな壁も乗り越えられるよ。君の傷は私が癒す。さあ、おいで?」
え、怖い。なに?こんな気狂いだった?
同じ言語を使ってるのにまっっったく通じないのはなぜなの?魔法の後遺症?!
「……無理です吐きます殿下を汚物塗れにはできませんご容赦ください」
絶対に近づいて来ないであろうワードで牽制する。だって殿下はきれい好き。ほら、一歩下がった。
「そうだね、少し焦り過ぎたようだ、すまなかった。私達には時間がたくさんある。これからは毎日君に愛を捧げよう。愛してるよリーゼ、また明日会おう」
そう言って颯爽と去っていく。
私はすでに放心状態。どうしよう、殿下のあの怒涛の攻めを毎日くらうの?死ねるんじゃないかしら。
お父様が戻ってくるまで、私は呆然と佇む事しかできなかった。
「助けて先輩!勝てる気がしません!」
「おう?」
学園に戻って3日。すでに死にそうです!
「殿下が怖いんです、まったく諦めてくれません!陛下達も私さえ承諾したら再婚約可能だって言っちゃったんですよ!
毎日毎日プレゼントは届くし、もちろん送り返すけど!毎朝迎えにくるし、吐くから無理だって断ってるけど!休み時間もすぐ来るし愛を囁きまくるし周りも温かい目で見守ってて、ゴール直前みたいな!
なんで?あんなに私を敵認定してたくせに!
お陰様で未だに友達すら作れません……」
殿下を撒いてやっとたどり着いた図書室。いつも通り本を読む先輩に感情が溢れる。
私はこんなに苦労してるのに、なんでシレッと読書してるの!私だって本の世界にのめり込みたい!
「俺が助けていいのか?」
「へ?」
「俺が助けに入ったら、俺達が仲がいいと殿下に知られる。それでもいい?覚悟はあるか?」
先輩のこんなに真剣な顔は初めて見た。
私達の仲……本が好きなこと?でも、先輩が言ってるのはそんなことじゃない。
「……先輩は私のことが好きなの?」
「嫌いなヤツの為にプレゼントを選んだりしないな。……すっごく恥ずかしかったんだぞ」
だよね、恥ずかしいよね。違う、そこじゃない。
「……私は、先輩に好意はあります。でも、殿下のことが強烈過ぎて、これが友情なのか恋なのか判別できません」
「わかってる。ただ、その間に俺が割って入ってもお前は大丈夫か?これ以上お前が傷付く姿を見たくはない。もちろん諦めないけどな」
いつからそんな風に思ってたんだろう。
ずっと友達だと思って……本当に?
友達が居なすぎてちょっと分からない。友情以上恋愛未満。そんな感じ。
「えと、殿下に知られるのは保留でお願いします。心の拠り所が無くなるのがイヤなので」
「そういうことをはっきり言う所とかが好み。貴族的な会話しかしない女が苦手。まずは一つだけな」
ニヤリと笑う姿が憎たらしい。でもそっか。素直に言っていいんだ。
「私も。先輩の飾らない話し方は気に入ってます」
二人でちょっと笑い合ってから本を読む。
私のお気に入りの時間。
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